周防大島のソウルフード『糂汰みそ』 : 道の駅 サザンセトとうわ 売店

あまりご存知ない方なら、島というと小さなイメージでしょうが、山口県の周防大島は『大きい島』なだけあって結構な面積があり、本土から渡る大島大橋から今回の『道の駅 サザンセト とうわ』さんまで下手すると30分近く掛かります。

って、同じ山口県内の反対側、日本海側にも同名の『大島』がありますが、そちらはそうでもありませんけどね。

以前この周防大島特産の蜜柑ソフトをレビューしてますが、個人的にこの島とは切っても切れない腐れ縁みたいなものがありますから、今回の『道の駅 サザンセト とうわ』さんも10回近くは行ってるでしょう。

って、今こうして書きながらも、

〝ああっ、そうだ！ 今ってちょうど、あのミカンの季節やん ⁉︎〟

なんて憶い出すほど現地の特産品には詳しい方だと想いますし、取り上げる

『糂汰みそ 150g ￥350』

にしろ、同島内にある以前『グリーンステイ ながうら』さん内のレストラン（グリーンガーデンさん）で定食モノを頂いたことがあります。

って、大抵の方なら

〝糂汰みそって何なん？〟

でしょうから、まずは説明しますと、

》晩御飯のオカズや酒の肴が無けりゃ波止場で釣りすりゃええ

って云われる周防大島なだけに、ほぼ入れ食いな小魚を焼いてほぐし少量の出汁や麦味噌と合わせたもので、基本ご飯のお供ですが、言わずもがな酒のアテにもなるし、ある種の保存食でもあります。

いわゆる雑魚というか、売り物にならない小魚でも、大抵の種なら出来そうですが、おおよそ市販品は、個人的に今の時期、早春の神の魚『メバル』の身と麦味噌を合わせてるみたいです。

周防大島でも北側、旧.町割りの久賀町や東和町でのソウルフードのようで、南側の橘町や大島町、っていうか小松や安下庄では余り馴染みがないって、その旧.町内の方がおっしゃってました（って、真実は知りませんが、その方いわく、なんたってソウルフードなら『茶がゆ』だとか）

ですから、同島に所縁があるワタシにしろ、茶がゆは何度もいただきましたが、この糂汰みそは知らず、前述したように大人になって知り、食べてみたってわけです。

ましてや先に述べた『グリーンステイ ながうら』さんでは、確かひつまぶし風にいただいたような気もするんで、決して不味くはなかったんですけど、ちょっと大仰で、ソウルフードっぽい素朴さには欠けてましたね。

いわゆる『ご馳走』でしたから。

とはいえ、個人的にメバルの煮付けに目がなく、そろそろ禁断症状まで出てくるぐらいですから、その糂汰みそは美味かったのに、ひどく失礼ながら、

〝せっかくメバルなら、煮付けの方がいいなあ？〟

って思いましたが、まあ、煮付けにもならない小さなメバルでも食べられるのは、今で言うSDGsなのかも？

ってなことで、シンプルにご飯のお供として購入した今回の道の駅のタイプは、内容を見ると『ちりめん』とあるように如何にもなソウルフードでしたから、改めて試してみた次第です。

個人的な味覚ながら、山口県の麦味噌って東部に行くほどユルくなる、良く言えば優しく、悪く言うと味がボヤけるようなイメージがありますが、ここも例外ではなく、そんな味噌々々してない味の中、これまた周防大島特産のちりめんが渾然一体と化してます。

麦味噌も柔らかな口当たりなんでカドはないし、味噌漬けみたいな論理ですから傷みも少ないものの、やはり適度な魚臭さはありますから、苦手な人には厳しいかもしれません。

とはいえ、気を衒わないソウルフードっぽい感じは、今回に限っては充分に感じられましたね。


● 個人的 食べログ 評価点・・・3.3

この道の駅『サザンセト とうわ』さんと云えば、2018年に富田林警察署から逃走した『樋田淳也』容疑者が自転車で日本一周してるように装い、何日か滞在したとのニュースが流れました。

で、島の方は人が良いんで施設内での逗留を許可したものの、実は当の本人は悪人ですから万引きを繰り返してたという有様。

けれども、それが本土に渡ると田舎と思われがちな山口県とはいえ、周南市の同じく道の駅『ソレーネ周南』さんで万引きがバレ、逃亡劇にも終止符が打たれました。

それにしても、まるで気づかなかった周防大島の方々の人の良さには、違う意味で頭が下がりますが、というのも同島だって豊かなわけじゃないけど、決して他人や社会のせいにせず自らの力で切り開いていったから、人を疑う感覚じたいがないんでしょう。

それが顕著なのが戦前のハワイ移民の多さで、南米と同じように生真面目さで開拓に励み、戦後には姉妹都市関係となり、現在の周防大島町は『瀬戸内のハワイ』として夏場は町役場の職員さんも全員アロハが正装だったりするんですが、なんと約10年前、沖合いに本物の珊瑚の群生地が見つかるなど、なんだかホントにハワイ化したりしています。

島なんで辺り一面が海なのは当たり前ですけど、それが内海、瀬戸内海ですから特に冬場は暖かく、古くから温暖な気候を好む蜜柑を中心にした柑橘類の栽培が盛んです。

そんな蜜柑を使った加工品は島内に、枚挙に暇がないほどあり、お菓子類は勿論、驚異的なのは蜜柑鍋でしょう。

ワタシは半世紀近く周防大島に行ってますけど、残念ながら未食なものの、食べた知人によると、予想外にイケるそうです。

まあ、今回のソフトクリームに関しては普通っちゃ普通でしょうが、意外と有りそうで無く、こんな蜜柑々々した味も珍しいと思います。

ですが、まず最初に売られてる道の駅『サザンセト とうわ』さんについて、もう少し。

周防大島と、大きな島と書くように、かつては４つの町に分かれてたぐらい広く、『〜とうわ』とは昔の東和町で端っこですから、橋から20〜30分は掛かります。

道の駅ですから行けば分かるでしょうが、駐車場は入った場所より、施設の左横から抜けた海沿いの方が、眺望が開けますから断然オススメです。

色んな出店ブースや売店も珍しい品があり、それなりに愉しめるでしょう。

『みかんソフト 350円→JAF割300円』

（ ※ JAF割は期間限定のようです）

そんな中、同道の駅の入口付近で販売されてるソフトクリームは、ある意味じゃ正統派な蜜柑ソフトで、きちんと100％っぽい果汁から作られてる感はあり、とても優しい甘さがあります。

とはいえ最初はいいものの、おかしな話、妙に蜜柑の缶詰のシロップっぽい甘さもあり、多少もたつくような後味も否めないところでしょうか？

それさえ無ければ、初っ端の口当たりだけで言えばNo. 1で、老若男女誰もが好きでしょうし、酸味を敬遠しがちなワタシみたいな輩が言うんですから、バカ舌ですけど間違いないでしょう。

ですから、ほんの少しソフトクリームじたいの甘さを軽減するか、全体的に抑え気味にすれば、もう少し良い感じになると想います。


● 個人的 食べログ 評価点・・・3.5