蕎麦は美味しいが…疑問は残る店 : 手打そば 菊谷 巣鴨本店

ビブグルマンの蕎麦屋。
ずいぶん前から知ってはいたが（たぶんdancyu）
都電もとい「さくらトラム」庚申塚駅が最寄りと
微妙な立地条件ゆえに保留案件となっていた。
実際に行ってみれば、王子から桜満開の飛鳥山をぐるっと
車内から見物しながら、あっという間の庚申塚。
巣鴨地蔵のほうから行っても、遠くはない。

事前に食べログから予約。
ランチのコースで@4500円。
税金込みでサービス料無いはずが、
実際には5000円超えていたのは謎。
４人で行って18,000円のはずが、
ポイント利用で値引きされている筈なのに
20,000円超えてました。いや、どうなってる？
レシートないのは蕎麦屋あるある？
11時半からで一日二組を受付ているらしい。

◯先付「蕗味噌」　
　　少し蕗の食感を残しつつで◎
◯酒肴盛りあわせ
　　　「くん鯖、糠漬け、昆布佃煮？、チーズ味噌漬、
　　　　ねぎ味噌、独活のきんぴら」
　　糠漬けがここまで古漬けなのも珍しい。
　　鯖は温かい。
　　独活はおそらく皮の部分で香りが強い。
　　ねぎ味噌が特に美味しかった。甘めの味噌に葱。
　　青い部分なのか青葱なのかは判らず。蕎麦の実を揚げた
　　あられのようなものの食感がポイント。真似したい。
◯馬肉「会津産の馬モモ肉」
　　柔らかいモモ肉の、それも特に上質な部分で
　　ひじょうに美味しい。
◯味噌田楽　甘い江戸味噌と芥子
◯天麩羅
　　　　「蕎麦がき、海老、スナップえんどう、舞茸、
　　　　　独活、人参、長芋」
　　　食べログのメニューには「穴子付」とあったが、
　　　実際には出ず。良いものが入らなかったのか、そもそも
　　　出ないのかは不明。別に穴子天が絶対ではないが、
　　　前者ならやはり客に伝えるべき。
　　　天麩羅は1〜2種類ずつ揚げた順から提供されます。
　　　つまりアッツアツ。
　　　素材は全て「〇〇の△△さんの〜」と説明されるだけ
　　　あって、香りや味の濃いものが殆ど。
　　　揚げ方としては素材感を残しているので、ジューシー
　　　だったりサクサクだったりで◎。
　　　海老は殻を尻尾も含めて取り除いてあるのは初。
　　　蕎麦がきの天麩羅が珍しく、是非他店でも。
◯口なおし「茄子と〜のおろし和え」
　　　鬼おろしでおろした大根おろし（甘い）に
　　　茄子や薬味の類いの塩もみし味付したものを。
　　　味わい的には晩菊＋おろし。
◯蕎麦がき
　　　ふつうにやや粗挽の蕎麦がき、ふつうに美味しい。
　　　何処産の蕎麦粉かは忘却の彼方。
◯唎蕎麦　「福井県丸岡在来種と益子産ブレンド」
　　　　　「高千穂産に一割つなぎ」
　　　　　「信濃１号の九年ねかせた粉」
　　　蕎麦の量は小盛三種が通常らしいが、
　　　普通盛りでも良いといわれ、迷いなく普通盛りに、
　　　だって蕎麦目的できてるからね、当然。
　　　蕎麦つゆは辛めで甘みは遥か遠く。
　　　鰹がかなり強い。
　　　一枚目…細打ちだが見た目以上にざらりとしている。
　　　　　　　香りも高く、おそらく蕎麦好きなら悦ぶ。
　　　　　　　他のものと比べるとコシも強め。
　　　二枚目…こちらのほうが滑らかで甘みが強い。
　　　　　　　コシというより蕎麦そのものの弾力を感じる
　　　　　　　タイプ。喉越しはこちら。
　　　三枚目…太くて短い。おそらく九年寝かせたため？
　　　　　　　見た目も色濃く。
　　　　　　　あらら、ふつうの蕎麦かしらと思い、
　　　　　　　噛むという普段はしないことをやってみたら
　　　　　　　甘さにびっくり。力強い。
◯蕎麦湯　　ごくごくふつうの、鍋からとったものか。

たしかに蕎麦はかなり良いかと思う。　
秩父こいけで修行されたときくが、随分前に行った
こいけは突出した印象はなく、菊谷のほうが好み。
天麩羅も悪くはない（松竹庵ます川に行ってから日が浅いので
必然的に評価が辛めだが）。
連れが呑みたいが呑めない状況だった為、酒なしを貫いたが
確実に日本酒があったほうがいいな、と思う。
いやー、呑みたかったです。
ちなみに日本酒の品揃えは種類は13種くらい？
びっくりするような高いものはなく、良心的。
ワインもあり。

で、なんですが、基本的にオペレーションが悪いっす。
予約のところには２時間までとありますね。
ところが今回のコース、きっかり３時間かかりました。
ただでさえ食べるのはやいし、酒無いし。
コースの選択も当日決めたわけではないのに、
先付けが出てくるまで何分かかったかなぁ。
それ以外も酷く間延びしたような提供の仕方です。
その一方で普通に花巻蕎麦だけ、玉とじ蕎麦だけとかの客は
どんどん済ませて帰って行くわけです。
玉子焼き追加オーダーを先付の酒肴盛りの段階でお願い
したけれど、結局最後まで出てこなかったし（たぶん会計
には入っていなかった筈なのでまぁいいけど）。
わかるんだけどねー、町の蕎麦屋さん的なスタンスは
そのままで、のような部分は。それは大事よ。
ただこんなに時間かけるのはどうなんだろう？
どっちも同じ客だからねー、間違いなく。
いやー、これ普通に行って単品でどんどんオーダーする
ほうが早かったんじゃないかな。
何人で回しているかは実際判らず。
女将さんらしき人、店主らしき人、見習いらしき人、あと
おひと方店主かと思ったら違った人の四人かしら？
あんまり暇なんで途中から店主は誰だとか推理してました。
（見習いらしき人はおそらく接客が苦手で、お茶のポットや
持ち帰りの箸を包むラップを持ったままジッと立っていらした
のは心配になった）
蕎麦は美味しいだけに残念。
もう少しきっちり、店のまわし方を決めた方が良いかな。