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「玄武ラーメン」1,250円
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「玄武ラーメン」接写。トッピングは「海苔」8枚、「チャーシュー」5枚、「木耳」「わけぎ」と「もやし」が載っている。
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「玄武ラーメン」麺リフト。麺は機械打ち角刃麺の中太ストレート麺を、やや軟らかめで茹で上げている。
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「たかなチャーハン」600円
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「ギョーザ(5個)」350円
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「ギョーザ(5個)」餡拡大。素材にも拘りがあって、餡の豚肉は上州麦豚 100% 使用である。
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「玄武ラーメン」上から。久留米ラーメンのスープは「呼び戻し」と呼ばれる、いわゆる継ぎ足しをしていることが特徴である。
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「たかなチャーハン」上から。豚骨ラーメンには欠かせない「高菜(たかな)」が大量に投入され、深緑に染まる「チャーハン」も実に魅力的だ。
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「たかなチャーハン」接写。、「久留米焼きめし」の特徴は、カマボコ、タマネギ、チャーシューなどの具材が米粒よりも細かく刻まれていることだ。
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「ギョーザ(5個)」接写。作りが非常に丁寧で、一つ一つに心が籠もっている感じがした。
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「ギョーザ(5個)」上から。野菜の刻みも、極力刻みを大きくし、歯応えを高める工夫をしているとのことであった。
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『久留米ラーメン 玄武門』メニュー表「昼メニュー」
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『久留米ラーメン 玄武門』メニュー表「夜メニュー」
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『久留米ラーメン 玄武門』メニュー写真1
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『久留米ラーメン 玄武門』メニュー写真2
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『久留米ラーメン 玄武門』メニュー写真3
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『久留米ラーメン 玄武門』店舗外観『久留米ラーメン 玄武門』店舗
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『久留米ラーメン 玄武門』店舗入口「暖簾」
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『久留米ラーメン 玄武門』店舗入口「格子戸」
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『久留米ラーメン 玄武門』店舗駐車場案内
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『久留米ラーメン 玄武門』店舗営業時間
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『久留米ラーメン 玄武門』大看板
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『久留米ラーメン 玄武門』店舗内観「テーブル席」
