年明け駿府詣ではやっぱりここから！ : ロストコーナー

正月三日を過ぎては、伊豆の南端を抜け出した。

三島駅で昼少し前に客人をピックアップ。
「お昼どうする？」
とお互いに思案してはそういえばと思い出した店。
「ねえ、カレーの美味しいお店があるんだけど？」
「いいよ。」
とのことで未だ松の内のお店に営業の確認をするとやっているとのこと。
「では、1時間後くらいに参りますので。」
と、お願いをしては
霊峰富士を背に東名を駿府方面に走るはしる、走る。

私はこれで何度目だろう？
昨年この店を知っては静岡に向かうときのランチの定番になりつつある。

車を停めて店内へ。
二人だったので足を落とすテーブル席へ。

お願いしたのは限定のチキンミントとポークビンダルーのあい掛けを、ごはん少な目で。
一緒の人はマトンドライキーマとのあい掛けを。

相変わらずの面白い店内。
個性的な絵や色紙や・・・何しろ面白楽しくカオス。
そんな店内を楽しんでいるとカレーの到着。

安定の粒マスタードのサラダ。
さらさらのご飯を挟んで2種類のカレーが「はっけよい」。
時間いっぱいになったので私は行司気分で崩し食べる。

豚肉ごろごろのポークビンダルーはやっぱり・・・良い。
ミントの葉をあしらったチキンミント、このバランス感覚に拍手・・・スパイスの効いたさらさらのルーとミントのすっとほろ苦い香りとの合いの手が素晴らしい。
鶏肉にもそりゃあ合う。

大満足でごちそうさま。
幸先の良さは背後に聳える霊峰富士の艶やかでエッジの効いた姿にも似て。

さて、
大御所様のおわしました「駿府詣で」とまいりましょうか。

ここでちょっと地元静岡県レビューを。

日本晴れの多い冬なのに、京都への行きも帰りも新幹線からは霊峰富士は見られなかったなあ・・・なんて思ったら暦は七草。
休みもあと少し、がっつり時間があるのもあと僅か・・・ドライブでも行こうかと思い立った。

高速は面倒だから国道で、海岸線と富士山のコラボレーションを愉しむドライブなら国1がいい。
正月なりに道は混んでいたが思ったほどでもなく、120キロばかり(注:往復250キロになるわいな)のドライブ、2時間弱で清水まで来ることが出来た。
初売りやバーゲンは興味が無くなった。
以前は渋滞＆込み合う駐車場に我慢の子でデパートに駆け込んでいたが、今年は家でぬくぬく。
バーゲンはネットで済ませて・・・便利な時代になったもんだ。

清水で降りて、ランチはカレーにしようと決めていた・・・だって七草だし(笑)
店は年に1度見るか見ないかという午前中のローカルテレビで紹介されていたのがきっかけ。「あなたのかわりに・・・」の静岡在住のブロガー・エース氏も取り上げており「これは本物かも」と、ずっとBMしていた。

右手にフジヤマ、左手に駿河湾・・・ああ、まさに「パラダイス★駿河」(笑)
最近ずっと新東名経由で静岡入りしてたから殊更新鮮だ。

目指す場所は住宅街の中。
勝手知ったる界隈。
バイパスを降りれば直ぐだったのでドライブコースに入れて正解。
駐車場に車を止めて店内へ。
あ、靴脱ぐんだ、よかった、ロングブーツじゃなくて・・・なんだか知り合いのお宅にお邪魔したみたい。
店内は新しいはずなのにカオス感がすっぽり。でも、こういった場所にありがちな押しつけがましさは微塵も無く、よくよく馴染んでいる。

お店の顔とも言えるご店主は不在だったけれど
厨房には若い男性店員さんがひとり。
朗らかな女性の店員さんがメニューの詳細は丁寧に教えてくれた。
辛いのでもOKなので、ポークビンダルーを。
豚肉が好きなので譲れない(笑)

粒マスタードをあしらったコールスローサラダ、単調になりがちなコールスローに味に変化がついて○。
ポークビンダルーは・・・さらさらのゴハンにさらさらのルー。
辛味は控えめ、上顎で嚙み潰せる柔らかい豚肉がごろごろ、2種のアチャールも食感香り共に良いアクセント。
鶏と豚とは違えど、無理爺…いや失礼、有無を言わせずムルギランチとして知られる東銀座ナイルレストランのルーにも似た完成度の高い、さらさらと本格的な感じ。
個性が光るカルダモンが殊更薫り、さくさくと爽やかで小気味良い優しい味わい。

お客さんが空いて来ると、中南米の緻密な地図や絵画をお店の女性があれこれ教えてくれた。
壁にどんと掛った宮崎アニメの自然のような精緻な絵画は虫眼鏡でじっと見ると色々なシーンが伺えた・・・京都のカフェから、この週末は小さい作品によく出会うもんだ(笑)虫眼鏡大活躍。
その他の大小の絵も特徴があって面白く過ごせた。
「買ってきた本人がいないのが残念ですが・・・」とのこと。
次回は是非こちらのマスターに直接聞いてみたいと思う。

けれど、この日お話させていただいたお店の女性とのやり取りも楽しかった。
「下田」から来たと告げるとたいそう驚かれた・・・「島田」と間違えられなくてよかった。
七草とはいえ正月七日との事で小菓子までいただいた。

帰りは広重の絵画から抜け出たような由比の群青色の海に峠越しの悠然とした富士山を見遣りながらのドライブになりそうだ。
あ、その前にこの近所でもう一軒、スイーツ行こうかね。

美しい風景・美味しいカレー、
こいつぁ春から清水から、
あいや縁起が、いいわいな。