下松牛骨のシマを荒らしにきた鉄砲玉？ : 中華そば一久 下松店

宇部ラーメンを宇部市民にもあまねく知らしめたのは、同店『中華そば 一久 下松店』さんも属する地域限定のチェーン店『一久』さんでしょう。

地域限定と評するように、大動脈たる山陽本線や国道２号線から外れ半島のように瀬戸内海に突き出た宇部市や、その隣りに同じように寄り添う現.山陽小野田市の旧.小野田市内だけに、そのチェーン店『一久』さんは固まってるものの、唯一この『〜下松店』だけ、同県内とはいえポツンと離れた位置にあります。

しかも下松といえば、宇部ラーメンと両翼をなす山口県のご当地ラーメン、下松牛骨ラーメンのエリアなだけに、なんだかシマを荒らしにきた『893家さん』の鉄砲玉のような感じも無きにしも非ずです。

って、そうは言っても出来て長いし、いくら下松とはいえ、牛骨ともなると豚骨の、特に宇部ラーメンみたいなド豚骨とは真逆な立ち位置なため、この方が好みな方もおられるでしょうし、逆もまた可なり、忌み嫌うかのどっちかハッキリしてるでしょう。

宇部ラーメンって始祖『大阪屋』さんから派生する関係でおよそ片付けられますが、同『中華そば 一久』さんだけは別の流れで、それなのに同県内限定で10店弱ではあるもののチェーン展開され、現在に至ってます。

尚『一久』と読み方からいえば、以前レビューした佐賀県の『一休軒』さんはじめ、福岡市民なら『一九』さんを想起するでしょうし、まあ『来来軒』さんのように、ラーメン屋さんらしい屋号として、ことに九州山口の常套句みたいなもんでしょうね？

確か長崎市内にも『一休軒』さんってあったと憶います。

さりとて、そんなどの『イッキュウ』さんより独特な味わいで、近年、宇部ラーメンの特徴として、同市のシティセールスが推してる

① 茶濁濃厚豚骨スープ
② 強い豚骨臭
③ 中太の柔らかい麺

の全てを最も顕著に体現してるのは、まあ、間違いなく同『中華そば 一久』さんチェーンの各店でしょう。

それがデフォになってますし、お土産ラーメンにしても変わりなく、独特な濃厚さがあります。

ただ、ワタシは間抜けで気付きませんでしたが、他のレビュアーさんによると同『中華そば 一久 下松店』さんは場所柄なのか、下松ラーメン屋さんには必ずある『いなり寿司』を置いてるそうです。

『ラーメン 600円＋もやし 100円＝700円』

そんなサッパリ感に影響されたのか、不思議と野菜を入れたくなり、写真にある同店限定のトッピング・メニューから、もやしを選択しました。

ちなみに、もやし、シャキシャキして美味かったですよ。

伺ったのは平日の15時近くでしたが、それでも先客、後客ともあり、見れば真横にコインランドリーがあり、その待ち時間に寄る方も多いようです。

そのように同店、大動脈たる国道２号線沿いの『マックスバリュー』さんや地元ホームセンター『ナフコ』さんが入る大型ショッピング・センターの中にありますから、まず駐車場には事欠かないでしょう。

店内はカウンター10席弱、４人や２人掛けテーブル席が４〜５卓あります。

３〜４分で提供されたのは、もやしが入ってるからか、従来の宇部ラーメンというか『中華そば 一久』さんっぽくない見た目。

〝うむ。見た目って、やっぱ表しとうよね〟

そう首肯けるぐらい『中華そば 一久』さんとしては癖がなく、さっぱりとは言えないまでも、適度に優しくなったようなイメージで、この辺がご当地、下松にある同店ならではかも？

といっても、ただ単にもやしの水分で薄まっちゃったような気もしますが、それにしても甘みがあり、その辺も、やはり多少なりとも下松に合わせてるような感じです。

下松の牛骨というか、お隣りの周南市からは豚骨よりも醤油が目立ち始め、それ以上に甘さが際立ち、やがて広島ラーメンに通ずるんでしょうが、そうした流れにはさすが宇部ラーメンの雄『中華そば 一久』さんといえども抗えなかったんでしょうか？

麺も中太というよりは多少細いように感じられ、カタ注文でその通りでしたから、おかしな話ご当地『武居製麺』さん製かと思えるぐらいです（間違いなく『木嶋製麺』さん製でしょうが）

ただ、メンマは味つけがしっかりし、チャーシューはペナペナな昔ながらのタイプですから、やはり『らしさ』は否めません。

そのように『中華そば 一久』さんの、ある意味で亜流のような存在であり、けれども決して悪くはなく、逆に言うと新たな一面を見れたようで嬉しくもなりました。


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