秋の夜長に割烹フレンチ : 一穀一枝

この口コミは、blueboyさんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

最新の情報とは異なる可能性がありますので、お店の方にご確認ください。 詳しくはこちら

4.2

¥30,000~¥39,9991人
  • 料理・味4.2
  • サービス3.4
  • 雰囲気3.0
  • CP3.4
  • 酒・ドリンク3.4

4.0

¥10,000~¥14,9991人
  • 料理・味4.0
  • サービス3.0
  • 雰囲気3.0
  • CP3.0
  • 酒・ドリンク3.0
2021/11訪問6回目

4.2

  • 料理・味4.2
  • サービス3.4
  • 雰囲気3.0
  • CP3.4
  • 酒・ドリンク3.4
¥30,000~¥39,9991人

秋の夜長に割烹フレンチ

コロナ禍もあって約一年半のご無沙汰となった一穀一枝

地下鉄桜通線を久屋大通で下車。
②出口から地上に出て、すぐの桜通泉二丁目信号交差点を左折。
晩秋の宵闇はスッと下りてくる。
そのままひたすら真っ直ぐ北上する。
外堀通りを渡り、約1㌔の道程。
適当な距離がある場所からの移動にはタクシーを使うが、久屋大通駅からは近すぎて使いにくい。
野山の一本道を歩くわけでもないので、最近はブラブラと散歩がてら歩く。
ただ、この日は、泉二丁目信号交差点で待ち合わせていたので、必然的に歩く。

泉二丁目交差点の南西角で待っていたが約束の時間になっても待ち人が来ない。
電話をかけてみると道路の反対側、セブンイレブンの駐車場前で電話に出る人影。
反対側にいたようだ。
彼の事務所が近くにあるので、お互いの往路が交叉する地点を待ち合わせ場所にしたため、野郎同士で交差点で待ち合わせるという気持ち悪い設定になった。

信号が変わるのを待って横断歩道を渡り、約束の時間より3分遅れで合流。
そのまま北上する。
外堀通りは飯田町交差点を渡れば、目指す店は400㍍ほど。
一人だとそれなりに感じる距離も、誰かと四方山話をしながらだと早く感じる。

昼間でも閑静な住宅地としての顔を隠さない主税町筋界隈は、夜の帳の中ではバス通りに面していることを忘れそうになるくらい静かだ。
白壁交差点方面から歩いてきたら見える看板も、こちらからは見えない。
奥まったところにあるリヴェールさくらに続く短い階段を昇れば、今宵の宴が始まる。


【Amuser】本日の一皿
時計ケースのような箱は四方がガラス張りになっていて、中に季節の草花。
その上に三品のアミューズ。
アミューズスプーンではなく、手指で摘まんで食べる趣向だ。

向かって右側。
軸を取り除いた生のシャンピニオンを容器にして仏産馬肉のタルタル。
コンパクトな器に山盛りにされたタルタルの上にはキャビア。
向かっても向かわなくても真ん中。
自家製干し柿を櫛切りにして皿にし、フォアグラのムース。
フォアグラ特有の臭気を隠すため、カルーアで香りがつけてある。
向かって左側。
原木椎茸のタルトの上に雲丹。
必ずしも旬ではないが、礼文島産雲丹と来ればテンションも上がる。

いずれも丁寧に拵えてあって美味い。
前菜が美味しいことは絶対条件だ。


【Aperitif】蟹
津和井蟹のロワイヤル。
津和井蟹のタルタルの上に香箱蟹。
雌雄が揃って大振りのグラスの中で踊る。
まさに"ロワイヤル"だ。
ジュレは鴨のコンソメ・ドゥーブル。
通常は生クリームを用いるが、バターのみで調理したカリフラワーのムースも。
「蟹が食べたい」というリクエストを出しておいた。
何せ今季は蟹が異常な高騰で、良い物にはおいそれと手が出ない。
ジュレが蟹身の甘さを引き立て、ムースが余韻を楽しませる。
大満足。


【Aperitif】虎河豚
朝獲れ活〆の虎河豚と聞いて顎の準備運動をする。
虎河豚特有のコラーゲンとのバトルだ。
虎河豚の身と白子、それに河豚鰭。
ジャポネにとっては十分ロワイヤル。
乳製品を用いることなく、白子特有のとろみのみで。
鰭は焼いて香りを出し、二等級利尻昆布で旨味を加えてある。
辛味のアクセントにはアリッサ。
北アフリカ発祥のハリッサがフランスを経由してアリッサとなり、主税町で虎河豚に絡まる。
なんとも壮大なスケール感。
甘味のアクセントとして、お焼き仕立てにされた南瓜のニョッキ。
カンボジアが名称由来と言われる南瓜がイタリアと合体して…って、もういいか。
兎にも角にも、この一皿の中に全員集合なのだ。

ブリッブリッとしか表現できない語彙のなさが恨めしいが、この噛み心地が良い。
アペリティフどころか、すでに全力疾走の気配。
白子は何一つ紛うことなく白子で、雑味など微塵もない。
ああ、悔しいくらい美味い。

【Aperitif】鰻
南足柄産天然鰻のマトロート。
シェフによると、南足柄の鰻は鮎を捕食するので香りがいいとのこと。
南足柄の天然鰻と聞くと、野人と称される谷田圭汰氏を思い出す。
受注で食材として販売もしていると聞くが、まさかな。
しかし、天然鰻だからといって全部が全部、掛け値なしで美味いわけではない。
質の良い個体を選ぶことができる目を持つことも大事だ。
ワインやブランディ、シードル等で煮るマトロートは仏料理の古典的調理法。
淡水魚や鳥獣の内臓といったクセのある食材に適している。
そのマトロートを蕎麦粉のガレットでフルムダンベールと一緒に包み、じっくりと焼き上げて香りを閉じ込める。
相変わらず、変態料理人の面目躍如だ。
しっかりとした食感のガレットの中に餡のような鰻のマトロート。
さらにフルムダンベールの風味が覆い被さる。
口の中と鼻腔が大忙し。


【Poisson】きんき
まだ少し旬には早い喜知次。
北海道等では"きんき"の名で知られ、いまではそちらの方が知られている深海魚。
どうかすると金目鯛と混同される嫌いもあるが、もちろん全く別の魚だ。
カサゴ目に属するだけあって、見た目は厳つい。
「網走産の一本釣りです」と道産子シェフの鼻息も荒い。

焼き上げた喜知次に菜花。
その上に岩手県産腹子と帆立貝のソース、菊芋のチップス、リーフ。
腹子を取り出した鮭を鮭節にして出汁を取り、そこに腹子を漬け込んだらしい。
加熱して、まるで温泉玉子のようになった腹子は、生に比べて主張せず、他の食材と調和を保つ。
こういうところが面白い。
殻が固くなる前の腹子ともなれば、生で使いたくなるのが人情。
それを加熱しちゃうんだから、本当にいやらしい。
じっくり焼き上げられた喜知次と腹子の温泉玉子を帆立貝の風味が包む。
美味い。


【Viande】鴨
ジビエの代表的存在でもあるコルベール(青首鴨)。
狩猟物は締め方はもちろん、その後の扱い等々…非常に手間がかかる食材。
捌き方が悪いだけで風味を損ねると聞いたことがある。
何をどこまでどうしたのかな?と思いながらフォークを取る。
ヴィーニョ・ド・ポルトを使ったヴァンルージュソース。
まるで血液のように濃く深い紅。
フワッと浮いたりせず、皿に引っ付いたままのような香りがいい。
ガルニエの加賀太蓮根まで加虐的なモニュメントに見えてくる。
ナイフを向こうに押す。
「うわあ、柔らかーい」なんて嬌声を変態料理人は期待していない。
ああ、こういう風にしたか…と心の中で独り言ちる。
どこまで抑えて、どこまで緩めるか。
これだから彼の皿は面白い。


【Riz】蟹
津和井蟹のメロッソ。
フレンチでもイタリアンでもなく、突然のエスパーニャ。
米を蟹味噌で煮込むというシンプルな調理法。
アクセントは胡椒のみ。
蟹そのものが持つ塩分だけ。
解した蟹身の上には白トリュフ。
蟹が苦手な人には拷問としかいいようのない一皿。
好きな人にとっては至福の時間。


