色々トンカツを食べてきて今更ながらこのお店のレベルの高さを再認識、「特選リブロース定食」一択と言う結論！ : とんかつひなた

2017年、2018年に通い詰めて、コースを始めとして特選リブロース（250g）かつ定食、次に上ヒレ（140g）かつ定食としきんぼ、そして食べ比べコース、特選ロース（190g）かつ定食を制覇したところで14種のハーブなどをブレンドした薬膳漢方飼料を与えて健康に育った宮城県産の「漢方豚」以外の豚肉を食べ続けて約6年振りの訪問。
確かに店によってはなかなか手に入りにくい希少豚にも巡り合う事が出来た。
まず私個人的な好みを整理するとロースとヒレどちらが好みか問題は決着済み。結構な歳になってしまったにも関わらず、圧倒的にロースの方が美味しく感じる。
そして豚の餌に関して言えば脂の味は間違いなく味に関連があると思われ、甘い香りにすら感じる適度なバランスの脂が重要。この店は「漢方三元豚」と「六白黒豚」の2種類に関して言えば、観点な理屈で価格が高いメニューが「漢方三元豚」だから迷う必要はない。そして「漢方三元豚」の脂が肉層とミルフィーユの様に階層化した部位のある肩ロースが自明の理、それも一人分の1枚の厳選された部位である事が重要となれば、おそらく1頭からそう何枚も一番良い肉の部分は取れないと思われることから、迷わず3,600円の「特選リブロース定食」を選ばなければならないと言う結論が導かれる。

この店に今回再訪して漢方三元豚の「特選リブロース定食」を食べて、この店のレベルの高さを痛感した。この店は約15〜20分で特選リブロースが出てくる。この時間でしっかり油切りが行われている為、皿にカツが守られる際に最近よく見かける「とんかつ網」「敷き紙」が無いにも関わらず、食べている最中に皿に油が貯まる事は殆ど無い。しかもからりと揚げられ、カツを噛み切っても衣が無様に剥がれる事も無い。
つまり、職人の「腕」が違うのだ。

上質な豚の上質な部位、その厳選された部分の「特選リブロース」。混雑するこの店にわざわざ訪れて、何をためらって「特選リブロース定食」を食べないと言う勿体無いこと迷い道に入り込む意味があるのだろうか。
ゴハンは京都の老舗米屋「八代目儀兵衛」のものだそうだ。キャベツも見事な位「質」が整っていて、食べていて心地良いこと。察するに外葉かどこかは分からないが、内葉？、中心葉を使っているとは思えないが、1回限りではあるがお代わりせずにはいられない。

定食には必ず豚汁がつく。この豚汁、ただ美味しい豚汁では無い気がする。味噌が違うのか、独特の味がするのだ。香の物とこの豚汁、そしてキャベツの千切りを間に挟むことで、見事に舌がリセットされてトンカツを美味しく食べ続ける事ができる仕掛け。

この日も海外のお客さんが多数来店。今の日本は食が売りの国になっているが、この店のトンカツを食べるなら「特選リブロース定食」一択だと薦めたくなる。

最初に特選リブロース（250g）かつ定食、次に上ヒレ（140g）かつ定食としきんぼ、そして食べ比べコース、最後に今回の特選ロース（190g）かつ定食と半年かけて食べて来た。

自分でもしつこく通ったものだと思うが、もし始めて行ってみようと思う方の参考になれば。

平日夕方早めに行けば、間違いなく待たずに入店可能。
予約は出来るが、食べ比べコースのみ可能。
私的には食べ応え感、厚さも重要で、間違いなく特選リブロースに軍配が上がる。

しかし好みに基づいた味はと考えると興味が湧く。食べ比べコースで分かると思われる方もおられると思うが、このコースは一つ問題がある。あっけないのだ。美味いの次はもっと食べたい、となる。ここの豚肉は美味しいのだが、脂身はもっと美味しい。脂身が嫌いでなければ、この味に引きずられる。すると、一口噛み切った時に脂身が含まれるか否かと言う話になり、脂身の有無、脂身が片側に1層（ロース）か、2層（リブロース）かが重要な意味を持つ。

今回の特選ロースは特選リブロースを知っているだけに、単体で比較すると差が出てしまう。

しかしこの店の肉の味を覚えてしまうと、一般店のロース、ヒレが物足りなくなる。ロースの肉質に関しては、3種類の塩
・あまみ（高知）の塩
・インカ（ペルー）の塩
・特選に付くトリュフの塩
オリーブオイル、そして2種類のソース
・オリジナルとんかつソース
・オリジナルソース（サラサラ）
で食べてみると、個人的には、
1）あまみ（高知）の塩
2) オリジナルとんかつソース
3) オリーブオイル
の順となる。

