夏だ　『ラ・ボンヌターブル』だ : ラ・ボンヌターブル

平日のディナーに伺いました。
これまでの4回の訪問のうち、3回が真夏でした。いつも頭の片隅にありつつ、特に夏になると、私のうずうずを増大させる『ラ・ボンヌターブル』さん。新鮮な野菜や果物の美味しさの引き出しを、魚や肉との組み合わせの提案を、多彩に繰り出してくれます。
その日のお料理のコンセプトを、シェフとサービスとの間でしっかり共有できているらしいことも、素晴らしいです。キッチンからテーブルへ、美味しさの勢いそのままに運ばれてくる幸せを感じます。

シェフのお任せディナーコース　税込サ別10,000円です。

○Amuse Bouche　畑の野菜たち
○椎茸のロースト
○ブリコラーシュ　ブレッド　アンド　カンパニーのパンと自家製のバター
○スナックエンドウのすり流し、甘海老、鯵、独活、小夏、木の芽、花穂紫蘇
○ホワイトアスパラガス、バター、フロマージュ
○河豚のポワレ、ひよこ豆とスパイスのトマトスープ、クスクス、桜海老のアリッサ、ピスタチオ
○仔羊の稲藁焼き、メルゲーズ、シトロンコンフィ、山椒
○ムース・オ・ショコラ、バナナとライムのソルベ、パッションフルーツ、マンゴー、パイナップル、マカダミア
○ハーブティー

椎茸のローストや、ホワイトアスパラガスのソテーなど、正攻法の調理もあれば、河豚のポワレのように、スパイス使いで意外性のある提案もあります。このお店について私は、幾度となく「対比」という言葉を使っていますが、コースに一皿くらい、フレンチの枠を超えた初めましての組み合わせに唸らされます。
本日、河豚のポワレが最も印象深く、好みでもありました。モロッコをルーツとするクスクスや辛味調味料アリッサを取り入れたエネルギッシュな味わいに、淡泊な河豚が好相性です。河豚は産卵期に差し掛かる初夏もまた、旨味を増しているそうで。

ランチタイムは大きな窓からの自然光を、ディナータイムは仄かな灯りを。多様な光を味方につけてお料理が美しく映え、メインダイニングの雰囲気も素敵です。
ごちそうさまでした。

平日のディナーに伺いました。
7月から当面の間、デンマークのヒュッゲ「居心地のいい空間」をテーマにした特別ディナーコースが提供されています。仄暗い照明の下、テーブルの小さなキャンドルの灯りを頼りに、畑の恵み、大地と河川の恵みを味わいます。
自然光の下でのランチも雰囲気ありましたが、今回は初めてのディナーで、いつもより落とし気味の照明。人影まばらなダイニングでアルコールも無く、静かな夕べもまた贅沢な時間でした。

ヒュッゲ・ノンアルコホリック　税サ込10,000円のコースです。
4皿に合わせた4杯のノンアルコールペアリングが付きます。全てお店オリジナルのドリンクです。

○Amuse Bouche　畑の野菜たち
野菜ひとつひとつに最適な調理が施されたアソートになっていました。添えられたソースも野菜の甘みを生かしたもので、特に人参とバターを使ったソースのコクが印象的でした。
白葡萄、グリーンレモン、カモミールを合わせた白ワインのような爽やかなドリンクと共に。

○ブリコラーシュ　ブレッド　アンド　カンパニーのパンと自家製のバター
パンはいつも楽しみです。しっとりと水分を蓄えたじゃがいものパンが美味しかったです。

○Entrees　スズキ、桃、完熟南高梅、ラディッシュ、アンディーブ、ピンクペッパー
フルーツ使いが特徴的で、大きめにカットされた桃が、メインの食材と張る存在感を放ちます。
甘さをリンクさせた、プラム、タイム、モヒートミントのドリンクと共に。

○Poisson　鮎と共に…
鮎のパイ包み焼きです。お馴染みのスイカが今日も違和感無く寄り添っています。香ばしさと苦みの鮎のパイ包みが、甘いスイカをはじめ様々な味変アイテムとどれも好相性です。
トマトのコンソメ、美生柑、青柚子のすっきりとした旨味のドリンクと共に。

○Viande　岩中豚のロースト、ハラペーニョのソテー、マスカット、アイオリ
表面は香ばしく、内側は旨味の凝縮した、シンプルな味わいの岩中豚のロースト。甘さのゴールドラッシュやマスカットに、対照的なハラペーニョのソテー。それほど辛くはありませんが、対比の面白さを感じました。
赤ワインを模した黒葡萄、チェリー、薔薇、ハイビスカスのドリンクに、紅茶でタンニンを表現したのこと。

○Dessert　ココナッツのブランマンジェ、マンゴー、パッションフルーツ、パパイヤとパイナップルのソルベ、甘酒の泡、花
ブランマンジェにソルベに泡。柔らかい中にも幾種類もの食感があり、混ぜて楽しむデザートです。爽やかで甘過ぎないトロピカルフルーツの競演が素晴らしいです。

○ハーブティー

どこのお店も、短縮営業とアルコール無しの影響でディナーは人が入らないようです。
でもアルコール無しでゆっくりお料理に向き合えるのは、それもまた贅沢な楽しみだと思うのです。爽やかな甘さを堪能できる『ラ・ボンヌターブル』のお料理は良さが際立つように思います。ノンアルコールのペアリングも素晴らしかったです。
ごちそうさまでした。

