やっぱりたい焼きは粒餡なのだ！ : 田中家

「たい焼きのミミが食べたい」

本体ではなくミミが食べたいと言う妻ですが、南部せんべいのミミが好きな私としてはその気持ちがよく分かります（笑）
そこで苫小牧からの帰りにここに寄りました。

店舗入口に掲示してあるメニューを眺め、購入するものを決めてから店内に入りました。
たい焼きといえば、なんといってもあんこに限りますが、オープン当初は小倉だけだったのが、現在は漉餡もあります。
私は断然粒餡派で、子供の頃大正９年生まれの祖母が作ってくれたあんこは当然粒餡です。
ザラメの砂糖を入れるタイミングや量は長年の経験で行うもので、レシピなど必要としないのは大正生まれならではと感心します。
購入したのはもちろん小倉ですが、以前のようにミミが販売されていなかったので、妻は落ち込んでいました（笑）
自宅に戻り、たい焼きをパクリと頬張ると、

「やっぱりたい焼きは粒餡やね」

もう頷きながら食べました。
洋菓子の強い甘みと違って和菓子の穏やかな甘みが好きなのです。
すでに他界した祖母を思い出しながら美味しく頂きました。

店舗前を通ると、「千歳バーガー」の幟が立っていました。
千歳バーガーの定義は、千歳産の卵を使用していればよいという非常に緩い決まりですから、いわゆるハンバーガーというものではなく、提供する店舗の数だけいろいろな千歳バーガーがあるのです。

店舗前に２台分の駐車スペースがありますが、奥側に駐車するのは至難の業ですし、手前に駐車されると雪隠詰めになります（笑）
店内に入り、女性スタッフに千歳バーガーを求めたところ、すでに売り切れていました。
しかし冷凍物ならあるとのことでしたので、贈答用もあるのかと不思議に思いましたが、そもそもこの店舗が提供する千歳バーガーは、焼きたてのものではなく、出来上がった商品を冷凍し、店舗販売する分のみ解凍して販売するというもので、冷たい鯛焼きなのです。
解凍に要する時間は、室温で１時間だそうで、もっとゆっくり解凍したければ冷蔵庫が適しているそうです。
購入後１時間で食べることができますから、２種類ある千歳バーガーをそれぞれ１個ずつ購入しました。
解凍後ふたつに切り分けて妻と食べました。
まずはカスタードクリームとクリームを合わせてホイップした「ふわっとクリーム」を食べましたが、鯛焼きの生地自体が通常のものではなく、ケーキのような味わいです。
その生地とクリームの適度な甘さが良い感じで、見た目は鯛焼きですが、立派なケーキです。
この生地には千歳産の卵が40%使用されているそうで、「千歳バーガー」の根拠になっているのはこの点なのです。
次に「あずきマーガリン」を食べましたが、この組み合わせもなかなかの美味しさでした。
マーガリンも美味しかったのですが、バターだったらまた違った味わいになったでしょうね。

今回はなんと開業時に訪れて以来、11年ぶりに訪れました。
この店舗前の「30号通り」は頻繁に通る道路でして、通る度に客が訪れているのを見かけます。
利用しやすい場所ではないのですが、人気店です。

私自身甘いものが大好きなわけではありませんが、あんこは昔から好きでした。
私がまだ小学生だった頃、大正９年生まれの９２歳になる祖母が、お彼岸や年末の餅つきになるとあんこを作ってくれました。
七輪で小豆をコトコト煮込み、長い時間掛けて作るあんこの味は程よい甘さで本当に美味しいものでした。祖母が作ったあんこのおはぎやあんころもちは大好きで楽しみでした。
そのせいか、私にとってあんこの味の基準は祖母が作ったあんこなので、甘すぎるあんこはどうも苦手です。
今回新聞のチラシの中に「田中屋」の広告があったのですが特に気にしませんでした。ところが妻の話によると、長蛇の列ができて凄かったらしいのです。それで気になった私は仕事を終え、帰宅したあと買いに行ったのでした。
18:00過ぎていたのですが、次々に買いに来る客が訪れ大盛況です。１５分ほど店内で待って手渡されたたい焼きを持ち帰り、食べてみるとこれがまた実に美味しかったです。
外側はパリッとしていて生地が美味しいし、あんこも程よい甘さで私好みです。これで渋いお茶が有ったら言うことありません。他店のしなっとしたたい焼きとは全然違います。
初めてここで買う方は是非その場で１個食べることをお勧めします。焼きたてはやはり美味しいですから。

さて、オープン当初の激混みも落ち着き、並ばなくても買えるようになりました。私は焼き鳥やたこ焼きなど、焼いているのを見るのが好きでつい見入ってしまうのですが、ここは火ではなく電気で焼いているようです。ですから熱が均等に行き渡り、ある程度の練習をすればそこそこ上手に焼けるようになるのかもしれません。時々あんこが偏っているのはご愛嬌です（笑）
昔ながらの１枚づつ焼き上げる名人芸の技は、今では貴重ですね。

たまにはあんこ以外のものを食べてみようと、おやきではおなじみのクリームを食べてみたのですが、シュークリームに入っているカスタードクリームのような甘さだったので、甘すぎて生地の味が分からなくなりました。やはり私はあんこ一筋で行きたいと思います（笑）

*****2009年10月初記／09年11月修正*****