【Farine】コンソメ
「麺を作ってみたかったんです」
唐突な一言で会話が始まる。
面前の変態料理人とは料理の話しをよくする。
その中で、「麺料理という以上、麺そのものが美味くなくては話しにならない」と何回も口にしてきた。
だから…というわけではないだろうが、麺そのものが美味しい麺料理を作ってみたくなったらしい。
シックな色合いの丸鉢で運ばれてきたのは極めてシンプル。
麺と汁、白髭葱と黒胡椒。
名古屋コーチンと野菜のみで三日を費やしたコンソメ。
麺は、北海道産臼挽き全粒粉とデュラムのセモリナを同量配合した手打ち麺。
これを真面目に作るのだから面白い。


【Dessert】ラ・フランス/お茶菓子
ラ・フランスのタルトタタン。
薄くスライスしたラ・フランスをミルフィーユ状に重ね、二時間ほど加熱。
ラ・フランスのムース、アイスクリームはココナッツミルクとヨーグルトで。
そして、ラ・フランスとミントを合わせたサラダ。

お茶菓子は三種類。
西尾産の抹茶を使った焼き立てのマドレーヌ。
ココナッツとリンゴのロシェ。
マカロン。

  • 一穀一枝 -
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2020/01訪問5回目

4.0

  • 料理・味4.0
  • サービス3.0
  • 雰囲気3.0
  • CP3.0
  • 酒・ドリンク3.0
¥10,000~¥14,9991人

こいつぁ春から縁起がいいわえ

今年の食い初めは一穀一枝。
 
ホテル直営や商業施設のテナントであればいざ知らず、元旦から営業している個店フレンチなんて日本広しといえども、こちらくらいではないだろうか。
年末に予約の打診をすると、既にかなりの営業日は予約で埋まっていて、
「四日か五日でしたら…」
ということだったため、四日のランチでエントリー。
 
今回は嫁と義母、義伯母の四人で利用。
義母と義伯母は類を問わず、鳥肉全般が禁忌であるため、事前に告げておく。
 
当日は折からの好転に恵まれ、三人を乗せて車で向かう。
道路を挟んだ東側にコインパーキングがあるはずだが、いつの間にか更地になっていた。
普段、車を利用することがないので気づかなかったのか。
少し北側にあるコインパーキングに一台分の空きがあったので、そちらに駐車。
 
入口の左手にある半個室のようなスペースがキープされていた。
テーブルの上にはメニューが置かれている。
 
【アミューズ】
 フォアグラ ブーダンノアール スルメイカ
【前菜】
 瓜坊
【スープ】
 ブロッコリー
【魚】
 アラ
【肉】
 スプリング仔羊
【デザート】
 レ・クチェ Weiss テリーヌショコラ 小菓子
 コーヒー or 紅茶
 
“鳥肉が禁忌”というと、どうしても鶏肉だと思われがちだ。
フォアグラの文字に全員が反応。
鳥肉は鶏肉のことではなく、鴨も七面鳥も家鴨も、そして鵞鳥も含めた鳥類全般であることを伝える。
自分と嫁は大丈夫だが…と伝えると、義母と義伯母の分は差し替えると言ってくれた。
すると二人が、仔羊も食べたことがないので…と言いだした。
さすがにラムまでは伝えていなかったのでどうかと思ったが、そちらについても、
「飛騨牛のワイン煮でよろしければ…」
と申し出てくれた。
 
新年ということで、乾杯は泡で。
 
HENRI GIRAUD ESPRIT NATURE
 
いまさら説明するまでもないAy-ChampagneのHenri Giraud。
Grand CruであるAyは、Verzenayと並ぶPinot noirの産地として知られる。
フルーティーなフレッシュアロマからスッと移行する熟成香。
スタンダードキュヴェとしての奥行きを感じさせる。
グラスの底から一筋の泡が表面に立ち上がる様を見ているだけで楽しい。
 
●アミューズ
 
amuseは三品。
boucheだと一口という意味になるので、avant諸々込みというところか。
いずれにしても楽しい一皿だ。
 
◎フォアグラ
どら焼きの生地に赤ワインとオレンジジュース、シナモンで炊いたあんぽ柿とヴァニラで香り付けたフォアグラのテリーヌがサンドされている。
それが市販のどら焼きよろしく透明のビニルに包まれ、“一穀庵”と書かれた帯まで貼られている。
甘味は得手ではないのでどら焼きを食べる機会はないのだが、よく、程良い甘さとか、甘さ控えめで…と表現されるが、こちらのどら焼きも、フォアグラの重さを感じさせない出来映えになっている。
 
◎スルメイカ
急遽フォアグラの代役として登場した鯣烏賊
粥に鯣烏賊の烏賊墨を加えて薄くのばしてオーブンで薄焼きにし、その上に烏賊腸のムース、それと一夜干しの鯣烏賊。
昨秋の訪問時に供された牡丹海老煎餅の鯣烏賊版といったところか。
 
それにしても、急場凌ぎとは言わないが、来店直後に修正を依頼したとは思えない迅速な対応だ。
もしかしたらディナー用の一品を当てたのかも知れないと意味のない推測をする。
いずれにしても、優れた対応力であることに変わりはない。
 
◎ブーダンノワール
最も古いcharcuterieの一つとして知られるBoudin noir。
フランスでは古典的な郷土料理の一つ。
豚の血と脂、それにオニオンなどの野菜が1/3ずつで構成されるソーセージで、本場フランスでは居酒屋やビストロで出される庶民的な一品だが、最近、日本の仏料理店でよく見かけるようになった。
こちらのブーダンノワールは、グラニースミスと背脂を使っているとのこと。
品種名の由来となったスミス婆ちゃんも、まさか150年後に自分がオーストラリアで発見したリンゴが日本の仏料理店の食材に使われるとは思いもしなかっただろう。
アップルパイに最適とされる青リンゴをソテーして加熱することで、その特徴である酸味と甘味の調和を引き立てている。
本格的なブーダンノワールに比べるとやや軽い味わいになってるが、豚の血と背脂を使っているとは思えない爽やかさ。
それが安納芋で作られた蝶でサンドされ、カリッとした食感と香ばしさで包み込む。
仔羊は…などと言っていた義母達が、豚の血は…って言わないか心配だったが、大絶賛。
もしかしたら、蝶々のイメージでカモフラージュされたか?
 
◎キャビア
奥飛騨でチョウザメの養殖をしているのは知っていたが、こちらは中津川産らしい。
そういえば、池下にある某割烹で中津川産キャビアと供されて食べたことを思い出す。
世界三大珍味の一つとされて久しいキャビアだが、ロシア国外での生食は難しい。
そういう意味では画期的なチャレンジなのかも知れないが、おそらくベステルであろう交配種かと思うとどうしても鼻白む自分がいる。
そこまでして食べたいか?という疑問を持ってしまうとキリがないので考えないようにする。
タルトにムース、そしてキャビア。
いかにもアミューズという感じの一品であることは間違いない。
 
●前菜 瓜坊
瓜坊といえば、生後四カ月程度までの乳児期の猪だ。
外敵から身を守るための保護色と考えられている縞模様が、縞瓜と似ていることから瓜坊と呼ばれるようになったと言われる。
縄文の昔から食文化として引き継がれてきた猪肉は、山鯨、牡丹の異名でも知られる。
若い頃から好んできた食材であり、故に狩猟直後の処理が大事だということはよく理解している。
スタンダードな食肉である牛豚鶏の中では豚肉が一番好きだけれど、きちんと処理されていることを条件に豚よりも猪の方が好きだと言ってもいい。
そして、羊同様、猪も成体より幼児期の方がクセがなく食べやすい。
その仔猪のパテアンクルート。
最近ではパテクルートと略されているようだが、中高年男子としては正規名称の方が馴染みがある。
前菜?というツッコミたくなるボリュームで登場してきた。
料理の説明をしていたシェフが、義母達にわかりやすく話そうと、
「パテアンクルート、わかりやすく言うとハム。パイに包んだハムですね」
というので思わず笑ってしまった。

