ここより美味しい寿司屋はあるが、ここほど面白い寿司屋は稀有だろうね。アハハハハッ！ : NARUMI

◼︎ 基本情報
□ 地域：大分県＞大分・竹田・臼杵
□ ジャンル：寿司
□ 食べログでの評価
(2017/12/17)★3.59/7口コミ［4位/148軒］

◼︎ ディテール
大分県佐伯市のJR佐伯駅から徒歩15分弱のところにある寿司屋だよ。

佐伯市は人口7万人、豊後水道の出入口に位置する大分県南部の自治体だね。
瀬戸内海と黒潮の流れる太平洋とを結ぶ豊後水道は複雑なリアス式海岸という地形と相まり、好漁場となっているおり、佐伯ではそこで水揚げされる魚介を使った寿司で町おこしをしているよ。

こちらNARUMIもそうした寿司屋の一軒となるが、聞けばこちらのご主人、カナダ・バンクーバーでの経験もお持ちだそう。
東京都杉並区の波やしや秋田県由利本荘市の鮨駒のご主人はアメリカ・ニューヨーク、「寿司のファンタジスタ」福岡県大野城市の菊鮨のご主人はモナコと海外での経験を積んだ職人はなかなかに面白い寿司を見せてくれることが多いね。

そんな期待を持ち、お伺いした次第だよ。

◼︎ 訪問時の状況

□ 訪問時間：平日20時
□ 予約有無：事前電話予約済
□ 混雑状況：1組３名［待ち時間なし］*1階カウンター席のみの状況

◼︎ 西島兵庫の感想

□ 料理・味：★3.5/ 新たな試みに富んだ寿司
□ サービス：★4.0/ ご主人の勉強熱心さが窺える
□ 雰囲気　：★3.5/ こじんまりとした雰囲気
□ コスパ　：★5.0/ CPは国内最強クラス
□ 総合　　：★4.1/ ここほど面白い寿司屋は稀有だろう
(3.85)

□ オススメ：5000円コース(5000円)

各項目の詳細は、下記に記載したので、お時間のある方、興味のある方はどうぞ。

◼︎ 料理詳細

［2017/11］
□ 5000円コース(5000円)

酒肴① かぶの炊き出し かぶ、あら、くり、にんじん

甘い出汁に辛い柚子胡椒が合う

酒肴② 刺し盛り・石垣鯛
酒肴③ 刺し盛り・真鯛
酒肴④ 刺し盛り・ぶりとろ
酒肴⑤ 刺し盛り・ささがれい
酒肴⑥ チーズ入りじゃがいももち あんかけ わさび
酒肴⑦ 天ぷら

寿司① ニューカレドニア産天使のえびの握り 低温調理
寿司② きんめの握り マッスル 本きんめとは違う
寿司③ ぶり４枚乗せの握り
寿司④ しめさば２枚乗せの握り
寿司⑤ 本かます焼きの握り
寿司⑥ まぐろの大とろの握り
寿司⑦ さわら炙りの握り
寿司⑧ 対馬産煮あなごの握り

御酒① GARGERY Xale(800円)
御酒② 〆張鶴 純×2
御酒③ さちかぜ

酒肴7品(刺身4点盛りを4品でカウント)＋握り8貫のコースだよ。

-----------------
⚫︎ 酒肴全般
寒い時期になってきたので、蕪の炊き出しでスタートだね。
そのままだと甘めの出汁だが、これに黄金の唐辛子を使った自家製柚子胡椒を合わせると味にメリハリが増すよ。
一品目からなかなかのハードパンチだね。

酒肴の中核をなす刺し盛りは石垣鯛・真鯛・ブリとろ・ささがれいの４種類。
麹とブレンドした塩、それにブラックペッパーを加えたもの、オーソドックスなわさび醤油でいただくよ。
特に印象に残ったのはブリとろで、噛めば噛むほど味が出るね。
上品な白身のささがれいも調味料が映えて、美味しいよ。

だが、この後は失礼ながら、おまけだったね。
チーズの入ったじゃがいももちのあんかけは何となく居酒屋料理だし、天ぷらは田舎割烹のようで刺し盛りとの落差は激しいね。
恵まれた漁場を持つ佐伯だからこそ、ここは魚の焼き物とかを出して欲しかったよ。

酒肴の構成は多少検討の余地があるように感じたね。

⚫︎ 握り全般
「ここはラボか？」

と思える握りだったね。
この握りにはご主人の独創と研究が織り込まれているよ。

白酢を使ったシャリは赤米等を独自にブレンドしたもののようだね。
それに熟成したネタを薄く切り、異なる部位のものを二枚、三枚と重ねて握っているよ。
写真を見てもらえればわかりやすいが、まるでしんこの様にぶりが重ねられているね。

正直、その試みが全てうまくいっているとは言えないが、試みないと達せない領域というのはあるはずで、ここの握りはその領域に達する挑戦権は得ていると言えよう。

ご主人の試行錯誤の過程は実に興味深く、可能な限り伺ってみたいと思わせる店だよ。

◼︎ 総合
実に面白い寿司屋だったね。
ここより美味しい寿司屋は知っているが、ここほど面白い寿司屋は稀有と思うよ。
天ぷらを含むコース構成や試行錯誤のマイナス部分等のネガティブな要素はあるが、それ以上にご主人の意欲的な挑戦が持つ可能性に期待したくなってしまうね。

最近、週刊少年マガジンに連載されている「はじめの一歩」という漫画が話題を集めているのをご存知だろうか？
彼此30年に渡り連載されているが、主人公の幕の内一歩がパンチドランカーの疑いが濃厚で、そのまま引退するというバッドエンドを漂わせる衝撃の展開がその原因だよ。
斯いう兵庫もかつては愛読者の一人であったので、そうした展開に衝撃を受けているが、この店を見て、この漫画に登場する名伯楽・鴨川源治の有名なフレーズを思い出したね。

「努力した者が全て報われるとは限らん。
しかし！成功した者は皆、すべからく努力しておる！」

この店にはそれがぴったりと当てはまるよ。アハハハハッ！