なかなかのハイコスパのタイ料理店です : ピッキーヌ

昔の人は兄弟が多かったこともあり、私にもおじさん、おばさん(伯父、叔父、伯母、叔母)がたくさんいました。
数えてみると私が物心ついた時点では、父方に伯父、伯母が計7名、母方は伯父、伯母が2名に叔父、叔母が3名の合計12名のおじさんおばさんがいました。
当時はこれくらいは当たり前なのかもしれませんが、子供の頃はお年玉の財源なので、とても有り難く感じていました。
今の子供たちはおじさん、おばさんと言っても片手で足りる人が多いのでしょうね。

この日のランチで訪れた阿佐ヶ谷にもその伯父、伯母が暮らしており、こちらは伯父さんが某大手企業の役員だったこともあり、当時は結構美味い汁を吸っていたと見えてw、私もそのおこぼれを頂戴したことがありました。
一番記憶にあるのが大相撲のマス席で、恐らく接待用のマス席招待の余りがあって、我が家にもお鉢が回ってきたと思われ、飲み食べ放題でお土産付きのマス席観戦は子供心にとても楽しいものでした。
それ以来、阿佐ヶ谷と言うと相撲のマス席というイメージが定着しています。

この日はその阿佐ヶ谷でのランチとなり、JR中央線・総武線の阿佐ケ谷駅からJR線の高架に沿って西に延びる阿佐ヶ谷北口駅前商店会、通称スターロード商店街の端にあるタイ料理店の当店をターゲットにしました。

スターロード商店街は、居酒屋やバー、喫茶店などが多く集まるいわゆる飲み屋街の趣きのある商店街で、夜は赤提灯やバーの看板がひしめき、阿佐ヶ谷を象徴する光景のひとつになっています。
庶民的な焼き鳥や立飲み店から、こだわりの日本酒専門店、ワインバー、トラットリア、そしてハイセンスなカフェバーまで様々なタイプのお店が集まっており、著名人が多く住む街である阿佐ヶ谷らしく、漫画家やミュージシャンなどの文化人御用達のお店も多くあるようです。

当店は、そのスターロード商店街の西の端にある名曲喫茶「ヴィオロン」と隣接するタイ料理店で、ヴィオロンの店主の奥さんで、タイ・バンコク出身の寺元メッタさんが、オーナーシェフとしてタイの宮廷料理人だった祖母直伝の正統派タイ料理を提供するべく1989年(平成元年)に創業したお店になります。

ピッキーヌとは、プリッキーヌとも呼ばれるタイの唐辛子の一品種のことですが、調べてみると茨城県筑西市に「ピッキーヌ２」というお店があります。
店名からは、当店の2号店と思いたくなるのですが、外観やメニューに類似性は見られず、別経営の可能性が高いと思われます。
筑西市にも元々ピッキーヌというお店があったそうで、それに対する「２」のようですね。

この日は、オープン時刻の11時を目指して伺いました。
スターロード商店街もこの辺りまで来るとお店はまばらで住宅街みたいな様相です。
11時2分過ぎの到着で先客はおらず私が一番乗りになりました。
1階の店内は2人用のテーブル席が6卓12席並んでいますが、これ以外に2階にも客席はあるようです。
私は1階席の一番端に座りました。

お店はタイ人の男性シェフの他、タイ人女性と日本人女性が各1名の布陣です。
席に着くと日本人女性がメニューブックを持ってきてくれました。
これは、ランチメニューのメニューブックのようで、トップメニューはランチのセットメニューになっています。
このセットメニュー、2種類の料理カテゴリーからそれぞれ1種類づつ選べて@950円ですので、なかなかお得なセットです。
カテゴリーは、アルファベットと数字に分かれており、アルファベットの方は麺類、数字の方はご飯ものや一品料理で、何となく中華料理の麺飯セットみたいな趣きですが、タイ料理店にしては珍しいタイプのメニューだと思います。

注文は、アルファベットメニューからカオソイ、数字メニューからタイちまきごはんをチョイスしました。
複数のタイ料理が楽しめて1,000円アンダーですから嬉しいところです。

私が一番乗りということもあってか、提供はなかなか素早く、待つこと2分ほどでタイちまきごはんが、その3分後にカオソイがそれぞれ運ばれてきました。

量から見ると、カオソイがメインで、タイちまきごはんはミニサイズと思われ、全体にボリュームはアルファベットメニュー>数字メニューなのではないかと思われます。
ラーメン・ミニチャーハンセットみたいな感じですかね。

カオソイは、ココナッツミルク風味のまろやかな味のスープに太ちぢれ麺が煮込まれ、上に太麺の揚げ麺が乗り、パクチーが添えられています。
一度に2種類の麺が食べられる欲張りさん向けメニューですが、もっちり麺とパリパリ麺の対照が良いですね。
もっちり麺の方はさっぽろラーメンみたいな味わいで、美味しくいただけましたし、パリパリ麺も皿うどんのような食感でいいアクセントになっています。
スープもやや甘めながらもコクがあって美味しく、具の豚肉やパクチーとも良くマッチしています。

タイちまきごはんは、葉で包まれたちまきの形はしていませんが、餅米を炊いたもので、チャーシューや椎茸が風味を整えており、これにもパクチーが添えられています。
なかなか旨みたっぷりのごはんで、量的にはミニサイズでペロッと食べられるボリュームでしたが、味はなかなかでした。

当店いいですね。
辛いのが好きな方にはやや物足りないかもしれませんが、そこはオーダー時に注文することでカバー出来ると思われますし、何より1,000円アンダーでタイ料理が2種類食べられるランチセットはなかなかお目にかかれないと思われ、とてもお得感を感じます。
あまり人通りの多い場所でないこともあってか、休日のこの日でも客は終始私1人とあまり流行っている感じではなかったのは意外でしたが、その分穴場店の妙味もあるお店だと思います。

接客もとても丁寧で気持ちよかったですし、こういうお店には更なる発展を期待したいところですね。