相変わらずの好感度を誇る良店。 : カラス

カレー気分で向かうは、ネパール料理屋「カラス」。
前回のレビューを見たら、なんと8年前。
驚くほど空いてしまったけど、店に落ち度はない。

11時半前に入店すると、先客は2組。
長く続く店だけあり、さすがに客がゼロということはなかった。

店員さんに案内され、キッチンに近い2人がけ席に落ち着く。
メニューをざっと眺め、価格の変動をチェック。
前回頼んだDセットは950円から微増の980円。
昨今の状況を踏まえれば、この値上げ幅で踏みとどまってるのは驚異的だ。

今回は「Bセット」（890円）にして、カレーは激辛にすることを前提にマトンを選択。
辛さは「一番辛いの」と言うと「スーパーホット、大丈夫ですか？」と返され、もちろん即答でOKする。
ナンはプラス200円でチーズナンに変更。
ドリンクはアイスチャイにする。

ほどなくしてサラダとスープが運ばれてくる。
スープはサービスという。
熱々のうちにひと口すすると、だしの旨みを感じる酸味の利いたスープでなかなかおいしい。
具は鶏肉、ネギのこま切れが入ってる。

スパイスの匂いが立ち込める店内。
目の前のモニターではインド風のダンスを主体にした何やらコミカルな映像が流れてる。

そんな中、さらに待つこと5分ほどでカレーとナンが配膳。

サラダは千切りキャベツとレタスにオレンジ色のドレッシングという定番物。
思ったよりも甘くなくていい感じ。
レタスはもっとほしいけど。

カレーは赤みがかり、日本のカレーみたいにどろっとした口当たり。
マトンの旨味とスパイスの辛味が溶け込んでて濃厚な味わい。
小さな肉が数切れというのが物足りないけど、おいしいマトンカレー。

チーズナンは、見るからにチーズの量が多い。
手にどっしりとした重みを感じる。

ふわふわモチモチ、時々サクサクの食感で甘みと塩気のバランスもちょうどいい。
チーズの伸びはそれほどでもないけど、食べごたえがかなりある。

総じておいしく、コスパのいいカレーセットだと思う。

食後に店長らしき店員さんと少し会話を交わし、顔を覚えてもらえた。

50円引きのクーポンが付いたショップカードを受け取り、退店。
外に出ると、入口付近に「冬季期間中はスープのサービスを行っております。」との手書きの張り紙を見つける。
今の気温は22℃で、もはや冬じゃないけど、このサービスはありがたい。

そういうサービス精神が長く続く秘訣なのかもしれない。
そんなことを思いながら、再訪を決めた。

[2024.4.16訪問]

天気のいい日曜日に地元のネパール料理店「カラス」へと繰り出す。
藤沢駅北口から村岡トンネルに続く道を7、8分ほど歩くと、通り沿いの左手に見える。

前に同じ場所でカレーを食べたことがあるけど、そのときの店はどうやら別物で、この店は昨年オープンしたようだ。

12時少し前に店に着くと先客は1人のみ。
この時間帯にしては思ったより少ない。
どこに座っても大丈夫そうだけど、4人掛けは避け、左手の2人掛けのテーブル席につく。

あらかじめ置かれてるメニューを見て、チキン、ダル、野菜の3種のカレーが楽しめるDセット（950円）を選択。
これは「ダルバト（ダルバート）」と記載されており、ネパール料理での定食のようなものらしい。
辛さは5段階の4つ目の「辛口」にし、ドリンクはラッシーにして注文。
プラス150円でマトンカレーをおすすめされたけど、多すぎになりそうだからやめておく。

間もなくスープとサラダが先行してやってきた。
鶏ベースのスープはしっかりとした味付けで、玉ねぎや細切れの鶏肉などが入ってる。
なかなかおいしい。

サラダは新鮮ぽいレタス、キャベツ、ニンジンに、どろっとしたオレンジのドレッシングがかかる。
定番ながら前菜としては上々だ。

さらに待つこと数分でカレーとライスが銀色のプレートにのって配膳。
基本的にはインドカレー風だけど、ナンの代わりに白いインディカ米が目を引く。

野菜カレーはブロッコリー、カリフラワー、エリンギ、インゲンが器にぎっしり。
カレー味の煮込みのようで、スープはほとんどない。
野菜のさくさくした食感にちゃんと辛さもあってておいしい。

チキンカレーはさらっとしたスープ。
これはおなじみのカレーで、辛くしてあるものの味に深みがなく、チキンにも旨味を感じない。
ちょっと残念。

ダルは小さい豆がいっぱい入ったとろみのあるスープでやさしい味。
辛さに疲れた舌を休めるように食べるにはいい。

プレートの真ん中の小さなカップに入った「チャトニ」はチャツネのことのようだ。
トマト風味のペーストで、カレーの合間に食べるとさっぱりできる。

バースマティーというライスは細長い形状で、食べる前からインディカ米特有の香りを感じる。
サラサラしてておいしい。

途中で店員さんがラッシーと辛味ソースを持ってきてくれた。

唐辛子ベースの辛味ソースは赤くて辛い。
おいしいんだけど、カレーとはちょっと合わない気も。
ライスに直接つけて食べたら、まあ普通においしい。
なんかナンも食べたくなってきた。
サービスでもらえるし、店員さんにお願いする。
さらにマトンカレーもやっぱり追加注文。

奥のキッチンからパタパタと生地をこねる音が聞こえ、しばらく待つと、ナンとマトンカレーが一緒に出てきた。

ナンはもっちり系というより、ふわふわ系。
バターは控えめ。
でもふっくらと焼き上がってておいしい。

マトンカレーは、スパイスのきいたスープにはマトンのコクが加わっていい感じ。
カレーの中ではこれが一番おいしい。
マトン自体はあんまり食べないんでよくわからない。

でも量にも味にも満足できるセットであることは間違いない。
この店は料理に加えて細やかな接客もいいし、ネパールっぽい雰囲気を醸し出してる内装や手書きの素朴なメニュー、民族楽器のような音色のBGMなど、全体的に好感が持てる。
ただ、キッチンそばのテレビで流れてる「NHKのど自慢」は明らかにミスマッチだった。

ちなみに、店名の「カラス」とは壺みたいな容器のことらしい。
チラシに載ってるイラストを店員さんに見せてもらった。
なるほど、これか。
それより、このチラシ、「グランドオープン」の文字が消されてるところを見ると、1年半前のオープン時に刷ったもののようだ。
いまだにさばききれてないのはどういうことだろう。
12時半まで他の客が誰も来なかったのは偶然じゃないかもしれない。

会計時に初めて見たキッチン担当の店員さんは、おじぎしながら満面の笑みで送り出してくれた。
がんばってくれてるのに客が少なくて申し訳ない気持ちになった。
もっと繁盛してほしい。

[2016.12.11訪問]