3回
2017/05 訪問
折尾・大正7年創業、来年100年を迎える角打ち店◆高橋酒店
北九州市八幡西区堀川町2-10、高橋酒店。
扉のない酒屋で、地元の立ち飲み文化としての認知が高まってきた角打ちの老舗店。
1918年(大正7年)創業。現在三代目~四代目で営業。
JR折尾駅東口徒歩3分。カード不可。喫煙可。駐車場なし(折尾駅前にコインパーキング)。
営業時間9:00~21:00、日・祝~19:00。年中無休の家族経営。
工業地帯の北九州に脈々と続く酒文化「角打ち」。
市内には百数十軒あるのではないかと言われる、酒屋の店で飲むサービスなしの飲酒です。
酒屋がやるのが角打ちで、立ち飲みとは定義が違います(^^ ←北九州育ち的こだわり
高橋酒店は目野酒造の小売り部として始まり、現在、三代目女将と四代目ご子息が店を主に切り盛り。
先日立ち寄ったはらぐち酒店にも置いてありましたが、こちらも全国名物立ち飲み酒屋特選 男の聖地 角打ちに憩うに掲載されており、店内に掲載内容が出されていました。
その中でも触れられていますが「盆や正月に休んでいたらご先祖様が心配する」と年中無休。
家族経営で一日も休まず12時間営業で店を開け続ける。猛暑の日も、雪の日も。決して楽ではないことです。
この店をこよなく愛する常連にとって有難いことで、店を利用している人達はその苦労を知っています。
歴代の客が立ち続けた床の煉瓦は自然と削れ、来年創業1世紀を迎える店の軌跡を物語ります。
折尾駅周辺の再開発が少しづつ進んでいます。
高橋酒店にも立ち退きにかかっており、北九州文化の灯が1つ消えないかと心配しながら立ち寄ってます。
最近は来ている人が増えたなぁとは感じますが…
角打ちデビューだというアラフィフの男性から、常連の北九州角打ち文化研究会の皆さんまで本日もお楽しみ中。
毎年つばめが巣をつくる軒先。この季節は解放された店を抜ける風も心地いい。BGMはラジオ。
夕刻、高校生の通学路になっている店前は、高校生が折尾駅に向かって下校していきます。
ここに集まってくる飲兵衛たちをどんな風に感じているのでしょうね。
数十年前は、故・高倉健さんもこの前を通る学生でした。
こちらの三代目は、高倉健さんの一年先輩。
四代目は私と同級生。時間があるときは時代トークに花も咲きます。
昭和40年男の雑誌を持って来てくれて、そうそう!あの時…なんて。
業務用冷蔵庫から、商品を取って四代目に声掛け。
カウンターでプシュッと開け、喉を潤す。
お客は各々好きな場所で同じことを。
コップに注いで貰う酒は、日本酒が200cc250円~320円、100cc130円~160円。
焼酎が200cc210円~、100cc130円~。冷蔵庫から氷を取り、ポットの湯を注ぐ、勝手知ったる客。
お湯割り用には、マグカップを借ります。
何もしないという場所提供のサービス。
お皿を使うと角打ちではなく飲食店と定義されるらしく、購入したおつまみは紙の上に。
乾きものからスナック、ちょっとした串もの揚げ物の販売はされています。
四代目、気遣いはしてくれるんですよね。
魚肉ソーセージを買って食べてれば、紙にマヨネーズと一味唐辛子を出してくれる。
これ、合いますよね(笑
メンチもチンして、ちょっとお化粧してくれて。
会計をして店を出る時に、安いよねーと口に出てしまう。
「ウチは2000円あれば、一升飲めますから」と四代目。それはそうですよね(笑
四代目、お休みなしでお客の相手をして、配達をして…
体に気をつけて頑張ってくださいね。
酒販価格にて店頭で飲める酒。
酒飲みの社交場であり浪漫でもある、角打ちの老舗。
1世紀を迎える店が再開発で無くならないことを心より祈ってます。
2017/05/26 更新
2014/06 訪問
折尾駅周辺の再開発で10年後には立ち退きに◆守りたい風情 高橋酒店
北九州市八幡西区堀川町、高橋酒店。
大正7年創業の酒販店ですが、店頭でお酒が飲めます。
いわゆる「角打ち(かくうち)」の出来る老舗店です。
JR折尾駅東口から堀川沿いを歩いて300m。
営業時間は朝9:00から夜9:00まで。12時間営業、年中無休の家族経営。
角打ちとは。
(四角い升の角に口を付けて飲むことから)酒屋の店頭で升酒を直接に飲むこと。
転じて、店の一角を仕切って立ち飲み用にすること。また、そこで飲むこと。と、コトバンクで書かれてます。
酒屋がやるのが角打ちで、立ち飲みとは定義が違う・・・
お店の常連と昨日そんな言葉を交わしたばかり。
この角打ち文化。
じんわり広がりを見せているようです。
こちらのお店にも視察に来ていた神戸角打ち学会が発足し、7月11日を「角打ちの日」に決めたとか。
http://koubekaku.exblog.jp/18003777/
なぜ7月11日なのか。角打ちという文字がこの数字にすべて含まれるからとか、言ったもん勝ちとかなんとか(笑
ここ2回ほどお邪魔したときの写真を少し追加しました。
