エンターテイメント性溢れるバーガー。 : シャンクス

目の前に、お子さんがいる。
彼等は5歳前後にして、
つまり私が歩んだ人生の1/4に満たない位置で
バーという大人の世界を経験している。

彼等は大人しく居座って
ステーキか、ハンバーグらしきものをかぶりついている。
やはり、子供に見える大人なのかもしれない。

私は、ここ2.3ヶ月でバーに初めて行った。
バーには慣れていないが、
ここは気軽なところがあり、
落ち着いて過ごせる。
しかしバーに慣れていないということ自体が
子供っぽいことなんじゃないか。
もしかしたら私の心は
彼等より子供なんじゃないか...

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ぶらり途中下車の旅でやっていたから気になったとマイレビ様がお連れ下さった。
林先生が驚く初耳学！でも放映されたそうな。

カウンターには若い男性、
そして接客には美人姉さん。
この美人さんが素晴らしい
ブログで「皿割りましたー」「オーダーミスありましたー」と綴っているが、
店では常に笑顔だ。

そういうの、
そういうのって必要だと思う。
私はミスを深く受け止め、
自身を追い込むが故にどんどん苦しくなっていくのだが、
笑っちゃえばいい...
美人さんの笑顔をみると、
どんなことだって許せる気がする...

そのお二人、
youtubeにバンド演奏を投稿したり
LINEスタンプを販売したりと
幅広く活動しているそうな。

奇麗な内装が故に
最近できたのかと思っていたが
なんと2019年で15周年を迎えたらしい。
記念に1/25〜2/1限定でスペシャルカレーを出している。

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ピリ辛きのこの山　600円
テントバーガー　1100円
※チリビーンズ付き
チョコレート　700円
志賀高原ビール　IPA　sサイズ　700円
生姜とはちみつの復活カクテル ホット950円
（生姜/はちみつ/ライム/ウォッカ/ジンジャーエール）
※アイスも可

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キノコの山...

きのこ？
とマイレビ様は仰る。

キノコの山...
チョコレートじゃないよ。
バーガーはボリュームがある為に、
私はカロリーの低いつまみを頼んだ。
つまみにキノコとは聞いたことがないから
マイレビ様は訝しげに思ったのか。

まさか苦手ではなかっただろうか。
キノコは好き嫌いが分かれる食べ物だ。
とあるキノコ嫌いさんはキノコを頼んだとき、
悲鳴を上げ、店の外から出てしまった。

変わったものだね、でキノコ？か。
苦手、でキノコ？か。
一か八か。

商品は直ぐ出された。
見た目ほど辛くないですよ、と美人さん。

細かく刻み込れたキノコの山。
エリンギ、しめじ、エノキ、マッシュルームか、
...細かくて分からない。
ポルチーニにも見える。
それらをごま油、ガーリック、唐辛子と絡めているそうな。

ホカホカと暖かく、
コリコリとした感触は鮑に似る。
キノコの風味はニンニクに打ち消され
キノコ嫌いも食べられそうだ。
さらに中毒性ある塩気、
もう一口、また一口と欲しくなる。
後からぴりっと、確かにさほど強くない辛味。

マイレビ様は美味しいと言って下さった。
良かった、
というより考えすぎていたか。

ハンバーガーは、
オリーブバーガー、メンチカツバーガー、テントバーガーとあり、
2015年にはぺちゃんこに潰された燻製バーガーもあったそうな。
どれもチリビーンズがついてくる。

その中の一番人気はテントバーガー。
バーガーの隣にはローズマリーとヒッコリーの入った小さな容器があり、
バーナーで炙り、バーガーごとハンドペーパーに被せ、薫りを閉じ込める。
燻製にするというよりは、香りづけといった感じ。
この姿がテントみたいだから、テントバーガーと名付けたらしい。

私が来るまで待って下さい、と美人さん。

待ちます。
貴方の為ならばいつでも待っています...

10分後。
テントを開けると、
ふわあっと香りがするかと思ったら
そうでもなく（あれ）

バーガーは手にすっぽり入るサイズ、
呑むのには丁度いいくらい、
呑まなければ2個といけそう。

その手を顔に近づけると
おお、と無意識に声が出てしまう。
ローズマリーが満開に咲き誇る、
目に見えぬが花畑。
ハンドペーパーにも燻製の香りを閉じ込めているそうな。

バンズは峰屋の特注。
マンチズ（芝公園）、ファイアーハウス（本郷三丁目）、SASA（代官山）、Jsバーガー...
みんなみーんな峰屋だが、
こちらはオリーブオイルを練り込み且つ小振りだという珍しいスタイル。

切り込んだ面を下にし
カリッカリになるまで焼き上げる。
噛み付くたびにオリーブの香りが舞い上がり
カリッ、もーっちり。

一般のバーガーにおいて
カリカリというのはほんのひとときだ。
バンズは肉汁やソースを吸い、
次第にふにゃふにゃになっていくのだから。

しかしこれはどうしたことか
いつまで経ってもカリッカリ、
噛み付く度にカリッカリ。
それはまるで
こんがり焼いた食パンの白い部分を永遠と食べていられるような、
そんな幸福感...

パティは豚ひき肉100%。
バンズに負けぬくらいふっくらとして、
手に持って眺めていると、
バンズとパティとバンズ...
だんご3兄弟にも見えてくる。
そっと持つだけでも肉汁が染み出す、
力を加えると溢れてしまいそうだ。

豚は脂っこい印象を持っていた。
豚ひき肉をフライパンで炒めると
油脂が底に貯まるだろうが、
一体それは何処に行ったのか？
とてもあっさりとして、ふわふわ。
脂というものはこれっぽっちも感じない。

油脂は、何処かに消えたのではない。
magicでサラサラとした肉汁と化し
ひき肉の中に押し込まれたのだ。

パティにはチェダーチーズが付いているが
私は小口な為にチーズを退かし
パティだけ器用に頬張っている。

肉そのものは仄かな塩味。
豚肉の旨味を直に感じる、優しい味わい...
始め、うっとりするのだが、
バーガーとしてはジャンク性に欠ける気がして。
バーガーは優しいだけではいけないと
後々分かってくる。

そこでチェダーチーズを食べてみたら、
濃厚な塩気に熟成香...
ああ、やはりこれぐらいガツンと来てほしい。
チェダーチーズが何だか分からなかった空白を
埋め合わせてくれたのかと、
そう感じる...

パティの下にはドライトマトとポテトが入っている。

肉を食べた後に、
何か口が物欲しくなる、
それを埋め合わせるのが
じゃがいものホクホクとした感触だと思う。
それがフライドポテトのように分離されているのではなく、
肉の直ぐ側にある。
つまり肉の味わいが残っている間に、
ホクホクが味わえる...

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マックにもモスにもバーガーキングにも
酒はない。
しかしバーでバーガーを食べるということが
こんなに楽しいものなんだと、
今回始めて知った。
バーガーはジャンクとはまた違った姿に
変貌することもあるんだと...

カレーもラーメンも難しいから、
バーガーに逃げ込もうと考えたが、
バーガーも難しかった。

ご馳走さまでした。