眩暈して涙する : 草片

平日のディナーに伺いました。
年に2日限りの、イタリア産白トリュフと松茸コース　税サ込35,000円です。
イタリアの白トリュフが最高で、松茸が終わり近い10月中旬、両方を一度に楽しめる貴重な数日間とのこと。山の幸の芳香同士の最高のセッションを楽しむには、是非『草片』さんでと考えました。1年間待ち侘びた白トリュフの香りを更に味わう為に、少量ずつのペアリングもお願いしました。

○Amuse　白トリュフ　カボチャ
○Antipasto　白トリュフ　里芋
○Antipasto　松茸　マコモタケ
○Antipasto　白トリュフ　スフレ
○Minestrone　ミネストローネ
○フォカッチャ
○Risotto　松茸
○Tajarin　白トリュフ
○Funghi　白トリュフ　ジゴボウ
○Funghi　焼き松茸
○Carne　白トリュフ　南の島豚
○Dolce　栗
○Te’　ハーブティー
○Piccolo pasteccerie　もったいないのメレンゲ

ここは天国か。
他のどのお店で頂いた白トリュフよりも芳醇でした。
それぞれがメインを張れそうなほどの贅沢な料理が11皿、白トリュフと松茸が適切に形を変え、様々な活かされ方をしていました。スライスされてトッピングされるだけではありません。面積広くスライスされたり細切りだったり、練り込まれたり。最後まで香る持続力にも驚かされました。
ベースにチーズや卵を使った、白トリュフに合わせたまろやかなイタリアンが並びましたが、みんな違ってみんないい。飽くことのない調和がまた素晴らしかったです。
そして寄り添うペアリングのワインの数々。どのように合わせられたかの説明も頂き、更に幸せが増します。
結果、非常にお値打ちだと思いました。
思い出して泣けるかも。来年まで頂けないのかと思い返してまた泣けるかも。
ごちそうさまでした。

平日のディナーに伺いました。
京都の摘草料理の流れを汲む、お野菜イタリアンのお店です。
女性に好まれるコンセプトで、男性にも支持される申し分ないボリューム感で。これでもかというほどの品数で、一皿ごとに一種ずつの野菜の美味しさを、イタリアンのフィルターを通して教えてくれます。

ファーストドリンク付きの地野菜と旬の食材で季節を愉しむコース　税込サ無し12,500円です。

○Amuse　琵琶　ルッコラ
○Antipasto　トウモロコシ
○Antipasto　インゲン豆
○Antipasto　ズッキーニ
○Antipasto　人参
○Antipasto　茄子
○Antipasto　真竹
○Antipasto　紫蘇
○Antipasto　インカのめざめ
○Minestrone　ミネストローネ
○フォカッチャ
○Primo　キャベツ
○Primo　ビーツ
○Pesce　秋川の天然鮎
○Carne　鹿
○Dolce　山椒
○Te’　ハーブティー
○Piccolo pasteccerie　もったいないのメレンゲ

シンプルな調理のように見えて、自分には絶対に再現できない味のバランスがあります。
カウンターでは、調理の工程を見ることができますが、イタリアンのライブ感という印象とは異なる、繊細な作業を知ることになります。和食器に丁寧に盛り付け、最後のひとつまみの仕上げを施す、和の仕事を見ているようです。

身体も気持ちも浄化する、お野菜イタリアン。気持ちだけは毎日でも通えるのですが、人気の為なかなか希望の日時に予約が取れず、1年越しの念願の再々訪でした。季節が変わったらまた、というより季節が変わらなくてもまた、伺いたいです。
ごちそうさまでした。

平日のランチに伺いました。
西東京の野山や畑から、大地の恵みを余す所無く西麻布の食卓へ。

フードロス問題やSDGsなど、さりげなく社会問題に触れながら美味しい料理を頂くという、私のような意識高くない系人間にはちょうど良い社会貢献です。お店と中東シェフは素晴らしい取り組みをされながら、その意気込みに偏り過ぎていません。コンセプト以前に、美味しいイタリアンレストランとしてお勧めできる、好ましいバランスのお店です。

