上海の一流厨師は、新春のよろこびを料理でどう表現しますか? : 中国料理 百宴香

この口コミは、ジュリアス・スージーさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

4.5

¥4,000~¥4,9991人
  • 料理・味4.5
  • サービス5.0
  • 雰囲気4.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク4.0

4.5

¥6,000~¥7,9991人
  • 料理・味4.5
  • サービス5.0
  • 雰囲気3.9
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク3.7
2023/01訪問5回目

4.5

  • 料理・味4.5
  • サービス5.0
  • 雰囲気4.0
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク4.0
¥4,000~¥4,9991人

上海の一流厨師は、新春のよろこびを料理でどう表現しますか?

上海高級料理には華があります。
もしかしたら世界でいちばん gorgeous かもしれません。
え? どうしてそんなことが言えますか?



前提として、上海人どくとくの精神性があります。
上海人は東洋文化と西洋文化をともに愛しています。
次に、料理においては地の利があります。
上海は太平洋に面し、街の中心に川が流れる大都会。
新鮮なエビ、カニ、貝、海の魚も川の魚も手に入る。
上海人のみならず中国人たちはむかしもいまも
魚や肉を干したり、燻製にしたりもします。


やや余談ながら東京とて環境は同様で、
だからこそ江戸っ子は鮨とウナギが大好き。
佃島では小魚やアサリや貝を醤油と味醂で煮て
佃煮を作るでしょ。
さらには葛西の海辺に竹の棒をいっぱい突っ込んで、
棒にくっついたでろでろの海苔を引潮の時に収穫して、
江戸の和紙製造技術を転用して商品化しました。
ですから、江戸~東京のイメージで、
あるていどは上海の食文化を察することができます。


もっとも、上海高級料理は
上海の富裕層をよろこばせるのみならず、
同時に、欧米人をも魅了する必要があって。
そこで厨師たちは、炒める、蒸す、焼く、煮る、
すべての調理法をおいしさの最大限まで高め、
しかも上海は「東洋のパリ」ゆえ、
たとえば豚の角煮や黒酢酢豚のソースを
たいへん手間をかけて液体となった宝石のように仕上げます。
あのソースはチキンスープと紹興酒(ときには赤ワイン)に、
(ときにはオイスターソースも加え)、
醤油と砂糖を加え、適切な濃度まで煮詰めて、
うまみを凝縮させて仕上げるもの。
それらのすべてが上海料理の華です。


こちら百宴香さんと出会って以来、
ぼくは上海料理に魂を奪われています。
いったい上海人たちは春節に
どんなごちそうを召し上がっているかしらん?


ぼくは5日まえにこちら百宴香(ももえんか)さんに
予約の電話を入れた。
今回のぼくの希望は、
〈ひとり6000円×2人、紹興酒一本込みで、
なにか魚料理を含めたおまかせコース〉です。
そしてぼくといつもの女友達は春節二日目1月23日に、
こちらに伺いました。
なお、ほんらい百宴香さんのおまかせコースは
4人以上なのだけれど、しかし、
平日を選び混み合う時間を避けることで、
ぼくらの希望は叶えられた。


你好吗?(Nǐ hǎo ma?)
ぼくは マダムの楊暉さんに挨拶します。
中国読みでは yáng huīさん、つまりマダム楊です。
マダム楊はおっしゃいます、
「ここ数日、忙しかったぁ。
東京の上海人のお客さん、いっぱいうちに来てくれたから。」
それはそうでしょう、一年でいちばんめでたい季節、
春節ですものね、
誰だってごちそうを食べたくなる。
ぼくは彼女にYOUTUBEで観た大晦日の
春節晩会の話などします。
するとマダム楊はこぼします、「毎年観てたんだけど、
でも、今年は忙しくて観れなかった。」


さて、厨師・魯国榮  lǔ guó róng さんはきょう、
いったいどんな料理をぼくらにふるまってくれるかしらん。
ぼくといつもの女友達はまず、
人肌に温めてある紹興酒で乾杯です。
では、コースの順番にそって、料理を紹介してゆきましょう。


1) おつまみ 苔条花生  tái tiáo huā shēng
ピーナツの青海苔和え。
とりあわせが巧い、素朴で滋味ゆたかな一品。
ぼくは魯迅をおもいだします。


2) 冷菜 燻魚 xūn yú (スズキの燻製)
うまみが凝縮されています。
女友達は言います、「おいしい。
ほのかな酸味がまたいいですね。
紹興酒とよく合います。」
ぼくはむかしながらの上海の
運河のほとりの瓦屋根の二階家の家並み、風に吹かれる柳、
太鼓橋、そしてのどかに漕ぎ進む屋形船をおもいだします。


3) 中国薬芹炒豆腐干 
zhōng guó yào qín chǎo dòu fu gān
絲切り中国セロリと干豆腐を
百宴香さん秘伝の十時間丸鶏スープで炒めてあります。
その味つけの上品なこと。
おいしいなぁ。


4) クロムツの姿蒸し 清蒸魚  qīng zhēng yú
クロムツは目を見開き大きく口を開いたまま、
まるで失神したかのような表情で、
(もしかしたら白ワインで?)蒸しあげられていて、
その白い体はこのうえなく上品なおいしさです。
女友達は言います、「おいしいですねぇ、
贅沢ですね~、クロムツなんて! 
あ、スージーさん、最後は目玉のまわりも食べてください。
ゼラチン質がまたおいしいですから。」


5) 絶品! 腌篤鮮 yān dǔ xiān (超絶技巧的タケノコスープ)
うわ、これがまたおいしい!
筆舌に尽くし難い極楽的おいしさです。
綺麗に澄み渡ったうまみの深い上等のスープです。
スープだけでコンソメ(consommé)として楽しめる
そんな完成度を持ちながら、具材も華やかです。
フレッシュなタケノコと、
そしてフレッシュスペアリブと
干しスペアリブ2種を用いていて。
リボン結びの干豆腐も入っていて、
愛らしいクコの実の彩りと、ほのかな甘さもいい。
この料理の典雅なおいしさは、
実はコンソメと具材の共演によるものなんですね。


腌篤鮮 は清の時代の江南 jiāng nán 省の有名料理として、
中国全域で広く知られているそうな。
江南省とは現在の江蘇省、安徽省、上海市に当たります。
歴史的に江南省は書家、文学者、画家で有名な土地です。


料理名の 腌篤鮮 とは、
「腌」が漬ける、じっさいには塩をまぶすことで、
具体的には金華ハムや今回のような干しスペアリブなどを指し、
「篤」がちいさな火、すなわち弱火でコトコト、
「鮮」がフレッシュな肉を指しています。
なお、なぜか主役のタケノコが料理名に示されていません。


百宴香さんの腌篤鮮 のおいしさのベースは
秘伝の丸鶏十時間スープですが、
ただし、このスープの上等なうまみは
けっしてそれだけではありません。
前述のとおりスペアリブはそのまま煮込んだものと、
同時に干したスペアリブも少々混じっていて。
マダム楊によると、この干したスペアリブが
スープのうまみを深めているそうな。
なお、調理に塩をまったく使わないそうな。


おもえば東アジアにはいたるところに竹林があります。
春になれば柔らかい土を破って、
タケノコが生えてきます。
タケノコほど春節のよろこびにふさわしい食材はありません。


6) 葱油拌面 cōng yóu bàn miàn (上海混ぜ蕎麦)

