2回
2020/11 訪問
めくるめく展開される工夫された料理の数々に、目が舌が喜びます。
家族のお祝いでとっておきの美味しいものを、昨今のコロナが心配で外食できないという嫁さんの心配に配慮して安全な個室で食べられるところを探している中、湖国料理で評判の新近江別館を思いつきました。
最近、こちらのサイトから予約もできるようになったとかで、お店に好きなもの、嫌いなものを伝えました。
■お食事内容
<前菜> いさざカリカリ揚げ 大根と胡瓜と柿の三杯酢和え物 鯖スモーク鮨 栗渋皮煮 手長エビから揚げ 子持ち鮎 稲穂
いさざ、手長エビ、子持ち鮎、など琵琶湖の味を堪能できる一品です。柿や栗、稲穂をあしらって季節感を演出されています。
ただの鯖寿司でないところが、主人の料理の探求心。稲穂も飾りではなく、軽く塩しておりビールが進みます。
<先附①> 河豚の身と皮の和え物 あん肝 ポン酢ジュレ寄せ、フィンガーライム 穂紫蘇 ふり柚子
ポン酢にフグ、ポン酢にあん肝、外さないメニューでフィンガーライムがアクセントの爽やかな一品です。江戸切子の器もお料理にとてもあっています。
<先附②> すっぽんの茶碗蒸し ふかひれスープ
フカヒレは鶏のスープと合わせるのが一般的ですが、このすっぽんのスープも滋味深い。器の金ピカに負けないぐらいの金のスープです。
<お造り風仕立て> 伊勢海老叩き 帆立貝の焼霜 茄子 海老味噌ソース 雲丹
伊勢海老の味噌を使ったソースが、コクと香りで焼ホタテの味を引き立てます。熱を加えたらパサパサになるえび味噌がクリーミーなのには驚きです。もはやそれだけで料理として完成されており、ウニさえもが引き立て役です。
<お造り> 本マグロトロ 天然鯛 車海老 アンヂィーブ クレソン
本当に美味しいものを美味しい分量出して頂いています。素材の良さが引き立つ一品。豆腐のような器が刺し身の色を引き立てます。
<小鍋仕立て> 甘鯛のカマ 松茸 信長ネギ 黄にら 三つ葉 酢橘
甘鯛がお鍋の中で分解して食べにくいところはあったが、スープは美味しい。松茸の香りと橘の酸味、土瓶蒸しを頂いているようでした。
<焼物> 近江牛のモモのステーキフォアグラ添え 甘鯛の塩麴焼き
近江牛の旨味がギュッと詰まった一品。牛モモを焼くと固くなりそうだが、低温調理で火を通し炭火で炙った一品とか。
しつこい牛脂の味ではなく、あくまで牛では旨味を引き出し、フォアグラのコクにつなげている。
フォアグラとステーキといえば、「俺の○○」を思い出すが、こちらはあくまでも日本料理。
フォアグラにもクルミと味噌が練り込んでいてアクセント。細かいところも手がかかっています。
甘鯛もその旨味が引き出されていて、牛肉に負けない味の紅白歌合戦。甘鯛と牛肉の間を箸が行き交う楽しさです。器も甘鯛が岩仕立ての器にのっており、視覚的にもコントラストが引き立ちます。
<ご飯物> 牛タンとなめこと舞茸の雑炊
締めご飯でも主人のひねりは止まらない。ぱっと見るときのこ雑炊に見えるが、食べると予想と違う出汁の味。食べ進むと牛肉が出てきてびっくり、でも確実に日本料理です。土鍋いっぱい雑炊を作っていただきましたが、美味しくていつの間にかの完食です。
香の物さえも気を抜かず、器のちっちゃい動物が楽しい。これ、景徳鎮だそうです。
<デザート> チーズケーキ 白ワインゼリーミント ザクロ
デザートもフレッシュな果物の下のチーズケーキ、コクが合って美味しい。これだけでもスイーツとして完成しています。上の数粒のザクロが甘くて美味しいと嫁さんは感心していました。この赤を引き立てるために、提供する直前にザクロを剥くとか。しばらく置くと、ザクロが白っぽくなるなんて知りませんでした。
どこまでも手間をかけていただいています。
■感想
会社の宴会や法事にぴったりなのですが、普通に、とっておきの美味しい日本料理を食べたいときに家族で行ったら、そのプライベートな空間やおもてなし、美しくも手のかかった日本料理が味わえるお店です。
完全に個室空間なので他のお客がおられるのが気にならず、順順に運ばれる料理を味わいながら、心置きなく会話できるのは、お料理を食べるだけではない価値ある体験でした。
