季節を感じる蕎麦屋の名店 : 玄蕎麦 野中

土曜日…でしたかね。友人と「何か食べに行こう」という話になり、ちょっと暖かく、さりとて風は冷たい、みたいな気候だったので「野中で蕎麦を食べよう」ということになりまして。車で行ってきました。練馬駅から行く場合は、多分中野行きの関東バスに乗って南蔵院のバス停で降りるのが一番近いと思います。中村橋駅からだと…タクシーとかが一番早くて便利のような（多分1000円も掛からないくらいの距離です）。歩くのはどこの電車の駅からでも結構大変だと思います。ちなみに駐車場はお店の無料駐車場が5台分くらいあるんですが、結構すぐ埋まってしまいます。近隣にはコインパーキングがあるので、「絶対に停められない」ってことはなさそうですけど、お店の駐車場をアテにして行くなら、開店直「前」が良いと思います。

この日は、あいにく出発が遅れて11時15分くらいにお店に到着。駐車場は…1台しか停まってないので一安心。結構角の方の駐車スペースはドライビングテクニックを要する狭さなので、そこしか空いてない時は、諦めて他のコインパーキングに停めた方が良いね…ってくらいあんまり初心者には向いてない駐車場です。そこへ車を停めて、店内へ。おお、まだ空席があるね。開店直後でもすぐに満席になることが多いので、余裕がある時は11時前に店に来た方が良いかと思います。

で、友人は「なんか春を感じそうなメニューだ」ということで春野菜の天せいろを、私は「もう少し冬の肌寒さを楽しみたい」ということで鍋焼きうどんを注文。ここのお店は蕎麦屋さんなんですけど、鍋焼きうどんが美味くて好きなんですよ。それに出汁巻き卵も注文。ホントはビールとか吞みたいところですが、車なので諦めました。

待つこと5分くらいでまずは出汁巻きが到着。焼きたてを持ってきてくれるのでアッツアツです。そこに大根おろしを載せて食べると…あぁ、うめぇ。ちょっと甘目なんですけど、出汁がキリっと効いてて実に美味しい。できれば1人1皿は食べたい逸品です。

そこへ友人の春野菜の天せいろが到着。海老天に加え、独活や蕗の薹、筍やスナップ豌豆なんかが色鮮やかで、なんか名前通り「春らしさ満開」ってメニューですね。で、私の鍋焼きうどんも到着。こっちは海老天に蒲鉾、厚焼き玉子なんかがグッツグツに煮立ってて、冬を感じる仕様になってます。ひと口スープをすすると…くぅぅぅっ、沁みる。別に私は夏でも（提供されてるなら）鍋焼きうどんを食べるくらい好きなんですけど、「美味さ」で言うと、やっぱり寒い時期で食べるのが一番美味いわけで。この冬の最後のタイミングかな…なんて思いながらうどんを手繰ります。うどんはしなやかに伸びがあって、コシが抜けてない。それにだし汁が濃くないので、煮立ってても煮詰まった味にならないのが良いですね。あとこれは完全に個人的趣味なんですが、鍋焼きうどんって生卵落としてるパターン多いじゃないですか。アレって好きな人には良いんですけど、私は「だし汁が濁る」って考えてしまうのでちょっと苦手なんですね。でもここは出汁巻き卵なので、また異なる美味さを体験できます。こういうちっちゃいこだわりに噛み合うと、「良いお店だなー」ってしみじみ思いますね。

というわけで、友人ともどもあっと言う間に完食して退店。正午くらいになりかけてたんですが、その時点でもうお客さんが引っ切り無しに入店してきて、駐車場も満車になってました。ホント、地元民からしてみると「陸の孤島」みたいな場所なんですけど、長年客足が絶えない名店ですね。おススメです。ごちそうさまでした。

昔読んだ『美味しんぼ』で、「夏の蕎麦は犬も食わない」というセリフがありまして。たしか中松警部が同僚の大石警部に「蕎麦の大食い対決」の代打を持ちかけられた際、「50枚のせいろ蕎麦を食えるには食えるけど、夏の蕎麦はまずいから食えない」みたいな。大の大人が大食い対決を日常的にやるのかどうかは別として、子供心に「そうかー、夏の蕎麦はまずいのかー」と強く心に刺さったんですが。

大人になってみると、正直「新蕎麦が美味い、というのはちょっとわかるけど、夏の蕎麦がまずい、というのはよくわからない」という結論になりまして。まぁ舌が肥えた人なんかは違うのかもしれませんが、今は輸送技術も保存技術も上がってるでしょうから、「まずい蕎麦」なんて余程のことがないと出逢わないわけですよ。それより蕎麦屋で個人的に重視するのは「天ぷらが美味いか」みたいなところになりまして。なんか美味い天せいろ食べたいなーと思ったときに行くのが、この野中さん。

練馬の中村橋の南蔵院の奥の奥、という、練馬区民でもほとんどなじみのない場所で、駅からはどう頑張っても20分くらい歩かなきゃ着かない場所なんで、車とかタクシー、百歩譲ってバス（練馬駅から中野行関東バスに乗って南蔵院で下車）とかで行くのが良いです。無料駐車場は4台分くらいあるんですけど、即埋まるんで、近隣のコインパーキングを活用すると良いかと思います。

