新生キャロット！先代のDNAは如何に！？神は細部に宿る : キャロット

　その圧倒的な破壊的なボリュームと洋食屋らしからぬ レストランの技術で有名店に上り詰めたココんち。
　先代のオーナーが体調を崩され 突如の閉店〜レシピとお店を引き継いでGWに再オープンした2014年のGW。数年ぶりの訪問っスわ。
　
　オープン直後で客俺一人。以前の奥さんじゃなく若い女性の従業員さんが注文取りにきましたですね！
　注文は、ステもりチキン(ステーキの盛り合わせ＋チキンソテー)￥1580で、ライス大盛り￥80にしてもらいました。
　なんでステ盛り＋チキンかって〜とチキンの他にサーモンフライのステ盛りもあるから。
　
　オーダーのトーンがレストランっぽくなってて緊張するっス(笑)いや昔は下町の洋食屋的カオスなとこあったから。
　オープンキッチンで調理の音がジュ〜！ジュ〜！聞こえて いやが上にも期待が高まるってもんです！

　待つことしばしで・・・！来った〜〜！ ステ盛りチキン！！
　ランプ肉のステーキと鶏胸肉のチキンソテー、クリームコロッケとハンバーグが鉄板の上でジュウジュウ言ってます！
　これだ！コレコレ、コレがステ盛りチキン！！
　ランプ肉の赤身のステーキってかもう肉の塊と、150gくらいのハンバーグ。クリームコロッケにチキンのソテー。

　どれから行くどう攻める！普通ならメインを張れるオールスター、しかしやっぱりステーキをいかに感動的に食べたいかだ。
　その為には他のスターに脇役に回ってもらい感動的な出会いの下地を作ってもらうしかない！

　最初はハンバーグ！長打のある一番バッター。これで一気に勢いをつける！
　ナイフで切ると、うんジューシー！写真にもハッキリ肉汁が写ってる。
　ばくっと一気にかぶりつく！うう〜〜ん！ふっくらジューシー！

　肉の味が わっと口に広がり、噛むほどハンバーグの味が増してく感じ、ご飯が進む。
　デミソースも上品な仕上がり、しつこくなくって牛、豚の味を引き立てる。
　・・・ん？？しかし、何だか以前より弱々しい感じもする？香辛料含めてのハンバーグとしての下味が薄いか？
　なんとなくデミソースで食べさせる感じがすんだけど。良い出来のハンバーグなのに惜しいなあ！ちょっとした一手間を・・・。

　大丈夫だ！チキンソテーで巻き返しっス！
　皮がまあまあパリッと、気をつけないと皮がつながっちゃうからね。切って口にする。

　むん！これもジューシー、柔らかに切れて硬くない、中まで火も通って焼きはいいです、いい線いってます。
　口に入れると鶏の脂が口を濡らす。柔らかいし鮮度もいいから鶏くさくない。

　・・・が、コレもやや弱い。もう少し下味をつけるなりソテーの油を工夫するか(澄ましバター使えとは言わんが)。
　トマトソースをたっぷりつけて・・・トマトソースは以前から きつい味付けじゃなかったが、ん〜トマトの ってか トマトのソース？パンに残ったチキンの脂とか使ってないかなぁ？
　ここ、惜しいなあ！細かいとこなんだし、大変なのはわかるんだが・・・。

　いかん、クリームコロッケで流れを変えよう。
　綺麗に揚がって、切ったら中もクリーミー！
　ホワイトソースもまとまってるが、これはどこかで食べたような味付け。

　平凡で平均的。悪くない、でもこの流れが悪かったか！？ガツンを期待した俺が悪かったか！！
　もしココまでガンガン来てたら逆にいい箸休め (？)に成ったんだが・・・。

　ステーキ！これだコレがココんちのキモ！！これがよければ全て許される！
　切るナイフの動きが止まる。・・・ブルータス、まさか お前もか・・・。

　切った断面は 綺麗なミディアムレアー。火は中まで回ってる、ちゃんと火の通ったミディアムレアーっス。
　口に入れる、ゆっくり噛む、噛む噛む・・・肉質は赤身でしっかりした噛みごたえ。肉の間から肉汁が滴る・・・。
　
　が、・・が、・・が、スジが張りすぎてる・・・コレが、ただこれだけが、全ての土台をないものにするのか・・・。
　
　肉質は悪いものじゃないと思うっス。ただ筋切りなり叩くなりの処理を一切行っていないのか・・・。
　フレンチだが赤身の肉を最上のステーキに仕上げるお店が隣町のジョージにあるというのに・・・。
　それでなくてもジョージには肉の名店が多いというのに・・・。

　この一手、肉はそのままでもいい肉っス。でも一手間を、一手間必要、神は細部に宿るというっス！！

　さらにいえば、下味も迷いがあるのか弱すぎる感じが・・・。
　塩の使い方に戸惑いを感じる。出来れば下味をつけてからの時間をもう少し取りたい。下味が肉の上にとどまり上滑りしてる。

　話を聞いたとき「以前のオーナーさんが体をこわされ閉店したんですが、うちの会社がレシピの全てをいただいて建物もそのままで引き継ぐことにしました」って教えてくれたっス。

　「うちの会社が」って言ってた。別に何も悪くない。それどころか初対面の俺によくそんなことまで教えてくれるなとも思うっス。
　
　会社組織で引き継いでレシピから内外装まで以前のまんま。
　つまりキャロットの看板をそのまま背負っていくという意思表示っスね。
　
　ならば、ならば、心を鬼にして言わねばなるまい・・・神は細部に宿る と！！

　先代の背は遠く、道は平坦ではないと思う。それが金看板を背負ったものの宿命なのだ。