白い肉厚の大きなボウルのなかに、
茹で上げられた中太麺が盛られていて、
上に錦糸卵とフライド白髪ネギが飾らていて、
ボウルの底には、
葱油と胡麻油の香りも混じった
ほのかに甘い醤油味のタレが潜んでいます。
徹底的に混ぜて、いただきます。
実はぼくはこの料理を二度目に百宴香さんへ伺ったとき、
ふつうのランチでいただいていて、
そのときぼくは百宴香さんではたいへんめずらしいことに、
まったく感動しなかった。
しかし、今回はぼくの舌も進歩し、
そしてまたコースの〆にいただいたからでもあるでしょう、
とってもおいしい!
フルコースを混ぜ蕎麦で〆る、いいですね~。
そしてぼくらは典雅な中国茶を楽しみ、
夢のようにすばらしかった食事の余韻にひたった。


上海料理は甘い、という評言は正しくもあり、
またまちがってもいて。
なるほど上海料理には
甜的に(甘く)仕上げた料理もあるものの、
それはいわば黒酢酢豚における、
ブラウンカラーに輝く上海版デミグラスのような
ソースのことであって。
あれをただ甘い評してはいけません。
同時に、上海料理にはチキンスープを使って食材を炒める、
塩味系のおだやかなうまみの料理もまた多い。
だからこそ上海料理には、
咸淡适中(ほどよい塩使い)、
保持原味(食材の味を料理に保つ)、
醇厚鲜美为(まろやかでフレッシュな味わい)、
と、さまざまな讃辞が捧げられます。
ぼくはまだ上海料理の入口を覗いたばかり。
その奥には縦横ずらりたくさんの
魅惑の小部屋が潜んでいます。
ぼくはその小部屋をひとつひとつ覗いてゆくことが、
楽しみでなりません。


いいえ、いくらお人よしの(?)ぼくだって
いまの中国の政治経済に
問題が山積みであることはわかっています。
他方、日本政府はさらにいっそう
中国共産党政府に厳重警戒体制を敷くべきでしょう。
けれども、だからといって
上海高級料理ほどすばらしい料理はそうそうありません。
しかも、ごくふつうの中国人たちは、
ぼくらと似たような人たちであって、
かれらはみんな現在の中国政治体制の被害者です。
いまこの時期にあってなお、
中国の食文化は(最良に調理された場合は)最高にすばらしい。
かけがえのない宝物です。
このことをちゃんと言えて、
しかも良店を見つけたならば熱烈支持できることこそが、
ぼくら食いしん坊の心意気ではないかしら。
おいしいは正義です。


百宴香への道順も書き添えておきましょう。
東京墨田区錦糸町、JR駅北口に出て錦糸公園を斜めに横切り、
OLINASニ館のあいだの道を抜ければ蔵前通りに出て、
都営太平南アパートその1階に、
ふたつの顔を持つ中華料理店があります。
それは地元の日本人客にとっての格安街中華の顔と、
そして在東京上海人にとっての
交通費を払って食べに行く本格上海料理店の顔です。
すっきり上品な店構え、
白い壁には淡い色彩で描かれた花の絵が三点、
山水画風の滝の絵が一点、そして
「百宴香」と書かれた書が額装され飾られています。


Eat for health, performance and esthetic
http://tabelog.com/rvwr/000436613/

  • 中国料理 百宴香 - 清蒸魚(クロムツの姿蒸し)・・・写真ではちいさく見えますが、しかしじっさいはデカい。しかも、白身の肉がふっくらと優美においしい。

    清蒸魚(クロムツの姿蒸し)・・・写真ではちいさく見えますが、しかしじっさいはデカい。しかも、白身の肉がふっくらと優美においしい。

  • 中国料理 百宴香 - 腌篤鮮 yān dǔ xiān (超絶技巧的タケノコスープ)

    腌篤鮮 yān dǔ xiān (超絶技巧的タケノコスープ)

  • 中国料理 百宴香 - 中国薬芹炒豆腐干

    中国薬芹炒豆腐干

  • 中国料理 百宴香 - 苔条花生(ピーナツの青海苔和え)

    苔条花生(ピーナツの青海苔和え)

  • 中国料理 百宴香 - 燻魚(スズキの燻製)

    燻魚(スズキの燻製)

  • 中国料理 百宴香 - 葱油拌面(上海混ぜ蕎麦)

    葱油拌面(上海混ぜ蕎麦)

  • 中国料理 百宴香 - 中国には切り絵が上手な人がいます。

    中国には切り絵が上手な人がいます。

  • 中国料理 百宴香 -
  • 中国料理 百宴香 - マダム楊。

    マダム楊。

  • 中国料理 百宴香 - 厨師・魯国榮

    厨師・魯国榮

  • 中国料理 百宴香 - 都営太平南アパート1階に、ちいさな上海があります。

    都営太平南アパート1階に、ちいさな上海があります。

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2022/12訪問4回目

4.5

  • 料理・味4.5
  • サービス5.0
  • 雰囲気3.9
  • CP5.0
  • 酒・ドリンク3.7
¥6,000~¥7,9991人

上海料理を育てたのは、二百年のコスモポリタン都市・上海だ。

東京墨田区錦糸町で、
すばらしくおいしい本格上海料理がいただける。
しかもおまかせフルコースの魅力は喩えようがありません。
今回ならば、油爆蝦、燻魚、蝦皮佛手、
猪肉豆腐干炒蒜叶、南乳紅焼肉、
麻糖锅炸、菊の花のお茶、夢のようです。

(え、お茶以外はなんのことだかわからない?
どうぞ、ご安心を。レヴュー後半でゆっくりご説明します。)
こちらの本格上海料理フルコース、なんという幸福でしょう!
現在の上海が多難な状況なのでなおのことです。


けっして小籠包と八宝菜と上海やきそばと
そして、いかにも海に面し、
街の中心に大河が流れる上海らしい
秋のごちそう上海蟹(蟹の酒蒸し)だけでは
上海料理は語れない。
他に魅力的な料理が山ほどあります。
また「上海料理は甘い」という評言もまた、
正しくもあれば間違ってもいます。
では、上海料理らしさとは
いったいどこにあるでしょう?
それを知るためには、
二百年のコスモポリタン・シティ上海の来歴を
知る必要があります。
まだご存じない方はぼくと一緒に学んでゆきましょう。



中国沿岸部の都市は北から南に、北京、上海、香港~広東
と並んでいます。
ちょうどそのまんなかの上海はどんな都市でしょう?
もちろんその答えは、中国社会主義的世界の大都市です。
(もっとも正確に言えば中国は、
1%の人民が、国家の富の30%を稼ぎ出す、
たいへん貧富の差の激しい前代未聞の社会主義国家なのですが。)
近代に上海は欧米諸国ひいては大日本帝国によって
半植民地にされた結果、上海人は外資系に勤めた人も多く、
結果、個人主義が身についていて、
洒脱な人柄を持つ人たちが多い。


少し上海の歴史を追いかけてみましょう。
上海は明代からの歴史を持つとは言え、
当時は淋しい漁村であり、牛が田んぼを耕していたもの。
上海が上海らしくなってゆくのは
清朝が阿片戦争に敗れ、1843年に開港してからのこと。
(1858年に日本にアメリカの黒船がやってきて、
大砲をぶっぱなし、日本は恫喝されて、
やむなく箱館、神戸、横浜、長崎、新潟に港を開き、
日本に治外法権の場所が生まれたことと同じです。)


