真っ赤な店 : アヴランシュ・ゲネー

再訪。
「dacoお茶の水」から歩いて30分足らずでこちら。
この日のメインイベントは実はこちらで、
dacoはついででした（それにしては大変だった）。
マイレビさんのレビューで「フラン」の存在を知り、
これは行かねば！と訪問の良いキッカケになりました。
たぶん３〜４年ぶりでしょう。４〜５回め？
好きなのに微妙に面倒な場所なのよ、ここ。

◯シャルロット・ラム・レザン　680円
　ビジュアルが独特で美しかったのでチョイス。
　放射状に刺さっている薄いショコラが半端なく美味。
　すっと溶けて香りが口の中に残る感じが良き。
　シャルロットも変にむっちりしていないので
　柔らかく、ムースの柔らかさと調和。
　構成としてはお店のInstagramには
　「マスカットルージュシャンティ＋赤ワインムース＋
　ラムレザン＋ムースショコラ」
　とあるものの、食べた印象は
　「シャンティ＋ムースショコラ＋ラムレザン＋ラムの
　浸ったビスキュイ」かな。
　ワタシが馬鹿舌なのか、或いは季節で若干構成を
　変えた可能性はあります。
　シャンティの下が赤ワインムースだったのかも。
　もう少しラムレザンが欲しいところですが、これは
　かなり好き。ムスメにがっつり持ってかれたのが悔。

◯プルガステル　900円
　「プルガステル」とはフランスで最初に苺を栽培した
　ブルターニュの村の名前だそう。
　苺がこれでもかというくらいにのってます。
　タルトかと思いきや、タルトのような違うような。
　台の部分がガレットオブールのようなザックリした
　分厚いサブレで、おそらくクレームダマンド無し。
　その上にクレームパティシエールと苺。
　苺は生のままではなく（上から甘いジュレのような
　ものが薄っすら）これが美味しいこと！
　残念なのは其々が激ウマなのに、サブレ部分がかなり
　がっつり硬いので全部一緒に食べられない点。
　結果としてバラバラに食べることになってしまう。
　あと、これこんなに高かったのか。今気がついたわ。
　苺がこれだけのってれば仕方ないか。

◯フラン・ア・ラ・ヴァニーユ　800円
　カスタードの蒸し焼きなのでプリンでは？と思うのは
　大間違い。フルっとしながらフォークでちゃんと
　食べられる硬さで、かと言って乳脂肪たっぷりの
　濃厚ねっとりカスタードではない状態。
　粉っぽさもなく、具合がなんとも絶妙。
　よくまぁこの具合に。
　ヴァニラの香りを食べるかんじです。
　変にくどくないのが良き。
　ベースの台部分が時間経過で若干弱くなっていたので
　これは買って早めに食べたほうが良かったかも。
　
◯タルト・ポンム・スフレ　720円
　タルト、というよりシブースト。
　フィユタージュ（パイ皮）の上にリンゴのコンフィ
　チュール、クレームシブースト、上を焦がした
　キャラメル。コンフィチュールの甘酸っぱさと
　濃厚なクレームの口当たりの軽さ、キャラメルの苦さ
　のハーモニーが抜群。
　このリンゴ美味しいし、量が多いのも嬉しい。
　ただ全体的に柔らかい&キャラメル部分の硬さで
　原型とどめて食べるのは困難。
　崩して食べるのが正解？

◯ビーン・トゥ・バー・チョコレート　820円
　まんまビーントゥバーのチョコレートムース。
　ダンナが食べましたが、本気のビーントゥバーで
　全てのパートで甘さがほぼ無いに近いらしく
　香りもスゴい。

紙袋代、とられます。パティスリーにしては珍しい。
是非とも無料にして欲しいです、ケーキに転嫁しても
良いので。
やはり相変わらず好きなお店だなと再確認しました。
ケーキの名前が以前よりわかりやすくなった感。
以前は名前からは何だか良く判らず、言いにくくて
「3番目のこれ！」とか言ってたこともあるので（笑）
これを機に、またちょいちょいチェックするように
しましょう。

突然数年前のクリスマスケーキの写真を発見、
2023年になってアップしました。

というのも、先程ある事実を知ったため。
2014〜2015年頃に飯田橋の理科大裏のパティスリーを
訪問したことがあり、いいお菓子でした。
ただ固定方法と保冷剤の入れ方に問題があり
かなり悲惨な形状で家に到着したのですが。
そんなこんなでずっと気になっていたのですが
食べログではずっと「掲載保留」。
ふと気がついて先程確認したところ、保留ではなくなり
ただ微妙に店の名前が違う。
「ル・コワンヴェール」
　→「ル・コワンヴェールパトリック・ルメル」
誰だ、この人。
たしか当時のパティシェはエーグルドゥースの寺井さんに
近い方（ミクニで一緒だった）で何となく店の中の雰囲気に
近いものを感じていた記憶がある。
でいろいろ調べてたら、当時の方は上霜孝二さん。
あれ、この方「アヴランシュゲネー」よっっ！
あらら。
なんかものすごい納得感。そうか、そうだったのか。
好きなものは変わらないのね。

