塩分補給のはずが : R+

お店の名前が変わってからは初めての入店でした。

発券したのは最も塩分補給に適してそうな限定のBKに間違いなく相性が良いであろう生卵のセットです。

相性と言えば「しょっぱいから御飯と合います‼︎」との貼り紙がありましたが、単純に肥るのが嫌なのでやめときました。

広い店内に先客は3名となかなか寂しい感じですが、1杯ずつ丁寧に作っている印象のままに思ったより時間がかかっての着丼でした。

別皿の生卵は何も考えずに丼へ放り込んでしまったのですが、もしかしてスキヤキみたいにして食べる為の別皿だったのだろうかと今まさに頭を掻きむしっておるところです。

さてBKの正体ですが、明らかに富山ブラックの超有名店にそっくりなビジュアルなので富山ブラックのつもりで提供しているのは間違いないものと思います。

随分昔の話ですが、石川県加賀市山代温泉で100%醤油と言って過言でない液体に麺をぶち込んだだけみたいなラーメンを食べたことがありまして。

もちろんその店は跡形もなくぺしゃんこに潰れてますが、まぁしょっぺーのなんの。当然他にも客などいないわけですが、あれは確実に過去に食べたラーメンのワースト3に入りますね。

このBKに対面した時、あろうことかあのラーメンのことを思い出してしまったというか、もしかしたら僕は心の中で再会を期待していたのかもしれません。

何しろドス黒いスープには逃げ場も無いほど満遍なく大量のコショーが浮かび、トッピングの白髪ねぎにおいては一味唐辛子まで浴びせられていました。

まずはスープからですが、これだけ大量に醤油を使っているのに表面の脂のみならず、下層部まで熱々。スープとタレを分断しない一体型のように思えます。

動物出汁はあるけれど詳細わからず。ガラというより肉汁メインでしょうか。チャーシュー麺でもないのにやたらチャーシューが多いのでそんな気がしました。

ビジュアルからの期待を裏切ることなくしょっぱいけれど、甘くもある。単に砂糖なのか、あるいはハチミツか、まさかのコカ・コーラか。全く知る由もないですが、チャーシューが甘すぎる要因かもしれません。

麺は凄く優秀でした。このスープを支えられるのはこれしか無い！ってくらいに。

店を出て暇すぎるのでハリーポッターの様子を外堀から眺むべく歩いて行ってみたのですが、到着した頃には頭からバケツの水を被ったに違いない大量の汗をかいてました。

大量のコショーの仕業に間違いありません。

いつの時代もどんな分野にも流行り廃りがあるのは当たり前で、ラーメンの世界にも当然にトレンドというものがあります。

食文化においてトレンドが発生するということは、一定程度の消費者に支持されているわけですから、あくまでビジネスライクにラーメンを作るのであればトレンドをフォローするのが最も合理的と言えます。そして僕はこれを支持します。

ただ、どうも腑に落ちないというか、これってもしかしてトレンドなのだろうか？と、自分でもよく理解できていない現象、傾向が近年見受けられます。

それはズバリ、「わかりにくさ」です。最もシンプルに例示すると「中華そば」と「醤油ラーメン」の2つのメニューが並んでいる状況を想像するとわかりやすいかもしれません。

実際、この2つが並んでいたら「違いは何ですか？」って聞きたくなりませんか。または、すご～く気にはなるけど聞きにくいので事なかれで済ませるか。

実は此処ドリルマンは見た目にそこまでわかりにくいわけでもないのですが、「中華そば」と「煮干しそば」の2つが共存しています。一方が煮干しそばなので、中華そばは煮干し系以外の何か。

こうなると僕の性格的に「何か」をほじくりたくなってしまうので、中華そばをポチってしまうことになります。

随分前振りが長くなってしまいましたが、着丼までは10分強といったところだったかと思います。

で、実食後の感想を先に述べてしまいますと「これも煮干しラーメンじゃねぇか」と。

厳密にはあくまで鶏がメインなので煮干しラーメンではないのですが、煮干しの焦がしラードと思しきがドレッシングされているので、最初に鼻腔に入ってくるのは煮干し臭なのです。都立家政の七彩的な構成というのでしょうか。

たぶんラードを丸ごと除去すれば練馬の「ます田」ぽくなるはずですが、どっちがいいかはともかく、僕的にはそのほうがわかりやすかったんじゃないのかなぁと思ってしまうのですよね。

もっとも、上述の内容はあくまで「わかりにくさ」への不満なのであって味に対して向けられたものではありません。中華そば自体は飽きのこない、食べやすいもので、レアチャーシューも原則として好みではないものの他店と比べると旨味が強いものを使用していると思いました。

ただ、ツレの食べていた「つけ麺」が全くお話にならないものだったので、美味しいお店としておすすめするのは少々気が引けてしまうのも事実であります。