【★4.3】茨城テロワールにこだわる実力派リストランテ【2727】 : Ristorante TSUMU

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Menu TSUMU（16,500円、内税）滞在時間：約2時間20分

東京から茨城県に来ております。

つくば市出身の大井健司シェフ（1984年生まれ）が腕を奮う同店（3.00）。
2023年9月にオープンして食べログの口コミまだ2件ですが、
2024年3月19日（火）発売予定『ゴ・エ・ミヨ 2024』への掲載が決まっている実力派。

西麻布81（3.71）スーシェフとして「RED U-35 2016」のBRONZE EGG受賞。
麻布十番Courage（3.70）で料理長を務め2年連続『ゴ・エ・ミヨ』掲載。
シェフ個人としては既に高く評価されている人物なのです。

つくば国際会議場という巨大施設に入るレストラン。
立食時は100人まで対応可能なようですが、通常は4人テーブル4卓（計16席）。
メチャクチャ広い空間です。
男女ホールスタッフ（計2名）で切り盛り（シェフは最後のご挨拶で登場）。

ディナー利用だったので外は暗かったですがランチには竹園公園の借景も楽しめるはず。
卓上に、ナプキン、布おしぼり、クチポールのナイフ、フォーク。
食器は料理に合わせて変わり鳩を食べるときはYAMACO（燕三条）のナイフとフォークに。
お手洗いは国際会議場と共用、レストラン内にはございません。

TX（つくばエクスプレス）の開業によって都市開発が進んでいるつくば市。
郷土料理を楽しめるイタリアンが雨後の筍のように増えているのですが、
リストランテ（高級イタリアン）といった味わいなのは同店だけかも知れません。
下記の通り飲み食いして、お支払い総額24,200円でした。

・アルコールペアリング（5杯 7,700円）1.アミューズ 2.鯰 3.白子 4.鮑 5.鳩

0.和らぎ水
1.つくばワイナリー スパークリングブラン 2021 白泡 茨城県
2.来福酒造 来福ワイン RAIFUKU WINE 樽熟成《白》茨城県
3.フリウラーノ ブラン コッリオ 2020 ドラガ ミクルス 白 イタリア フリウリ
4.茨城県 浦里酒造 浦里 純米吟醸 本生
5-1.バローロ 2018 フォンタナフレッダ社 赤 イタリア ピエモンテ
5-2.つくばワイナリー ツインピークス マルスラン プレミアム 2022 赤 茨城県

・Menu TSUMU（16,500円）

1.アミューズ（フィンガーフード）
1-1.霞ヶ浦キャヴィア 笠間自然薯
1-2.境町梅山豚
1-3.つくば京人参 福来みかん煮
2.霞ヶ浦鯰（なまず）
3.パン
4.つくば春菊
5.稲敷郡トラフグの白子
6.久慈浜鮑（あわび）
7.かすみがうら鳩（はと）
8.笠間蕗の薹
9.土浦蜜芋 つくばとちおとめ、食後のお飲み物（コーヒー or 紅茶）

食べた料理の寸評は以下の通り、【】内は個別の採点、表示価格は内税です

【3.6】霞ヶ浦キャヴィア 笠間自然薯

ポテトボンボン（ポムスフレ）のように膨らんだ自然薯のフリット。
サワークリーム、株式会社トキタ（稲敷郡）のキャヴィア、レモンマリーゴールドを乗せて。
株式会社トキタはチョウザメやトラフグを養殖しており、
後述するトラフグ白子の生産者でもあるのでしょう。

ベルーガやオシェトラといった高級品に比べると小粒なキャヴィア。
16,500円コースなので贅沢も言えませんが存在感は薄かったです。
自然薯のフリットは中心が滑らかネットリしており、
キャヴィアよりも自然薯のほうが好印象。

【3.5】境町梅山豚

水戸のラ メゾン デュ パン クリハラ（3.27）のパン・ド・カンパーニュに、
ストラッチャテッラと梅山豚の生ハムを乗せています。
茨城県の誇るブランド豚である梅山豚（めいしゃんとん）単体はなかなか美味しいですが、
ストラッチャテッラ（ブッラータチーズの中身）が期待したほど濃厚でなく、
組み合わせの妙味という点でもう一歩に思ってしまいました。

【3.5】つくば京人参 福来みかん煮

福来みかんの果汁で煮込んだ京人参、人参が爽やかフルーティーでなかなか良し。

【3.6】霞ヶ浦鯰（なまず）

フリットにした鯰、菜の花ソース、金柑オイル漬け、柴田農園（高萩市）マイクロハーブ。
県内某店では臭みが強いからと使用を避ける鯰ですが、
イタリアンはハーブなど活用することで臭みを消せるのでしょう。
臭みなくブリンと弾力ある白身を楽しめて意外と美味しい。