上海は東京の3倍近い広さで、
南北に曲がりくねって流れる大河、
黄浦江(こうほこう Huángpŭ Jiāng)添いに開けた街です。
上海市民にとっては、自分たちの地味な県城の中心部に、
西洋人たちによって勝手に独立国を打ち立てられたようなもの。
たいへんな悲劇ですが、このときから上海は
東アジアの拠点になってゆきます。
まず最初にそれまで上海市民の農村だった場所・
西岸の外灘 Wàitān が英国人に奪われます。
そこに石造りや煉瓦造りの西洋建築の
領事館、税関、銀行、商社がが建ってゆき、
英国租界 The Bund と呼ばれるようになります。
(東京・丸の内にふんいきが似てますね。
なお、いまはほとんど銀行です。)
続いて、英国租界と県城のあいだに
フランス租界が作られてゆきます。
道幅10メートル~15メートルのプラタナスの並木道は、
まさに「東洋のパリ」です。
さらには西の方から黄浦江へ流れ込む蘇州河北岸には
アメリカ租界が作られ、東へ東へ拡張されてゆきます。
1842年以降、英国租界とアメリカ租界はまとめて組織化され、
そこに大日本帝国も参加します。
西欧の華やかな都市文化が花開き、
しかも上海工部局交響楽(オーケストラ)まで作られます。


この時期の日本人にとって、
上海は西洋そのものでした。
江戸末期の日本人は上海経由で
西洋の知を学んでゆきました。
しかもそれはまさに明治維新前夜のことです。
1894年、大日本帝国は、
対ロシアの防衛にふがいない朝鮮半島を
わが国の国防問題ととらえ、
日清戦争を起こし勝利します。


1912年中華民国誕生後も租界は独自に発展してゆきます。
「関係者以外中国人立ち入り禁止の、外国人のための上海」、
しかも折しも摩天楼の時代です。
1920年代には西洋建築群は荘厳なものになってゆきます。
カフェ、ダンスホール、映画館、競馬場、
アールデコスタイルの領事館、
「東洋のパリ」はさらにいっそう魅力を増してゆきます。
しかもそれはジャズエイジと呼ばれる時代、
カウント・ベイシー、グレン・ミラー、デューク・エリントン
華やかなビッグバンドジャズが上海を盛り上げます。
もっともこれは租界に限った話で、
他方の上海県城には低層の瓦屋根の家いえが連なり、
そこには伝統的な中国の暮らしがあります。
このコントラストが上海らしさのはじまりです。
ただし、同時に19世紀後半から上海は
工業も海運も商業もどんどん発展し、
世界の大都市としてのポジションを獲得してもいます。


こんな音楽が聴こえてきます。
https://www.youtube.com/watch?v=ETamxHp6P3Y
1930年代のジャズもまた上海に似合う。
https://www.youtube.com/watch?v=biXO2r5pDts


他方、大日本帝国は、資源の枯渇ゆえ、
満州事変、上海事変へと突き進みます。
そして1937年からは、
大日本帝国は租界以外の上海を占領します。
そこには大日本帝国が悪魔のような欧米列強と闘い
大東亜共栄圏を樹立するのだ、
という麗しいヴィジョンがあったものだし、
そしてまた大日本帝国の植民地政策は、
悪魔のような英国のそれとはまったく違って、
そうとうに民主的だったとはいうものの、
しかし、ここはやはり日本人として、
上海のみなさんごめんなさい、
と言うべきでしょう。
(なお、1942年のミッドウェイ海戦によって、
アメリカが大日本帝国海軍を大敗北をさせ、
太平洋の覇権を奪うというエピソードを経て)、
1945年大日本帝国が敗れ戦争の終わりとともに、
租界も行政上は消滅します。
ただし、場所としての「租界」は残り、
あいかわらず外国人だけが入ることのできるエリアでした。
(改革開放初期までのことです。)
そして1949年、中華人民共和国誕生。


むろん上海もまた、文化大革命という
苦難に満ちた時期を経験することになります。
マルクス、レーニン、毛沢東が聖典の時代です。
50年代は人民全員が鉄を作り、
60年代は人民全員が飢餓と闘い、
70年代は人民全員が農村へ働きに行きます。
そして毛沢東の没後、1978年からは改革開放。
混乱のどさくさにまぎれて改革開放成金一世が生まれます。
日本で言えば、国鉄や電電公社、郵政の民営化ひいては、
それらの株で儲けた人たちのようなもの。
そんな80年代、人民全員がビジネスに目覚めます。
上海人は外資系で働いてきた人が多いゆえ、
このとき才知を発揮する機会が訪れます。
この時期、ようやく租界は上海っ子の場所として開放されます。
上海人たちは「東洋のパリ」をかれらのものにしたのです。


1979年から(2014年まで)は
「ひとりっ子政策」が敷かれもしますが、
他方、上海は経済特区として猛然と発展してゆきます。
上海の街中がかっこいいビルを建てるための工事中です。
1990年代後半からは大学教育の大衆化もはじまります。
2000年からは義務教育でIT情報教育もはじまり、
コドモたちはプログラムを覚えはじめます。
なお、この時期、人民所得も増大。
上海の不動産バブルはすでにはじまっていて、
それから20年でなんと20倍の高騰です。
いくら食事が安上がりに済ませることができるとはいえ、
大卒初任給が10万円に届かないというのに、
街にはお洒落なテラスハウスがあふれています。
2004年からは浦東空港から市内まで
磁浮通(リニアモーターカー)MAGLEVが開通し、
時速300km~420kmで走っています。
さらには、2008年アメリカ経済が脆弱さを露呈し、
世界経済を狼狽させたリーマンショックによって、
他方、この時期中国は自国のシステムに自信を持ちます。
その象徴がぴっかぴかの上海と、
そして香港の奥のシリコンバレー深圳 です。
2010年上海万博が開催された頃には
むかしながらの外灘 Wàitānのアーリーモダンな建築群に対して、
大河の向こう岸の
(かつては地味な工業地帯だった)浦東新区
Pudong New Areaには、
1999年、浦東国際空港も開港し、
ぴっかぴかの現代建築が立ち並びます。
上海環球金融中心(ワールドファイナンシャルセンター)、
東方明珠塔(展望台のあるテレビ塔)、
仏塔をモティーフにしたハイテクビル金茂大厦、
張江AIロボットヴァレー・・・。
おまけに2016年には
ディズニーリゾートまで開園しました。
上海ディズニーリゾ-トはまるでかつての租界の
ポストモダンなパロディみたいに見えます。
黄浦江の遊覧船ナイトクルーズは、
夜の闇のなかに両岸の摩天楼がライトアップされ、
ハリウッド映画さながらにゴージャスです。


いまなお上海には老上海の面影も残り、
旧租界にはたくさんの
素敵なリノヴェーション建築もあって。
上海は気ままに散歩するのが楽しい街です。
朝の公園には太極拳をする人たちがいて、
午後の公園には音楽を演奏する人たちも、合唱をする人たちも、
ダンスに興ずる人たちも、将棋を指す人たちもいます。
(もっともいま現在はそういうわけにはゆかないでしょうが。)


上海人の世帯年収は百万元越え(二千万円越え)です。
もっともこの数字は「平均の魔法」で、
なるほど上海は相対的におカネ持ちの多い
大都市ではあるものの、
しかし、ほんらい中央値をとるべきであって。
そもそも中華人民共和国は1%の人民が、
30%の富を稼ぎ出す、前代未聞の社会主義国家です。
しかも給料のいい国営企業に入るにはコネが必要で、
けっして万人に開かれているわけではありません。
また、上海は中国一の大都市ゆえ、
中国社会の矛盾が最初に現れる都市でもあって、
大卒・院卒の無職もしくは低賃金労働者も増え、
かれらは「蟻族」と呼ばれています。


とはいえ、これだけ魅惑の都市に暮らしていれば、
上海人たちが自分の街を誇りにおもうのもとうぜんでしょう。
上海の街は、
神戸的でも横浜的でもあれば超名古屋的でもあるのですが、
ただし、上海人のメンタリティはちょっと京都人に似ていて。
かれら彼女らは他地域から来た中国人を
「外地人」(よそさん)と軽く下に見ています。
また京都人が洛中/洛外にカーストを見出すように、
上海人もまた中心部/周辺部を同様に見ています。
なんて不思議な共産主義の都でしょう。
とうぜん上海料理もまた
けっして中華料理のサブカテゴリーに留まらない、
どくとくの中華料理らしさと多文化混交性を
ともに備えています。



