葛飾区の住宅街にあるハイコスパベーカリー : ブーランジュリー オーヴェルニュ

「大手私鉄」という分類をご存知でしょうか？
これは、日本における私鉄の分類の一つで、特に経営規模の大きな企業を指します。
そう言うと当たり前と思われるかもしれませんが、国土交通省・鉄道局などの統計資料でもこの区分を用いており、他の私鉄（準大手私鉄・中小私鉄）とは完全に区分されるんですね。
首都圏においては、大手私鉄9社という言い方がよくされますが、なかなかその全てを即座に挙げるのは難しいかもしれません。
答えは、東武、西武、京成、京王、東急、京急、東京メトロ、小田急、相鉄なのですが、東京メトロや相鉄は特に出にくいかもしれませんね。
また、都営地下鉄を入れたくなる気持ちも分かりますが、公営企業は私鉄の区分からは外れるということだと思います。
これら大手私鉄9社のうち旅客輸送人員がダントツなのは東京メトロで、次いで東急ということになるのですが、逆にそれが少ないのは相鉄、そして京成という順になります。

私の馴染み度から言えば、ダントツに低いのは京成ということになりますが、この日は、その京成電鉄の沿線まで出掛けてみました。
目的は、最近のマイブームになっている食べログうどんEAST百名店巡りで、ランチでは京成立石駅で下車して「讃岐うどん 賞讃」という百名店を攻略しました。
ランチの後は、翌日の朝食用パンの調達ということになりますが、京成立石は、今後頻繁に訪れる可能性はとても低い駅なので、それなら多少アクセスが不便でも評判の良いベーカリーを選ぼうと考えました。
と言うのも、京成立石駅周辺は、結構ベーカリーの多いエリアで、駅周辺1kmでパンジャンルのお店をリストアップすると12店もヒットするので、その中から選ぶのには結構苦労するんですよね。

この日訪れたのは、駅からは多少不便になりますが、それらのお店の中でダントツに食べログ評価の高い当店ということになりました。
当店の食べログ評価は3.62点ですので、パン百名店の見直しがあれば、十分圏内に入ってきそうなお店なのですが、私にとってそれ以上に興味を惹かれたのは、フォローレビュアー様が5名レビューしておられるのですが、その評価がとても高く、5名の平均評点は3.8点に上ることです。
そしてその方々のレビューを拝見するとハード系やクロワッサンなどジャンルを問わず、パンのレベルの高さを賞賛されているのが印象的でした。

当店のオープンは2003年ですので、来年には節目の丸20年を迎えることになります。
オーナーの井上克哉さんは1968年東京都生まれのシェフですが、そもそもベーカリーとの出会いは、趣味でやっていた武道の道場通いと両立出来そうと思って見つけた職場がたまたまベーカリーだったということのようです。
そちらで勤務するうちに自然にこれを職業としたいと思う気持ちが芽生え始め、転職して株式会社中村屋の「ファリーヌ」で修業。ビゴの店、株式会社ドンクの「ジョアン」と職場を変え、最後はチーフを任されるまでになりました。

そして前述の通り、2003年に当店を立ち上げて独立を果たします。
独立に先立ち、ドンク勤務中の1998年からは世界各地のベーカリーコンテストに参加し、数々の受賞歴も持っておられ、今では国内外の講演会の講師や各種のコンテストの日本代表の選考等の審査委員としても知られる存在になっています。

2014年2月には2号店として小岩（葛飾区細田）に「ラ・タヴォラ・ディ・オーヴェルニュ」をオープンしており、現在は2店舗体制の経営になっています。

当店の場所は、京成立石駅北口から出て立石さくら通りを北上すること10分ほど、都立南葛飾高校を越えたあたりの右手になります。

この日のランチは南口側でしたので、移動に時間を要し、当店に到着したのは12時半を回っていました。
比較的質素なファサードのお店で、店内に先客は1名、特に密になる気配は無かったので、すぐに入店します。
店内は、程よい広さで、中央の平台、壁際、窓際の三段棚に多彩なパンがラインナップしています。
中でも、ドンク出身のシェフらしく、ハード系の品揃えが比較的充実している感じが窺えます。
そして、シェフの経歴とは裏腹にパンのお値段がかなり抑えられているのも当店の特徴と思われます。
＠100円台のパンでも結構凝ったパンがラインナップしており、例えばメロンパンは＠119円です。

購入したのは、以下2点になりました。
・明太フランス＠173円
・マカデミアミルキー＠173円
合計346円

結構リーズナブルですよね。
持ち帰って、翌日の朝食に供しました。

明太フランスは、レンジで15秒チンした後、600Wのオーブンで3分間加熱していただきました。
このパン、ベーカリーによっては、福岡のFやYの明太子を使用していると謳って結構いいお値段を取るお店も見られますが、私はかねて明太子での差別化は不可能と主張していただけに当店くらいのお値段で出してくれると嬉しいですね。
しっかりしたバゲット作りの技術が感じられる引きの強いクラムは何より。
明太子、バターとの相性も鉄板でとても美味しかったです。

マカデミアミルキーは、そのまま食べてもいいと思ったのですが、レンジで10秒チンして900Wのオーブンで2分間加熱してマーガリンをつけていただきました。
このパンは、葛飾区商店街連合会がが主催し、「葛飾区のナッツ＆ドライフルーツパン№１が決まる!!」と銘打たれて実施された「かつしかグルメ選手権JAぱんカップ2021」で第3位に入賞したパンとのことです。
加水率の高いリュスティック風の生地にたっぷり練り込まれた香ばしいマカデミアナッツとまろやかなホワイトチョコレートが抜群の相性でハーモニーを奏でており、口の中に何とも言えない美味しさが広がります。
これもパン作りの技術の高さがあるゆえにこの美味しさが実現できているものと感じました。

全体にパンのクオリティにしてもお値段にしても、十分な満足が得られました。
フォローレビュアー様の高評価の理由が分かったような気にもなりました。

東京都内のお店としては、久しぶりにハイコスパベーカリーに出会えましたね。
現在仮登録中の食べログまとめ「トントンマンが選ぶ首都圏のハイコスパベーカリー（続々編）」に登録しておきましたが、このまとめは、近い将来、「トントンマンが選ぶ東京都及び神奈川県東部のハイコスパベーカリー百名店」にバージョンアップする予定ですので、引き続きよろしくお願いします。