下関駅近くの魚屋さん併設の食堂です : おかもと鮮魚店

釜山門を潜ってグリーンモール商店街に入り、写真にある元の国道９号線へ戻る一方通行との分かれ目以外、別の一通の横道に入ると、小さな坂の上に派手な幟旗や電子掲示板が目立つ同店『おかもと鮮魚店』さんはあります。

下関で海鮮といえば、言わずと知れた『唐戸市場』さんがありますが、おおよそ週末のみの開催で、平日となると同店などになるでしょう。

下関市中心街も無料の公共スペースはありますが、むろん近くにコインＰもありますので、ご事情に応じて選んでください。

同店、前から名前は知ってたものの、数年前ちょっとしたトラブルがあり、いくぶん様子見していました。

そんな同店、写真のように入口からして魚屋さんっぽいものの、いかんせん後出する『いかざき』さん同様、店頭販売してる気配はありません。

ましてや入店したにしろ、

「いらっしゃいませ〜っ！」

という魚屋さんらしい威勢のいい挨拶はあるものの、食堂は見当たらなく、見ると板さんたち皆さん出刃包丁を手にしてて、一瞬たじろぎちゃいます。

って、むろん魚を捌いてらっしゃる、いわば調理場のそばをいったん抜けなければ併設の食堂へは入れない造りになってるだけですから、ご心配なく。

そこでは魚も販売されてるようです。

平日のすでに14時近くだったのに食堂へ入ると、まだ５〜６割の客入りで、結構な人気店だと一瞬で分かります。

10卓強のテーブル席でキャパに余裕はありますが、魚屋さんの真横ですからさすがに多少の磯臭さは否めません。

『海鮮丼 1000円（税別）』

写真のように沢山メニューがありますが、もちろん狙いは人気の海鮮丼で、しかも食べログのページに何故か他社のクーポンへのリンクがついており、

「これも頂けるんですか？」

と、いかにも女将さんっぽいお姐様に訊いてみると、

「はい、大丈夫ですよ。ポテトフライですけど、食べられます？」

と、なぜだか逆に質問されたんで、

「はい、お願いします」

と何気に応えましたけど、その理由はすぐ分かりました。

とにかく量が多く、２〜３人前なのにワタシがお独り様だから、食べ切れるか心配してくれたんでしょう。

なるほど莫大な量でしたが、その日は滅茶苦茶腹ペコでしたから、メインの海鮮丼より先に供されましたが、割とピリっしたスパイシーさがあり、いいオツマミ代わりな感じさえしました。

そんなポテトフライを２〜３個つまんだぐらいで海鮮丼も供され、ですから不思議な食べ合わせになりましたが、それはそれで愉しかったし、量的にもちょうどお腹一杯で、満足しました。

メインの海鮮丼は、いま見ると確かに

》 刺身の盛り合わせのような丼です。

とメニューに注釈があるように、イキのいい海産物を魚屋さんらしい目利きで選び、ただ単に乗せただけのような豪快さがあり、写真からお分かりかもしれませんけど、色合いを考えているようで、なんかチグハグなイメージは拭い切れません。

他のレビュアーさんの写真を拝見するに、瀬戸貝（ムール貝）が乗っていることもあるようで、個人的には大好きですので、だったらもっと唸っちゃうでしょう。

すなわち味は抜群で、ありきたりの魚に頼らない美味さ最優先な感じがし、例えば写真を撮り忘れたましたけど、

「これって何ですか？」

と、たまたまお隣さんが傍にいた女将さんに訊いてた魚種が、たぶんワタシも疑問に思ってたのと同じだったんで聞き耳を立てるなり、

「ああっ、それアンコウの〇〇なの、珍しいでしょ？」

と、〇〇が何だったかメモを取り忘れましたが、確かに言われてたのは耳に入り、なるほど下関と言えばフグですけど、アンコウも有数の水揚げ量で、

》 アンコウは唇ばかり残すなり

と云われるほど、唇以外捨てる部位がないと呼ばれるほどですから、まあ、身欠きの調理師免許を持つ職人さんが多い街なもんで、吊るし切りなんかもお手の物なんでしょう。

そんな多種多様な魚種が乗ってるとはいえ、一つ々々に主張があり、しかしながら特に味合わせしたとは言えない雑多な並べ方ながら、それはそれで、時に不思議なケミストリーが起きたりするもんでしょう。

要するに、ついぞ味わったことのない面白さがあり、ましてや前述のポテトフライも加わるから、フュージョンはフュージョンでも混沌とした、いわば名盤『ビッチェズ・ブリュー』みたいな、妖気的な狂おしさがあるような気さえしました。

他のレビュアーさんの投稿によると、『吉田 類』大先生が訪れ、相変わらず酔われて唸られたそうで、言われればランチのみならず、居酒屋さんで同じ品を出されたら、さすがに脱帽せざるを得ないでしょうね？


● 個人的 食べログ 評価点・・・4.2