主人の工夫にあふれる料理が止まりません。探究心がすごいので、あの料理が美味しかったと思っても次に会えるかどうかわからない一期一会。予約して、好きなもの嫌いなものをしっかり伝えておくと、そのレパートリーから考えて、とっておきの料理を出していただけます。
今回、特にGOTOキャンペーンで、こちらのサイトから予約すると人数分のポイントが付くだけでなく支払いもGOTOイートの電子お食事券で、これだけのお料理ですが、実質支払い2万円程度で
済みました。
今回は秋がテーマになっていますが、また別の季節にお邪魔します。ごちそうさまでした。
2020/11/02 更新
前回秋に行って、本当に美味しい料理をいただいたので、季節を変えてぜひ違うものをいただきたいなと、家族に呼びかけたら美味しいものには目がないメンバー、みんな喜んで参集。今回は春の陣です。
■お食事内容
<前菜> イサザチップス イノシシの低温ローストと花ワサビお浸し 生ハムのユリネ.シルクスイートを包み 河豚の皮とポン酢ジュレ焼き白子添え アンポ柿と甘くないチーズケーキ ちらし寿司節句仕立て 空豆、わらび、車海老
イノシシのピンク色、生ハムのピンク色、あしらいの桜の花のピンク色。いかにも春らしいあしらいです。
イノシシは低温ローストでしっとりしたところを残しつつも、バルサミコと花わさびのおひたしであっさり食べさせるという素敵な一品。アンポ柿とチーズケーキのコラボもあり、この前菜だけで赤ワイン一本飲めそうです。
<先附> 碓氷エンドウの摺流し仕立て 玉子豆腐 白魚 雲丹 車海老の炙り わらび つぼみな 菜の花
前菜のピンクの次に若草色という、これまた春を感じさせる一品。白魚、わらび、つぼみな、菜の花というように、
これでもかこれでもかと複層的に春を感じさせてくれます。
<お造り> 天然鯛にこのわた 天然本鮪トロの炙り 平貝の焼き霜 より紅芯大根
春といえば貝、大きな皿と見紛うような平貝の殻を利用したお作りの皿。これだけでもいい感じですが
炙りが絶妙。こんな鮪のトロをそのまま食べてもいいんだけど、そこをいい感じでちょっと炙る。
また春といえば、桜鯛。このわた、桜鯛の皮目、うに、桜鯛の身とこれまた一層ごとに味わいが変わってゴージャス。
ここは日本酒が合います。松の司を二合、冷でお願いします。
<小鍋仕立て> 月の輪熊とイノシシの醤油出汁仕立て 白ネギ、玉ねぎ、黄ニラ、三つ葉 柚子胡椒添え
ジビエのコラボ鍋。クセあるかなと覚悟しましたが、全然臭みなく、美味しくいただきました。
二頭の獣のだしが入ったスープ。これで芋焼酎飲めます。
<焼き物> 甘鯛の鱗パリパリ焼きの白子鋳込み 小芋のかけらもち揚げ、白エビのかき揚げ、粉唐墨掛け
本日、一番私が気に入った一品がこれ。甘鯛の焼き方が秀逸。身がフワフワなのに鱗はパリパリ。
一つの魚の切り身の中で、フワフワとパリパリを両立させているとは、普通の調理法ではありません。
それだけでも十分なのに白子が仕込んであったりして、もはや執念を感じます。
このあたりで、すっかり春のことも忘れてしまいました。スーパードライください。
<焼き物> たら白子葛豆腐、河豚白子のゆず味噌焼き 耐熱ラップ包み
これも驚きの一品。なにやらラップに包まれた柚子が。その柚子の宝箱の蓋を開けてみると、
ふわっと、柚のいい香りとともに、中から仕込まれた柚子味噌と白子が。これでも熱燗二合飲めてしまいます。
<ご飯物> たけのこご飯に干し貝柱のスープ掛け
たけのこと干し貝柱がこれでもかといっぱい入ったご飯。お米が貝柱のだしを吸って滋味深いです。
汁物も貝の吸い物で、春の陣を締めるには十分な内容でした。
<デザート> 出来立てわらび餅にきな粉、イチゴにアングレーズソース
デザートは出来たてのわらび餅とイチゴという和洋折衷ですが、いちご大福でもあるように、イチゴの
酸味がいい感じのアクセント。わらび餅の中に煎り黒豆も入っており、これもアクセント。
■感想
春においても、主人の飽くなき料理の探究心から、かなり美味しいものをいただけました。
お食事内容で、お酒のことがいっぱい書いていますが、実は家人が誰も運転できず、
私だけハンドルキーパーとして、アルコールが飲めませんでした。
これだけの美味しい料理をいただくのですから、ぜひとも、お酒を飲めるようにして
行った方が良いです。
本当にごちそうさまでした。