明治創業の大衆酒場の王 心ゆくまで酒と肴を堪能 : 大甚 本店

☆2018年12月17日（月曜）夜

太田和彦の居酒屋百名店シリーズでも取り上げられ、
「日本一の大衆居酒屋」と言わしめた、
明治40年創業の老舗酒場『大甚 本店』さんへ。

少し出遅れて、18時過ぎに到着。
伏見駅7番出口を出てすぐの所に、お店はあります。

お店に入るとすぐに、賀茂鶴の大樽とずらりと並ぶ小料理が待ち構えており、
満席で狭い通路を、お客さんと店員さんが入り混じります。

一足先に席を抑えてくれていた友人と合流し、横長のおよそ８人分の机の角に座りました。

男性客を中心に、仕事終わりのサラリーマンや、地元のおじいちゃんだけでなく、店の裏にある御園座で舞台を終えた役者さんや、スタッフさんが食事を楽しんでいます。

背中の狭い通路を他の人が通る、同じテーブルで相席、隣に会話が丸聞こえなんて当たり前。
そのため、お客さん同士背中が触れ合ったり、相席のお客さんのメニューが気になり注文したりと、お客さん同士のコミュニケーションが発展するきっかけが多い雰囲気です。

まずは小皿料理を取りに、席を立ちます。
この日は、おばんざいは用意されてなかったようですが、ショーウィンドウの上に並ぶ小料理の種類は、およそ20〜30はあります。
ちなみに、食べ終わったお皿やグラスの数で後ほど清算するシステムです。

どれも美味しそう…と、悩んでいると、
「それはただのネギ和え。せっかくならイワシと一緒のこっちがお勧めだよ」とおばちゃんが勧める。
「ほら、おぼんもってきなよ」と今度はおじちゃんがおぼんを渡してくれる。
刺身を手に取れば、「醤油持っていきますね」とお姉ちゃんが声をかけてくる。
メニュー選びから、運びまで配慮してくれるホスピタリティ。だんだんと、居心地の良さを実感していきます。

まずは中ジョッキ（アサヒスーパードライ）で乾杯。
大甚のロゴが描かれた中ジョッキ。
他を見渡してみると、キリンはキリンロゴのジョッキのようです。ビールの銘柄は注文時に選べます。

いつも飲み慣れているはずのスーパードライなのに、この日は何かが違う。
キレがやや抑えられているように感じましたが、泡感が良く、少量飲んでも旨味を十分に楽しめることができます。
運んできた肴たちが、ビールにも合う絶妙な塩梅のため、ゆっくりと料理味を楽しみながらビールを頂けます。

17時〜21時までの短い営業時間に関わらず、18時半頃には串物が終わってしまい、惜しくも食べられませんでした。
決まった定番メニューはそれほど多く無いのでしょう。一品の在庫より、その圧倒的な種類が魅力なお店なので、他のメニューを楽しむことにします。

刺身類が並べられているガラスケースから、ホタテが気になったのでいただくことに。
ホタテは通常のものよりやや大判で、刺身のよう。
食感はとても柔らかく、口の中でとろけるようで、こういうホタテは初めてで美味しかったです。

小皿料理とは別に、黒板メニューも存在します。
その中からオススメの肉料理を、店員のお姉さんに尋ねると、「全部美味しいよ〜」の一言。このゆるい感じが憎めません。

一番気になった「牛ホルモンの味噌煮込み＋温泉卵」を注文。
少し時間がかかるとのことで、席で待つこと20分ほどで到着。
赤味噌をふんだんに使って煮込まれた牛ホルモンに、黄身の濃い温泉卵が乗っています。
卵を割って食べてみると、まろやかな口当たりに赤味噌の酸味と甘さ、しつこくないコクが美味しいです。
ついついビールが進んでしまいます。

1日に大樽を2つも空けてしまうという賀茂鶴の熱燗も注文。
スッキリと飲みやすく、旨味も濃く、度数も強すぎない味で、ほろ酔いにはもってこいでした。
刺身だけでなく、白身魚の南蛮漬けとも相性が良かったです。

最後には、他と比べて一風変わったメニュー「ラム肉のステーキ」を。
洋風画似つかわしくないというよりは、こういったメニューも扱うんだな、という期待を込めて注文。
せっかくなので、北海道を意識し、サッポロ黒ラベルの瓶ビールも頼みました。
脂を抑えられたさっぱりとしたステーキで、歯ごたえが十分にあり、臭みもなく、優しい味付けで美味しかったです。

お会計時は、古き良きそろばんで計算してくれます。
よほど飲み食いしたのか、2人で1万円弱。
「結構飲んだねー」「たくさん食べたねー」と、他のお客さんや店員さんにお褒めの言葉を頂きました。
小皿は200とかからだし、ビールも高くないので、通常だと1人3000円程度で満足できるはずです。

とても居心地が良く、温かみのある「大甚 本店」さん。

平成も終わるという頃に、平成生まれが明治にタイムスリップし、
日本の古き良き大衆居酒屋を心ゆくまで堪能するのでした。

美味しかったです(*^◯^*)ごちそうさまでした。