新潟あっさり魚介系の名店なり : おもだかや 女池店

2023年11月
「ワンタンメン1,000円」
　家族がどうしてもここで食べたいとゴネる。日曜の混雑ピークの時間帯、外まで並んでるじゃないの。しかし別に予定もないので、ここは一つ合わせておいて貸しを作ろう。と、列に並ぶこと27分。三人だったのでテーブル席へ。私はワンタンメンをオーダー。すると、支那そばをオーダーした二人が餃子も一皿食べるとまたゴネて、いらないのに、と思いながら追加オーダー。
　5分ほどで着丼。なんかいちいち納得できずに憮然として食べ始めたが、一口スープをすすればニッコニコの恵比寿顔になってしまう。ワンタンのちゅるちゅるビラビラした食感がたまらない。細麺のすすり心地にGo To Heaven。昆布グルタミン酸マックスのスープを腹がちゃっぶんちゃっぷんするまで飲みきった。ワンタンメンは大丼で来るからスープの量がパネェ。
　27分の鬱屈は、食後には雲散霧消して跡形もなし。偉大なる名店に感謝。

2023年6月
「おもだかそば900円」
　店名を冠したメニューは、看板メニューであることが多い。今までその存在を知ってはいたが、一度も注文したことは無かったのだ、おもだかそば。倒置法。なぜならばこちらの店には、ワンタン麺という、県下に名を轟かせている名物メニューがあるからだ。遠いから滅多に来れないこの店で、これを頼まずに他のメニューを注文などできるであろうか、いやできまい。反語表現。
　しかしいつまでも未食という訳にもいかないので、暇を作って平日にわざわざ一番乗りでやって来たわけだよ。そして開店前に着いた駐車場。体言止め。開店時間8分前だったので、駐車場でそのまま待機していた。すると、「準備中」と表示が出ているにもかかわらず、常連らしいオッサンが一人、扉を開けて店内に入っていった。しばらくすると、どこからともなくまた一人…。結局、「営業中」と札を掛け替えられる前に5～6人の客が店内に入っていった。駐車場には続々と自家用車がやってくる。すごいなあ、平日なんだけどなあ。
　そろそろ潮時かと、私も入店した。カウンター席に着き、お冷やが出たところで「おもだかそば一つ」とオーダー。カウンター内では4～5人が立ち働き、暗号のような言葉が飛び交っている。
「2番テーブル、チャーワ、オモチャカタ」「7番チャワワダイショッパ」などと数人が復唱している。
チャーシュウワンタンメンとか、おもだかチャーシュウメンの麺固めとか、チャーシュウワンタンメンのくきワカメマシ大盛りを味濃いめとかの意味なのだ。聞いていると面白い。
　おもだかそばは、軽く炒めた野菜の載った中華そば。シャシンではチャーシュウの裏に隠れて見えないが、キャベツ、ニンジン、モヤシ、タマネギがどっさり。ゆで豚チャーシュウは2枚。あとはメンマ、ワカメ、刻みネギ、茎ワカメ。トッピング豊富な一杯だった。
　麺は「新潟あっさり魚介系」ど真ん中の極細麺。24番かな。
　豚骨、煮干しのすっきり非乳化スープ。脂っ気が無くサッパリしつつ、じんわり旨みが抽出された極上スープだ。
　ああ、旨かった。看板メニューに敬意を表して実食し終えたので、今度また来て大好きなワンタンメンを食べようっと。

2020年2月
「支那そば 税込650円＋餃子300円」
　時の経つのは速い。しばらく来なかったな、と思ったらなんと9年ぶり。しかしまさしく十年一日のごとく賑わう店の光景は変わらない。開店5分後だというのに、店内待ち十人目だよ。祝日だからね。…とは言っても、こちらの店は回転が速いから心配することはない。待つこと十五分でカウンター席へ案内された。…その間も続々と客が押し寄せている。
　オーダーを聞いていると、野菜入りの「おもだかそば」をオーダーする客が多い。だがやはり、私は「支那そば」。餃子も一つお願いします。…常連らしき人は、デラックスにメンマ固めでねぎ多めだの、ワンタンメン葱抜きだの、いろいろカスタマイズしてオーダーしている。しかし、店主はじめ五人のスタッフは淡々とオーダーを復唱し、待ち客をどの席でさばくか等も身近な言葉のやり取りで決めている。…プロだねえ。
　支那そば着丼。麺は22番極細麺。昆布だしがこれでもかと効いたあっさりスープ。旨い、旨いねえ。新潟あっさり魚介系の代表的な一杯だった。
　このあっさり味だと、ぎょうざを食べちゃったら味がしなくなっちゃうんで、ラーメンを食べ終えてから餃子に取り掛かる。おお、餃子も薄皮であんたっぷりで旨い。これで五個300円というのは、大サービスだよなあ。

　豚骨、鶏がら煮出しに煮干しがほんのり混じっている。そして昆布の旨みが強い。
　しょうゆ色は薄く、新潟魚介系ラーメンを代表する店の一つである。
20番の細麺。加水率は平均的で、ほぼストレートな麺。
　チャーシュー２枚はオールドタイプなつくりだが、これで十分。他にナルト、メンマ、きざみねぎのトッピング。特徴的なのは茎わかめだ。歯ごたえがあり、食べ進めるうえで楽しいアクセントになっている。この茎わかめの茹で汁も、スープに混じっているのかもしれない。

　さっぱりと軽い味わいで県民に愛されている老舗の味。１号店は竹尾店。
　野菜の載った「おもだかそば」やトッピングの変化を付けたメニューはあるが、基本的にラーメンはこの一種類。あとは餃子だけ。
日曜の昼は大勢の客が押し寄せるが、細麺だから麺ゆで時間が早く、客の回転が速いため、それほど待たない。