【3.4】パン

今井ファーム（北海道）の1年寝かせたシャドークイーン（ジャガイモ）を練り込んだ、
シェフのイタリア現地修業時代のレシピを活かした自家製フォカッチャ。
おかわり自由で「いくらでもどうぞ」とのお言葉。
高加水なのかシットリしており、底に油でも塗っているのかオイリー。

【3.6】つくば春菊

春菊のキタッラ、春菊のソテー、柚子のコンソメスープという組み合わせ。
スープの滋味溢れるような味わいが春菊を昇華させます。
キタッラ、リゾーニ、タリアテッレと3種類のパスタが出てくるのですが全て非凡な美味しさ。

【3.7】稲敷郡トラフグの白子

前述した養殖トラフグの白子をソテー。
トラフグ出汁で炊いたリゾーニ、パウダー状のカラスミ、甘夏の皮と果肉を合わせて。
お米のような見た目ですがリゾーニというパスタです。

県内某店で大津港（北茨城市）水揚げ天然トラフグの白子を食べる機会があって、
比べると養殖の白子は泥臭いようにも思ってしまうところ。
16,500円コースなので贅沢も言えませんがトラフグは養殖より天然なのでしょう。

それよりも光っていたのがトラフグ出汁の旨味を吸ったリゾーニ。
てっちり（トラフグ鍋）の〆雑炊って身よりも美味しいことがありますが、
同店のリゾーニもメチャクチャ美味しく化けていました。
リゾーニ単体への評価は4.0以上。

【4.5】久慈浜鮑（あわび）

久慈浜（日立市）の鮑と柑橘類を練り込んだタリアテッレ。
テーブルでお皿に肝ソースを注ぎ込みます。
付け合わせに柴田農園（高萩市）オカヒジキと田村きのこ園（笠間市）福王しいたけ。

たっぷりのバターが染み込んだような鮑が超濃厚で美味しい。
歯応えも良くて火入れに妙味を覚えます。
炭水化物でボリュームを底上げするのを普段は好ましく思わない筆者ですが、
タリアテッレも抜群に美味しくて、濃厚な肝ソースが色々な食材を底上げしていました。

鮑は足が早い食材なので都内で食べても割高感が残るだけのことが多いです。
テロワールでこそ真価を発揮する高級食材（中華の干し鮑であれば都内で食べても美味しい）。
16,500円でこれだけの鮑を楽しめれば、それだけで同店への評価が爆上がり。

【4.6】かすみがうら鳩（はと）

希少な国産ピジョンを薪焼きに。
知る限り国内で鳩を育てているのは赤平市（北海道）のエルムピジョン、
ピジョンファーム（千葉県九十九里）、そして茨城県かすみがうら市の同ピジョンぐらい。

月に5羽しか入らない超希少品でこの日は偶々出会えたようです。
ピジョン以外にホロホロ鳥も同じ場所で育てており、
普段はホロホロ鳥がセコンドピアット（主菜）に登場することが多いそう。

お皿の左側に胸肉。
右側に、レバー、砂肝、ハンバーグ（首肉、手羽、腿肉のハンバーグ）。
中央に黒米とビーツのリゾット黒トリュフ乗せ。
バルサミコ酢ソース、生黒胡椒の塩漬け、塩を添えてあるのでお好みに調節。

レアーに火を入れた胸肉がメチャクチャ美味しい。
高坂鶏や比内地鶏といった高級な鶏でも出せない鳩ならではの旨味の強さ。
鉄分の含有量が鶏とは桁違いなのでしょうか。
レバーなど内臓部位は鶏のほうが美味しい場合もありますが胸肉は圧倒的に鳩。

レアー感を残すハンバーグも格別な美味しさ。
都内のフレンチでラカン産やランド産のピジョンを食べていますが、
これほど感動を覚えるピジョンに（都内では）出会えたことがないです。

【4.3】笠間蕗の薹

笠間で採れた地物蕗の薹、生クリーム、牛乳で作ったアイスクリーム。
フワッと滑らかな口当たりで濃厚クリーミー。
蕗の薹の苦味は抑えられており、爽やかな香りのほうを強く感じます。
何ともバランス感覚に優れたアイスクリーム。
アイス・ジェラート百名店よりも同店のほうが圧倒的に美味しい。

【3.9】土浦蜜芋 つくばとちおとめ

焼き立て蜜芋ケーキ、生クリーム、とちおとめキャラメリゼ、メープルシロップ。
メチャクチャしっとり食感の芋はスイートポテトのように変質させているのでしょうか。
芋嫌いな人でも食べられそうなぐらい洗練されていました。