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『久留米ラーメン 玄武門』店舗内観「カウンター席」
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『久留米ラーメン 玄武門』テーブルフゾクの各種調味料類。
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「玄武ラーメン」1,250円(税込)総重量(実測値)964g。うち麺・具材重量 593g、うちスープ重量(麺・具材等完食後)371g。
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「玄武ラーメン」チャ-シュー1枚当たり重量(実測値)1枚目 10g、2枚目 7g × 5枚。
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「たかなチャーハン」650円(税込)総重量(実測値)342g。
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「ギョーザ(5個)」350円(税込)総重量(実測値)88g。
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「福岡三大ラーメン」と言われる、「博多ラーメン」「久留米ラーメン」「長浜ラーメン」の 3種類。関東では本来なら「長浜ラーメン」として把握すべき様態を、いわゆる「博多ラーメン」として認識している向きが強い。その当たりからも垣間見えるように、その歴史や経緯を紐解くと、色々と認識を新たにせねばならないことに気付かされる。
特に「豚骨ラーメン」のルーツそのものが、福岡県博多市ではなく福岡県久留米市にあると言うことを、我々関東人は知っておくべきなのではなかろうか。
今回は、そんな本場「久留米ラーメン」を、この上州の地で、正に素のままで体現して見せてくれる店を訪問してみた。
『久留米ラーメン 玄武門』
群馬県伊勢崎市八坂町559-3
Official Website : https://www.genbumon.com/
利根川の架橋「坂東大橋」を渡る R462 を、埼玉県本庄市方向から群馬県伊勢崎市街地方向へ向かって、「坂東大橋」を越え 5km 余り北進すると、群馬県伊勢崎市今泉町の「伊勢崎市役所東」交差点へ出る。この交差点を、R462 は右折(東折)して 750m 程東進した「今泉一丁目」交差点を左折(北折)、そのまま道なりに 5km 足らず北進して R17上武道路の「赤城見大橋」交差点へと繋がっている。
その「伊勢崎市役所東」交差点を右折せずにそのまま直進(北進)すると、群馬県道・埼玉県道14号伊勢崎深谷線に乗るのだが、「伊勢崎市役所東」交差点から信号二つ目、北進すること 250m 程の「八坂町」交差点(五叉路)の北西角に『久留米ラーメン 玄武門』はある。
この『久留米ラーメン 玄武門』、店主に直接伺った話によると、「白濁豚骨スープ」の祖となる店舗『三九』系列の店であるとのことだ。
『三九』は、初代 杉野勝見、二代 四ヶ所日出光 を通して、小倉、玉名、熊本、宮崎など、鹿児島・沖縄を除く、全ての九州豚骨ラーメンのルーツとなっている店舗だ。そこの流れをくむ『久留米ラーメン 玄武門』、九州豚骨ラーメンの祖となる「久留米ラーメン」の真髄を、思う様見せてくれていると言うわけだ。
「久留米ラーメン」の詳細については、後段にて詳述するが、大まかな特徴としては、
○ 麺は中太ストレート麺。太さはいわゆる「博多ラーメン」よりやや太め。
○ 茹で上げは柔らかめに茹でた「ヤワメン」が主流。
○ 基本的に「替え玉」は使用しない。
○ 具材はキクラゲ、チャーシュー、青ネギと、いわゆる「博多ラーメン」と共通。
○ 海苔を乗せる店が多いのが「久留米ラーメン」の特徴。
○ 豚骨スープの伝統的な製法は「呼び戻し」と言われる継ぎ足し製法である。
○ 濃度は高いが背脂は使用せず「こってり」ではなく比較的「あっさり」とした味わい。
○ サイドメニューに「焼きめし」が用意され、「焼きめし」率が高い。
時に、「『替え玉』がないなんて『豚骨ラーメン』として信じられない、偽物だ!」などと騒ぐ向きもあるやに聞くが、これはご当人の認識不足であることを肝に銘じてもらいたい。いわゆる「博多ラーメン」と「久留米ラーメン」は基本的に別物である。そこを知らずして「福岡三大ラーメン」を語るべからず。「久留米ラーメン」に至っては、言わずもがなであろう。