今回も上野の美術展鑑賞の前のランチに伺いました。
この辺りのランチの選択肢はいくつもあるのに、期待を裏切らない、それどころか期待以上の料理を頂けると信頼して、ついまたこちらを選んでしまいます。

ランチタイムは、大きな窓ガラスからの自然光に、アートのようなお皿の数々が映えます。

税サ込3,960円のプリフィックスのコースです。

○AMUSE BOUCHE　畑のサラダ
メロンやピオーネを始めとしたフルーツの甘みも生かした、お店定番の季節の野菜のサラダです。レモンを皮から丸ごと使ったドレッシングが大変涼やかで爽やかです。

○ブリコラーシュ　ブレッド　アンド　カンパニーのパンと自家製のバター
甘みのあるパン2種は、それだけでいくつも頂けそうな美味しさです。こちらを訪問する目的のひとつでもあります。

○ENTREES　水蛸、水茄子、フェンネル、青ゆず
瑞々しい水茄子と吸い付くように滑らかな水蛸、食感が楽しい海ブドウを、オリーブオイルと、しっかりピリ辛な柚子胡椒で引き締めた前菜です。軽やかですがパンチもあり印象に残りました。

○MAIN　鮎のコンフィ、実山椒とマデラ酒のソース　スイカ、焼きとうもろこし
とてもジューシーながら香ばしくコンフィにされた鮎と、それに負けない位香ばしく焼かれたとうもろこし。鮎ならではの内臓の苦味に、甘いスイカ。調和だったり対比だったり、バランスを考えられた一皿です。独創的な取り合わせなのに前から知っていたような安定的な美味しさの組み合わせでした。

○DESSERT　ニューサマーオレンジ、レモンスフレグラッセ、バジル、加賀太胡瓜
こちらのデザートで良く見るスフレグラッセあるいはセミフレッドが楽しみでした。胡瓜もシロップ漬けにされて、立派にフルーツの顔をしています。

○食後のお飲み物　ハーブティー
食後の飲み物は、ユニークな外見の茶菓子に合わせて和食器で提供されます。日本橋らしさを感じる時間でもあります。

○茶菓子　フォンダンショコラ
定番の、たこ焼きに見える熱々で濃厚なフォンダンショコラです。経木舟皿と言い爪楊枝と言い、隅々まで手が掛けられています。

爽やかなので選ぶ料理によっては軽めに感じるかもしれません。しかし、パンやバターが美味しくて、私は物足りないと思ったことはありません。
また伺いたく。ごちそうさまでした。

上野の美術展鑑賞の前にランチをと思い、上野駅へ地下鉄1本で行けるお店を探しました。
三越前駅からすぐのコレド室町2の1階です。同レストランへは建物の外から入ります。江戸バス停留所が正面にあるガラス張りの外観です。

フォローさせて頂いている、複数名の美食家のレビュアー様たちが軒並み好評価で期待高まる一方、商業施設の1階の路面店という場所柄、カジュアルなイメージがあるけれどそんなに良いの?、とチャレンジングな気持ちも。
フレンドリーなスタッフの方に案内された店内は、高い天井に音の響く解放感ある空間、スタイリッシュでライブ感のあるオープンキッチン、確かに、敷居の高くないカジュアルな雰囲気でした。
日本橋らしいと感じたのは、大人比率が高いこと。和装のご婦人たちがフレンチレストランに華を添える、偶然居合わせただけですが、素敵な風景でした。

税サ込3,960円のプリフィックスのコースです。

○畑のサラダ
全国の畑から取り寄せた季節の野菜とフルーツが香りや甘みなどそれぞれの特徴を発揮しています。爽やかで目にも鮮やかな導入の一皿。

○ブリコラーシュ　ブレッド　アンド　カンパニーのパンと自家製のバター
甘く風味が良く、美味しくて驚愕しました。パンやバターの世界に詳しくない私ですが、遠方からも愛好者が訪れるという、行列必至の関西のベーカリー、ル・シュクレクールの姉妹店が六本木にごく最近開店したとのこと。そんな貴重なパンとは知らず苦労もせず頂き恐縮。今更ながら、ファンになりました。

○ENTREES　戻り鰹の稲藁焼き、焼き茄子のピューレ、サザエのワタのソース、オカヒジキ
美味しい鰹が入荷すると必ずメニューに載るという人気の前菜とのことです。とろりとした茄子やサザエのソースも美味ですが、稲藁焼きの素晴らしい風味が忘れがたいです。最も気に入った一皿。

○MAIN　紅富士鱒、茸、蓮根のパイ包み　柚子とベルモットのブールブランソース、トマト、ディル
迷ったらパイ包みをとお勧め頂き選びました。サクサクの上質なクロワッサンのようなパイに柔らかくジューシーな鱒の身が良いバランス。

○DESSERT　マスカット、ローゼルのジュレとスープ　ライムのセミフレッド
冷やしたババロアかパンナコッタみたいです。パイ包みのような量感のあるメインの後には嬉しい爽やかなデザートです。サラダにも入っていたマスカットが旬で美味しい。マスカットの汎用性の高さに驚きます。

○食後の飲み物　コーヒー

○茶菓子　たこ焼きに見えるトリュフチョコレートあるいはフォンダンショコラ
日本橋らしい和の粋ですね。外見に遊び心、という点に気を取られていると、味にも手抜きのないことに不意を突かれました。

チャレンジなんて考えて失礼しました。このお値段にこのお料理の質、お得感あります。まだ見ぬレフェルヴェソンス出身のシェフだったと失礼ながら後で思い出しました。