さて、ここからがいよいよ百宴香
おまかせフルコースのレヴューです。
今回は5日まえに予約を入れて、
紹興酒 shào xīng jiǔ 3年もの1本込みで、
ひとり税込み6000円×2人でおまかせコースをお願いした。
(なお、ほんらい百宴香さんでは
おまかせコースは4名からだそうだけれど、
しかし平日しかもピークタイムを外すことで
願いは叶えられえた。)
你好!nǐ hǎo 你好吗?(Nǐ hǎo ma)
さぁ、どんな料理が出てくるかしらん。


まずはいつもの女友達と紹興酒で乾杯。
さぁ、开饭! kāi fàn! 食事をはじめましょう。
コースはこんな流れだった。


1)冷製 油爆蝦 yóu bào xiā

熱々に熱した中華鍋に油を注ぎ、
熱々の油で皮つきの川蝦を揚げるように焼く。
そしてそれを葱、生姜、紹興酒で炒め、
秘密のマリネ液でマリネしたもの。
皮はパリっとクリスピーで、
それでいてエビの肉はほんのり甘いマリネ液を吸い込んで
うまみが深い。
なお、「上海の母なる大河」黄浦江は
川エビがよく獲れるところ。
川のなかのエビは光の加減でほぼ見えないので、
人は水のなかに手を差し伸べ、感覚で川エビを感じ、
迅速に捕まえるそうな。


2)冷製 燻魚 xūn yú

魚の燻製。smoked fish です。
燻製はたいへん興味深い調理法です。
もちろん干物も良いけれど、
燻製にはどくとくの風味がある。
燻製、いいですね。
どんな温度で燻製するか、
そんな技巧的な話題もあるらしい。


今回はスズキの燻製です。
(タチウオでもイシモチでもマダイでも作れるそうな。
大事なことは良い魚をゲットすること。)
食感はジャーキーに近く、
味醂~紹興酒系の甘さを浸み込ませスズキのうまみは凝縮して、
しかもいかにも心地良い香りをまとっています。
ぼくらのような酒飲み好みの味です。


3) 蝦皮佛手 xiā pí fó shǒu

佛手とはほとけさまの合掌をおもわせるという意味です。
ゲンコツをやや大きくしたようなウリ科の野菜です。
皮を剥いて、種を取って、スライスして。
果肉はけっこうしっかりしているので、
スープ煮してうまみを含ませ柔らかくして食べます。
百宴香さんの場合は自慢の丸鶏10時間煮込みスープを使います。
かわいらしいサクラエビのようなものも混じっています。
ほとけさまのてのひらが上等チキンスープで柔和に微笑んでいます。


4) 猪肉豆腐干炒蒜叶 zhū ròu dòu fu gàn chǎo suàn yè

この料理はまず最初に豚を醤油に漬けて、
北風で1か月干すそうな。
上海の緯度は宮崎、鹿児島と同じですし、
日本同様に四季もありますが、
しかし、中国は大陸であり、
シベリア~ウイグルを通って風が吹いてくる。
晩秋から2月にかけての北風はさぞや厳しいことでしょう。
ならば、その北風を美食に活かせないものか、
と考えるのが上海厨师の心意気です。


さて、干豚肉をこしらえたなら、
次に、この干豚肉を絲切りして、
同じく絲切りした干豆腐とそして葉ニンニクと一緒に、
チキンスープで炒め、ほのかに
五香粉の香りをまとわせる。
ざっとそんな調理法だそうな。
肉質は柔らかさを保ちながらも稠密で、
甘さのなかに深い奥行があり、
干豆腐と葉ニンニクはチキンスープ系塩味
このハーモニーが絶妙においしさをきわだたせ、
ほのかな五香粉の香りがエキゾティックです。


ついでながらネパール人は水牛の肉を干す。
干し肉はスクティと呼ばれ、
スクティを野菜と一緒に炒めて料理を仕上げもします。
人間は同じようなことをおもいつくものですね。


5) 南乳紅焼肉 nán rǔ gōng shāo ròu(豚の角煮)

おぉ、見るからにおいしそう!
豚バラ肉(=豚腹肉=pork belly)の皮めを焼き固め、
ニンニク、生姜、氷砂糖、八角、腐乳、
そして紹興酒で弱火でゆっくりコトコト1時間以上
煮てあります。
脂肪もとろけて官能的おいしさ。
しかもブラウンカラーの甘めでリッチなソースが輝き、
チンゲンツァイが緑の彩りを添えています。
好食!(hǎo shí)
美味可口!(měi wèi kě kǒu)
たまりません♡
ぼくは上海のプラタナスの並木道をおもいだす。
そして、おもえばチャイナ・ドレスも、
チャイナ・スーツたる人民服も、上海生まれ。
すなわちこのソースは東アジア版デミグラスなんです。


6) 麻糖锅炸(デザート)

白胡麻をまぶした、砂糖のもちもち食感スウィーツ。
アーモンド風味とピーナツオイルの香りをあわせ持ち、
いかにも上海っぽい。
卵、胡麻、砂糖、胡桃の作り出す幸福感。
おもえばコスモポリタンな大都市上海は、
かつてのフランス租界をも包摂していて、
だからこそ「東洋のパリ」と呼ばれ、
西洋っぽさと東アジアっぽさが融合しています。

7) 菊の花のお茶

中国のハーブティーという趣きです。
ほんのり黄色みを帯びた澄み渡ったお茶が、
香りたかくすがしい。


いやぁ、おいしかった。たのしかった!
ウデのいい上海料理人さんの本気料理も、
マダム楊暉(ヨウ・キ)さんの人懐こく一所懸命な接客も、
ぼくらを幸福にしてくれた。
今回ぼくらはそれを意図したわけではないけれど、
おもいがけずぼくらは上海のおせち料理の世界を愉しんだ。

Eat for health, performance and esthetic
http://tabelog.com/rvwr/000436613/

  • 中国料理 百宴香 - 上海料理の白鳥。

    上海料理の白鳥。

  • 中国料理 百宴香 - 冷製 油爆蝦(揚げたカワエビのマリネ)

    冷製 油爆蝦(揚げたカワエビのマリネ)

  • 中国料理 百宴香 - 冷製 燻魚(今回はスズキの燻製を使った一品)、うまみの秘密は燻製にあります。

    冷製 燻魚(今回はスズキの燻製を使った一品)、うまみの秘密は燻製にあります。

  • 中国料理 百宴香 - 佛手。(ウリ科の野菜。ほとけさまの合掌のイメージです。)、チキンスープでコトコトゆっくり煮込んで、スープのうまみを浸み込ませ、果肉をとろけさせます。

    佛手。(ウリ科の野菜。ほとけさまの合掌のイメージです。)、チキンスープでコトコトゆっくり煮込んで、スープのうまみを浸み込ませ、果肉をとろけさせます。

  • 中国料理 百宴香 - ウリ科の野菜が小エビと一緒にチキンスープで煮込まれてごちそうになりました。

    ウリ科の野菜が小エビと一緒にチキンスープで煮込まれてごちそうになりました。

  • 中国料理 百宴香 - 猪肉豆腐干炒蒜叶。豚を醤油に漬けて、北風で一か月干します。これがうまみ凝縮豚肉の秘密です。

    猪肉豆腐干炒蒜叶。豚を醤油に漬けて、北風で一か月干します。これがうまみ凝縮豚肉の秘密です。

  • 中国料理 百宴香 - 南乳紅焼肉(豚の角煮)。そのブラウンカラーに輝くソースのおいしさのリッチなこと。

    南乳紅焼肉(豚の角煮)。そのブラウンカラーに輝くソースのおいしさのリッチなこと。

  • 中国料理 百宴香 - 菊の花のお茶。中国のハーブティーです。

    菊の花のお茶。中国のハーブティーです。

  • 中国料理 百宴香 - 麻糖锅炸(デザート)。スウィーツ天国上海です。

    麻糖锅炸(デザート)。スウィーツ天国上海です。

  • 中国料理 百宴香 -
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  • 中国料理 百宴香 - 給仕の上海マダム楊暉(ヨウ・キ)さん

