利用しやすい洋食屋さんですが、料理のレベルはそれほど高くはありません。 : フルハウス

私は、平成5年1月から平成6年7月まで小田急江ノ島線の東林間で暮らしたことがありました。
結婚してすぐだったので、勤務先に社宅を申請することも出来たのですが、何となく新婚時代は社宅ではないところで暮らしたいみたいな気持ちがあり、経済的には厳しかったのですが、自分で貸家を見つけて住むことにし、それが東林間だったというわけです。

実は、住まいとしては田園都市線沿線に漠然とした憧れみたいなものがあり、鷺沼〜中央林間の間で探したのですが、金銭面で折り合いのつく物件が皆無。
仕方なく、更に手を広げたところ、不動産屋さん(確かエイブルでした)から、東林間に新築物件があって新婚さんにおすすめとの情報がもたらされました。
東林間のある小田急江ノ島線沿線とはそれまで全く縁が無かったのですが、不動産屋さんの案内で現地に赴いたところ、なかなか閑静な立地で気に入り、ほぼ二つ返事で借りることに決めてしまいました。

実際住んでみて、東林間はとても住みやすいところだったのですが、唯一の誤算は、その界隈は米軍のキャンプ座間の関係で、夜中でも飛行機の爆音が聞こえることを後になってから気づいたことです。
もちろん、不動産屋さんからは何の説明も無く、今ならちょっと問題になるくらいなのですが、その頃はおおらかだったのでしょうね。
それでも冒頭書いたように東林間では1年半の時を過ごし、今振り返ると、爆音も含めていい思い出になっています。
長女が生まれたのも東林間でしたし。

2022年のゴールデンウィーク中盤のこの日は、その東林間を久しぶりに訪れてみました。
横浜・戸塚在住中には、例えば相模大野にあったトイザらスなどの周辺の商業施設なども含めると何度かアクセスしている東林間エリアなのですが、いずれも車で行ったこともあり、東林間の駅周辺をぶらぶらするのは実に久しぶりになります。

この日は昼の早い時間に東林間に着いて、まずは駅周辺を散策してみましたが、さすがに数十年振りということもあり、その変貌ぶりには驚かされます。
駅ビルそのものはあまり変わっていなかったものの、以前は駅ビルの2階にあった飲食店は全て姿を消して、クリニックや格安床屋、エステ、銀行ATMなどに入れ替わっていました。
この飲食店、天ぷらの「やすけ」(矢助？)、タイ料理の「サワディーナニワ」など大変お世話になったお店ばかりなので感慨深いですね。
特に、やすけは、家内と（正確には家内になるちょっと前ですが・・）そこで食事をしている時に皇太子殿下(今の天皇陛下)のご成婚のニュースが流れていたことは昨日のことのように良く覚えています。

駅ビルを出て西口側から、良く通った飲食店の多い駅前通りを歩いてみましたが、唯一私が住んでいた当時からあったのは洋菓子の老舗「欧風菓子クドウ」のみです。
何度かお邪魔した中華料理店(名前失念)や鰻屋さん(確か「宮川」)あたりは跡形も無く消え失せていました。

この日、ランチで訪れたのは、その通り沿いにお店を構える当店です。
前記の中華料理店の並びのはずなのですが、通りからちょっと奥まったところに入口があるお店です。
当時からこんな形状の建物があったかどうかはあまり記憶にありません。

当店は、各種グルメサイトを熱心に利用しているお店と見られ、某グルメサイト系のホームページがある他、食べログも会員店になっています。
食べログ評価は3.35点とまずまずなのですが、会員店のこの評価レンジのお店には地雷が埋め込まれている確率もそこそこあるので、油断しないで伺うことにしました。

お店に着いたのは11時25分頃。
やや古びた外観のお店で、洋食屋さんにしてはお洒落な感じはあまりしません。
ただ、当店のオープンは、食べログ店舗情報によれば、2013年(平成25年)10月となっており、それほど歴史のあるお店ではなさそうですね。

オープンの札が掛かっているのを確認して入店しますが、店内は薄暗い感じで、テーブルや椅子もややくたびれ気味。
オープン8年半くらいでこれだけくたびれているのも違和感があり、居抜きで入った可能性は高そうですね。

それでも、厨房にいる男性店主とホール係の女性スタッフが明るく迎えてくれます。

店内はテーブル席のみで、計24席のキャパ。
先客はおらず、私はそのうちの1卓に案内されました。
卓上には紙メニューが置かれていますが、女性スタッフがメニューブックを持ってきてくれたので、両方を眺めます。
基本は、一品料理にサラダ、スープ、ライスの付く定食が中心なのですが、ドリンクの付いたホリデーランチセットというのもあります。
お値段は、いわゆる洋食専門店並みの価格で、決して安くはありません。
このお値段なら相応の料理を期待したくなりますね。

注文は、ハンバーグ＆カキフライのセット@1,550円にしました。
ハンバーグのソースを選べますので、珍しい旨みそというやつにしてみました。
注文後すぐにサービスの野菜ジュースが出され、その後スープ、サラダの順に運ばれてきます。
緑色をした野菜ジュースは、糖分の多いにんじんは使われていないと思われることもあってか、やや薄いジュースでした。
手作りと思われるところは評価出来るものの美味しいかどうかは別問題ですね。

サラダは、上にローストチキンが乗っているのが変化球ですが、それ以外は強調材料が無く、スープも中華スープ風で煮詰まり感があり、洋食屋さんのスープとしてはお粗末です。

メインのハンバーグ＆カキフライのプレートは、サラダ等の提供から6分ほどでの提供になりました。
鉄板での提供で、目の前で旨みそスープをかけてくれるので、ジュワッと煙が出てビジュアル的には美味そうなのですが、ハンバーグは火が通り過ぎており、しかも作り置き感のある鮮度の乏しいハンバーグで見た目ほどのインパクトがありません。
旨みそソースも味噌風味がそれほど強くないので、味の印象も薄めになりますね。

カキフライは3個で大きさは普通なのですが、これも作り置き感があって（特に衣の具合）、美味しいカキフライとは大きく乖離があります。
付け合せの野菜類も平凡ですし、1,550円取るならもう少しまともな洋食が食べたかったというのが本音です。
唯一好感が持てた料理は野菜ジュースだけというのではちょっと寂しかったですね。

接客は悪くなく、良心的な個人店であることは否定しませんが、やはりそれも料理のレベルが一定以上で初めて評価されるものだと思います。
居抜き出店の件もそうですが、そもそものセンスとしてどうなのかと思う点も多々見られたお店ですので、先行きは厳しいかもしれませんね。