仔猪のパテの中には、アクセントとして合馬産の筍を入れているそうだ。
とはいえ、まだ松の内。
九州南部では師走には本格的な出荷が始まるけれど、合馬といえば北九州。
この時期に出まわっている物があるとすれば、かなり気合いが入っている。
見ればパイ生地を丸めた端の部分、ピザでいえばコルニチョーネのところにゼリー状の物が。
聞けば、仔猪からとったコンソメ、consomme de gibier。
アミューズの蝶でもちらりと片鱗を見せたが、変態料理人の面目躍如というところか。
これまた、思わず笑ってしまった。
かなりボリュームのあるパテも、仔猪ならではライトテイスト。
合馬の筍も食感としてのアクセントのみならず、風味もなかなか。
甘味を感じるパイ生地との相性もよかった。

添えられた季節の野菜にはマスタードソースとナッツを加えた絹漉豆腐。
ここでも細かい仕事が施されている。

●スープ ブロッコリー
枯れた感じの渋い朱色の茶碗が運ばれてくる。
名古屋コーチンから取った出汁に、茹でてペースト状にしたブロッコリー、それと名古屋コーチンで卵を加えたフラン。
その上に、名古屋コーチンの出汁を葛あんかけにして流し、北海道産白子と礼文産雲丹、そしてブロッコリースプラウトをトッピング。
白子はクミン、シナモンなどで軽くマリナードし、さらに軽くローストすることで特有の香りを抑え、濃厚さを引き立たせている。
これに最高品種の昆布を餌にして育つ礼文島の雲丹とくれば美味くないわけがない。
意図的だと思うが、解放するのではなく、抑制された香りは、食べることによって解放され、面白い調和を奏でる。

●魚 アラ
軽く塩を打って寝かせた富山県産のアラ、付け添えは三重産益荒男菠薐草と大分産団扇海老。

荒くれ者という言葉があるが、酒席で時折出くわすのはアラクレ談義だ。
アラとクエは同じ魚だと言う人もいれば、アラはスズキ、クエはハタの仲間だから違う魚だという人もいたりして、なかなか議論は白熱する。
結論からいえば、どちらも間違いではないが正解でもない。
アラもクエもスズキ目ハタ科ハタ亜科で、そこまでは同種。
ただ、アラはアラ属という一属一種、クエはマハタ属なので、違う魚だということになる。
アラとクエを同じ魚と主張するのは、福岡もしくは九州北部出身であれば無理もない。
博多では、クエのことをアラと呼び、アラのことをオキダラなどと呼ぶ。
クエのことをアラと呼ぶだけでもややこしいのに、アラのことをタラ(オキダラ)と呼ぶというのだから、これは最早カオスだ。
なので、クエとアラは同じ魚だというのは、福岡界隈限定では正しいということになるが、全国区では正しくない。
いずれにしても、メートル級になれば、アラもクエと負けず劣らずの超高級魚であることは間違いない。
そもそも水揚げそのものが珍しいわけだが、富山で水揚げされるのはかなり珍しいのではないか。
福井で小振りのアラを食べたことはあるが、少なくとも、富山産のアラを食べた記憶はない。

Japan Agronomistsは直訳すると日本農学者。
せめてJapaneseにした方がわかりやすいのではないかと思うが、略してJagrons(ジャグロンズ)というのは無理がある上に、あまり略した効果が得られていない気がする。
そのジャグロンズ農法で栽培されたのが益荒男菠薐草。
平成の大合併で津市に編入されたが、昭和世代には三重県安芸郡安濃町の方が馴染みがあるかも知れない。
片山シェフによると、「糖度15度以上」ということだったので、ゴールデン(益荒男ほうれん草の品種名)だろう。
茎部分の糖度が非常に高く、生産者をして「トウロモコシ並の甘さ」らしいが、確かに糖度15度といえば、トウモロコシやメロン、柿の糖度と変わらない。

団扇海老といえば、長崎県の五島産がブランドだが、西日本各地で生息が確認されているにもかかわらず、水揚げは必ずしも多くない。
かつては地元の三河湾沖でも結構な水揚げがあったが、現在ではあまり獲れなくなっている。
今日の団扇海老は大分産とのこと。
豊後水道で揚がる団扇海老だろうか。
随分前のことになるが、大分に出向いた折、活き団扇海老を七輪で炙って食べたことがあるが、あれは美味かった。
伊勢海老に勝るとも劣らないという評判も、あながち眉唾でもないと感服したものだ。

そして菊芋のフリットがトッピングされ、付け添えはスズメノエンドウ

アラはロースト、菠薐草はソテー、団扇海老はラム酒に漬け込んでロースト。
さすがにアラはメートル級までの味わいではないにしても、表面はカリッと、それでいては中はジューシーに仕上げられ、風味と甘味は申し分ない。

ソースはBourg noisette。
最もシンプルなレシピであればBourgのみということになるが、焦がし過ぎや焦がさな過ぎを防ぐため、レモンなど柑橘類の果汁を加えるのがスタンダードということになるだろうか。
フレンチでは定番のソースだ。
さらにトマトやケッパー、パセリ、アンチョビーペーストなどを合わせて、レストランではオリジナリティーを出している。
片山シェフはドライトマト、ケッパー、そしてレモンの代わりに晩白柚を用いている。
熊本特産の晩白柚はザボンの一種。
ザボン漬けの材料程度の認識だったが、新年早々にソースとして出会うとは思ってもみなかった。
運ばれてきた時には、プロバンス風かと思ったが、Bourg noisetteと告げられた。
アラの淡泊な味わいを邪魔することなく調和し、引き立たせてくれる。

食後、嫁は魚料理が今日イチと絶賛していた。
 
●肉 スプリング仔羊
メニューを見て驚いたのは肉料理。
実はマトンがまったく苦手。
好みではないどころか、一切食べられない。
あの独特の脂の香りは受け容れがたい。
グラス臭由来の臭気は鮮度管理が良ければ大丈夫だとか何だかと言われ、一時期は積極的食べ歩いたが、克服できなかった。
日本では食肉といえば、牛、豚、鶏だが、世界で最も食べられているのは羊肉。
きっと美味しい物があるはずとあれこれ食べてみたものの、あのグラス臭に慣れるにはもう少し早い時期に慣れ親しんでおく必要があったようだ。

ベイビーラムであれば食べられるということは片山シェフも承知しているはず。
スプリング仔羊と書かれているが、つまりはスプリングラム。
段階でいけばベイビーラムの次ということになる。

タスマニア産のスプリングラムは生後三カ月。
付け添えは筍、岩手産ホワイトアスパラ、姫人参。

ラム特有のピンクの色合いは、むしろベイビーラムにちかいくらいで、鮮度の良さを示している。
さて、味わいは…。
敢えてのチャレンジと思っていたが、なるほどと納得。
脂質の酸化臭もグラス臭も皆無といっていい。
肉質は、まさにラム特有の柔らかさ。
シェリーベースのソースも、片山シェフらしく、素材をリードするようなものではなく、かといって力強く引き立たせるわけでもない。
まさに寄り添うような感じで好感。
こいつは春から~ってな気持ちにしてくれた。
 
●肉 飛騨牛赤ワイン煮
義母達のリクエストに応えて、急遽メニューを変更してくれた。
濃厚な色目になるまで煮込まれた飛騨牛は、ナイフが不要なほど柔らかいらしい。
付け添えは、茨城産紅こがねのフリット、タケノコ、こごみ、ひめにんじん、菜の花。
見ていても、ホロホロとほどけるように切り取られる牛肉は柔らかそうだ。

  • 一穀一枝 -
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2019/09訪問4回目

4.1

  • 料理・味4.1
  • サービス3.0
  • 雰囲気3.0
  • CP3.4
  • 酒・ドリンク3.4
¥20,000~¥29,9991人

変態料理人との対決は、いつも面白い

名鉄瀬戸線(名古屋鉄道瀬戸線)を利用する機会は滅多にない。

本当に数えられる程度しか利用したことはないが、それも大曽根でJRや地下鉄に乗り換えてしまうため、名鉄栄駅は利用したことすらない。

早く時間が空いたので、酒津屋 東店で純米酒を一杯やりながら時間を潰す。
そう、今日は名鉄瀬戸線栄駅を初利用するため、栄地下街で待機。
一穀一枝には、栄界隈であればタクシーで移動するのが常だが、今日のプランは名鉄尼ヶ坂から徒歩で移動だ。