さて、能書きはこの程度に留めて、実食へと移りたいと思う。
こちら『久留米ラーメン 玄武門』営業開始時間がサービス精神旺盛で、通常店より若干早期に開店となる。
昼営業 10:30~15:00
夜営業 17:00~21:00
日曜営業
水曜日、第三火曜日 定休日
そこで、「早お昼」で戴こうと言うことで、現着時間は 11:05。
店舗外観撮影を終えて入店すると、入口付近は、靴を脱ぐ小上がり的なスペースになっていて若干迷ったのだが、入口正面には、
「土足のままお上がり下さい」
と書かれてあった。そこで、安心して靴を履いたまま入店した。
この店の入口形態からすると、この掲示は客にとっては不可欠の表示かと思うが、そこを外さずにきちんと考えてくれているところが嬉しい。入店時に、店に対する安心感を抱いた。
『久留米ラーメン 玄武門』は、『昼メニュー』と『夜メニュー』の 2種類のメニュー表が用意されている。その差異は、
「焼きめし(チャーハン)」「たかなチャーハン」「キムチチャーハン」各600円
「ギョーザ(5個)」350円、「もやし炒め」250円、「もつ煮」350円
以上6品が、『夜メニュー』では提供されるが、『昼メニュー』では提供されないと言うところだ。
店内撮影許可を戴きつつ、『昼メニュー』表をながめながらお奨めメニューを伺ったところ、「Wメン(麺2玉)」950円 +「チャーシュー」200円 で行くのであれば、豚骨スープには海苔が絶妙に合うので、海苔がより多くトッピングされた「玄武ラーメン」1,250円 の方がよろしかろうと言うことであった。
通常の「ラーメン」750円 に、「大盛」150円 +「のり」100円 +「もやし」100円 +「チャーシュー」200円 がトッピングされている形になる。〔総額 1,300円相当 → 1,250円〕少々お高いのではあるが、初見ではお奨めに従うのが無難と考え、「玄武ラーメン」を選択してみた。
こちらは食券販売形式ではなく、対面注文形式であったので、本場九州出身の店主と相談しながらメニューの検討が出来たのは良かったように思う。
注文完了から配膳までは、わずかに6分余り。とても素早い配膳であった。
「玄武ラーメン」1,250円
麺は、一般的な「博多ラーメン」の極細ストレート麺の「バリカタ」の茹で上げとは異なり、機械打ち角刃麺の中太ストレート麺を、やや柔らかめで茹で上げている。
注文時に「麺の固さ」をオーダーするシステムは『久留米ラーメン 玄武門』にはないようである。
「替え玉」なしが基本の「久留米ラーメン」では、スープの濃度とコクをしっかり楽しめる麺の固さで提供しているとのことであった。
確かに、加水率は高くない麺であるはずなのに、思っている以上にしっとりとした麺で、更に、最後まで麺が伸びるような感覚は感じることがなかった。
何でも北九州小倉の製麺店から直送しているそうで、昭和二十四年 創業、頑固で真面目な製麺屋『有限会社 安部製麺』(福岡県北九州市小倉北区新高田1-9-7)の低加水麺を使用しているそうだ。
トッピングは「海苔」8枚、「チャーシュー」5枚、「木耳」「青ネギ」と、いわゆる「久留米ラーメン」のオーソドックスなスタイルに加えて「もやし」が載っている。通常の「ラーメン」では「海苔」1枚、「チャーシュー」2枚に「もやし」は載っていないので、やはり贅沢な感じのするトッピングとなっている。
一般的な「博多ラーメン」では余り目にすることのない「海苔」に関しては、「横浜家系ラーメン」的なイメージも湧いてくるが、その「家系」の「豚骨醤油スープ」に合うことは証明済みでもあるわけで、美味なることは確実だ。
この「海苔」をスープに浸して麺に巻き、共に食すと美味である旨を、店主よりご教授戴く。早速にお奨めに従って、海苔に巻いて麺を食したが、実に美味であった。
「チャーシュー」や「もやし」もまた、麺とともに戴くのが「通」好みとのことであった。
「チャ-シュー」に関しては、「福岡三大ラーメン」を通じて、小振りの煮豚が使用されていることが多いが、こちら『久留米ラーメン 玄武門』もまた、チャ-シュー1枚当たり重量(実測値)1枚目 10g、2枚目 7g と小振りのものが 5枚トッピングされていた。味わいは、柔らかく煮込んだ豚バラ肉で、実に美味であるが、このチャーシューの大きさが、個人的に「福岡ラーメン」の唯一の欠点かと思っている。。。」
いわゆる「博多ラーメン」と共通の「木耳」「青ネギ」に関しては、「白濁豚骨スープ」に合うのは言わずもがななので、兎に角美味しく食させて戴いた。