    給仕の上海マダム楊暉(ヨウ・キ)さん

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2022/11訪問3回目

4.0

  • 料理・味4.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気4.0
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク4.0
¥4,000~¥4,9991人

中国野菜を上海料理で味わってみる。

ここしばらくぼくは中国野菜のマコモダケや、
中国人の好むヒラタケ、はたまた中国製干豆腐などを
近所の中華食材店で買ってきては、
自分で調理して食べてきたものだ。
発見の驚きがあった。
探求のよろこびがあった。
中国野菜は興味深くおいしく、中華料理の調理も楽しい。
しかし、これだけでは中国料理の秘密には
(けっして十分には)迫れない。
そこでぼくはまたしても上海料理専門店、
百宴香さんに引き寄せられる。
今夜はいつもの女友達と一緒に。





まず、紹興酒3年ものをボトルで注文し、
常温でいただきながら、
そして給仕の上海マダム楊暉(ヨウ・キ)さんと相談しながら、
ぼくらは以下のような注文をした。


1)冷製 四喜烤麸 

ダイスカットされた麩を、金針菜と小さく切った南京豆と一緒に、
味醂、醤油とともに八角を加え、
煮しめてうまみを浸み込ませブラウンカラーに仕上げた後に、
ひんやり冷やしてあります。
小口切りのアサツキの緑と、
細かくカットされた南京豆ががアクセントです。
なお、金針菜(jīn zhēn cài きんしんさい)は、
ユリ科ワスレグサ属の本萱草(ホンカンゾウ)という花のつぼみを
乾燥したものだそうで、
ヴィタミン、ミネラル、カルシウム、鉄分が豊富らしく、
漢方にも用いられるそうな。


2)前菜2品
広東式叉焼そして鸭肝(鴨の砂肝)


もちろん広東式叉焼はおいしい。
しかし、艶やかに光る鴨の砂肝がまた薄切りで、
お醤油と紹興酒の味がしみとおり、深みのある綺麗な味で、
くにくにした食感が楽しい。


3)百葉高菜平菇(押豆腐と中国ヒラタケのチキンスープ炒め)

押豆腐(百葉)と高菜と中国ひらたけが、
秘伝の高湯(丸鶏10時間スープ)で炒められています。
細くカットされた押豆腐がまるでパスタのようです。
ヒラタケがまたうまみが深い。很好吃!
給仕の楊暉(ヨウ・キ)さんはおっしゃる、
「もしも新鮮なタケノコが安く手に入れば一緒に炒めるんだけど、
でも、いまは高いから、きょうはタケノコはなしなの。」
あら、なんて正直なお言葉でしょう。
楊暉さんへの信頼感が増します。


4)干豆腐炒芹菜(干豆腐と中国セロリのスープ炒め)


ぼくが中国野菜好きと知るや、楊暉(ヨウ・キ)さんは
「きょうは中国セロリもありますよ」と見せてくれる。
もちろん、ぼくは即注文です。
炒められた芹芹(中国セロリ)は黄緑色も鮮やかに、
艶やかに、絲切干豆腐とともに、
秘伝の高湯で炒められています。
女友達は囁く、「さすがですね、野菜の個性を活かしながら、
併せる食材を絶妙に変えるんですね。」


5)茭白肉絲(マコモダケと豚肉絲切り炒め)


青椒肉絲の従妹みたいな料理です。
青椒肉絲のタケノコの代わりにマコモダケを、
ピーマンと豚肉、すべて絲切りされ、
秘伝の高湯で炒められています。
いわゆる塩味の淡い味つけ、とても洗練されています。
なお、ぼくが調理するとき”マコモダケをどうカットするか”、
いつもそれは楽しい迷いどころです。
そうか、絲切りもありだよな、とぼくはまたひとつ学んだ。


6) 豆豉蒸排骨  (スペアリブの蒸し物、豆鼓風味) 


こちら百宴香さんのスペシャリテ、
在東京上海人たちに大人気のメニューです。
豚のあばら肉を、ニンニク、生姜、紹興酒、豆鼓ソースにマリネして、
蒸しあげる料理です。
ねっとりした濃度の黒光するソースは、
おそらく黒酢と紹興酒を半量まで煮詰めたものかしらん?
黒酢酢豚に似た味わいです。
とろりんと仕上がった骨つき牛肉片からいともたやすく骨が外れ、
夢のようにジューシーな黒光りしたうまみたっぷりの
柔らかい肉片がただただおいしい。太好吃了 Tài hǎo chī le!
もりつけがまたエレガントで、デートの食事にふさわしい。
彼女はため息をつく、「フレンチ顔負けの逸品ですね。」


お茶がまた香り良く、上品においしい。
楊暉(ヨウ・キ)さんにお訊ねすると彼女は言った。
「お誕生日にお友達がくれたの。
わたしは茶葉の名前はわからない。」


いやぁ、なにからなにまですっかりたのしませていただきました。
ぼくの心のなかで柳が風にそよぎ、
花々が咲き乱れ、綺麗な川が流れ、小鳥が囀り、
まどろみに誘う胡弓の優美な音楽が聴こえてきた。
まさかこんなところに上海料理の(ぼくのための)龍宮城があったとは。


これだけ飲んで食べて、お値段は総額8000円ちょい、
つまりひとり4000円ほどです。
もちろんぼくらはまた伺います。
なお、今回の註文は野菜中心ゆえ、上海家庭料理の色彩が強い。
しかし、おそらくこちらのシェフは
技巧的なレストラン料理もまたお上手なことでしょう。
そちらへの期待も高まります。


百宴香さんはふたつの顔を持つ上海料理店です。
地元の日本人客向けには、上海焼きそば800円、中華丼650円、
麻婆麺750円、ジャージャー麺700円、担々麺750円、
(なお、麺類は+百円で刀削麺に変更できます。)
そして五目チャーハン700円、フカヒレチャーハン1500円など
ふるまっておられます。
他方、こちらを著名的上海餐厅として交通費を使って来店する
在東京上海人客向けには、ア・ラ・カルトや裏メニューで、
ガチ上海料理をふるまっておられます。
ついでにぼくらのような日本人の癖してガチ上海料理を好きな変態たちにも、
かれらはうれしそうに、そしてちょっぴり心配そうに、
本格上海料理をふるまってくれます。



Eat for health, performance and esthetic
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  • 中国料理 百宴香 - 経験40年、上海料理の白鳥。

    経験40年、上海料理の白鳥。

  • 中国料理 百宴香 - 冷製 四喜烤麸 

    冷製 四喜烤麸 

  • 中国料理 百宴香 - 前菜2品  広東式叉焼 そして鸭肝(鴨の砂肝)

    前菜2品 広東式叉焼 そして鸭肝(鴨の砂肝)

  • 中国料理 百宴香 - 楊暉(ヨウ・キ)さんは 「きょうは中国セロリもありますよ」と見せてくれます。

    楊暉(ヨウ・キ)さんは 「きょうは中国セロリもありますよ」と見せてくれます。

  • 中国料理 百宴香 - 干豆腐炒芹菜(干豆腐と中国セロリのスープ炒め)