栄から二駅、時間にしてわずか五分でしかない移動だったが、なんでも初めてというのは興味深い。
もちろん、尼ヶ坂で下車するのも初めてなので、見慣れた風景まで新鮮に感じる。
駅のすぐ南側が坂になっているので、多分、これが尼ヶ坂なんじゃないかなどと、どうでもいいことを言いながら登り坂を上がる。
白壁交差点に到達して、ああ、一穀一枝って金城学園の南側になるんだ…と気づく。
出来町通は、それこそ何回も車で通行しているのに、ロケーションによって見方というのは変わるものだ。

のんびり歩いて十分ほどで到着。
それでも、開店時間には数分早かったけれど、ドアの前で外観を撮影していると片山シェフが出てきて、「お待ちしておりました」と迎えてくれた。

カウンター席に通されてディナーのはじまりだ。
片山シェフとの真剣勝負が始まる。

アペリティフはTRIMBACH PINOT BLANC (2015)
1600年代初頭に操業したアルザス地方のワイナリー。
平成の大合併ではないが、いまはグランテスト地方と呼ぶらしいけれど、それでは何だか味気ない。
アルザスはアルザス…こういう頑固さも老化現象の一つなのか。
TRIMBACHといえば、以前、Clos Ste Hune Riesling を飲む機会があって好印象をもったが、PINOT BLANC もアペリティフには悪くない。

Amuse-boucheは三種。
boucheには一口という意味があるので三種は矛盾するけれど、文句はない。

◎焼き玉蜀黍の摺り流し 浜名湖産ドウマンガニのフォアグラ西京味噌漬け和え
香ばしい玉蜀黍の摺り流しは丁寧に作られていて好感。
片山シェフによれば、北海道の毛蟹も選択肢だったらしいが、あまりの高値に驚いたらしい。
幻の蟹と言われるドウマンガニと比較しても高値の毛蟹って、どんなのだろう。
その蟹肉にフォアグラを西京味噌漬けにして裏漉ししたものを和えたというのだから、変態料理人の片鱗を早速覗かせる。
これが何とも複雑な味わいを醸し出していて面白い。
何でも掛け合わせ、足し合わせればいいというものではないが、つまりは調和だ。
焼き玉蜀黍の濃厚な風味と西京漬けにされたフォアグラを和えたドウマンガニ。
笑える。
アミューズには“楽しませる”という意味があるが、まさにこれから始まるディナーが楽しみになる。
何より、片山シェフの変態性が具現化されているようで、弥が上にも高まるというものだ。

◎雲丹とパプリカ、マスカルポーネ
小振りのココットに薄紅色のスープ。
雲丹とパプリカ、それにマスカルポーネをスープ仕立てに。
これまた濃厚さと風味の良さ、殊に飲み込んだ後に鼻腔を抜ける風味が次の一匙を誘う。

◎ムール貝のキッシュ
タルト…というと、どうも一六タルトとか和菓子系を思い出してしまうので、発音する時には原音に近いタートと言うようにしているが、文字でタートと書くと何だかアホみたいだ。
てっきり、グリュイエールだのエメンタールだのって説明が来るかと思ったら、モンサンミッシェル産ムール貝と言われて肩透かし。
やたらと天然物をありがたがる風潮がある日本だが、こと食材に関してはフランス産であれば養殖という言葉が少しも気にならない。
食材について、政府が関与する国というのは珍しい気もするが、フランスの食材に対する姿勢は感心するものがあり、モンサンミッシェルのムール貝もAOCが与えられている。
これまた調和がよく、タルト生地まで邪魔にならないようにコントロールされているようだ。

●牡丹海老煎餅
片山シェフが差し出した手には、薄焼煎餅のようなものが置かれ、その上に加熱と生の牡丹海老。
寿司屋でありがちな手渡しスタイルだ。
薄焼煎餅は飯米を粥状に炊き、牡丹海老と味噌と鶏卵を加えて薄く焼いた牡丹海老煎餅。
説明を聞いていて吹き出した。
何もそこまでしなくても…と思うのだが、これこそまさに変態料理人の真骨頂。
煎餅の上に、半分は焼き、半分は刺身の牡丹海老。
緑の粉状のものは、海洋性プランクトンを培養乾燥させた、いわば自家製青海苔というところか。
これだけの手間暇をかけたから美味い!というより、品質の良い牡丹海老が普通に美味い。
まあ、それは、この手間暇をかけたからこその味わいなのかも知れないが。
レストランで料理の説明中に“海洋性プランクトン”なんてフレーズを聞くとは思わなかった。
 
●北寄貝の白和え
殻を器にして、ロースト、直火焼き、刺身の三種類に調理された北寄貝が、生クリームをベースにモツァレラを加えたソースで種柿と一緒に和えられている。
まあ、白和えと言われれば白和えだけれど、豆腐は一切参加せず、生クリームベース。
ホワイト何とかと言わなくてはいけない気分になる。
さて、味わいの方は、ロースト、直火焼き、刺身の北寄貝の食感が面白い。
いうまでもなく、クオリティーは高いので北寄貝特有の風味や甘味も時間差で味わうことができる。
なるほど、三つの調理法に分けたのは、この味わいの時間差攻撃を意図したものなのか。

Sergio Mottura Poggio della Costa (2016)

●新烏賊とトマトコンフィ
新烏賊といえば甲烏賊を連想する向きは関東の食文化に馴染んだ人だろう。
この時期、産後間もない全長5cm程度の甲烏賊が旬を迎え、高値で取引される。
槍烏賊の子烏賊、つまりは新烏賊も、この時期ならではの食材で、名古屋ではよく見かける。
新烏賊の刺身で包まれるようにトマトコンフィが置かれている。
緑色のジュレは胡瓜だという。
この日、一番謎な味わい。

Domaine Sergent Pacherenc du Vic-Bilh Sec

●雲丹と青海苔のギモーヴ
間宮海峡からユーラシア大陸に沿って南下する寒流のリマン海流と、対馬海峡から日本海に流れる対馬海流に端を発する宗谷暖流がぶつかる栄養豊富な海で育まれる利尻昆布は有名だ。
その利尻昆布を餌にしている礼文島の雲丹。
利尻昆布の名前の由来にもなっている利尻島の北西に位置する礼文島は、当然利尻昆布の産地でもある。
余談だが、利尻島の昆布より礼文島の昆布の方が高値で取引されるのがスタンダードらしい。
そんなものを餌にしてしまっていいのか?という気にはなるが、まあ、仕方ないだろう。
ディナースプーンの上に青海苔のギモーヴ、その上に礼文島の雲丹が鎮座。

マシュマロとの違いが取り沙汰にされるギモーヴだが、本来、マシュマロはメレンゲとシロップをゼラチンで固めるが、ギモーブはフルーツピューレとゼラチンのみ。
最近ではメレンゲを使用していてもギモーヴと称するようで、この場合は偽装と言われても仕方ない気がする。
何故メレンゲを使用するのかといえば、ピューレとゼラチンを混ぜ合わせるのが面倒だからだ。
そういう意味では、こちらは真っ当に作られたギモーヴといっていいだろう。
何せ緩い。
テーブルにスプーンごと置かれると、ギモーヴがプルプルと揺れ、ついでに雲丹もプルプルする。
ああ、雲丹が落っこちてしまうのではないかと気を揉ませる。
しかし、青海苔のギモーヴなんてのも前代未聞だ。

ディナースプーンを持って一口で。
雲丹だけをドーンと乗せてくれてもいいのに…なんて内心では思っていたのだけれど、どうといって自己主張しない青海苔のギモーヴが、いい感じに緩衝材になってくれる。
雲丹そのものを味わうのも悪くないが、そこは変態料理人。
食材そのもので勝負するわけにはいかないのだろう。

