気軽に食べられるランチを : 金星

・・・金星。
それはあこがれのお店。
一度は食べてみたい山口県最高峯の江戸前寿司。
でも金額的にあきらめていたがよく見ると10500円コースから！？
結婚記念日＆奥様の誕生日ということで何とかたどり着けた。
場所は空海の裏手にあり駐車場は道路沿いに西側へ1分いったところに、
2台停めるスペースがある。

外壁は奇抜なピンク色をしたコンクリート造り。
古さとあいまってもう違う世界にやってきた感じ。
建物の古さをかき消すためのデザインのようにも思える。
店内も赤色の壁が印象的だが他は和風なつくり。
大きい白木のカウンターが主役の、
いかにも高級寿司屋という雰囲気だ。
ワンフロアの真ん中にしきりがあり、
それぞれにカウンターがついている。
噂の息子さんが玄関側、大将が奥側で握るようだ。
私たちは一番奥のカウンターへ通される。
こちら側のお客は私たちを含めて2組のようだ。
さっそく1ヶ月も心待ちにした10500円コースが始まる。

①釜で炊いたおこげ…3.0
シャリを釜で炊いて底にできるおこげを醤油で味付け。
手で丸めて一口で食べる。

②かぼちゃのお吸い物…3.0

③はしやすめ…3.0
味をつけてある梅肉、四万十の岩のり、みょうがを、
海苔に包んでお酒のあてに。

④真鯛の刺身…5.0
一番右のたれ、醤油を柔らかくしあげたものをつけて。
炙ってある皮がとっても香ばしい。
食感はトントロのようで身はぷりぷり♪
うまみを上手に使っている。

⑤カンパチの刺身…5.0
ポン酢と大根おろしで食べる。
そこまで身がないのに弾力がすごい。
ここまでの食感は、
ミシュラン星の寿司屋でも感じなかった。

⑥だし巻きとフォアグラ…4.5
１ｃｍ厚の鉄板で焼くだし巻き。
味付けは塩のみでとろける感じがいい。
フォアグラは雲丹のソース和え、マスタードをお好みでつける。
フォアグラ独特の美味しさと香ばしさに興奮したが後味が少し悪い。

⑦五島列島のしめ鯖…5.0
ゴマ醤油、大菜とわさびで頂く。
光物だが臭みがほぼない上になんという脂身の甘さだろうか。
感動的な１品。

⑧煮物餡のベースになるだし…3.5
白いのはくずをまいてある。
鰹節とマグロ節をあわせたもの。

⑨赤だしの上澄みをすくったもの…3.5
ちょっとくずをまいてある。
たけのこ、菜の花、高森牛のエリンギ巻き。
透き通っているが味噌汁とのこと。
とってもさっぱりしているのは味噌が沈んで上澄みをすくう為。
手の込んだ１品。

⑩夏みかんのジュレ、かんぴょうとたこ巻、フォアグラに雲丹…3.0
今までに食べたことのないような複雑な味。

－３０分経過－
ここからがお寿司となる。
３秒位ジワーと押し付けるような握り方。
これだけの数を握っても毎回全くぶれずに、
わさびもシャリも均一な量と硬さであるのは圧巻！

シャリの長さは３～４ｃｍでネタもシャリも標準よりも少なめ。
今回のように品数が多いとこれ位がベストだと思う。

⑪カンパチのハラミヅケ…4.5
かなりネタに切れ目が入って煮ツメがぬられている。
コリコリとした食感。

⑫スミイカの天ぷら…3.0
別部屋で揚げた天ぷらが割り込んでくる。
濃厚で粗い塩をつけて食べるが、癖のある味がちょっと駄目。

⑬金目鯛の炙り…5.0
つやのあるピンク色だがとってもあっさりしている。
皮の部分が炙ってあり香ばしく絶品！

⑭すなづり…4.5
マグロのお腹の底の部位でピンク色をしている。
脂身が多く大トロ級の甘みがある。

⑮レンコンの天ぷら…3.0
岩国産。今はレンコンは食べなくていいかな。
先ほどの天ぷらと同じ味がするので独特の油が駄目なのか・・。

⑯大根のみぞれ煮…3.0
縞アジの甘露煮。割と大き目の縞アジがいくつか入っている。
コリコリした食感はなにか質問したら、イカが隠し味のよう。

⑰佐賀産のコハダ…3.0
皮がそのままついており、銀色と黒色の斑点が美しい。
手がかかり職人の技量が問われるというが、
あまり食べ比べたことがないのでわからない。
酢が利いているが若干生臭さを感じた。