    干豆腐炒芹菜(干豆腐と中国セロリのスープ炒め)

  • 中国料理 百宴香 - 百葉高菜平菇(押豆腐と中国ヒラタケのチキンスープ炒め)

    百葉高菜平菇(押豆腐と中国ヒラタケのチキンスープ炒め)

  • 中国料理 百宴香 - 茭白肉絲(マコモダケと豚肉絲切り炒め)

    茭白肉絲(マコモダケと豚肉絲切り炒め)

  • 中国料理 百宴香 - 絶品、豆豉蒸排骨  (スペアリブの蒸し物、豆鼓風味) 

    絶品、豆豉蒸排骨 (スペアリブの蒸し物、豆鼓風味) 

  • 中国料理 百宴香 -
  • 中国料理 百宴香 - 飾り棚の上には、たくさんの袋入りの干しタケノコです。

    飾り棚の上には、たくさんの袋入りの干しタケノコです。

  • 中国料理 百宴香 -
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2022/10訪問2回目

4.0

  • 料理・味4.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気3.7
  • CP4.0
  • 酒・ドリンク-
¥1,000~¥1,9991人

経験四十年の、上海の気のいい白鳥。


こちらのお店できのう夜ぼくは、
冷菜 上海生麩 770円、
鸡毛菜(チーマオカイ:青菜)の炒め物 1200円、
豆鼓小排(スペアリブの蒸し物、豆鼓風味) 1320円
をいただいて、上海料理の世界を垣間見るとともに、
とくに 豆鼓小排(スペアリブの蒸し物、豆鼓風味)にぼくは悶絶した。
また給仕の楊暉(ヨウ・キ)さんの愛嬌たっぷりの接客もまたぼく好みだった。
そこでぼくはその翌日のきょう、こんどはランチにリピートしてみた。
良さげな店を発見したらなるべく早くリピートして
自分の顔を覚えてもらうことが食いしん坊の鉄則である。
顔を覚えてもらってこそ会話もいっそう円滑に運び、
おもいがけない情報が手に入ったりもするものだ。


給仕の楊暉(ヨウ・キ)さんは、あら、ゆうべのあなたじゃないですか・・・
と驚きの混じった笑顔でぼくを迎えてくれます。
ぼくはまずメニューのなかから荠菜肉絲豆腐羹(ナズナと肉入り豆腐のスープ)880円
を注文することを決め、もう1品なにかを、給仕の楊暉(ヨウ・キ)さんに選んでもらうことにした。
楊暉さんは、えッ、困ったわ、どうしましょ、というジェスチュアとともに、
これなんかいかがですか、とメニューの 葱油拌面(上海まぜそば)750円 を指さした。
ぼくは即決した、じゃあ、それをお願いします。


そして待つこと数分、現れたのが、
荠菜肉絲豆腐羹(ナズナと肉入り豆腐のスープ)880円ですよ。
ナズナは、セリ、ゴギョウ、ホトケノザ、カブ、ダイコンなどとともに数えられる、
春の七草の、あのナズナです。
秋に楽しむ春の草、風流じゃないですか。
チキンスープのマイルドなうまみの浸みわたったすばらしいスープの一面に、
刻まれたナズナの緑がいっぱい、そしてちいさくカットされた純白の豆腐片がまたいっぱい、
両者は美しいコントラストを描いています。
そしてそのスープのなかにひかえめに挽肉片が混じり、
うまみを強調し、食感の魅力を与えてもいます。
そのなんともおいしいそのスープをいただいた瞬間、
ぼくの脳内でいくつかの記憶が一気に蘇ってきた。
かのマルセル・プルーストと同じ経験がぼくに起こったのだ!
ひとつはぼくが若かった頃、六本木の香妃園で当時何度となくいただいた、
ぼくの大好きだった特製鶏煮込みそばのこと。
次にぼくはおもった、あぁ、ぼくはつくづくこういう澄み渡ってうまみの深いスープが好きなんだなぁ。
韓国料理の名店における参鶏湯(サムゲタン)やコムタンもぼくは大好きだもの。
しかも、中華料理店においてチキンスープ(鸡汤)は単品のスープに用いるのみならず、
定食のつけあわせの、かき卵チキンスープにも使えば、
野菜炒めはもちろんのことさまざまな料理にもおたま一杯分降り注いで
料理のおいしさに深みを与えるもので、中華料理にとっても大切なもの。
スープが澄み渡って綺麗においしければその店は上等で、
その逆もまた真である。


ぼくは給仕の楊暉(ヨウ・キ)さんに訊ねた、
チキン・スープ、めちゃめちゃおいしいですね、
いったいどうやってとってるんですか?
楊暉さんは答えた、2日に1度、丸鶏を大きな寸胴鍋で10時間水煮してとってるんですよ。
ぼくは耳を疑った、「朝10時から(ちょうど午後1時のいままで)スープを仕上げていらしたのですか?」
楊暉は首を横に振って言った、「違うの、丸鶏の水煮、いったん沸騰させて、
その後はごくごく弱火にして十時間かけてスープをとってるんですよ。」
ぼくは驚いた、「え、じゅうじかん!?? 十時間もかけてるんですか?
しかも鶏ガラの水煮ではなく、贅沢に丸鶏の水煮ダシを!!!」
そのうえ、そのスープは雑味がまったくなく味が綺麗に澄みわたっていて、うまみが深い。
なるほどねぇ、ぼくはてっきり中華の料理人はみんな1時間から1時間半で、
鶏ガラの水煮ダシをとっているとばかりおもっていたよ。
ぼくは不明を恥じた。
なお、こちら百宴香さんでは営業が終わって残ったスープは、
冷蔵して2日で使い切るそうな。もちろんけっして冷凍などしません。


たしかに20世紀のフランス料理人のほとんどは、
フォン・ド・ヴォー(=仔牛の骨の水煮ダシ)をはじめ各種の肉骨の水煮ダシをとったもので、、
しかも、シェフによってはえらく時間と手間をかけたもの。
なかには骨を流水にさらすのに一晩、一番ダシに1日半、2番ダシに1日、
1番ダシと2番ダシを合わせてさらにまた・・・そしてまたそれを漉して、
と何日もかけてとっている人もいたものだ。
そしてそれをベースにして赤ワインを加えて煮詰めたり、
野菜のピュレを加えてして各種のソースを作り分けたもの。
ざんねんながら近年はフランス料理もスタイルの流行が変わり、
そこまで入魂の水煮ダシをとる料理人はずいぶん減ったとはいえ、
それでもいまだにそれなりの数おられます。
なるほどね、中華料理の料理人もチキン・スープに凝る人は凝るものなんですね。


そんなことをおもいめぐらせているあいだに、
葱油拌面(上海まぜそば)750円が届けられます。
白い肉厚の大きなボウルのなかに、
茹で上げられた中太麺みたいなのが盛られていて、
そこに錦糸卵とフライド白髪ネギが飾らていて、
ボウルの底には、胡麻油の香りも混じったひかえめにほのかに甘い醤油味のタレが潜んでいます。
給仕の楊暉さんはぼくに号令をかけます、「混ぜてください、もっともっと混ぜてください、
しっかり徹底的に混ぜてください。」
なるほどそれは麺にうまみをまとわせる大事な作業とはいえ、
ぼくは苦笑しながら疑った、もしやこの店はムルギランチ自慢の銀座ナイルレストランの系列店なのか!??
なお、このストレート麺がまた弾力性のある噛み心地で、
タレをまとった麺はたしかにおいしいのだけれど、
しかし、少しくらい肉片および2種か3種の野菜を入れるという発想はどうしてなかったの!??
もっとも、日本にも皿うどんもありますしね、
イタリアにもスパゲッティ・アーリオ・オーリオもある。
おそらく中華の麺類を食べこんでいる人ならば、
きっともっと的確な分析ができるでしょう。
ぼくにとってこの一品は、意外-印象深刻的一件事であり、
多少困惑しつつもぼくはこの初体験をよろこんだ。
なにごとも経験ですからね!