●鮎のリエットとポルチーニ
高山を源流とする木曽川水系の馬瀬川は水質がよく、大山椒魚が生息することで知られている。
岩魚や甘子、それに鮎といった川魚も多く、太公望の人気を集めている。
馬瀬川産鮎のリエット。
リエットを囲むようにポルチーニ。
神奈川県産ということだったが、国内でポルチーニが獲れるという話しは聞いたことがない。
和名ではヤマドリタケだが、国内に自生しているのは近縁種であるヤマドリタケモドキ。
不勉強なのかも知れないが、養殖に成功したという話しも聞いたことがない。
ということは、ヤマドリタケモドキだろうか。
殆どの飲食店では輸入ポルチーニを使用しいてるので、逆にヤマドリタケモドキであれば興味深い。
ヤマドリタケに比べてやや柔らかく、香りが少ないと聞いているが、確かにコシがない気はする。
とはいえ、さほど目くじらを立てるほどのこともない。
いや、どちらなのか確認したわけではないけれど。
リエットは面白かった。
いかに舌触りを良く、滑らかに仕上げるかが肝心なのだが、その点では及第点。

Les Arums De Lagrange Bordeaux (2014)

●椀盛~真魚鰹と銀杏スープ
これぞ、懐石フレンチというところか。
椀盛は鹿児島県産銀杏のスープに高知県産真魚鰹。
鮮やかなグリーンの中央に焼き目も美しい真魚鰹。
先刻の新烏賊が槍烏賊だったように、一穀一枝の食材スタンスは関西らしい。
この場合の関西とは、本来の意味である“箱根関より西側”で、名古屋圏も含まれる。
西日本ではスタンダードな食材。
冬の季語になっているため、旬は冬場とも言われるが、初夏から夏にかけてがいい。
9月初頭はギリギリセーフだ。
味わいは何とも優しく、ほっこりとした気分にさせてもらえる。

金目鯛の鱗焼き
ミサイルの発射台のようなポーションで登場したのは、千葉県は勝浦産の金目鯛。
その下に敷かれているのは松茸なのだが、ブータン産の松茸とのこと。
とうとうブータンまで行ったかあ~と、意味不明な感慨も一入。
国産と比較しても負けない香りと味わい…いや、これは決して片山シェフが自画自賛で口走ったわけではなく、前に聞いた話し。
でも、食べるのは初めてだ。
まあ、国産松茸と言っても大半は長野県産で、残念ながら個体による差異が非常に大きい。
どの国産と比較するかは主観の問題だから、一概にどうこうとは言えないだろう、そりゃ。
ただ、片山シェフの眼鏡に適っただけのことはあって、なかなか香りも良い。
まだ国産には早すぎる時期であることを考えれば悪くない。
何より、そこまで松茸に信奉心もない身としては。
ソースは、落花生を乳酸で一ヵ月かけて発酵させたらしい。
ほわっと香る落花生が、本来の姿をイメージさせてくれるが、それにしてもよくやるなあ、本当に。

Pinot Noir Reserve Weinbach Domaine (2015)

●アンドゥイユのラビオリ
「本来は兎や子羊の肉を煮込んでラビオリに包むピエモンテの郷土料理」と片山シェフが説明してくれたが、つまりは Agnolotti dal plin のことだろう。
それをフランスのアンドゥイユ(Andouille)で作ったそうだ。
さらにいえば、アンドゥイユはもともと豚肉の燻製ソーセージだけれど、片山シェフは牛トリップ(ハチノス)で拵えたらしい。
もはやオリジナルと称してもいいのではないか?
トリップを赤ワインで炊き、松の実、タイム、シュレッドを加え、トマト、菠薐草、竹炭を練り込んで作った生地で包んでラビオリにして、浅蜊のスープで。
うん、もう、オリジナル料理ってことで誰も文句言わないと思う。
何やら黒いと思ったら竹炭だったのかあ。
ビーフとはいえ、トリップということで重たくないし、やや存在感を示すラビオリ生地もモチモチして面白い。

●仔牛のタンと真牡蠣のソテー
ピエモンテの仔牛のタン、それに北海道産真牡蠣を焼いて合わせ、さらに熊本産の栗を焼いて。
牛タンエキスを生クリームで伸ばし、シェリーで香り付けしたソース。
運ばれてきた瞬間、ラムかと思ったほど淡い色目の肉は、驚くほど柔らかい。
これと真牡蠣が合うのかと思ったが、ソースが実に良い仕事をする。
まあ、考えてみれば、仔牛のタンをソテーしたエキスをベースにしているのだから、弾き手はタンだ。
真牡蠣も栗も、いい感じで誘われて調和を奏でる。
片山シェフの料理の面白さは、ライスやパンといった主食が欲しくなることがないことだ。
市井の料理店では、気持ちはわかるが、意図的にインパクトを与える仕上がりになっていることが多い。
もっとも、ディナーでは調味料としての塩を使わないというのがポリシーということもあるのかも知れないが、それにしても、ここまで味わってきて一度もそう思わせない。
その料理だけで完結し、どうかするとワインとのワリアージュさえマストではない。

●スッポンの炊き込みご飯
神奈川県産天然のスッポンは、3.5㌔を誇る雄…だったそうだ。
茶碗の中に入って供された時には、生前の面影はない。
ところが、余すところなく使って炊かれたご飯は、炊き込みご飯というより、スッポンスープライスで、まさに猛烈なまでのスッポンの存在感。
コラーゲンがプリプリなんて甘っちょろい言葉では表現できない。
プリプリもグリグリもコリコリもヘニョヘニョも全部ない交ぜになっている。
それをガーッとかき抱くようにスッポンの香り。
何と表現すればいいのか。
贅沢なスッポン雑炊、ライス入りスッポンスープ、いや、どれもピンとこない。
とにかく美味かった。

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2019/01訪問3回目

3.6

  • 料理・味3.6
  • サービス3.0
  • 雰囲気3.0
  • CP3.0
  • 酒・ドリンク3.0
¥10,000~¥14,9991人

スクランブルで初ランチ@一穀一枝

打ち合わせ後、新年会を兼ねてランチをしようということになった。
ところが、前日になって
「できれば、近くにS信金があるところがいいんですが…」
他府県出身の仕事関係者は、いまひとつ名古屋事情に詳しくない。
その割にSなんてジモティーしか知らないマイナー信金に所用があるというところは大いなる矛盾だけれど。
マストではなく、できれば…という体ながら、リクエストされれば応えたいタイプ。
S信金といえば車道に支店があり、その界隈にはランチ営業をしている人気店も多い。
しかし、さすがに前日予約となると無理がある。
そこでふと思い出したのが“一穀一枝”。
早速電話を入れ、やや強引ながら13時にエントリー。
 
打ち合わせが早く終わったら、少し距離はあるもののウォーキングがてらブラブラ歩いていけばいいなどと話していたが、予想外に打ち合わせが長引き、気づけば13時。
慌ててタクシーを拾おうとするが、こういう時に限って市内有数の幹線道路である桜通だというのに流しのタクシーが来ない。
ようやく拾うことができた一台で主税町を目指す。

店に着くと予約時間を15分以上過ぎていた。
急な予約だったにもかかわらず、こちらの都合で遅れたことを詫びながら入店すると、大丈夫ですと笑顔で迎えてくれた。

これまでカウンター席しか利用したことがなかったが、今回は入口から左手に折り返すように進んだテーブル席、入口左の窓に面した半個室。
まずはヱビスビール

ディナーでは調味料としての塩を用いないなど独特のコンセプトを掲げているが、「ランチは全然別です」と以前片山シェフに聞いたことがある。
さてさて、全然コンセプトが違う料理とはどんなものかと楽しみにシルバーを取る。

 
【前菜】鯖/根セロリ/菊芋
青森産の寒鯖を温州蜜柑で締めたそうだ。
ランチも十分独特の調理法だと思う。
鯖の間にはロックフォールドルチェ、そして画像ではリーフの下に隠れて見えないけれど、二種類のマリネが囲む。
一つは菊芋のピューレと根セロリをヘーゼルナッツオイルでマリネ、もう一つは紅芯大根を発酵青梅のピュールでマリネしたもの。
どれも主張しすぎず、脂が乗った寒鯖と調和を保っている。
賽の目にカットされ、ヘーゼルナッツオイルでソテーされた海老芋が散らされているのだが、海老芋をこのサイズで用いることの意図がわからないのが面白い。
それらをまとめて頬張ることで得られる風味もいいが、手間をかけた一つ一つを味わうのも愉しい。