◆缶チューハイ 165円
◆フライドチキン 150円
◆ゆでたまご 50円
◆ラムネ 110円
下町の社交場、酒屋の軒下。風情があって、大好きです。
燕の子育てを見ながらの一杯。
三代目夫人によると、折尾駅周辺の再開発で立ち退きを迫られているのは、こちらのお店も。
折尾駅舎につづいて堀川沿いの風情ある風景が10年の期限付きで消えてしまう。
「立ち退き、反対!!」
今日も元気な声を上げる夫人。
お元気で文化を守って欲しいなと思うのであります。
(2013/12/14)
オフの二次会。
帰りの足とディープ感を味わっていただきたいのと相俟って、JR折尾駅界隈にと。
堀川沿いの情緒あるネオン沿いに歩いて向かった先は老舗酒販店、高橋酒店。
角打ちが出来ます。
角打ちは北九州市発祥と言われる、立ち飲み文化です。
工場労働者が多い北九州市では三交代で働く人が多く、朝や昼に徹夜明けの仕事が終わり、その時間でも営業している酒屋で一杯ひっかけて帰宅する文化が広がりました。
市内で100軒以上の酒屋が角打をやっていて、つまみは簡単なものが多いです。
毎日でも通える、非常に安いお値段!酒店売価で飲めるので嬉しいですね。その分サービスはなし。
今は、三代目~四代目が家族で切り盛り中。
閉店から20分前くらいに到着したでしょうか。急いでオーダー。
大正時代から残る風情がとても良いです。
濃いお酒をショットっぽく飲みたくて、気づけばデルカップを手にしてました。
それから、カウンターに置いてあるツマミの肝を一本。
皆でカウンター前にたむろして立ち飲み。
◆鶏肝120円
◆デルカップ190円 (辛口・29%)
肝は四代目が焼きなおしてくれました。アツアツ。
マイレビュアーさん方も、忙しなく短時間でお楽しみ。
酒販店にしては遅くまで営業されています。
店主はこの後に配達だとか。お疲れ様です。
一人300円そこそこのお支払い。
閉店時間にてお店を出ます。
角打ち文化については、詳しいサイトがあります。
ご興味のあられる方は、こちら北九州角打ち文化研究会をご覧ください。
http://kakubunken.jp/
子供の頃は、角打ちの出来る酒販店の前を通るのが嫌いでした。お酒臭いし酔っ払いが居るし。
親からは、堀川沿いは反対側の道を通るように言われたものです。
現在に置いては、どの口が言ってるのかって感じですが(笑
何時から文化として愛おしく思えるようになったのでしょう。
大正生まれの今は亡き祖父が、こちらのお店に時折寄っていたことを思い出しました。
冷(ひや)の日本酒をコップに注いで、美味しそうにキューッと呷る祖父でした。
祖父とは一度も外で一緒に飲むことは無かったなぁ・・・
現在、健在なのなら一緒に飲んでみたかった。
一杯だけの濁り酒だったり、車の日には一本だけノンアルビール。なんて。
(ノンアル派の方は、ここでソフトドリンクとスナック菓子なんてのも粋ですよ)
◆にごり酒国菊100cc160円
◆キリンフリー(小瓶)170円
その時いただいたツマミは、ゆでたまごだったり、芋天だったり。
芋天はレンジで温めて、ソースを添えてくれました。
缶詰も売価で、温めて一品のように出してくれます。結構美味しいんですよね。
昼間は三代目夫人がお相手してくれました。
昔の折尾の話で盛り上がります。
路面電車の始発駅が折尾だった頃の話、夫人が折尾にお嫁に来られた頃の話。
祖父が隣で聞いているような気がしました。
語り継がれ、受け継がれる折尾。
ずっとずっと続いて欲しい、社交場文化。
最後に立ち寄った日は、初雪が舞いました。
オープンな店内は寒くて。でも心は温かくて。
2017/05/27 更新
JR折尾駅東口から堀川に沿って高橋酒店へ向かう。
何度も。
シャッターが開くことは無かった。
揺るがざる悲しい確信。 …高橋酒店の閉店。信じたくない。
今年で創業一世紀。
再開発で、立ち退きの話は長くありましたが、頑張っていた角打ち酒屋です。
三代目のご主人が無くなって、店を守っていた女将。
黙々と働いていた四代目。
寒い日も暑い日も、盆も正月も、家族だけで休みなしに頑張っていた酒屋。
酒販価格で店で飲み、社交を楽しんだ客たち。
地元の立ち飲み文化の聖地と言われ、全国からファンが集まった角打ちの老舗。
今は、ツバメの巣だけが残されていた店先…
すぐそばに出来たコンビニと大きな通り。
あ…
コンビニの駐車場の車止めにもたれ、おじいちゃんが缶チューハイと揚げ物を買い、空を見ながら飲んでいた。
高橋酒店で見受けた顔。
行き場をなくした高橋酒店の常連さん。
一番近い場所といえば、このコンビニに違いない。
過ぎ行く時は、残酷で切ない。
イナゴの佃煮を沢山食べたら仮面ライダーになれると信じていた、四代目の幼少期の笑い話を思い出した。
同い年だった四代目。
今、どんな気持ちでおられるだろうか。
ありがとう。
お疲れさま。
近くで「思い出の折尾駅」のパネル。
折尾駅も刻々と姿を変えていく。