なお、使用されている「青ネギ」に関しては「博多万能ねぎ」なのか「わけぎ」なのか、はたまた「あさつき」なのか、管見にして判断がつかなかった。
――――――――――――――――
※1「万能ねぎ」は『JA筑前あさくら』で生産された「青ネギ」=「九条細ネギ」の登録商標名である。正式には「博多万能ねぎ」と命名されている。「種(たね)」で植える。
※2「わけぎ」は「ネギ」と「タマネギ」との雑種で小型化したネギの一変種。球根で植える。
※3「あさつき」は「エゾネギ」の一変種。球根で植える。
――――――――――――――――
一般的に「久留米ラーメン」は、スープの濃度がその勝負所で、スープの豚骨出汁の取り方が、いわゆる「博多ラーメン」とは大きく異なるのが特徴だ。
久留米ラーメンは、福岡の豚骨ラーメンの中でも濃度が最も高いとされる。一般的な「博多ラーメン」は「取り切り」と呼ばれる製法で、一定量の材料を一定時間煮出してその日に使用する分のスープを作るが、久留米ラーメンは「呼び戻し」と呼ばれる、いわゆる継ぎ足しをしていることが特徴である。「呼び戻し」とは、老舗の鰻屋のタレのように、スープを継ぎ足しながら使っていく手法だ。
この「呼び戻し」によってスープにコクが生まれるのだそうなのだが、実際、食しながら、
「何だこのコクは?」「どこから来るんだこの旨味は?」
と、ずっと脳裏に「???」が浮かび続けていた。「久留米ラーメン」を初めとする「福岡ラーメン」は基本的に「豚骨」に「昆布」を合わせて出汁を取るのだそうだが、「昆布」単独の旨味では言い表せない、深くしみじみと迫ってくるコクと旨味が感じられるのだ。正に「深み」とでも言うべき味わい。が、食している間はその正体が全く分からなかった。
食後に、これが「呼び戻し」製法によるコクと旨味、濃度の濃さなのだと、店主から教わって、感心頻りの私なのであった。
しかも、「取り切り」でない以上は、豚骨独特の臭みも蓄積されて然るべきだろうに、それが皆無に等しい状態であった。個人的には豚骨の臭みは全くといって好いほど感じなかったのである。
店主に伺うと、豚骨の煮出しの段階で「圧力寸胴」を使用しているとのことであった。
スープの濃厚さとは、脂分の濃さではなく、スープの乳化度のことを言うのだそうで、この「圧力寸胴」を使用すると、完全乳化スープ作成の時短が可能なのだそうだ。それによって臭みの方も相当量抑えられるとのことであった。
甘みを感じる優しい味わいの白濁豚骨スープ。「久留米ラーメン」はスープ完飲がそもそもの前提となっているのだそうだ。これだけ濃厚にして乳化度の高いスープを完飲しても、実際のところ余り喉は渇かない。そこには無化調への拘りもあるのだと言う。子供が飲んでも安心なスープ、これを常に意識してスープ作りを行っているのだと、店主が胸を張る。
『久留米ラーメン 玄武門』。。。絶対に一食の価値がある、と私は思う。
言葉で言い表せぬような旨味とコク、「深み」。。。食し終えて、店主と歓談し、この旨さの由来を色々とお伺いしていたところ、途中で『夜メニュー』の話になり、実は「焼きめし(チャ-ハン)」と「ギョーザ」も戴きたかった旨を伝えると、何と昼間のこの時間帯でも、特別に作って戴けると言うことになった。
ただ、「食べ切れますか?」との質問付きでである。私としては、もう「もちろん大丈夫です、是非作ってください」と即答である。重量的にはこの私 σ(^_^)、何の問題もないのである。(^O^)v
そうして、店主は早速に「たかなチャーハン」と「ギョーザ」の作製に入ってくれた。
「たかなチャーハン」600円
フライパンを景気よく振る音にワクワクしつつ、配膳を待つ。ものの 6~7分で配膳となり、相変わらずスピーディーなサービスに感心する私。
豚骨ラーメンには欠かせない「高菜(たかな)」が大量に投入され、色味が一般的な「チャーハン」のそれとは異なるが、深緑に染まる「チャーハン」も実に魅力的だ。
具材は玉子と高菜を中心としてと言うか、ちょっと見ではその 2品だけに見えるかも知れない。が、「久留米焼きめし」の特徴として先ず第一に挙げられるのが、カマボコ、タマネギ、チャーシューなどの具材が米粒よりも細かく刻まれていることだ。具が小さいために、ご飯との絡みがよく、ふわふわの卵と相まって、ひと口でいろんな味のハーモニーが口内に広がるのである。
更に、味付けの最大のポイントはラーメンの「特製醤油ダレ」を隠し味に使っていることだと言う。「ラーメン」に使用するものを「チャーハン」にも投入しているのだそうで、シンプルな具材なのに、何とも奥深い味わいの「ラーメンの味がする焼きめし」は、旨味が強く感じられ、実に美味である。もちろん、ラーメンとの相性が完璧であることは言うまでもない。
