季節料理 初冬 : 日本料理 梅林

クリスマスイブの夕飯は関内駅と桜木町駅の間くらいにあるこちらのお店で。当初、フレンチを予約していたのだが、愛しい嫁さんから和風なのがイイなとリクエストがあったのだ。クリスマスイブの夜に老舗の料亭ってのも面白いかも！？と思って、フレンチをキャンセルしてこちらのお店を予約した。
結論を先に書くと、味も接客サービスも雰囲気も大変満足できた。初訪問だったが、老舗として続いている訳を垣間見た気がする。

ウチからバスで羽衣町にて下車。そこから歩いて10分ほどか。伊勢佐木モールの入口を通り過ぎて角に交番がある交差点を渡ってちょっと行ったところ。外灯が少なく暗めの歩道なので、明るい看板が目印になっている。予約時間の少し前だったので入店可能か聞いてみたら快諾。笑顔も素晴らしい接客だ。
2階の個室に案内された。2人には少し広いくらいの部屋で、畳の上にテーブルとイスが置いてある。根岸線の電車が通るたびにガタゴト音が聞こえるのも何だか風情があって面白い。

さて、今回食べた「季節料理 初冬」のアジェンダは以下の通り。
　先付　　酢味噌かけ
　八寸　　横笛盛り
　椀物　　雲子椀
　特選　　本日の特選素材
　お造り　旬の厳選活魚盛り
　蒸し物　天然鯛かぶら蒸し
　焼物　　牡蠣と帆立貝の柚子味噌焼き
　揚物　　お餅のはさみ揚げとふぐ香味揚げ
　止椀　　伊勢海老椀
　飯物　　うなぎの朴葉蒸し
　甘味　　フルーツゼリー寄せ

上記の全てを詳細に紹介できるほどの繊細な舌を持ち合わせていないため、いくつかを抜き出して記載する。紹介を省いたのも含め、全て満足できる味だったことは間違いない。

飲み物は最初が「エビス(中瓶)」800円で、その後は麦焼酎「銀の水」をボトル4500円で。ボトルって言っても四合瓶(720ml)なので私一人で飲み切った。嫁さんは「ジンジャー(ドライ)」500円。飲み物はちょっと割高な印象かな。とはいえ、この手の料亭は大体こんな感じなんだべな。

さて肝心の料理だが、まずは先付。湯葉豆腐とあん肝に酢味噌をかけての提供。湯葉はネットリした食感で酢味噌との相性も良し。あん肝は嫌な臭みなど無く、そのまま食べても凄く美味しい。分葱と水前寺海苔が添えられていた。
八寸は横笛盛りの名の通り横笛を模した器での提供。5種あって、数の子明太和え、煮凝り(蟹とアスパラ)、鰊昆布巻き、京菜花、錦玉子。どれも上品に仕上がっていたが、私的には鰊昆布巻きを特記したい。私の実家がある福島県会津地方では保存の効く鰊料理が名物で、普段の食卓にも鰊が登場することがしばしばあった。鰊料理は郷愁を掻き立てるものだが、こちらのお店の鰊昆布巻きは抜群に上品で田舎臭さを感じさせない。田舎臭いのも好きだが、これもまた良し。

椀物の雲子椀は鱈白子を雲に見立てたもの。この鱈白子、表面にやや張りがあって噛むとプチっとして口の中に濃厚な中身がトロ～りと広がる。鱈白子ひとはらだけじゃなく、もっと沢山欲しいと思った私は浅ましい男なのかもしれない。出汁が優しく効いた汁は柚子の仄かな風味が良いアクセントになっていた。
本日の特選素材は蟹と岩牡蠣。蟹は蒸して貰い、岩牡蠣は焼いて貰った。言うまでもないと思うが、どちらも美味かった。特に、牡蠣は焼物でも出てくるのだが、厚みがあって甘みと旨みタップリの汁がたまらない。
旬の厳選活魚盛りと天然鯛かぶら蒸しの後に出てきたのが、牡蠣と帆立貝の柚子味噌焼き。牡蠣は上述の如くだが帆立貝も厚みがあって柔らかく、百合根と食感の違いを楽しむことが出来た。

そして、ふぐ香味揚げだ。やはり、ふぐは刺身よりも揚げた方が私好みのようだ。表面がサクっとした食感で中身はホッコリ柔らかい。
止椀の伊勢海老椀は、旬の厳選活魚盛りで提供された伊勢海老を椀にしたもの。
〆は飯物で、うなぎの朴葉蒸し。こちらのお店の名物。柔らかくて厚みのある鰻と牛の旨煮をご飯で挟んだもの。挟むっていう意味では、豪華な和風サンドイッチってとこか。モチっとした食感でとても美味しい。タレも濃すぎず甘すぎずで丁度良い。速攻で食べてしまったのを激しく後悔した。もっとじっくり味わえば良かった。嫁さんも凄く気に入ったらしく、お持ち帰り用のを追加発注した。5個で3240円。

冒頭記した様に大変満足した。おもてなしの心や気遣いも素晴らしい。ちなみにお持たせは「きゃらぶき」だった。嫁さんと老舗料亭で過ごすクリスマスイブを満喫することが出来た。今年はこちらのお店をチョイスして良かったと思う。
ご馳走様。