鴨せいろそば : 石臼挽き手打ち蕎麦 高はし

【2023/11/19】　　 石臼挽き手打ち蕎麦 高はし

　夜になって環状八号線を走っていると、「石臼挽き手打ち蕎麦 高はし」の入口に明かりが見えた。少し走って住宅街に入り戻る事にした。夏に環八沿いのベジタリアン・カフェに行った時に「高はし」の入口に行った折、体調が悪いので暫く休む旨の張り紙があったのでそれ以来、環八を走る時にはいつも気にしていたのだ。

　入口には確かに「営業中」の札が掛かっていた。
暖簾を潜り、自動ドアでない引き戸を引いて中に入るとご主人が待っていらっしゃった。

「予約していませんが入れますか」と伺うと
「どうぞ」と招き入れてくれた。
本当に久しぶりの入店だ。

　お休みだった事をお聞きすると体調を悪くされてお休みだったとの事だった。

　バイクを乗っているのでお酒も注文する事は出来ない。
頼んだのは、

　　　　鴨せいろそば　　　\1,750

　冬が近くなるといつも鴨せいろが食べたくなる。
　少しして出来上がって来た。
石臼手打ちの蕎麦だ。
まず鴨汁に漬けずそのまま頂く。瑞々しい冷水で締めた細い蕎麦は絶品。
　次に鴨汁に漬けて頂く。
鴨汁も絶品。鴨の肉は出身先の「本むら庵 荻窪本店」と同じ薄切り肉だ。
それがたっぷり器に入っている。白葱と何本かの万能ねぎの緑。蕎麦と葱と一緒に鴨肉も頂く。
蕎麦が半分ほど亡くなった時に、薬味で付いて来た辛味大根を鴨汁に足して味変をして楽しむ。
おろしそばも食べたくなってしまうではないか。

　BGMはJazz。Eddie Higgins - Night And Day だった。

　そばをすべて食べ終わり、白濁した蕎麦湯をたっぷり鴨汁に足し入れ、ついでに薬味の晒し葱も加えて頂く。
その全てを頂いた後に、口直しと頂いたみかんを食べる。爽やかな甘さだった。

　食べ終わる頃に常連の方がお一人入って来られ奥の席に座られる。
そして次々と蕎麦前の品を数種類注文される。
当然お酒も。
この「高はし」が住んでいる所に近くにあったら、私も同じことをしてみたい。
実に羨ましいと思う。

【2015/09/12】　　 高はし

　やっとこれた「高はし」。
　JR荻窪駅南口からどうしてこんなに離れた所にお店を出したのだろうと思うほど遠くの環八沿いにお店はある。距離的には荻窪駅から直線距離にして「本むら庵　荻窪本店」と同じぐらいの距離だと思うが、何故か「本むら庵」の方が遥かに行き易い。南口からバスで来る手もあるかも知れない。
　ご存知だと思うが「高はし」のご主人は「慈久庵」の店主小川宣夫氏と同じく「本むら庵」で修業された方である。

　ほぼ夕方から開く夜の部の開店時間に訪れた。
　環八から少し入った所に入口があり細い通路を通って奥にあまり広くない客席がある。部屋には浮世絵の額装が壁に掛けられ趣味の良い調度品、民芸品が置かれていて落ち着いた感じだ。どうやらお店はご夫婦だけで切り回していらっしゃるようだに思える。

　でもどう見てもここは酒飲みのお店だと判る。
　日本酒が各種揃っている事と品書きに酒の肴が並んでいるからだ。
　今日はお酒を飲まないと決めていたので、石臼製粉、手打ちの蕎麦を頼む事にした。
　貼紙に9月末まではせいろしか頼めないと書かれている。つまり温かい蕎麦は夏の季節は作らないと言う事らしい。従って‘せいろ’がメインとなる。頼んだのは、

　　　　天せいろ　　　1,700円
　　　　鴨せいろ　　　1,600円

　少し待ってまず天ぷらが運ばれて来た。
　天ぷらは海老が3本と、茄子、カボチャ、満願寺唐辛子、サツマイモの夏野菜の天ぷらだった。
海老は活けではないが少し小ぶりながら3本とは豪勢なと思う。天ぷらは塩でも食べられるようになっている。

　次に鴨汁が運ばれて来た。
　鴨は厚く切った肉の塊ではなく細切れの感じ。ネギも白葱を焼いたものではなく浅葱のような細い葱が入れられ、鴨肉で作ったつみれも入っていなかった。先に少し飲んでみたのだが鴨の出汁が染み出て味は良い。但し最初から山椒の粉が入っていた。

　蕎麦は「本むら庵」と同じく細い蕎麦が綺麗に光っている。水切りも適度。蕎麦だけを食べてみるとぶっつりと切れる事もなくツルツルと喉を通る。凄く旨い。ここは十割なのかな？ひょっとしたら「本むら庵」より美味しいかもと思った。
　薬味は少し紫がかった辛味大根と晒しネギだった。

　蕎麦を食べ終わるとやっぱり少し量が少なかった。
酒の肴を摘まみながらお酒を飲んで、〆に食べる蕎麦の量を想定しているのだろう。
　蕎麦湯は白濁していて蕎麦粉は別盛りだと思う。

　食べ終わってほっこりしていると奥様が口直しの為か綺麗に切られた梨を持って来て下さった。
頂くと鴨肉の脂が残っていた口の中がサッパリした。