これをレンゲではなく銀のスプーンで食べるのが「久留米焼きめし」流なのだそうだ。
本場「久留米ラーメン」の店舗では、「焼きめし」は切っても切れない関係性のメニューだと言われている。久留米市の人間にとって、ラーメン店の定番は「ラーメンと焼きめし」の鉄板コンビなのだそうで、久留米のラーメン店のサイドメニューに「焼きめし」がある確率は、全体のなんと約 80% 以上なのだそうである。福岡市で 40%、全国平均では僅か 30% であることからすると、久留米は、ダントツの「焼きめし」提供率全国ナンバー 1 と言えよう。
「ギョーザ(5個)」350円
配膳時に、店主が
「『ギョーザ』を逆さにして提供するのが勿体ないんですよね。返してもらえると分かるんですけど、丁寧に包んでいるんですよ」
とつぶやいた。
手包みの餃子の、皮を閉じた表面に拘りを持つ調理人の話を聞いたのは初めてで、少々驚いたのだが、「餃子」を食してみてその拘りの意味がよく分かった。実際に作りが非常に丁寧なのだ。やっつけ仕事的な作りではなく、一つ一つに心が籠もっている感じがした。
素材にも拘りがあって、餡の豚肉は上州麦豚 100% 使用。野菜の刻みも、極力刻みを大きくし、歯応えを高める工夫をしているとのことであった。
「ギョーザ(5個)」単価 350円、総重量(実測値)88g と言うことで、1グラム単価 : 3.98円 となり、コストパフォーマンスはかなり高めである(平均的な1グラム単価 : 2.50円)が、この丁寧さと素材への拘り、コクの深い味わいであれば、多少はコストパフォーマンスの低さは減免されよう。
総じて、こちら『久留米ラーメン 玄武門』、本物の「久留米ラーメン」である。兎に角、素材が何なのか明確に推定出来ない旨味、これは堪らない。「呼び戻し」製法によるスープのマジックである。
ああ、実に実に美味しうござった。
この旨さ、コストパフォーマンスは二の次である。
さて、今回の実測値は、
「玄武ラーメン」1,250円(税込)
総重量(実測値)964g
うち麺・具材重量 593g
うちスープ重量(麺・具材等完食後)371g
チャ-シュー1枚当たり重量(実測値)1枚目 10g、2枚目 7g × 5枚
器サイズ
直径 21.5cm、高さ 8.5cm、器重量 748g
「たかなチャーハン」600円(税込)
総重量(実測値)342g
器サイズ
直径 24cm、高さ 3m、器重量 528g
「ギョーザ(5個)」350円(税込)
総重量(実測値)88g
器サイズ
横幅 29.5cm、縦長 12cm、器重量 416g
合計金額 2,200円(税込)
実食総重量 1,394g
完食時間 : 計測せず
訪問日 : 2017.12.26(火)
玄武門の店内には、厨房とは別に営業時間中ずっとスープを焚いている部屋があると言う。店主の最大の拘り、「久留米ラーメン」の根幹に当たる「呼び戻し」製法による継ぎ足しスープ。同じ濃度を常に維持していくのは大変に難しいのだと仰っていた。
圧力寸胴を使用すると安定したスープが取れると言うことだが、そうやってその日に煮出したものを、継ぎ足し継ぎ足し、スープの濃度の高さを常に維持していく。
こうして出来上がったスープの旨味は半端でない。繰り返し申し上げるが、こちら『久留米ラーメン 玄武門』謹製、本物の「久留米ラーメン」、これは一食の価値ありである!
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久留米ラーメン
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「福岡三大ラーメン」と言われる、「博多ラーメン」「久留米ラーメン」「長浜ラーメン」。中でも、久留米は「豚骨ラーメン発祥の地」と言われている。
一般に「豚骨ラーメン」= 博多 と考えられがちだが、それは、昭和40年代に起きた札幌味噌ラーメン以来の大ヒットである、昭和60年代から平成にかけての、「博多ラーメン」を中心とした一大豚骨ラーメンブームが首都圏に押し寄せたことによっている。
元来の「博多ラーメン」は、福岡市に戦前からあった屋台の『三馬路(さんまろ)』、1946年(昭和21年)に店を構えた『博多荘』等、老舗両店のスープは東京ラーメン同様に支那そばがルーツで、鶏ガラに少量の豚骨を加えて作られた澄んだものであった。昭和16年頃には、博多駅、天神などを中心に、多くの屋台が博多で軒を並べるようになるが、当時の豚骨スープも、まだ清湯であったと言う。