さて、キンキンに冷えた冬場だと、ここでは鍋焼きうどんを食べるんですけど、この日は天ぷらが食べたかったので「魚介天せいろ（2200円）」を注文。ホントはビールなんかもいきたいんですが、この日は車で来ていたので断念ました。

10分くらいで到着となったんですが、まずは天ぷらが美味しそう。キス、海老、カニ爪、アナゴなんかと、アワビ茸、しし唐なんかが盛り合わせででてきます。とりあえずカニ爪から食べると…あーうめぇ。昔有名な天ぷら屋の店主がTVで「天ぷらは蒸し料理」と言っていたんですが、馬鹿を言っちゃいけない。私の中で天ぷらは衣と具材の食感を楽しむ料理なんです（多分その料理人が言いたいことと本質的に違うのは自覚してます）。このカリっとした食感が食材とどう絡み合うのか、そして衣が水分を吸って、口の中で失われていく食感を楽しむ…みたいな詫び寂びが個人的には好きなんですよ。全然共感されなさそうですけど。

とまぁ、天ぷらを突きつつ蕎麦を手繰ると、これがまた美味い。蕎麦の香りも高いし、喉越しも良い。で、再びアナゴ天の「カリ」「フワ」「ジュワ」「シナ…」という食感を存分に楽しみつつ蕎麦を手繰る、しし唐の天ぷらの辛さに悶絶しつつ蕎麦を手繰る、アワビ茸の食感と香りを楽しみつつ蕎麦を手繰る…なんて繰り返してたらすぐにせいろの上から蕎麦が無くなったので、せいろを1枚おかわり。ずずずっと完食して退店となりました。

お酒も吞まぬのに3000円くらいの夕食になってしまいましたが、かなり満足度は高かったです。気軽に行ける距離ではないんですが、機会と興味があれば是非。

なんか私の記事を改めて見返したら、二郎系のラーメンがかなりの比率を占めてるなぁ、と自省したので、たまには二郎系以外のお店の記事でも書いてみようかと。

先週末でしたかね。友人が「来週からハワイに行くから、日本食を食べたい」と言い出しまして。なら、お蕎麦でも手繰りに行くかね、ということで行くことになったこのお店。おそらく練馬の蕎麦屋でもトップクラスのクオリティを持つお店なんですが。いかんせん、交通の便がアホほど悪くてですね。電車で言うと、中村橋駅とかになるんですかね…。少なくとも練馬駅から歩けるような場所ではなく。基本的には車で行くべきお店です（お酒は呑めなくなりますが）。一応無理やり公共交通機関で行こうとするなら、練馬駅から関東バスで中野行きに乗り、南蔵院って停留所で下りるのが一番近いと思います（バス停から徒歩5分くらい）。それが面倒なら、駅からタクシーで「南蔵院にある野中って蕎麦屋に行ってください」と伝えるのが一番。入り組んだ路地にある店なので、初見の難易度はかなり高いです。

ちなみに車で行く場合、お店の前に駐車場はあるんですが、4台くらいしか停められないので、開店直前に行かないと、駐車場にはなかなか停められないので注意。近くにコインパーキングがあるので、そこを上手く利用する感じですかね。

というわけで、開店時間である11時の10分前を目指して出発。無事10時50分に着くと、駐車場にはすでに1台停車中。空いてるスペースに車をぶち込み、店舗前の喫煙所で一服。開店時間には3組が入店となりました（3組とも車）。

店内は小ぎれいなお蕎麦屋さんって感じで、そこそこ広いですが、後からじゃんじゃんお客さんが入ってきてすぐに満席に。とりあえずメニューを見て、友人はせいろとお子様天丼、私は鍋焼きうどんを注文しました。

蕎麦屋で鍋焼きうどんってのもアレなんですが、ここの鍋焼きは美味しいんですよ。この日は寒かったのもあり、ふーふー言いながら突く鍋焼きうどんってのは冬の醍醐味かな、と。

注文して10分弱で完成。回転は結構早い部類だと思います。で、蓋を取ると…怒ってる。ぐっつぐつに煮立ってます。具材は厚焼き玉子、葱、鶏肉、海老天、椎茸、蒲鉾などいたってシンプル。とりあえずスープから頂くと…沁みる。お蕎麦屋さんの鍋焼きうどんって、結構味が濃いめのイメージがあり、さらに煮詰まってるイメージがあるんですが、ここのお店は出汁濃いめで淡い味付けなので、煮詰まった感じにはならないんですよ。具材もシンプルながら、天ぷらなどもクオリティは高く、あああっと言う間に完食してしまいました。友人はせいろとお子様天丼（お子様以外も注文可能なミニ天丼）に大満足。値段も馬鹿みたいに高いわけではなく、満足度の高い昼食となりました。

しかし…こういうお上品な食事をした後は、なぜかアブラとニンニクのフレーバーが恋しくなりますね。多分病気なんだと思います。ごちそうさまでした。