【スペシャリテ】鮟肝/生ハム/グレープフルーツ
「普通のランチコースを食べるだけでは面白くない。スペシャリテを一皿追加してほしい」という無理な希望に応じてくれた。
北海道産の鮟肝をシャンパンで一日マリネし、80℃で90分加熱した後に軽くフリット。
ピンクグレープフルーツと生ハムを沿えて。
いわゆる鮟肝をイメージしていると良い意味で裏切られる。
ただ、生ハムの塩味が強すぎて、全体の調和を崩してしまうのは残念。
“一穀一枝”とは思えないソルティーな味わいにびっくり。

マリアージュに適したワインを…というリクエストに片山シェフが応じたのが、Sergio Mottura Poggio della Costa

【スープ】香箱蟹/卵/蕗
歩荷(ぼっか)の卵は、国内有数の銀杏産地として知られる祖父江産。
平飼い有精卵のフランの中には香箱蟹。
その上に浅蜊出汁に蕗の薹を加えてフェッテしたソース。
スプーンで混ぜ合わせて食べる。
平易にイメージするなら、つまりは茶碗蒸しということになるのだが、そこはさすがの出来映えで品のある味わい。
ほのかに香る蕗の薹が趣を高める。

グラスは純米酒に切り替える。

【魚】能登/甘鯛/平貝
「能登産の甘鯛、松笠のローストでございます」
松笠焼きというよりは、松笠揚げといった感じの仕上がりになっているのだが、松笠とローストという言葉を組み合わせての説明に思わず失笑してしまったが、考えてみれば、ローストという表現の方がいろいろな含みを思えば正しい気がする。
ソースはカリフラワーのクーリーとフェンネルのオイル。
フェンネルは聞き慣れないが、イタリア語でいえばフィノッキオ。
スパイシーな香りが魚介特有の臭いを消してくれることでよく利用されている。
さらに花山葵の茎、聖護院蕪、百合根をローストし、平貝を加えて香り付け。
アクセントに花山葵の葉。
甘鯛のしっかりとした味わいを松笠が高め、ソースと調和する。
平貝も歯ごたえはしっかり、味わいもしっかりで美味かった。
 
コースメニューの肉料理池ヶ平牧場 高原コーチン
190日かけて飼育される名古屋コーチンだ。
大いに食指を動かされたが、折角なのでこちらも追加料金枠から選択。
最早、何が折角なのかすらわからなくなっているが、そうそう、新年会だ。
選択肢は次の四つ。

アルザス 乳呑仔羊(+1,800円)
ヴィルゴー家 窒息鴨(+2,200)
仙台牛 ホホ肉(+2,500)
鹿児島産黒毛和牛 ヒレ(+3,800)I

協議の結果、仙台牛黒毛和牛はどこでも食べられるが、乳呑仔羊窒息鴨は珍しいということで、そちらをオーダーした。
 
【肉】アルザス/乳呑仔羊
現在はグランテストという名称になっているが、フランス中東部はドイツとスイスに接するアルザス地域のアニョ-・ド・レ。
同伴者のオーダーだが、シェアすることに。
柔らかく、ジューシー…などと書いたら、陳腐なCMのセリフみたいだが、実際にそうなのだから仕方ない。
マトンは苦手だけれど、アニョー・ド・レであれば愉しめる。
 
【肉】ヴィルゴー家/窒息鴨
ビュルゴー家のエトフェとくれば、シャランかと思いきやルーアン。
よりワイルドってことだ。
赤ワインのソースに、ガルニは原木椎茸、姫人参、蕎麦掻きを緩くしたピューレ。
知多産の原木椎茸というので、平松の?と聞くと「そうです。」
平松の原木椎茸も食い初めだ。
焼き具合はさすが。
素材そのものの味わいをじっくりと吟味する感じで、ああ、“一穀一枝”っぽい。
ランチは、比較的わかりやすくデフォルメできるところはデフォルメしてキャッチーな感じにしていると聞いていたのだが、このディッシュは満足。
 
【デザート】ホワイトチョコレート
ディッセールは、ホワイトチョコレートのムースとフランボワーズ。
ムースの中にはフランボワーズの果肉。
その下にヘーゼルナッツとピスタチオのキャラメリゼとココアとアーモンドのクランブル。
間にシャンパンと柚子を合わせたジュレが酸味を加える。
西尾産抹茶のメレンゲが最上部、その両サイドをイチゴが囲む。


食材や調理技術などは同じなのだが、ランチとディナーではウエイトというか何というか…確かに、けれど、必ずしも小さくはない異なる印象を与えるかも知れない。
個人的には十分愉しませてもらったが。
これは恣意的なものというより、これが片山シェフのスタンスで、これを是とする人が是とすれば良い…いや、さすがに憶測とはいえ、断定的過ぎるが、つまりはそういうことなのかも知れない。
もちろん、それはそれでいいし、それもまた面白い。

  • 一穀一枝 - 【前菜】鯖 根セロリ 菊芋

    【前菜】鯖 根セロリ 菊芋

  • 一穀一枝 - 【前菜】鯖 根セロリ 菊芋

    【前菜】鯖 根セロリ 菊芋

  • 一穀一枝 - 【スペシャリテ】鮟肝 生ハム グレープフルーツ

    【スペシャリテ】鮟肝 生ハム グレープフルーツ

  • 一穀一枝 - 【スペシャリテ】鮟肝 生ハム グレープフルーツ

    【スペシャリテ】鮟肝 生ハム グレープフルーツ

  • 一穀一枝 - 【スープ】香箱蟹 卵 蕗

    【スープ】香箱蟹 卵 蕗

  • 一穀一枝 - 【魚】能登 甘鯛

    【魚】能登 甘鯛

  • 一穀一枝 - 【魚】能登 甘鯛

    【魚】能登 甘鯛

  • 一穀一枝 - 【肉】ヴィルゴー家 窒息鴨

    【肉】ヴィルゴー家 窒息鴨

  • 一穀一枝 - 【肉】アルザス 乳呑仔羊

    【肉】アルザス 乳呑仔羊

  • 一穀一枝 - パン

    パン

  • 一穀一枝 - 【デザート】ホワイトチョコ

    【デザート】ホワイトチョコ

  • 一穀一枝 - ヱビスビール

    ヱビスビール

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2018/02訪問2回目

4.0

  • 料理・味4.0
  • サービス3.0
  • 雰囲気3.0
  • CP3.4
  • 酒・ドリンク3.4
¥15,000~¥19,9991人

割烹フレンチの面目躍如 鮎魚女のすごさを実感した夜

昨秋以来、今年初となる一穀一枝。
そして、前回と同じカウンター席。

片山シェフが「こちらなんですけどね」と液体が入った深型のバットを見せる。

鮎魚女の粗、頭部や骨を120℃のオーブンで六時間かけて焼き上げ、真水で煮詰め、天然の塩を取るそうだ。
手間がかかるなんて言葉では足りない。
前回、どうやって天然素材から塩を取っているのかと重ねて聞いたことを覚えていたようだ。
さて、今宵のショーはどんな塩梅になるのだろうか。
開演前にパンフレットを確認するような気持ちでメニューを確認する。


●アミューズ
鮟肝
●前菜
公魚/滋賀産、平貝/愛知産、車海老/愛知産、真鯛/兵庫産、浅蜊/北海道産、だし巻き、フォアグラ
●前菜
ホワイトアスパラガス、鱈場蟹
●スープ
牡蠣のクネル
●魚
鮎魚女/北海道産
●肉
ビュルゴー家シャラン鴨/フランス産
●米
虎河豚
●デザート

コーヒーまたは紅茶


すでにでビールと純米酒をやってきているので、前回同様、ここでは最初からワイン。

Le Vacanze Chardonnay delle Venezie Cantina d Autore
イタリアはヴェネト州の微発泡ワインを一年間寝かせることで通常のスパークリングより強めの発泡に。
相変わらず爽やかな口あたりがシェフの好みのようだ。


