優しく引かれ香る出汁に包まれて。 : 木山

京都の木山さんに再訪です。

食べログアワードSilver

初めての個室貸切会にて。
個室は4名以上だと貸切になるそうです。本日は仲良しマイレビュア様たちと6名利用。想像以上に贅沢な空間使いで居心地いいですね。L字型なので横並びのカウンター席より皆で会話もしやすく気に入りました。

木山さんも要所で顔を見せに来てくれますし、若い衆も木山さんの目の届かない個室で肩の力が抜けて会話も弾み…笑、まったり楽しい雰囲気。

この品数が全くストレスレスなタイミングで提供されるのは流石。それでいながら慌ただしい訳でもなく、和やかに会話が弾む素晴らしいホスピタリティ。いつの間にかどんどん増えていると若い衆がこっそり教えてくれた骨董名器を出し惜しみなく披露までしてくれてドキドキします。どの料理も他で見かけない木山さんの湧き出る泉のようなアイデアが詰まっていて楽しくて仕方がありません。一皿一皿全てに唸り声を上げてしまうほど完璧なコース構成内容。どれか一つを選ぶことは出来ませんが、名物の出汁で炊いた鱶鰭は記憶に残る一品。出汁の仄かな香り味わいに雲丹の塩味が足されてきれいにまとめて流石。伊勢海老の豪華な椀種に対してギリギリまで優しく引いた吸い地はもはや感動的。白甘鯛の火入れも九条葱のソースと合わせて素晴らしかった。是非ともまた食べたい。〆は4品から選択。勿論、迷わず全ていただきます…笑。いゃ〜美味しいものって、いくらでも食べられるものですね…笑。この内容でこの価格。3万オーバーが当たり前の昨今、ふと我に帰る気持ち…。今後も定期的に通い続けたい、大好きなお店です。


昼の2万円コース。

・鮑の飯蒸し
・河豚出汁の小椀 えのきすりながし
・卵豆腐と鼈の煮こごり、松葉蟹
・伊勢海老のお椀
・平目の造里
・河豚湯引き
・鰹出汁で炊いた鱶鰭、雲丹
・白甘鯛の焼物 九条葱ソース
・穴子の焼き霜 梅肉ソース
・白魚の天ぷら 唐墨
・雲子フライの卵とじ丼
・鰻茶漬け
・蟹出汁にゅうめん
・鰹節じゃこ丼
・デコポンジュース
・抹茶と菓子

京都の木山さんに定期訪問です。

今や京都は都内と同じく予約困難店がひしめくグルメの街。自分が15年ほど前に京都で食べ歩きをしていた頃は、現在全く予約が取れない人気店も1〜2週間前に普通に予約が取れました。現在の状況はまさしくグルメバブルと言っても過言ではありません。バブルと言えば弾けてしまうのが心配ではありますが…お気に入りの店を大切にしていきたいと改めて。

さて、目の前で削りたての出汁が楽しみな当店。
鮪節、荒節、本枯節をブラインドで当てる恒例のクイズも慣れたもの。外れたら椀物は抜きになりますと木山さん…それはナシで！笑。鮪節は香りだけで即答できますが、本枯節を当てられないと折角長い月日をかけた甲斐がありませんので緊張が走ります…笑。しっかりと旨味が凝縮された味わいを確かめて、本日は無事に正解しました♪見事に外した友人たちにも椀物は出されましたので心配には及びません…笑。

目の前で削りたての出汁だけに話題が集中する当店ですが、開業したその年にミシュラン星を獲得したのも記憶に新しく、流石は和久傳での修行の賜物。鮪や鰹節だけではなく、先付の後にグジ出汁の子椀を入れたり、古くから牛肉文化のある京都らしく京都牛サーロインの皿など緩急つけた構成も魅力的。此の地ならではのやわらかな井戸水を使ったお椀は、神経を研ぎ澄ませてギリギリでようやく旨味を感じる絶妙な吸い地の加減が京都らしさ。そこに毛蟹の甘みが溶け出て更に出汁の旨味を引き立て、最後に飲み干してからの余韻で日本酒が進む。嗚呼、至福。勿論、選択制の〆のお食事は全て戴いて御馳走様でした。

この内容で2万円というのも、今や価格高騰で天井知らずのグルメ界において良心的。ふと我に帰る気持ちです。

次回の訪問が近づいてきて、慌てての思い出しレビュー、失礼致しました。

2万円のコース

白とり貝、新銀杏の飯蒸し
黒鮑、冬瓜、グジ出し、焼き茄子すりながし
胡麻豆腐、帆立、岩茸、赤うに、トマトジュレ
毛蟹真丈のお椀、キクラゲ、椎茸
造里 グジ、目一鯛、笛吹鯛
京都牛サーロイン
穴子焼き霜
ばちこ、蛸天ぷら
車海老 胡麻だれ 白芋茎
グジ 湯葉
鱧フライ卵とじ
へちこ茶漬け
鯖寿司
おじゃこ御飯
葡萄シャーベット
わらび餅
日本酒おまかせ。