関東人がイメージする「豚骨ラーメン」すなわち「白濁豚骨スープ」のルーツは、飽くまでも「久留米ラーメン」だ。詳細は後段で詳述するが、どの地でも「久留米ラーメン」に影響を受ける形で「白濁豚骨スープ」が次第に各地へと広まっていったのだと言う。
また更に、関東で一般的に言う「博多ラーメン」とは、元来が「長浜ラーメン」のことであり、「極細麺」「替え玉」「濃厚スープ」というのは、長浜ラーメンならではの特徴である。現在では「博多ラーメン」と一括りにされがちな「長浜ラーメン」であるが、実際は「博多ラーメン」の方で、長浜ラーメンの「極細麺」「替え玉」「濃厚スープ」と言う手法を取り入れるようになっていったと言う流れが正しいようである。
この「久留米ラーメン」発祥の「白濁豚骨スープ」、「長浜ラーメン」由来の「極細麺」「替え玉」「濃厚スープ」の一大豚骨ラーメンブームが首都圏に押し寄せる際、知名度的に高かった地名が「博多」であった、と言うのが正しい解釈と言えるのではなかろうか。
斯様に、「豚骨ラーメン」の実際のルーツは福岡県久留米市にある。これを是非とも再認識しておきたい。因みに、JR 久留米駅には、『とんこつラーメン発祥の地 久留米』の屋台モニュメントが存在している。
「久留米ラーメン(くるめラーメン)」は、福岡県久留米市を中心に作られる、豚骨スープとストレートの中太麺をベースにしたラーメンだ。豚骨ラーメンの元祖とも言われている「久留米ラーメン」は、鹿児島県・沖縄県を除く九州全県のラーメンに影響を与えたと言われている。
豚骨ラーメンの発祥と言われているのは、1937年(昭和12年)に福岡県久留米市の西鉄(西日本鉄道株式会社)久留米駅前に屋台営業で開店した『南京千両』である。元々うどんの屋台を営んでいた長崎県出身の創業者 宮本時男 が、東京・横浜で流行していた中華そばと、出身地の名物である長崎ちゃんぽんをヒントに、当時、鶏ガラより安価であった豚骨に着目し、史上初の豚骨 100% ラーメンを生み出したと言われている。ただし、この豚骨スープは透明感を残したスープであったと言う。
『南京千両 本家』(福岡県久留米市野中町1357-15)創業 1937年(昭和12年)
続いて、1947年(昭和22年)に、宮本時夫 とも親交のあった 杉野勝見 が、屋台『三九』を久留米市に開業。当初は『南京千両』同様、豚骨を少々煮出した程度の透明感を残したスープであった。ある日、杉野勝見 は母親に仕込みを任せて外出、帰宅すると、手違いで強く炊かれたスープは煮立って白濁していたのだが、試しにこのスープを飲んでみたところ意外に美味しかったと言う。これが、現在の久留米ラーメンの主流「白濁豚骨スープ」が誕生する切っ掛けとされている。
杉野勝見 はその手法を、営業エリアがバッティングしないことを条件に、 誰にでも分け隔てなく教えたので、次第に「白濁豚骨スープ」が広がっていく。
杉野勝見 は1951年(昭和26年)に小倉市に移り『来々軒』を開業、その折、『三九』の常連客であった 四ヶ所日出光 が『三九』の屋号や権利を譲り受ける。四ヶ所日出光 の『三九』は、1952年(昭和27年)に熊本県玉名市の玉名駅前に支店を出店、1956年(昭和31年)に佐賀県佐賀市に移転し、それらの地で地元のラーメン職人に影響を与え、玉名ラーメン、熊本ラーメン、佐賀ラーメンといった九州各地の白濁豚骨ラーメンの源流となっていったとのことである。
『来々軒』(福岡県北九州市小倉北区宇佐町1-5-14 )
『三九中華そば専門店 (三九ラーメン店)』(佐賀県佐賀市中ノ小路4-24)
久留米ラーメンは、福岡の豚骨ラーメンの中でも濃度が最も高いとされる。一般的な「博多ラーメン」は「取り切り」と呼ばれる製法で、一定量の材料を一定時間煮出してその日に使用する分のスープを作るが、久留米ラーメンは「呼び戻し」と呼ばれる、いわゆる継ぎ足しをしていることが特徴である。「呼び戻し」とは、老舗の鰻屋のタレのように、スープを継ぎ足しながら使っていく手法でだ。この「呼び戻し」によってスープにコクが生まれるのだそうで、「呼び戻し」で作られたスープの旨味成分(遊離グルタミン酸)の含有量は、「取り切り」の 2.8倍と言うデータもあると言う〔『日本食品分析センター』分析〕。
また、福岡のラーメンは「替え玉」を使うことが多いが、「久留米ラーメン」は本来、替え玉を行わない。それゆえ、麺の太さは他の福岡の豚骨ラーメンに比べて太いものになっている。
「替え玉」を使用しない理由は、「呼び戻し」製法によるスープ作りへの拘りにあると言う。「替え玉」をすることで、どうしてもスープの濃度が下がるが、スープ濃度を第一に考える「久留米ラーメン」としては、濃度の下がりを避けたいと思うのが必然であろう。であれば、「替え玉」をしないのが一番である。そんな経緯があって、博多・長浜のラーメンとは一線を画すスタイルが定着していった様だ。結果として、麺自体も極細麺である必要もなければ、固茹でで素早く配膳する必要もなくなる。
