納得の多国籍料理が山麓で食べられる幸せ : マウンテン＊マウンテン

北杜市の武川、白州あたりから見る南アルプス、とりわけ目前に望む甲斐駒ヶ岳と摩利支天。この迫力の眺めは、山好きでなくとも「おお！」となるもの。これは3000m級の山を、前山に遮られる事なく、標高差2500mを一気に超えて間近に眺めている為であり、こうした立地は日本中探してもあまり無いと思うのである。

さらに、本州を二つに分かつフォッサマグナ西端の谷を挟んで、八ヶ岳の裾野の端に建つこの店から眺める甲斐駒と言ったら、なんと表現したらよいだろうか。標高差に奥行感と立体感が加わり、それは贅沢な眺めなのである。

甲斐駒の左に目を移せば鳳凰三山、地蔵岳のオベリスクがハッキリと拝め、さらに下に目を移せば、春なら眞原の桜並木が遠望できる。

前置きが長くなった。

そんな恵まれた環境にセルフビルドで立てられたウッディでラフな平屋のお店。気に入ってしまって、このところ立て続けに足を運んでいる。

中に入ると案の定ユルい感じの音楽、ユルい感じのオーナー、そしてオーナーのお母様だろうか。穏やかな空気が流れている。

料理はあれこれと、オーナーが旅して回った各国の料理（インド・アジア諸国）を再現されていて、本格的な味が楽しめる。八ケ岳の山麓で、こうした国々の味が、しかも中々の完成度で味わえるのは、山麓の住民としても幸せだ。価格もリーズナブル。
ランチセット1200円の構成は

・えびせんが添えられた生野菜のサラダ
（シーザードレッシング美味しい）
・小さなピクルス
（普段箸が進まないうずら卵の酢漬も旨い）
・メイン料理一品
・ドリンク
（自家製フルーツビネガーを炭酸水で割った
サワードリンクのラインナップがスゴイ）
・プチデザート

となり、さらに「タイ風さつま揚げ」を付けたランチにもできる。私のような大食いにはありがたく、単品にも応じてくれるのでランチ＋単品１とか、単品のみ×２とかもOK

料理の提供スピードは遅くはないが早くもないので、窓から山を眺めるのもよし、和み空間でくっちゃべるのも良し、壁一面の蔵書を引っ張り出して、好きな本を読むもよし。大量に揃ったナショジオを筆頭になかなか興味深い本棚で、私も読ませていただいている。

オーナーの過去の経歴など見るに、なるほど、と思うわけで、私がツラツラと細かく書かなくとも味はお墨付き。何度も通って、全レシピ―を制覇してみたいと思わせる（実際私はその気になっている）、そんな店です。

一応食べたもののご報告。山を眺め本を読み食べることに集中してしまったので、一部メニュー名が思い出せず！

◆ランチセットのドリンク
コーヒーなども選べるが、ここは是非、いろいろ種類が揃っている自家製フルーツビネガーを炭酸で割ったサワードリンクをお試し頂きたい。正直、そんなに好きでも無い酢の入ったドリンク…と思いつつオーダーしたら、これが旨い。また、自家製ジンジャーシロップのドリンクもオススメ。刻んだ生姜にスパイスが加わって、大人の味。

◆タイ風さつま揚げ(ランチセット)
ああ、タイ風のさつま揚げですね、普通に美味しいですね。添えられたニンニクを醗酵させて作った辛いツケダレも深い味。

◆ラム肉のカレー（正式なメニュー名失念したがインド系だった）
オーナーに相談し、「スパイスで複合的に辛いのと、唐辛子で辛いのの、どっちが気分？」と言われ、前者で。とお願いしたのがこのカレー。カナリ辛いですよ、大丈夫？と言われたが、激辛もイケる私には辛すぎずベスト！大変おいしく頂いた。ラム肉も脂身のバランス最高でいい肉使っているなあと感心したが、オーナー曰く「普通」らしい…。そして忘れちゃならないのが、ここんちのジャスミンライスの炊き具合が絶妙で、非常に美味。おかわりしたいぐらい。

◆香港風の汁そば（正式なメニュー名失念）
細くてモサモサした特有の麺で、この日の麺は海老の香りがプンプン。麺に海老が練りこまれれたタイプだった。あっさりしていながら深い味わいの塩ベースのスープも、トッピングの挽肉の味も、シャキシャキもやしも、すべて計算尽くめ。旨い。

◆汁無し担担麺
コクこってりな味付け、色も濃い卵の黄身をかき混ぜればネットリとさらにコクが！お好みで、と出された山椒のミルを挽いて振り掛ければ、好きな人は更に満足が得られる。

◆魯肉飯(台湾式)
いかにも台湾風味な、八角の風味の甘辛味付けの豚肉をほぐしてジャスミンライスのドンブリ飯にオンした一品だが、まーバランス良くって旨いです。前述の通り、ここのジャスミンライスサイコー。地元だからって武川米絶対使わないで。使うわけ無いかw

◆ベトナムフォー
あっさりしていながらコクがあるフォーのスープ。麺も全くクセが無く、フォー独特のニオイが苦手な人でもいけますね。ナンプラーが安ぼったい匂いを放つことも無く、適量適切な分量なのだろう、味のバランスが取れていると言うのはこう言う事。

◆グリーンカレー(タイ式)
猛烈に辛いのをイメージしていたが、激辛では無く、有りがちなコブミカンがでしゃばり過ぎと言うことも無く、むしろココナツミルクのマイルドさが勝っている旨い一品。具材もケチっておらず、やはりジャスミンライスが美味しいので、おかわりしたくなる。

◆プチデザート
杏仁豆腐とマンゴープリンを足して二で割った様な味わい。と思っていたら、確認したところビンゴだった。美味しい。

まだまだメニュー制覇の道は続くのである。