最近、京都の日本料理店の中でも特にお気に入り。
次回の予約を取って通っている店は当店ともう一つだけです。

・鮑の飯蒸し　海胆（大間）とコシアブラ
・吸物　うすい豆のすり流し　車海老とジャガイモ饅頭
・とげくり蟹と白海老　
・お碗　鯒と胡麻豆腐　蓴菜
・造里　アオリイカ（駿河湾）、黒むつ
・鳥貝（舞鶴）炙り　ピンピン貝
・イサキ
・京都牛と花山椒　賀茂茄子
・スズキの天ぷら、山独活、コシアブラ
・桜海老のかき揚げ
・蓮根のお粥　浅蜊出汁
・じゃご節丼
・氷菓子
・まらび餅
・日本酒　料理に合わせて

2万円のコース。

あぁ、大満足。
やはり格別。いや別格。
このコース価格でこの満足度、やはり初訪の感動は間違いなし。

その季節だけの高価な食材を詰め込んだコース料理構成も大好きではありますが、様々な店を巡ると、どうしても同じような料理構成になってしまい正直、失礼ながら飽きてしまいます。季節ごとに伺いたい店が多くありますが、自ずと花山椒の季節はこの店、鮎ならあの店、松茸なら、蟹ならと制限せざるをえません。当店は季節を感じながらも高級食材だけのコース構成にせず楽しませてくれるので、頻繁に通っても楽しめますね。

お馴染みの荒節・本枯節・鮪節を巧みに使い分ける其の拘り。
目で見て季節の彩りを楽しみ、節が香って嗅覚を擽り、食べて味わい美味口福極まれり。

季節ごとに京都に伺うのが益々楽しみになってきました。

烏丸御池駅から徒歩5分。

店主は木山義朗 氏。

2017年4月に開業したばかり。店主の木山氏は和久傳の料理長を務められた方で、瞬く間に噂が広まり、昨年の京都で最も話題を集めたお店の一つと言っても過言ではありません。

水を打ったアプローチも趣深く、胸高鳴ります。
店内はカウンター席の他に個室もあり。立派な一枚板のカウンターなど設えも素晴らしいですね。

夜のコースは2万円。

・白湯
・先付 ばちこと帆立の飯蒸し
・盃一献
・柚子釜　海胆と白子と霙蕪
・穴子の焼霜　菜種、辛味大根、梅肉ソース
・お椀 蛤と胡麻豆腐
・造里 ノドグロ、赤貝
・焼物 新潟鴨の炭火焼
・唐墨餅
・葉山葵蕎麦
・揚物　天ぷら（白魚、タラの芽、蕗の薹と味噌）
・炊合　車海老、菊菜、丸大根、京人参
・お食事　牡蠣卵とじ丼、蟹雑炊、鰹節とじゃこ御飯
・洋梨ジュース
・菓子　百合根金団と抹茶
・日本酒
26500円也。


終始圧倒され夢心地。

白湯は何と井戸水。とても良い水が汲めるのだとか。出汁の塩梅にも大きく影響する水が良いのは大事なポイントですね。

当店は鰹節、鮪節を直前の削り立てで使用する拘り。荒節、カビを付けて熟成させた本枯節、鮪節の3種。店内中が削りたての香りに包まれて堪りません。味見してみたいな〜と話していたら、食べさせてくれました。もう、この時点で唾液が溢れます(笑)。

飯蒸しは煮えばなの甘みある柔らかな餅米にばちこの塩分が程良く、帆立の旨みも合わせて口中で広がる味わいが素晴らしい。一品目で既に虜に。柚子釜にふっくらトロける白子と蕪の霙。酸味、甘み、苦味の三重奏が美しくまとまる心地良いハーモニー。穴子は表面パリサクっと中はふっくら。辛味大根に梅肉のアクセントも食欲を大いに掻き立ててくれます。お椀には立派で見事な蛤。削りたて節が仄かに香り、何処までも控えめで優しく心に沁み入る味わい。目を閉じて舌の感覚を研ぎ澄まし、ようやく其の味わいを感じる、和久傳で経験を積まれた店主らしい出汁の引き加減と感じます。歯応え食感をしっかりと残しながら旨みが溢れる存在感あるノドグロのお造り、鴨のしっとりとした絶妙な火入れ加減。炊合せもまた、削りたて引き立ての出汁の味わいが食材を優しく包む味わい。途中に手打ち蕎麦や唐墨餅など緩急をつけた手の込んだ構成はお見事ですね。お食事は何と3種、これは嬉しい！一品目の卵とじ丼からしてツボでしたが、さっぱりとした蟹雑炊を挟んで何とまたもや削り立ての鰹節を山盛りにしたじゃこ丼で〆！この最後の〆丼が物凄く美味しくて悶絶。最初から最後まで削り立ての節の香りに包まれた至福のひと時。京都らしく店主自ら点ててくださった抹茶〆でほっこり。

日本酒の品揃えも豊富でお猪口1杯の味見までさせてくれるとは驚き、嬉しいですね。

これで2万円のコースとは。豪華食材ばかりに飽きていたこの頃、心から満たされました。

店主は人の良さが滲み出るような物腰柔らかさで、初訪問の我々とも気軽に会話に付き合ってくれました。美人女将さんも優しく居心地良い滞在。若い衆も沢山いましたね、この中からも将来の日本料理界を背負う料理人が巣立っていくのでしょうか。

新たな美味口福なる出会いに満たされた夜。
其の出会いに感謝しつつ、これから四季折々のお料理を味わいに伺うのが楽しみでなりません。