一般に人はフランス料理、中華料理、インド料理、
はたまたタイ、ヴェトナム、ネパール、バングラ、スリランカ料理・・・
と国別に料理を語るけれど、
しかし、実はこの世界には料理は二種類しかありません。
おいしい料理とまずい料理、それだけです。
いいえ、もう一種類「おいしい料理によく似せた怪しい料理」ってのもありますね。
ただし、おいしい料理のなかには経験を積んでこそわかるものがあり、
最初から異国の料理のおいしさがわかるとは限らない。
最初は「なんだこりゃ!??」とおもった料理が、
しかし経験を積むと、しみじみおいしいとおもえるようになることもある。
いいえ、野暮な言い草は慎みましょう。
ぼくの心が叫んでいることはただひとつ、
こちら百宴香さんのチキン・スープはすばらしい!!!
そうか、そんなシャドウワークがあったのか!
そしてそれがおいしさの秘密だったのか!
なるほど、家庭で作るのはほぼ不可能な料理を出してこそプロなんですね。
シベリアを飛び立ち、いくつもの昼と夜を全力で羽ばたき続け空を渡ってゆく白鳥の姿が目に浮かぶ。
優れた料理人もまた白鳥です。


なお、こちら百宴香の白鳥たる料理長さんは、
18歳から仕事をはじめ、ただいま58歳、
料理人歴四十年だそうな。


そしてぼくはおもう、錦糸町・百宴香はいい店だ。
レストランをまわしておられるおふたりの育ちの良さと誠実経営がとてもいい。
次回ぼくはなにを注文して、それはどんな体験をぼくにもたらしてくれるだろう???


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  • 中国料理 百宴香 -
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2022/10訪問1回目

4.0

  • 料理・味4.0
  • サービス5.0
  • 雰囲気4.0
  • CP3.5
  • 酒・ドリンク-
¥3,000~¥3,9991人

すみだジャズフェスの街・錦糸町の、上海帰りのスペアリブ。

ざんねんながら食べログにおいてもガチ中華の名店は
まだまだ十分に精査されているとはとうてい言い難い。
(十年まえのインド・レストラン評価が荒れ放題に野蛮だった時代をおもわせます。)
それでも四川料理および旧満州・東北料理~東北四川料理、
はたまた広東料理は、東京にも多くの名店があるゆえ近づきやすい。
北京料理はどうかしら、それなりにあるのかな。
ぼくとしては北京家常菜専門店に贔屓の店が欲しいものの、
まだ見つけられないでいます。
そしてなぜか意外にも専門店の数が少ないのが上海料理です。
ぼくは池袋の佳店・大沪邨(だうつん)しか知りませんでした。
他にも銀座や上野に高額上海レストランがあるらしいけれど、
それにしても少ない。
わ、わわわ、こちら錦糸町・百宴香さんもあるじゃありませんか!


どうやら東京圏に上海料理店が少ない理由は、
上海系料理人の給料が東京よりも上海の方が高いので、
良い料理人がほぼ来日しないか、
あるいは日本でウデの良い上海料理人を雇えば、
おのずと高額レストランになってしまうという事情があるらしい。
だからと言って、たとえば旧満州・東北地方の料理人に上海料理を教えても、
かれの経験が邪魔をして、上海料理らしさが濁ってしまう。
なお、これはこちら百宴香の給仕の楊暉(ヨウ・キ)さんから伺ったはなしです。
しかし、百香宴さんはご夫妻での経営ゆえ、
比較的低価格で日式中華と本格上海料理をともにふるまえるというわけです。


当初ぼくは「鶏汁百葉包(ゆばで餡を包んだ春巻をチキン・スープで煮たもの)」や
「揚げ魚」を食べたいな、とおもってこちらに来店したのだけれど、
しかし、給仕の楊暉(ヨウ・キ)さんがおっしゃるには、
「湯葉はねぇ、きのうわたしたちはまかないで食べたんだけど、
ごめんなさいね、きょうはないのよ。揚げ魚もないの。」
あらら、そうですか。
しかし、楊暉さんの口調がかわいらしいので許せてしまう。
接客って不思議ですね、いったいなにがこんなにもこちらの感じ方を左右するかしらん。
けっきょくぼくは楊暉さんと相談しながら、上海料理を主題に、
以下の註文をした。


■冷菜 上海生麩 770円


コメント欄にて教えていただいたところ、
正式には 烤麸 という料理名だそうです。
ダイスカットされた麩を、しめじともども、
醤油と紹興酒かなにかに八角を加え、
煮しめてうまみを浸み込ませブラウンカラーになった後に、
ひんやり冷やしてあります。小口切りのアサツキの緑と、
細かくカットされた南京豆ががアクセント。


■鸡毛菜(チーマオカイ) 1200円


おもわずチーマオツァイって発音しそうになるけれど、
どうやらチーマオカイが正しいかしらん。
そしてその奇怪な名前はなんでしょう、
え、鶏の毛みたいな野菜?
いったいどんな野菜かしらん、とおもえば空芯菜の親戚みたいなもので、
軽く塩を振ってほのかにニンニク風味の上等のチキン・スープで炒めた、
緑もあざやかな細い茎を愉しむもの。
ただし、鸡毛菜には空芯菜のような茎の内側の(マカロニのような)空洞はなく、
また空芯菜がシャキシャキの食感を愉しむものであるのに対して、
こちら鸡毛菜(チーマオカイ)はスープを吸い込んで
しんなり仕上がっています。
コメント欄で教えていただいたところによると
正式には本帮菜と言うそうです。
アブラナ科の野菜で、上海の人がよく食べるらしい。
なお、楊暉さんがおっしゃるには、
兵庫在住の中国人がご自分が召し上がりたいがために、
育てている鸡毛菜(チーマオカイ)を分けてもらっているそうな。
青菜炒めに1200円はちょっと高いな、とおもいつつも、
しかし、初体験がうれしいし上海人の鸡毛菜愛も知ることができたし、
そもそも給仕の楊暉さんが愛嬌たっぷりなのでなんでも許せてしまう。


■豆鼓小排(スペアリブの蒸し物、豆鼓風味) 1320円


正式な料理名は豆豉蒸排骨かしらん。
(こちらのお店の料理名表記は通称が多いですね。)
豚のあばら肉がとろりとやわらかく蒸しあがっていて、
おそらく(発酵大豆&麹の調味料たる)豆鼓と、
そして黒酢と紹興酒かなにかにチキン・スープを加え
半量に煮詰めたソースでしょう。
ソースは肉片を包み込んで(見るからにおいしそうに)黒光りしています。
白胡麻と小口切りしたアサツキが振りかけられ、
そして、くるんとカールされちた細切りキューリと、
紫色のちいさな花が彩を添え、
レストラン料理らしいエレガンスを表現しています。
おいしい!
超おいしい!
とろりんと仕上がった骨つき牛肉片から、
いともたやすく骨が外れ、
夢のようにジューシーな黒光りしたうまみたっぷりの
柔らかい肉片がただただおいしい。
味わいは黒酢酢豚みたいな感じなんだけれど、
ただし、このスペアリブは蒸しものなんです。
いったいどんな調理法かしらん。
もしかしたら、スペアリブを併せ調味料に漬け込んでしばらく寝かせ、
肉片にたっぷりソースを染み込ませた後に、スペアリブを蒸し上げるかしらん。
さてその蒸し上げるときの液体は水か、はたまた紹興酒か、それとも?
そして蒸しあがった後に、例の半量に煮詰めたソースとともに
軽く炒めあわせるかしらん?
果たして真相はどうでしょう?
謎は深まるばかりです。
豆鼓蒸排骨は上海料理店ならばどこでも出すご当地料理らしいけれど、
しかし、この一品を食べるだけでも、こちらの店に来る価値があります。
もっとも、楊暉さんはおっしゃるかもしれません、「鸡毛菜はめずらしいのよ、
日本でなかなか食べれないんだから。」




なお、ぼくはすみだストリートジャズフェスを2日間楽しみ、
2日めに全公演がはねた後、ふとぼくは映画『上海バンスキング』をおもいだしこちらへ伺った。
2年間コロナで中止になった後の、今年のこのフェスもすばらしかった!
きっとこのフェスはどなたかニューオリンズ・ジェズ&ヘリテッジフェスティバルのふんいきをご存じで、
そういうイメージで全体をプロデュースされたんでしょうね。
街中が音楽でいっぱい。楽しかった!