●アミューズ 鮟肝

「鮟肝ポン酢をフレンチにするにはどうしたらいいかと思いまして。」
その発想が、すでにシュール。
シードルビネガーで一日マリネした鮟肝を、80℃の低温でじっくりと加熱してムースにし、ペストリーバッグから。
ビネガーはフランス産の10年物を使用しているそうだ。
彩りの粒は漬け込んだビネガーを球体にしたものらしい。
「そのまま手でお召し上がりください。」
端からボートごと食べる。
いわれてみれば鮟肝ポン酢だが、出来映えは上品。
臭みもなく、ビネガーの球体がアクセントになっている。
濃厚というよりは摩訶不思議な味わい。


●前菜 公魚/滋賀産、細魚/高知産、平貝/愛知産、車海老/愛知産、真蛸/兵庫産、浅蜊/北海道産、河豚皮のフロマージュ・ド・テット、だし巻き、フォアグラ

公魚は、公魚を一週間かけて乾燥させ、粉末状にしたものを衣として公魚に塗して揚げる。
調味料を使わず、食材そのものを活かすという調理方法。
細魚のマリネも、細魚の腸を利用して調味されている
三河産の平貝はマリネにし、その上に酒粕でテリーヌされたフォアグラ。
これが香りが本当によく、フォアグラの長たる要素にフォーカスされていて素晴らしい。
2015年ヨーロッパで発生した鳥インフルエンザの影響で輸入規制されていたフォアグラ。
ということは、一昨年などは本場のフォアグラは輸入されていなかったわけだが、さほどの騒動にはなっていなかった気がする(あくまでの個人的な見解)。
車海老も、車海老のコンソメで車海老を煮詰めるという早口言葉のような調理法。
明石産の蛸は、明石海峡の海水と井戸水で煮詰められている。
海水の塩分を井戸水で調整することで程良い塩梅に。
浅蜊の下には芹が敷かれて、フルーツビネガーを使った黄身酢和え。
虎河豚は、どう見ても煮凍りだが、Fromage de teteの技術を応用。
アクセントに生胡椒が添えられていて、香りが良い。
フォアグラは酒粕でテリーヌされている。
香りがよく、フォアグラの長たる要素にフォーカスして引き立てられていて良い。
2015年ヨーロッパで発生した鳥インフルエンザの影響で輸入規制されていたフォアグラ。
ということは、一昨年などは本場のフォアグラは輸入されていなかったわけだが、さほどの騒動にはなっていなかった気がする(あくまでの個人的な見解)。
そして、ペリゴール地方の黒トリュフを使っただし巻き玉子
焼きたての風味は、まさに卵焼きのそれ。
この香りは否応なく食欲を刺激する。


前菜に合わせて、Court Metrage Rouge 2015
プロバンスのビオ。
これも自己主張はなく、前菜のポーションの一つのように馴染む。
いわゆるワイン通が唸るようなラベルが登場してくるわけではないが、料理に合わせた選択のセンスはいい。
片山シェフの酒量があまり多くないということも幸いしているのかも知れない。
酒好きの料理人は好みが反映して、どうも面白くない。


●前菜 ホワイトアスパラガス、鱈場蟹

北海道産鱈場蟹の茹で汁を煮詰め、赤ワインビネガーを加えたと説明があった。
佐賀県産ホワイトアスパラガスは、火の通し具合が絶妙で、食感というアクセントが活きる。
米粉で閉じることによって熱の通しをコントロールしているそうだ。


●スープ 牡蠣のクネル

野菜を煮込んで作ったスープに牡蠣のエキスを少量加えてあるとのこと。
食材の味わいがいい。
しかし、この味わいが本当にわかってもらえるのかと心配になる。
「この味をちゃんと理解できる人がそんなにいるのか?」
という心ない問いかけに、
「それは、わかりませんとしか言えないですね。」
シェフは意に介さない。


●魚 鮎魚女/北海道産

鮎魚女は冒頭でお披露目された鮎魚女の出汁に漬け込み、炭火でじっくりと焼き上げられている。
風味がよく、皮はパリパリで美味い。
ソースも同じ出汁で作られていて、合わないわけがない。
ウルイと富山県産の蛍烏賊が添えられている。


●肉 ビュルゴー家シャラン鴨/フランス産

シャラン鴨のモモ肉。
発酵番茶と赤ワインのソース。
前回もシャラン鴨はよかったが、今回はそれ以上。
野趣あふれる味わいを引き立てるソースがいい。
ガルニの椎茸や筍もいい。


●米 虎河豚

虎河豚の御飯としかいいようがない。
炙られた白子と混ぜ合わせて。
これが美味しくないわけがない。


●デザート 苺

苺のタルト。
ヘーゼルナッツとピーナッツ、カカオニブのクランブル。
その上にマスカルポーネのムース。
柚子、フランボワーズ、とちおとめのフォンデュ。
レモン果汁でマリネしたあまおう
カカオ79%のチョコを使った飴のチュイール。
そして、福島産発酵番茶を使ったロールチョコのマカロン。


今回も大いに知的欲求と食欲を満たしてもらえた。

  • 一穀一枝 -
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2017/11訪問1回目

3.8

  • 料理・味3.9
  • サービス3.0
  • 雰囲気3.0
  • CP3.4
  • 酒・ドリンク3.4
¥10,000~¥14,9991人

調味料としての"塩"について、食べている間、ずっと考えさせられた

人間が通常口にする物の中で最も致死量が少量の物質といえば塩化ナトリウム、塩だ。
その反面、必須ミネラルであるナトリウムとして多くの生物に必要不可欠となる重要な物質でもあり、さらに、複雑な要素を調和させ、味の輪郭を形作るのに欠かせない調味料でもある。

塩を調味料として使わない。
それが一穀一枝のオーナーでもある片山シェフの強いこだわりだ。
食材に含まれている塩分を最大限に引き出し、食材を調和させる。
これはなかなか勇気がいることだ。
殊に名古屋という地域性を踏まえると、職業的には最早無謀の域に達しているのではないかとさえ思われる。
11月中旬にエントリー。
フレンチながら懐石の文字を付しているのだから季節感のある料理が期待できるであろう秋だ。

“秋の夕日はつるべ落とし”というが18時の開店時間に合わせて訪れると周囲はすっかり宵闇に包まれていた。
東区の代官町から主税町界隈は評価の高い店が増えてちょっとしたグルメスポットになっているのだが、高級住宅街という側面も合わせ持つだけあって車の往来も少なく静かだ。
主税町4交差点の北側。
宵闇の中、ライトアップされた屋号が浮かび上がる。

色彩は豊かながらトータルとしてはシックな雰囲気に整ったセンスのいい内外装は好感。
見解はいろいろあると思うが、外食の楽しみの一つに店の雰囲気やムードがある。
さらには人と人との接点、それをホスピタリティーと呼ぶのはどうも苦手だが、お店の人とのやり取りも楽しみの一つ。
清掃も行き届いていないような調理場で作られたものを美味しいと思って食べられるほど、まだ人間ができていない。
同様に、人として最低限のマナーや思いやりの心を持たないような人間が作ったものを美味しいと思って食べることもできない。

一穀一枝
もちろん、一期一会のアレンジだがオフィシャルサイトによれば、
“素材の力を最大限に引き出し生産者や命を「穀」、ゲストに繋がる「枝」”
とのこと。

開店時間だけあって一番乗り。
席はお好きなところをというのでカウンター席に。
既に八咫名古屋栄店で一杯やってきたのでワインからスタート。
料理に合ったワインをお任せで出してくれればいいとオーダー。


オープニングだし、泡でも登場するのかと思ったら、2013 Domaine Pinson Freres Chablis Grand Cru Les Clos
いきなりDomaine Pinson、それもGrand Cru
味わいは申し分ない。
「最初からグランクリュ? 最後は何がでてくるんだ?」
という戯れ言にも柔和は笑顔で応じるシェフ。

てっきりフランスワイン一本槍なのかと思っていたら、続いて登場してきたのは12 e Mezzo Bianco Puglia IGP
プーリアのビオワイン。
前菜前に2杯目だ。