博多・長浜のラーメンの特徴は細めのストレート麺で、茹で方は「カタメン」。それに対して久留米では、中太ストレート麺を軟らかめに茹でた「ヤワメン」が主流である背景には、スープの製法への拘りがあったと言うことであろう。
「久留米ラーメン」の特徴は、「博多ラーメン」のそれとは似て非なる物であることを、しっかりと認識しておくべきだろう。
上記以外の屋台が前身の老舗ラーメン店
『久留米ラーメン清陽軒 本店』(福岡県久留米市諏訪野町1798-6)
『潘陽軒本店』(福岡県久留米市六ツ門町7-52)
『大砲ラーメン 本店』(福岡県久留米市通外町11-8)
『来福軒』(福岡県久留米市城南町3-14)
「食堂系」
豚骨ラーメンというと濃厚・どろどろのイメージが強いが、ご当地久留米ではあっさり系が意外と人気である。店名に「-食堂」が入った「食堂系」と呼ばれる店にそれが多い。
代表格といえるのが、1955年創業の『沖食堂』、1958年創業の『ひろせ食堂』が代表例として挙げられる。スープには豚骨だけではなく鶏ガラも使用されることが多い。
「食堂系」を考えるに当たって、特に、「久留米ラーメン」と切っても切れない「焼きめし」を世に広めた『ひろせ食堂』の功績を忘れてはなるまい。
『沖食堂』(福岡県久留米市篠山町330)「食堂系ラーメンの元祖」
『ひろせ食堂』(福岡県久留米市梅満町1112-4 )「久留米焼めしの元祖」
「国道系」
国道 3号線沿いに店を構え、こってりした濃厚スープを提供してくれる店舗は「国道系」と呼ばれている。
麺はストレートの固めで一般的な「博多ラーメン」よりやや太めである。いわゆる「博多ラーメン」以上に強く煮込んだ、濃厚で匂いも強いスープを採用しているのが特徴だ。
1958年(昭和33年)に国道 3号線沿いに開業した『丸星中華そばセンター』や、1965年(昭和40年)に佐賀県基山町に開業した『丸幸ラーメンセンター』がその代表例で、広大な駐車場を備えて、年中無休・24時間営業を行っている。『丸星中華そばセンター』は日本初の24時間営業店とも言われている。
久留米ラーメンでは一般的でない「替え玉」が可能だったり、トッピングが任意に追加注文可能なのも、「国道系」の特徴である。
『丸星中華そばセンター(丸星ラーメン)』(福岡県久留米市高野2-7-27)
『丸幸ラーメンセンター 基山本店』(佐賀県三養基郡基山町小倉1642)
※ 参考「長浜ラーメン」
「長浜ラーメン」とは、博多漁港に面する福岡市中央区「長浜」で生まれたラーメンのことで、1953(昭和28年)に開業した屋台「元祖長浜屋」がその発祥と言われている。
「長浜ラーメン」は、もともと魚市場で忙しく立ち働く人たちに向けて作られたラーメンで、素早く提供出来るように、麺を「極細麺」にして茹で時間を短縮、極細麺は伸びやすいため、麺の量を少なくして、お替わりが出来る「替え玉」を考案、 替え玉を前提としているので、自ずとスープは「濃厚スープ」になるなどしていったと言う。今でこそ「博多ラーメン」の大きな特徴とされる「替え玉」だが、発祥は飽くまでも「長浜ラーメン」、この「元祖長浜屋」なのである。
「極細麺」「替え玉」「濃厚スープ」というのが、「長浜ラーメン」ならではの特徴で、当初は「長浜ラーメン」ではなく「市場ラーメン」と呼ばれており、元来の「博多ラーメン」とは一線を画する、独特の食べ物だったそうだ。
一方、「博多ラーメン」の歴史は「長浜ラーメン」よりも古く、戦前の 1940(昭和15)年に創業した『三馬路(さんまろ)』が博多初のラーメン屋台と言われている。スープは半濁気味のあっさりした豚骨スープで、醤油味であった。麺も平打ち麺で名前もラーメンではなく「中華そば」と呼ばれていたと言う。現在では、昔ながらの醤油味の「博多中華そば」を出す店は、『三馬路』の三代目が営む『うま馬(うまうま)』などごくわずかになってしまい、次第に「博多ラーメン」のほとんどが、「長浜ラーメン」と同じ「極細麺」「替え玉」「濃厚スープ」を取り入れるようになっていく。今ではラーメンそのものに「長浜」も「博多」も大きな違いはないと言われている。
『元祖長浜屋ラーメン』(福岡県福岡市中央区長浜2-5-38 トラストパーク長浜 1)
『うま馬 祇園店』(福岡県福岡市博多区祇園町1-26)
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