ファーストドリンク付きのランチのコース『清明』　税込8,500円です。

○Prima bevande
○Antipasto　シンタマネギ
○Antipasto　ただのサラダ
○Antipasto　土筆
○Antipasto　タラの芽
○Antipasto　のびる
○Antipasto　アスパラガス
○Minestrone　ミネストローネ
○フォカッチャ
○Tagliatelle　のらぼう菜
○Carne　京都からの贈り物
○Dolce　ティラミス
○Te’　ハーブティー
○Piccolo pasteccerie　もったいないのメレンゲ

全てのお皿に、今の季節にだけ味わえる季節の恵みが添えられていました。一般の流通には乗らないような、直接生産者を訪ねてこそ入手できる食材も、多く取り入れているとのことです。瑞々しい山野の恵みはイタリアンと相性が良いようです。オリーブオイルやチーズに引き立てられて、それぞれ主役然としています。

端野菜から抽出するミネストローネ、そして最後の最後にその野菜くずもメレンゲと胡桃を合わせて、美味しいBrutti ma Buoniに。お店が裏で処分するのではなく、最後まで消費するのは客である自分だと認識できる、良い締め括りです。
ごちそうさまでした。

週末のランチに伺いました。
感度の高い良店が犇めく西麻布。限られた大人の為の街、西麻布へ。その資格があるか自信は無いまま、初めてのお店に突入です。

お店は地下にあり、隠れ家然としています。
ささやかでモダンなカウンター。シェフやスタッフの方と近い距離感で、慣れてくると不思議と落ち着くアットホームな空間です。
高級店のイメージがあった『エルバ ダ ナカヒガシ』時代を知りませんが、お料理のコンセプトが以前と変わらないのであれば、同じ意味でも今の漢字の『草片』の方がしっくり来る気がします。山野の恵みを中心に少量ずつの多皿で展開されるコースは、和を含む東洋の雰囲気も感じられます。

ランチのコース　税込7,500円です。

○Amuse　茄子：茄子、かたばみ、セミドライトマト、ナッツ。
○Antipasto　胡瓜：胡瓜、唐辛子。
○Antipasto　冬瓜：冬瓜、山椒のスプレー。
○Antipasto　南瓜：南瓜のニョッキ、南半球の冬トリュフ。
○Antipasto　オクラ：オクラの花、オクラの種、鮎のリエット。
○Antipasto　万願寺：万願寺唐辛子、スッポンと玉葱のラグー。
○Antipasto　サンダニエーレ産の生ハム：生ハム、オオモミタケ。
○Antipasto　いわ茸：いわ茸、春巻きの皮。
○Antipasto　茄子：緑茄子のメランザーネアッラ・パルミジャーナ。トマト、パルミジャーノチーズ、フレッシュバジル。
○Minestrone　ミネストローネ：グリッシーニ、ハーブ、オリーブオイル。
○フォカッチャ
○Ravioli　タマゴタケ
○Carne　京都からの贈り物：豚、キタアカリ、茸のソース。
○梨のジェラート：キウイ、コリアンダー。
○Dolce　巨峰：巨峰、セミフレド、シューのバーガー。

○Te’：15種のハーブティー。
○Piccolo pasteccerie　もったいないのメレンゲ。

種類豊富な野菜を一皿にまとめる料理も良いですが、こちらは違います。皿数を多くして、山野の恵みひとつひとつと向き合わせてくれる、丁寧な料理です。主役は野菜らしく軽い料理が続きますが、イタリアンであることを思い出させる、しっかりとした香りと量感のあるお皿が時々挟まれていたりして。
特に記憶に刻まれたのは、秋の気配を感じる南瓜のニョッキや、香る茸類を用いた料理。野菜くずのエキスをサイフォンで抽出したミネストローネ。
五感で楽しみながらあっという間にDolceまで辿り着きました。巨峰とセミフレドのバーガーもまた瑞々しくて感動的な美味しさでした。

Stay Homeで澱み切った身体を浄化するような、瑞々しい野菜のコースでした。もっと早くに知っていれば良かった、と思いました。時々、澱んだ身体に清爽な喝を入れるべく、再び伺いたいです。
ごちそうさまでした。