ここでしか食べられない究極の干物を求めて全国から食通が足を運ぶ名店（#ひもの万宝） : ひもの 万宝

ひもの万宝＠静岡県下田市

伊豆急 下田駅から車で約10分、外浦海水浴場の近くにある干物専門店「ひもの万宝(まんぽう)」。

干物の販売だけでなく炭火で焼いてイートインで食べることができるお店。下田の海辺の小さな集落にあるが、ここでしか食べられない究極の干物を求めて、日本全国の食通たちが足を運ぶという名店。

昔から魚が好きで魚屋になるのが夢だったという先代が、昭和49年(1974年)に海の近くで鮮魚屋を始め、周辺の宿に刺身の舟盛りを届けたりしていたそうだが、干物の方が売れるようになったため、平成8年頃に干物専門店に転じたそうだ。

干物として扱う魚は下田産の特大サイズの金目鯛や伊勢海老の他、北海道のきんきや真ほっけ、江戸前のえぼだいやかます、長崎対馬ののどぐろなど、日本全国から厳選した旬の魚。干物で皮目も美味しく食べられるように、魚体が綺麗な一本釣りのものにこだわっているそうだ。

銀座の超高級寿司店などが扱うような極上品の魚を1枚ずつ手作業で丁寧に仕込んでいるので、値段もあっと驚くぐらいの高級品。この日店内のショーケースにあった干物は特大サイズの下田地金目鯛一夜干しが6200円、江戸前船形の立派なサイズのえぼだいが9400円、北海道羅臼の釣りきんきは15500円、北海道釧路の真ほっけは8500円、長崎対馬ののどぐろ紅瞳にいたって24000円の値段がついていた。

ノルウェー産のサバ（塩干しorみりん干し）は1枚1080円、小さいサイズのえぼだい一夜干しは1枚864円、千葉勝浦の釣り金目鯛のカマは1ヶ500円と比較的リーズナブルな商品もある。ただし、家庭のコンロでは焼けないような特大サイズの高級魚を、店内の囲炉裏の最上級紀州備長炭で香ばしく焼き上げるのが「万宝」で干物をイートインする醍醐味なのだそう。

ちなみにグルメ本やテレビでも多数紹介されている名物の「伊勢海老の干物」は、伊豆下田での伊勢海老漁が解禁になる10月から翌年5月まで。今回は6月なので伊勢海老の干物は扱っていなかった。

伊勢海老の干物を始めて世に出したのは「万宝」の先代が1994年頃に地元下田で水揚げされる伊勢海老をどうにかして干物に出来ないかと研究を重ねて商品化。今では沢山の干物屋で伊勢海老を干物を扱っているが、活きた伊勢海老で作るのは「万宝」だけらしい。

日曜日の12時～13時の回の炭火焼きイートインを事前に電話で予約。電話で対応してくれた店主は物腰柔らかかく、お店のアクセスや注意事項など丁寧に伝えてくれる。干物はその日によってラインナップが変わってくるが、だいたいの予算としては1人7000円から10000円ぐらいが目安になるとのこと。


●炭火焼き料金 2500円
以前は干物1枚につき＋200円の焼き代でイートインの提供を行っていたが、あまりにお客さんが殺到するようになったことや、感染症対策で人数を制限する関係もあって、現在は事前予約制で1組4名の1テーブルあたり1時間2500円の炭火焼き代金となっている。
お店では干物以外は一切提供しないので、ドリンクやご飯、おにぎりなどは持参。お酒の持ち込みもOK。伊豆急 下田駅方面から「万宝」のある外浦地区に向かう国道沿いに、道の駅「開国下田みなと」やセブンイレブンがあるので、お酒やおにぎりはそこで調達するのがオススメ。白飯が食べたい場合は、パックご飯を買って行けば店内の電子レンジを使わせてもらえる。


●下田地金目鯛一夜干し(大) 6335円
下田の地金目はここ数年は漁獲量が減って、漁港の競りにたまに出ても目が飛び出るほどの高値で、よほどの高級店や高級旅館でないととても手が出ないほどだそう。「万宝」は元々鮮魚店だったため、競りの権利を持っており、足繁く市場に通って競りに上がる中からきれいで型のいいものを選んで仕入れているそうだ。この日の下田地金目鯛は一尾1.2kgという特大サイズの半身で約6000円。

金目鯛は脂と水分も多い魚なので、干物にすること程よく水分を抜けて旨味がギュッと凝縮されている。丁寧に鱗をとっているので、皮まで美味しくいただける。香ばしいパリッとした皮目は干物ならではの美味しさだ。身を食べ終えた後に頭やカマをもう一度焼いて骨せんべいにして出してもらえる。

金目鯛の旬というと一般的には脂がたっぷり乗る12月から2月の寒い時期になるが、下田近海の地金目鯛では夏の産卵前の5月から6月にもう一度旬が来るそうだ。真冬の脂こってり地金目鯛に比べてライトにはなるが、春の小魚やエビをたらふく食べているので脂の質がとてもよく、逆に冬よりこっちが好きという地金目ファンもいるぐらいなのだそう。


●江戸前船形かます一夜干し 2702円
千葉館山の船形港で水揚げされた型の良い特大の本かますの一夜干し。身のキメが細かくふんわりと軽やかな食感の白身。薄塩でふんわりした甘みを引き出していて、濃厚で上品な脂が全身にのっていて最高。
「魚より前に出ない塩加減」を目指して、釣った魚を熟成させて塩水に浸し、冷風乾燥するだけというシンプルな工程で全て手作業で減塩で仕込んでいる。冷凍もしないので、作り置きはせず、翌日に並べる商品は前日に開いているそうだ。


●駿河湾産メヒカリ丸干し 1100円
骨ごと食べられるメヒカリの丸干し。クセのないふんわりと柔らかい身質とトロっとした脂が口に広がる。水深200m以下に生息する深海魚で目が光ってみえることから「目光」と呼ばれてる。小さい身体でも脂の乗りが特徴で、これは深海の水圧に耐えるために身体に脂を蓄えているためだそう。