●アミューズ
蕎麦/海老芋/雲


大豆で埋められた一合枡の上に揚げ春巻きが置かれている。
なんとも大胆なポーションの前菜だ。
蕎麦と海老芋、それに雲丹が包まれている。
文字にしてしまえばそれだけだし、料理の画像もそのままだ。
パリパリに揚げられた皮と熱々の具。
蕎麦と海老芋は独特のもっちりとした食感、そして地なる風味。
そこにロトロの雲丹がアクセントもたらし、それが調和する。
なるほど、調味料としての塩を使わないというのはこういうことか。
蕎麦と海老芋といえば、塩は不可欠といってもいい。
雲丹に含まれる塩分だけで調和させようという試みのようだ。


●前菜
穴子(長崎産)/クロムツ(和歌山産)/梭子魚(高知産)/帆立(北海道産)/紅富士(富山産)/パティ


季節感満載の前菜は視覚で楽しむ和食の文化が宿った一品。
最早フレンチだろうと和食だろうとカテゴリーなどどうでもいい気になる。
梭子魚(かます)の骨髄から抽出された僅かな塩分を利用している。
前菜二皿目で、(ああ、このシェフは料理をすることが本当に好きなんだ)と思った。


●前菜
牡丹海老(北海道産)/茄子/マスカルポーネ


牡丹海老の卵は青色系。
一般的に食欲を減退させる色合いと言われているが、大胆に使われている。
大振りの牡丹海老は濃厚な味わいで美味。


GOULEE BLANC 2013
ボルトーのスーパーセカンドと称されるコスデストゥルネル、通称コスのセカンドラベル。
シェフは爽やかなワインがお好みらしい。


●スープ
白子/百合根


鱈の白子はあまり好んで食べないが、こういう調理の仕方は面白い。
とろみがかった餡に、ほんの僅かな塩を加えたら、とても輪郭がはっきりとしてわかりやすい味になるだろうにと思った刹那、(ああ、なるほど)と納得。
懐石というのは和食器や和テイストのことを表現しているだけではないらしい。
和食の神髄は“淡さ”につきる。
吟味して味を探すくらいでちょうどいい。
そういう意味では、こちらの料理は味わうということに真剣でないと楽しめない。
懐石とは和食の神髄を指しているのだろう。


Louis Max Pinot Noir Bourgogne Beaucharme
こちらもライトなピノという感じで悪くない。


●魚
金目鯛(千葉産)


夏場であれば本物の蓮が敷かれるのだろうか。
カリッと焼き上げられた金目鯛の中はジューシー。
風味の豊かさ、味わいの奥深さは金目鯛を麹漬けにした仕事の賜物。
刺身を供するわけでもないのに魚は神経締めのものしか仕入れないという。
麹漬けにする魚まで神経締めのものを用いるという徹底ぶりは、最早微笑ましいレベル。
いや、決して軽んじているわけでもなければ馬鹿にしているわけでもない。
そんなところまで神経の行き届いた料理というの楽しいものだ。


Chateau de la Gardine Chateauneuf-du-Pape
こちらも200年以上の歴史をもつブルネル家のシャトー。
グレナッシュをベースで、ここまでの流れに比較すればやや重厚な赤。
肉料理との相性の良さを隠さないタイプだ。


「ちょっと面白いヌーボーがあったので」
もう一杯は、Prosper Maufoux Beaujolais Villages Nouveau Dom. de Maisons Neuves Vieilles Vignes 2017
ラベルに長々と書かれているが、つまりはプロスペル・モーフーのヌーボー。


●肉
合鴨(京都産)
ビュルゴー家 シャラン鴨(フランス産)


通常は京都産の合鴨らしいが、折角なので合鴨とシャラン鴨の両方をオーダーして食べ比べてみる。
平素、メインディッシュに至る頃には満腹感に襲われがちな呑兵衛だが、今宵はさほどでもない。
デフォルメされた味との差を痛感する思いだ。
オープニングワインのパンソン家も300年以上の歴史を有しているが、ビュルゴー家も4代続く養鴨場。
フランスでは食材の生産から管理まで国家規模で徹底することは知られているが、その中でも有数の生産者の物を採用しているようだ。
合鴨と比較すれと、やはり色目と風味が違う。
カナール・エトゥフェの特徴が出ていて肉質も柔らかい。
ソースとの相性は好みが分かれるかも知れないが、個人的には好みだった。


●米
香箱蟹


香箱蟹のリゾット。
甲羅ごと炊き上げられた鍋がお披露目され、仕上げは目の前で。
何ともいえない風味と旨味。


デザートまですっかり堪能。
調味料としての塩のあり方については大いに考えさせられた。

基本的にオーナーシェフが一人で切り盛りしているため、それなりに時間を要する。
それを楽しめるタイプの人でないとお薦めできない。
長っ尻には自信があるので苦にならなかったけれど、待つのが苦手な人もいるだろう。
行列に並ぶといった方向での待つことは絶対にできないタイプだが、料理の合間にグラスを傾けながら会話を楽しむのであれば問題ない。

ランチはディナーとまったく違ったコンセプトで供しているらしい。
場所柄を考えると、ランチはタイミング的にハードルが高いけれど、機会があればチャレンジさせてもらうこととにしよう。

  • 一穀一枝 - メニュー

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  • 一穀一枝 - 外観

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店舗情報(詳細)

店舗基本情報

店名
一穀一枝(いちごいちえ)
ジャンル フレンチ、イノベーティブ
予約・
お問い合わせ

052-325-4710

予約可否

予約可

※ご予約の際にアレルギーや苦手な食材・調理法がございましたら必ず お申し付けください。

※ご来店の三日前より100%キャンセル料を頂戴しております。事前に ご認識ください。

※当店は1ドリンク制です。

※ミネラルウォーターお一人様400円頂いております。

住所

愛知県名古屋市東区主税町4-13 リヴェール桜 103

交通手段

文化のみち二葉館 徒歩1分
主税町4(ちからまち)交差点 徒歩1分
尼ケ坂駅 徒歩10分
高岳駅 2番出口 徒歩10分

尼ケ坂駅から697m

営業時間
  • 火・水・木・金・土・日

    • 12:00 - 15:00
    • 17:00 - 22:00
    • 定休日
  • ■ 営業時間
    [ランチ]
    12:00 スタート のみ

    [ディナー]
    最終 20:00 スタート

    ■ 定休日
    祝月の場合は営業 翌火定休
予算

¥15,000~¥19,999

¥6,000~¥7,999

予算(口コミ集計)
¥20,000~¥29,999 ¥10,000~¥14,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード可

(VISA、Master、JCB、AMEX、Diners)

電子マネー不可

QRコード決済可

(PayPay)

サービス料・
チャージ

サービス料:10%

席・設備

席数

24席

(カウンター、テーブル)

最大予約可能人数

着席時 16人、立食時 25人

個室

(4人可、6人可、8人可、10~20人可)

半個室 4〜6名様用1室・半個室 8〜最大16名様用1室

貸切

(20人以下可)

禁煙・喫煙

全席禁煙

駐車場

近隣にコインパーキングあり

空間・設備

オシャレな空間、落ち着いた空間、席が広い、カウンター席あり

メニュー

ドリンク

日本酒あり、ワインあり、日本酒にこだわる、ワインにこだわる

料理

野菜料理にこだわる、魚料理にこだわる、健康・美容メニューあり、ベジタリアンメニューあり

特徴・関連情報

利用シーン

家族・子供と 接待 知人・友人と

こんな時によく使われます。

ロケーション

隠れ家レストラン、一軒家レストラン

サービス

2時間半以上の宴会可、お祝い・サプライズ可(バースデープレート)、ドリンク持込可、テイクアウト

お子様連れ

子供可(乳児可、未就学児可、小学生可)、お子様メニューあり、ベビーカー入店可

お子様連れの場合は、半個室のみのご予約になるため前もってお電話でご相談ください。お子様メニューもご用意しております。お子様メニューは一律3,500円です。

ドレスコード

香水などの香料をつけてのご入店をお断りしてます

ホームページ

http://nagoya-french.info

公式アカウント
オープン日

2015年2月6日

備考

アメックスが使えます(情報提供元:アメックス)

初投稿者

よっしー♫よっしー♫(10484)

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