桐生といえばひもかわうどんだけじゃない : ビストロ ファンベック マサミ

足尾で洞内観光を楽しみ、昭和喫茶を楽しみ、わたらせ渓谷鐵道を楽しんで桐生でB級グルメを楽しもうという事になった。
桐生といえばひもかわうどんにソースかつ丼の２大巨頭が思い浮かぶ。

今回は昭和喫茶で食べて来ているので、うどんを軽く啜って行こうということになり、お目当の店にバスで近場まで行く。
13時を過ぎているので余裕であろうと思っていたが、それはかなり甘い考えであった。
藤屋本店では何と待ち13組目となり、余裕で１時間は外待ちする羽目となった。
これは厳しいと思いつつ、ここら周辺で目に付く飲食店は無いか食べログ君で調べたところ、美味そうなオニオングラタンスープが目に入って来た。
更に調べていくと、鴨胸肉のカシスソースなるものが何とも美味しそうに見え、店構えは古民家そのものでかなり面白い物件だ。
ここで待っていても帰りが遅くなること必定であることと、頭の中はオニグラと鴨カシスで占拠されてきたため藤屋を見限りマサミちゃんへ切り替えた。

数分歩いて本町二丁目を過ぎ、有鄰館の対面に古民家を発見。
桐生の伝統的な街並みに溶け込んだ見事な建造物。
非常にわかり辛いが、ペナントの様な細長い長三角旗が庇と柱に括り付けられている。
歩いててこれだから、車だと見過ごして通り過ぎてしまうだろうなぁ。
店内に入ると無駄な装飾は無くこじんまりだが綺麗にイノベーションされており、椅子とソファーはピンク色で壁はアイボリーで落ち着きながらも明るい雰囲気を醸し出している。
14時ちょい前の入店なので開店時の客は全て退店しており客は我々のみでゆったりとした席で美味しい料理と酒を愉しんだ。

昼の軽いミニコースは2,200円からと低廉だが、季節のスープをオニオングラタンスープにチェンジしたりプリフィックススタイルのメイン料理でチョイスする物によっては加算料金を支払うスタイルだ。
こちらは全て上げ上げするとMAX3,600円。
それでも良かったのだが、通常コース料理もあり、オニグラ標準装備で魚料理をグレードアップし、肉料理を鴨胸肉に変更可能と言うことで今回は4,500円をチョイスした。
生ビールを頼み、軽く飲みながら料理を待つ。

料理の感想は、この店でしか味わえないと言う様な目新しい新機軸の料理や味には出会えなかったが、丁寧な仕事で基本に忠実な手堅い料理である。
素材的には値段相応とも言えるが頑張っているなと思わせる一品も。
夜はもっとシェフ独自の個性を打ち出したメニューが戴けるのかな？
気になったのはどの料理の味付けも、白胡椒が強目に利いていてやや突出してバランスが崩れかねない調味だった。
こちらのシェフは白胡椒がお好きなのかな？
後はグラタンの小海老の塩抜きが不完全なのか、小海老がやや塩っぱかった事だけが残念。
他の味付けは塩分濃度も申し分無く素材素材で適切な丁度良い味付けが施してあって美味しく戴けた。

以下この日に戴いたメニュー

◉オニオングラタンスープ

定番のスープは折り目正しいオニグラ。
バケットは３つ浮かんでおり、食べ応えも十分。
丁寧に炒められた玉葱は甘味に溢れており、スープも中々美味しい。
やはり当方はバケットの上に初めからチーズが散りばめられてオーブンで焼かれたタイプが大好きだ。
外は寒いし、このオニグラで身体も温まって来たし、胃の調子も整って来た。

◉海老マカロニグラタン

本日の前菜からチョイス。
海老の塩抜き加減と白胡椒の強い利かせ方は好みでは無いが、他は美味しく戴けた。
ベシャメルもミルクの風味が程良く残されて、滑らかで美味しい。

◉白身魚は真鯛、帆立、車海老のソテー 季節の野菜添え

ミニランチだと真鯛のみだが、帆立と海老が付く。
更に3,500円との違いはこちらは海老が車海老にグレードアップする。

ソースはサフランとバターのソースで色合いに赤パプリカを賽の目に切ったものをあしらって。
真鯛は皮目をカリカリにソテーされており、ナイフを入れた際にパリッと音を立て、ムチッとした身に届く。
皮目の旨さが光り、香り高いサフランにコクのあるバターを合わせてやや淡泊な真鯛の風味を底上げする。
帆立の火入れは見事で1/3強レアで甘味も絶好調だ。
車海老も悪くない。尻尾の殻も戴いたがカリッと香ばしく仕上げてあり、海老のエキスが充満する。
天ぷらの様な揚げ上がりの大葉とオクラのフリットもカリッと軽く上がって良いアクセント。

これはチョイスが正解だったと思わせてくれたを

◉鴨胸肉のローストと旬の野菜 カシスソース

鴨の質もなかなか良く、カリッと焼けた皮目から香ばしい。
火入れはミディアムで、ムッチリとした身の弾力加減と噛み締める旨味を愉しめる。
もっと質の高い素材であれば血の滴る様なもう少し火入れはレアでいけるのだが、食材的にはベストの火入れかと思われる。
鴨のコクをカシスソースの心地良い酸味加減が旨味を統制してサッパリと食べさせてくれる。
皮目がカリッとしており香ばしく、脂身も臭み無く美味しく食べられる。
添えられた野菜達も美味しい。
赤ワインと鴨のフォンだけでなく、ボーも入っている様な深いコク。
鴨胸肉のボリュームも有り、食べ応えはしっかりあって好印象だ。
ソテーされた茄子にはトマトソースが少し掛かっていたり、じゃがいもは半分のポーションを素揚げしていたり、アスパラとブロッコリーの茹で加減もフレッシュさを損なわぬ仕上がり。
キャベツのソテーの火入れもクタり過ぎないで当方好みの硬さで甘味の引き出しも申し分無い。

◉ライス
ちょっと柔らかめであったが甘さが際立ち、風味も申し分無し。


◉デザート
栗のムースのケーキ。連れはクレームブリュレ
甘さ控え目で普通に美味しい。

◉コーヒー
やや酸味のあるテイストだがサラリと抜けて行き、渋味とコクはあっさり。