⑱スミイカ…4.5
今までと違う方向に切れ目が入っていて遊び心が楽しい。
身がとっても柔らかいがコリコリしていない。
うまみが上手に引き出されて美味しい。

―60分経過―
⑲たいらぎ貝？の貝柱…3.5
写真を撮り忘れた。
４－５ｃｍあろうかという巨大貝柱。
貝殻はなんと３０ｃｍにもなる大きな貝らしい。

⑳しいたけの天ぷら…3.0

21背付アジ…3.5
今度は斜めに切り目が入り、
銀色と赤色のコントラストが美しい

22ゆば…3.5
ゆば、いくら、卵白。
完全に仕上げると卵白が硬くなるので、
半分仕上げた状態でだされ、
その後固形燃料で軽く沸騰するまで待つ。
1分程度でぐつぐつしてきた。
卵白ってこんなに美味しいんだとちょっと感動。
ちなみに奥様と私は同じコースだが、
お皿が色違いになっており細部まで考えられている。

トロステーキ
四角い３ｃｍ角の今までと違う部位のトロ。
奥様の誕生日だと話をしていたら大将からの粋なプレゼント。
ちなみにこの時点で、奥様のお腹は200％とのことで苦しそう（笑）

23サヨリ…3.5
あっさり甘めな煮ツメにだんだん飽きてきた。
ネタが多いのでかぼすや変わったタレとかあればいいのにと思った。
ネタはくるりと美しいフォルム。
ただ自分で釣れる魚なのでネタの魅力が少ない。
もちろん、ぷりっぷりして美味しい。

24穴子…3.0
東京湾でとれた天然の穴子。
これがなくては江戸前寿司じゃあないでしょう！
身はちいさめで四角い形になっている。
ふわっとしているが私が求めているレベルではない。

25神奈川産のたこ…4.5
スミイカと同じくぷりぷりしていないがこれはあえてであろう。
かわりに熟成によって深められたうまみが凝縮されて感動的。
そもそも江戸前寿司は、冷蔵庫のない時代に始まる。
したがって、その技とはヅケをはじめとした熟成技法にある。

最近は流通時間や技術が進歩したことで、
生っぽい鮮度を重視したぷりぷり食感を第一にする握りばかり。
それはそれで美味しいし今のトレンドであろう。
しかし金星では同じネタでも１８０度味わいが違う、
鮮度重視のにぎりと、
伝統の熟成技法のにぎりを上手に融合させている。
これが熟練された大将の技の真骨頂だ！

－90分経過－
26五島列島の鯖…5.0
中にがりをはさんでいる。
⑦で刺身として食べたもののにぎり。
もちろん美味しくないわけがない。
何で甘みがここまであるのか不思議なくらい。
普通夏場は脂が落ちて美味しくないが、
五島列島の鯖だけは食べられるらしい。
冬はもちろんそれ以上の美味しさ。

27かんぴょう巻…3.5
あんまりたべたことない、かんぴょう。
白くて細長い。

28玉子…5.0
弱火で約2時間火を通し続けてできる、
朝1番最初の仕事とのこと。
食感はスフレ、カステラのような感じでとても玉子とは思えない。
大和芋と芝エビをいれることでふんわり感を出している。

29デザート4種類…3.5
ガトーショコラ、小豆のババロア黒蜜添え、あんみつ、苺アイス。
ババロアが絶品。あんみつも美味しい。

30ブラックコーヒー

正味120分！
10,500円は高額だが全30品という豪華さには脱帽。
値段以上のものはあるが満腹具合からいって、
少なめにして安くして欲しいと思った。

メニューがないお店だと気になるのが、
飲み物の値段（笑）
エビスビール、ノンアルコールビールともに650円。
びくびくしながら注文したけど、
こういうお店にしてはなんとも安い。
最後、明細も頂けるという明朗会計で安心。

握りだけであれば文句なし☆5.0だが、
コースの中で見劣りしてしまうのが天ぷら。
まず素材がしいたけ、れんこんなど、
平凡なものばかりでつまらない。
このようなお店ではやはり、
ここでしか食べられないようなものを期待してしまう。
加えて独特な味わいのごま油が終始使われており、
私には口に合わなかったのが残念。
夕食だと握りだけというわけにはいかないので、
握り以外をどう充実していくか考えることが、
今後さらなる高みを目指すためには必要だろう。

大将のにぎりは感動を味わえる全国レベルなのは、
もはや疑う余地はない。
ということで願わくば、
気軽に食べられるランチを始めてほしい。
握り10品程度で2000円～4000円程度。
お歳の割に気さくでジャズや落語など、
イベントを開いたりとフットワークも軽い方なので、
この口コミをみてランチ始めてくれないかな～（笑）