熱演のタップダンサー丹精さん率いる丹精トリオ+を愉しむなかで、
ぼくはキーボーディストの青年、大友孝彰さんを知った。
かれはいつも笑顔で、いわゆるバッキングの時でさえも
誰かが演奏している主旋律に対して
ちょっぴり批評的でユーモアのあるフレーズを
抜群のテンポ感で導入し、音楽を活気づかせる。
演奏終了後さっそくぼくは青テントの物販ブースで、
横山未希さん(ヴォーカル)と大友孝彰さんのデュオアルバム
『You are there』に、
サインしてもらっていそいそと買い求めた。
このアルバムがまた素敵なアルバムで、
ほのかにコケティッシュな歌とピアノ演奏の距離が近づいたり離れたりして、
ピアノはけっして単なる伴奏にとどまらず創造的で、
まさに歌手とのデュオであり、耳が離せない。
突飛な感想かもしれないけれど、
ビル・エヴァンスとジム・ホールのデュオをぼくは連想した、
ちょっと誤解誘発的な表現かもしれないけれど。


ヴァイオリニスト長部豊美(おさべとしみ)さんをリーダーとするトリオ、Tiara Rosaも、
セロニアス・モンクからジブリ音楽、ラテン、
チック・コリアまで楽しませてくれた。


The Saxes Generationhaは、ソプラノ、アルト、テナー、
バリトンのサックス4人組で、
みなさん熟年で、もしもスーパーマーケットとか電車のなかで見かけたら、
夢にも凄腕サキソフォニストには見えないけれど、
しかし人は見かけによらぬもの、
すばらしいアンサンブルなんですよ。


Aya Sueki (末木文)さんのジャズ・ヴォーカルにぼくは痺れた。
あの歌の巧さはCDでも伝わるとはいえ、やはりライヴでこそだ。


満緑全席もお洒落な女性歌手が、ちょっと平山美紀をおもわせる調子で
蓮っ葉に歌い、カルテットを従えたもので、とくに
ミュート・トランペットの女性の演奏がえらく聴かせてくれた。


Meiyaさんは1970年代後半の山下達郎さんみたいなサウンドを従えて、
とびきりハッピーな、そしてたっぷり聴かせる歌を愉しませてくれた。


このイベントのためにさぞやたくさんの人の尽力があったことでしょう。
これを成し遂げる墨田区は頼もしい!
いくら讃美しても賛美したりないほど。


おもえば墨田区って、お祭り大好き人間の街ですものね。
花火大会も派手だし、8月末のすみだ錦糸町河内音頭大盆踊りも、
もともとバンドの生演奏で
河内民謡とロックンロールの融合アレンジでやっていたもの、
笑っちゃうほど良いじゃない、
そのセンス。
国技館では相撲もやってるし、相撲観戦マニアは升席で酒飲んで
ごちそう食べながら相撲観戦するものですよ。
しかも、その国技館では毎年2月に五百人でベートーヴェンの第9をやる。
危うく浅草サンバフェスも墨田区かとまちがえそうになるほど。
(浅草は台東区でしたね。)
スカイツリーは昼間は空に溶け込んで地味な癖して、
しかし夜になるとキャバ嬢みたいにがぜん派手になる。
江戸博物館は前衛的な建築だし、
北斎美術館の建築がまた実に墨田区らしい。
墨田区的には現代美術館が目立たないほど。
はたまたコニカミノルタプラネタリウム天空なんて素敵な場所もある。
公営ギャンブルもあれば、外人パブもある。


いやぁ、墨田区っておもしろいとこですね。
人をいっそうリラックスさせてくれる、down to earth な魅力がある。
西から東に、両国、錦糸町、亀有、平井、
その内側に、清澄白河、森下、菊川、
そして北には押上(スカイツリー)、
曳舟、東向島、
一見では地味っぽい区の印象がありながら、
しかし、底抜けなお祭り大好き精神が隠しきれない。


おもえば、もともとジャズは、
ルイ・アームストロングやキャブ・キャロウェイは、
ハッピーなダンスミュージックだったし、
ニッポンのクレイジー・キャッツもまた、
陽気な連中のお気楽極楽な世界だった。
もっとも1950年代からジャズはどんどん芸術化していって、
それはそれですばらしいのだけれども。
すみだストリート・ジャズ・フェスティバルには、
ジャズをもう一度、お祭り気分のハッピーな世界へ戻そうというおもいを感じます。
実に墨田区らしい!


1920年代の上海は政治的には危機的問題を抱えながらも、
世界に冠たる大都会でいわゆるジャズエイジの輝きに包まれていたもの。
カウント・ベイシーやグレン・ミラー、デューク・エリントンの時代である。
しかし、中国共産党の台頭とともにジャズは「退廃音楽として」粛清されてしまうのだけれど。
上海のポピュラー音楽の歴史はなかなかに興味深いものがある。
上海料理を楽しみしながら同時にこちらも探求してゆきたい。
たとえば、黎錦暉  Li Jinhui]作曲の「新桃花江」とかね。
https://www.youtube.com/watch?v=8qMlrKo4A44
ほらね、楽しそうでしょ。
楊暉さんはどんな音楽がお好きかしらん。


Eat for health, performance and esthetic
http://tabelog.com/rvwr/000436613/


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ジュリアス・スージー

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店舗情報(詳細)

店舗基本情報

店名
中国料理 百宴香(モモエンカ)
ジャンル 中華料理、担々麺
予約・
お問い合わせ

03-5619-1082

予約可否

予約可

住所

東京都墨田区太平4-2-1 太平アパート

交通手段

JR総武線・半蔵門線 錦糸町駅より徒歩5〜8分

錦糸町駅から560m

営業時間
  • 月・火・水・金・土・日

    • 11:30 - 15:00
    • 17:00 - 23:00
    • 定休日
  • ■ 定休日
    木曜日(ご予約があれば夜のみ営業)
予算

¥2,000~¥2,999

~¥999

予算(口コミ集計)
¥4,000~¥4,999 ~¥999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード不可

電子マネー不可

QRコード決済可

(PayPay)

席・設備

席数

48席

(テーブル席15卓)

個室

貸切

(20人~50人可)

禁煙・喫煙

全席禁煙

駐車場

空間・設備

オシャレな空間、落ち着いた空間

メニュー

ドリンク

日本酒あり、焼酎あり、ワインあり

料理

健康・美容メニューあり

特徴・関連情報

利用シーン

家族・子供と 知人・友人と

こんな時によく使われます。

サービス

2時間半以上の宴会可、お祝い・サプライズ可

お子様連れ

子供可

オープン日

2010年7月1日

備考

アメックスが使えます(情報提供元:アメックス)

初投稿者

ガオがおガオがお(43)

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