２度目の訪問。
家族の誕生日にアントルメ購入のために。
主役（女子高生）のリクエストで、今年はこちらのフレザリアがいいなぁ、レアチーズのアントルメも良さそうだけどやっぱり王道のイチゴショートがいいなぁどいうので、ほぼ開店時間を目指して伺った。
前日の電話で、フレザリアであれば小さいほうから2サイズは予約なしで大丈夫（時間が遅くなると売り切れのことも）とのことだったので、サイズの選べるお時間＝早い時間である。
この時間だからこそ、の手土産購入目的のお客も含めて、ほかに2組。しかしながら、スマートな接客のおかげで待つことなく目的のフレザリアのアントルメをオーダーして、さらっと済ますはずが…やっぱり耐えられず他にも購入。ここまで来て我慢できるはずもないわね、見ちゃうと。

フレザリア4号、2800円也。
やはり前回の印象と同様、とにかく軽い。
クリームもジェノワーズもフンワリ、でも味はしっかり。クリームのミルク感も豊か。
小さい子供がイメージするふわふわのケーキ、夢とか雲とかファンタジーとか、そういうイメージ。がっつりフランス菓子を食べたい方やイチゴのスイーツを食べたい方には物足りないかもしれないが、この食感はとにかく驚く。技量が尋常じゃないなぁ。よくこの軽さで形をキープできるわぁ。シンプルだけにごまかしきかないし。

もう一点はアプリコットのヴェリーヌ。正式名称は
Les genoux de maiden。簡単に言うとブラマンジェとアプリコットのあわさったグラスデザート。確か前回も買ったが、旬ですものね、杏。買わなきゃ、今。
こちらのブラマンジェもふんわり。つるんというよりふんわり。自己主張弱めのブラマンジェ。その下にアプリコットのムースなのか、ソースなのかな、そちらにカットされた柔らかなアプリコットが入っていて、これが効いてます！全体のバランスが絶妙。食べていくうちにだんだんと「なんかすごいのかも、なんか美味しいのかも」が増長されて最後に「あー美味しい！」と変化していく感じは、こちらのケーキ全般の印象で、まさにこのヴェリーヌもそう。なにが絶対的に他店とは違うんだけど、なんとも分からず、ただただ幸福感に浸って終わるとしか…。
さて次はなににしましょうか。

気になって仕方がなかった。
店構えといい、評判といい。食べてみないことにははじまらない。で、行ってみました。

購入したもの
○Les genoux de maiden ¥490
○fraisalia ¥460
○Fortissima ¥560
○Meringue chantilly coco fraise ¥490
○Renard ¥480
○Mascar fraise rose parfemee ¥500

自分で食べたものと、そうでないものがあるので全ての個別レビューが出来ないのが残念。
○Les genoux de maiden
グラスに入った杏のブランマンジェ。
杏の甘酸っぱい感じが初夏を感じさせます。
爽やかで嬉しくなる味わいとでも申し上げたらよろしいかしら。
○Fraisalia
典型的な王道の苺のショート。
奇をてらわない、基本に忠実なスタイル。
フンワリ柔らかで、これこそ日本人がイメージするケーキという感じ。すっごい感動とかはないが、バランスがとても良くて、修正箇所が見当たらないというか文句のつけようがないというか。
たぶん、それこそがスゴいことなのだと思う。
こういうものって力量が問われる。
○Fortissima
ラムのきいたショコラ系。家族が食べたので私は分からず。本人は「美味かった」とのこと。ショコラにただならぬ執着をもっている人間ではあるものの、甘味を抑えたものなら基本的に「美味い」なので…。
○Meringu chantilly
普段ならメレンゲ系のものは購入しないが、ココナッツと苺の取り合わせに惹かれて。
なんだ、このメレンゲ！というのが最初の感想。
口の中で儚く溶けていくのだ。よくクッキーの詰め合わせ缶の中に入っているようなカタいメレンゲとは全くの別物。韓国のデパートで売ったデカいメレンゲ（クロワッサンくらいのサイズでカラフルなやつです）みたいに甘過ぎたりしない。確かにフォークで刺した瞬間はザクッとした手ごたえはあるのだが、口に入れると溶ける。
いやー驚いた。全体的な味わいはほんとにココナッツと苺です。どっちが強いとかではなく、ハーモナイズされた感じかな。でもなんとなく懐かしい香りがします。
○Renard
お店の方にオススメをきいたら、こちらがスペシャリテとのことで購入。キャラメルとショコラのムースかな。
恐ろしいほど柔らかく、キメの細かいムース。よく自立してるな、と思うほど柔らかい。どうやったらこういうものが作れるのか。うわぁーと言ってしまった。食感だけでなく、味も優しい。何かがガツンと来ることなく、全体が渾然一体となって成立している。いやー。
底面からちょいと上の部分にザクザクしたものが入ってあるのだが、噛めば噛むほどバターの香りが立ってくるのが、これまたポイント。上手く表現出来ないのが悔しいのだが、とにかく確かにスペシャリテだと思う。
○Mascar fraise
文字通りマスカルポーネと苺の、グラスに入ったデザート。私はいただいていないので分からず。親の影響で味にうるさい娘の話では驚くほど美味しいらしい。

全体的な印象は柔らかく、優しく、絶妙なバランス感といったところ。ここしばらく行ったお店では群を抜いている。個人的にはエーグルドゥース、イデミスギノと並ぶ。今年のクリスマスケーキはここかな。去年のクリスマスが終わった時点からすでに、私の中ではお店選びが始まっているが、いまのところ第1候補。今年は新宿伊勢丹では買わないぞー（過去3年のうち2回失敗している）。それまでに全種類食べ尽くしたい、そのくらい美味しいです。