牛を育て餌の工夫で美味しくなる工程を学んだ生産者が、豚の餌に当てはめて成功したと言うこの肉は、1頭買いしているからこそ安定して入荷される仕組みとの事。

今迄、1,000円前後のロースカツ定食で十分美味しかったのだが、残念な事に、上の味を知ってしまった。嬉しいやら、悲しいやら。

美味しい豚カツ、旨い豚カツってどんなもの？と小難しい話は抜きに、たまに、ビックリする位の豚カツに出会う事がある。これを経験してしまうと、他にも、もっと、と欲求が膨らむ。
オフの土曜日に時間があったので、混雑を避けて17:00頃訪問。
店内はカウンター席のみで、流石に席は空いていたが、コースメニューの3組、普通メニュー3組、と結構な込み様。コースメニューは3,500円で色々な部位を勝つで楽しむことが出来る魅力的なものだが、2人以上で15:00以降の予約が必要との事。
待たずに着席出来たことに感謝しながらメニューを吟味すると、
⚫︎ロースかつ定食（130g） 1,300円
⚫︎上ロースかつ定食（190g） 1,800円
⚫︎上リブロースかつ定食（250g） 2,500円
⚫︎上ヒレかつ定食（140g） 2,600円
⚫︎しきんぼ　かつ（単品）（140g）1,000円
⚫︎特選ロースかつ定食（190g）2,800円
⚫︎特選リブロースかつ定食（250g）3,500円
⚫︎特選ヒレかつ定食（140g） 3,500円
価格は税込で、おおよそこんな感じ。
この店の豚は14種のハーブなどをブレンドした薬膳漢方飼料を与えて健康に育った宮城県産の「漢方豚」。肉質が柔らかいので一切叩かずに揚げるのだそうだ。
「美味しい豚カツ探検隊」として気張って、背中側の脂身層が充実している特選リブロースかつ定食（250g）3,500円をチョイス。カブリと呼ばれる部分で、豚１頭から4枚ほどしかとれない希少部位とのネットの記載もあるが、「特選」がその部位を使っているのか恐れ多くて聞くことができなかった。オプションはスープを150円UPで豚汁にするかのみ。初めてなのでスープ（標準）のままとした。
さほど待たずにトリュフソルト（特製にセットの様子）とお漬物が出される。改めて、カウンターのセットを見ると、塩2種、不思議なスポイトが付いた容器（後ほどオリーブオイルと判明）、自家製とんかつソース、自家製ウスターソースがある。これは全て試すのは大変、と思っているところに特選リブロースかつが登場。カウンター越しに調理状況が見えないが、あげる時間が短いな？などと偉そうな事を考えながらカツを眺めると、お決まりのカツ一切れ横置きの断面が目に飛び込む。
肉厚の層から肉汁が滲み出るピンク色の断面の美しい事！
敢えてケチをつけるとすれば、キャベツの千切りが少ない。
期待に胸が膨らみつつ、描いた順番に従って、まずトリュフソルトで。実はトリュフソルトは以前購入したことがあり、個人的にはわざとらしい香りが好きではない。案の定、その香りが鼻と舌に残る。端の一切れで試してなので良かったと思いながら、まともな一切れを2分して2種類の塩で。
これはどちらもリブロースの脂身の味を引き出して素晴らしい味。言い忘れたが、肉質は前歯で柔らかく噛むだけで切断できる。口の中に広がる脂身の甘み、夢のような味に肉の味が加わると、更に旨味が鼻まで広がる感覚。カツとして見た時の衣の油はカリっと揚げ、旨味を閉じ込めるだけのために機能して、衣も同様に主役の肉の邪魔をせず、しっかりと脇に徹しているという感じ。
次に試したのが、店の人から聞いたオリーブオイルとトリュフソルトの組合せ。前述の通りトリュフソルトはもう良いと思っていたが、勧められた通り、スポイトでカツの肉断面にオイルを垂らして、反対側にトリュフソルトをつけて一切れ丸ごと味わう。トリュフソルト単体よりずっと味のバランスが良くなる。最初からこの方法で食べる事はお勧めしないが、普通の塩（岩塩）で脂身と肉質の味を認識した上で味わうオリーブオイルとトリュフソルトの味は、うまく調和し、フ〜んと言う味に昇華する。
そして、とんかつソース。かけすぎない様に注意して、肉の面につける、衣につけるを試みたが、おそらく肉の面が正解。理由は言うまでもないが、衣がうまく剥がれず肉についているが故のなせる技。ささやかな食感がプラスされ、味も引き立っている気がする。忘れてはいけないが、とんかつソースの味も良い。
ウスターソースはキャベツにかけて頂いたが、こちらはキャベツであるためか、きつい味に感じた。
250gをお漬物で口直しする事もなく、あっという間に平らげ、大満足。
普通のロースカツはどうなのだろう？と言う疑問が湧く。揚げ方も素晴らしいが、味に関しては豚肉そのものの旨さのはず。シェフさんに聞いて見たが、普通のリブロース、ロースと肉質が固めになるとの事。
次回訪問時、コースを試すか、普通のロースカツを試すか、ヒレで行くか？
モモの特定部位「しきんぼ（外モモと内モモに挟まれた部位）カツ」も試してみたい。となればコースが早道だが、事実上一切れ、せいぜい2口では、と考えてしまうと、後、3回は通わなければならない事になる。