バングラデシュじゃないよ。南インドの港町『マンガロール』 : バンゲラズキッチン

有楽町駅前、首都高速道路の高架下の商業施設『銀座インズ２』にあるインド料理店です。

インド料理の中でも南部のアラビア海に面した港町であるマンガロールの料理とのこと。
そのため、魚介を使った料理がウリになっています。

外観は、赤茶色を基調とした落ち着いた雰囲気で、フェイクですが観葉植物を置いていて、適度に緑もあり、高級感があります。

店内は、テーブル席がメインですが、窓際にはカウンター席もあるので、ビジネスパーソンのランチにも向いています。

ランチメニューは、平日と休日で異なります。
訪問した平日は、１，５００円前後のターリ（インドの定食）が主力メニューです。
お店のおすすめは、マンガロールフィッシュターリ（１，６００円）とのこと。チキンビリヤニセット（１，６００円）もあります。
ターリは、ミールスではないので、おかわり無料ではないですが、ライスは、大盛にしても同価格になっています。

いただいたのは、
■マンガロールフィッシュターリ（１，６００円）
マンガロールフィッシュカレー、サール、サラダ、ライス、ブレッド、パパド、魚料理のセットです。
カレーは、サワラのカレーです。
珍しいカレーではありますが、都内ではエリックサウスでも提供されることがあるので、食べたことがある人もいるでしょう。
マンガロールのあるカルナータカ州はケーララ州とも近いので、味つけも似ているようです。
なかなか複雑な味わいで、ホールのスパイスはほとんど入っておらず、タマリンドやトマトの酸味やココナッツミルクのコクに魚の旨みが加わったカレーです。臭み消しなのか、細切りの生姜も入っていますね。
サワラは、身のサイズの割に骨が少ないので食べやすく、カレーに向いていますね。
辛さは一般的な南インドカレーと比べるとマイルドで、非常にバランスがいいカレーです。
サールとは、南インドのラッサムに非常によく似た、サラサラのスープのようなカレーです。
トマトの酸味がベースで、マスタードシードやカレーリーフが加わります。
胡椒や唐辛子が効きすぎない、シンプルな味なので、ライスにかけて味わいのベースにするといいでしょう。
サラダは、インゲンとココナッツのサラダです。ココナッツファインとインゲン、スパイスはマスタードシードが見えます。塩味が控えめで、ココナッツが香り過ぎず、バランスがいいですね。
魚料理は、バサと呼ばれるナマズのフライです。この魚は、バングラデシュでは『パンガシュ』、ベトナムでは『チャー』と呼ばれる東南アジアから南アジアでよく食べられる淡水魚です。
タラに似た白身魚ですが、タラよりも味が濃く、それでいて泥臭さは無く、美味しいフライですね。
主食は、ブラウンライスとニールドーサにしました。
ブラウンライスは、スリランカの赤米と同じですね。部分的に小豆のような赤色があるお米ですが、味わいは特別なクセは無く、粒の大きさは長粒米よりは短いですが、炊き上がりの粘りは少ないのは同じです。
ニールドーサは、一般的なドーサとは異なり、米粉から作り発酵させていません。生地も厚めに焼いていて、しっとりモチモチの食感です。スリランカのイディアッパーに似ています。
原料がお米なのと、酸味が無いので、日本人にも食べやすいです。
パパドは、揚げて作るもので胡椒は入っていなくて、香ばしいですね。

■バンゲラズセットターリ（１，５００円）
２種類選べるカレーは、ココナッツチキンカレー、マトンララを選択。サール、サンバル、サラダ、デザート、ライス、ブレッド、パパド、アチャールのセットです。
ココナッツチキンカレーは、ココナッツのコクがあるところにチキンの旨みが加わる美味しいカレーです。ホールのスパイスはマスタードシードが見えます。
鶏肉は、まずまずの大きさのものが２切れ入っています。
マトンララは、チキンの挽肉とマトンのカレーという珍しい組み合わせです。スパイスは南アジアのカレーでマトンカレーを作るときの一般的な構成ですが、肉が２種類入ることで旨みが違いますね。マトンは骨なしのもので赤身肉です。食べやすいですね。
どちらも、一般的な南インドカレーと比べると辛さは抑えめ、スパイシーではありますが、コクや旨みが強い印象で、なかなか美味しいです。
サールやサラダは、上記と同じもの。
サンバルは、ポタージュ状になった豆をベースに人参などの野菜を入れたマイルドなカレーで、これだけは南インドカレーと同じスタイルのものですね。
主食はホワイトライス、ウルドゥドーサを選びました。
ホワイトライスは長粒米がメインですが、短粒米も少し混ざっています。炊いているようで、ちょっとしっとりしています。
ウルドゥドーサは、生地としては一般的なドーサと同じで、ウラド豆とお米の粉を混ぜて発酵させて作ってあります。そのため、ちょっと酸味があるのが特徴ですね。
一般的なドーサとは異なり、厚みがあり、もっちり食感です。
酸味がしっかりしているので、カレーで食べるよりも塩気も辛さもはっきりしているアチャール（チャトニ）で食べると美味しいです。
デザートは、マンゴーとセモリナ粉を使ったものです。
インドらしく、甘さが強めですね。上にはピスタチオが散らしてありました。


南インド料理やスリランカ料理との共通点もあれば、異なる点もあり、食文化の多様性が楽しめるレベルの高いランチでした。
何を食べても、おもしろくもあり、美味しくもあります。また、マンガロール料理は、南インドの中では、スパイスが効きすぎず、適度で素材の味とのバランスがいいので、インド初心者でも食べて美味しいと思います。
カレーが好きな人なら誰にでもおすすめのお店です。