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蕎麦屋呑みの楽しさを満喫できる優良店
こちらも開店以来ずっとコロナ禍に振り回されて来た一軒。
1年半ほど前の開店早々の頃に訪れて好印象が残っており、再訪したい気持ちが募っていた。
営業時間は'まん防'施行に基づき是々非々の対応となっているが、通し営業は貫かれているようで、ゆっくりしようと土曜日の半端な時刻に予約を入れる。
指定した16時に、代々木上原の駅から1.2分の距離を歩いて向かう。
エレベーターで3階に上がると、外界とは隔絶されたアーティスティックな空間が広がっている。
この時間帯でも先客は2組居り、一人の私は厨房前のカウンター中央の席に通された。
スタッフはご主人と調理に専念するベテラン職人、それにお運びの若い女性の3人体制。
こちらのご主人は中目黒の「土山人」の出だが、より呑ませる姿勢が顕著なのは初回の訪店時で確認済み。
今回はこちら自慢の品々が並ぶ「おまかせコース」(4,400円)を頼んである。
まずは生ビールをもらうが、銘柄は都内ではあまり見掛けないサッポロで出している「SORACHI」。
注ぎ方も上手で中々美味い。
料理は次のような品々が適度な間を置いて一品ずつ供される。
*「牛すじ煮込み」が先付けとして登場。
牛筋はある程度の歯応えが残っており、濃い目の甘辛い味付けだが実山椒が効いている。
一緒に煮られた大根や蒟蒻にも、良く味が染みている。
*「刺身盛合せ」:「寒鰆・サーモン・甘海老」が2切れづつ。
鰆は皮目がさっと炙られており、私があまり好まないサーモンもくせが無く美味しい。
甘海老の頭は別にカリカリに焼いて添えられており、つまの玉ねぎスライスは大根よりも美味しく感じる。
本山葵のおろしが添えられているが、もう少し細かめの方が引き立つと思う。
*「ポテトサラダ 雲丹ソースかけ」:自家製のポテトサラダの上に半割の半熟卵が乗り、上から色鮮やかな雲丹ソースがたっぷりと掛かっている。
雲丹ソースはまったりとした味わいで、トロトロの卵の黄身と相俟って美味しい。
*「新筍の木の芽焼き」:鹿児島産の新筍の半本分が、山椒の若葉を加えた'木の芽醤油'を塗して焼かれている。
独特の香りとシャクシャクとした食感が好ましく、玉蜀黍にも似た甘みが心地よい。
醤油が染み込んだ皮もしゃぶりたい程。
*「蓮根饅頭の蟹あんかけ」:摺り下ろした蓮根をボール状に丸めて油で揚げたものに、ズワイ蟹のほぐし身が入った醤油味の餡が掛かっている。
蓮根は粗目に下ろされており、サクサクとモッちりの二通りの歯触りが楽しめ、揚げることで香ばしさも加わっている。
蟹肉もたっぷり入っており、身も心も温まる一品に仕上がっている。
*「小鉢三種」は「あん肝の旨煮・茄子の揚げ出し・鴨ロース」が、盛り合されている。
あん肝は薄味の出汁で煮含められており、ポン酢で食べるイメージとは異なる味わいが良い。
茄子もきちんとした仕事。
ローストした抱き身をスライスした鴨は味が深く、バルサミコ酢の効いたタレも美味しい。
*「小海老かき揚げ」:質は最上とは言えないが、結構な数の小海老と少量の葱が立体的なかき揚げに仕上がっている。
箸を当てればサクッとした感触が伝わり、少しずつ崩しながら塩で味わえば中々の美味さ。
酒についてが後になったが、品書きに載る他に季節ごとのおすすめが何種類か用意されており、こちらにも造詣の深いご主人に選んでもらった3種類を、料理の進行に合わせて1合ずつ頂く。
「仙禽 雪だるま 活性にごり酒」:濁りだがまったり感は少なく、適度な酸味で爽やかな印象。
「東洋美人 純米吟醸50」:フルーツを思わせる芳香が有るが、後味はしっかりして食中酒に最適。
「くどき上手 純米大吟醸」:さっぱりした口当たりだが、旨味もきちんと感じられる。
いずれも選りすぐられた銘柄だけあって、料理の美味さと相俟って心行くまで楽しめた。
蕎麦はこの時期ならではの「かけ」を選択。
運ばれた丼の景色は、三つ葉がさりげなく散らされた淡麗な面持ち。
「土山人」のルーツは「玄庵」主宰の「江戸東京そばの会」にあるため、基本は江戸前であるが、やはり関西で培われた歴史が所々で顔を覗かせている。
今では方々の蕎麦屋で見かける「すだちそば」は「土山人」が元祖だが、醤油色の薄い透き通ったスタイルの「かけつゆ」にはそれが端的に示されている。
今回のつゆも江戸前のガツンと来る強さとは対極の、出汁が上品に香る洗練された味わい。
蕎麦は熱いつゆの中でも、しっかりした歯触りを残している。
薬味には繊細にカットされた緑鮮やかな九条葱が添えられており、薬味の葱は根深の白い部分という感覚が身についている東京人には馴染みが薄いが、ここにも上方よりの流れが見て取れる。
「原了郭」の黒七味と一味も添えられており、これらを振り入れての味の変化も楽しい。
最後は丼を傾けて最後の一滴まで飲み干す。
期待通りの、いや期待以上の満足度の高いひと時を過ごせた。
一品ごとに説明の言葉が添えられて供される料理を丹念に味わいつつ酒を楽しみ、さらに蕎麦で〆る一連の流れは至福のひと時。
一人客でも決して退屈することの無い、カウンター席の居心地は実に良い。
'おまかせコース'は料理6品で税込み4,400円の表示になっているが、先付けや蕎麦は別にカウントされているようで、さらに小鉢は3種の盛合せなので、実際にはかなりバラエティーに富んだ品々が登場。
酒も一律880円の値付けで、トータルの支払いは8千円弱。
内容からすれば極めて良心的である。
時刻がまだ早かったため、如才ないご主人とはカウンター越しに色々と言葉を交わすことが出来た。
元々は芦屋の「土山人本店」で修業を開始した方で、東京に進出する際に店長に抜擢されたそうだ。
料理の修業は「土山人」以外では無いそうだが、料理の出来にはオリジナリティーやセンスの良さが感じられる。
関西出身ながら都内の方々の蕎麦屋を巡り、江戸前の手法を良く研究していることも窺える。
代々木上原には個性的な蕎麦屋が多く、あらゆるニーズに対応できる層の厚さを見せている。
此処はどちらかと言うと「山都」に似た業態だが、こちらに方が落ち着ける。
新しい店では、こちらとすぐ近所の「えもり」が傑出していると思う。
単身で「蕎麦屋酒」を楽しむことを信条に日々行動している私にとっては理想的な店で、半端な時間帯からゆっくり出来るのも有り難い。
私の後からカウンターに座った方も、お馴染みさんの様子。
雑居ビルの3階で表からは目に付きにくいが、敢えてこちらを目指す客が常連として定着しつつある状況は好ましい。
「東京 土山人」出身の店はこちらと「月心」だけとのこと。
「土山人」は場所柄ミーハー的な客が多く雰囲気は落ち着かず、「月心」は良い店だが如何せん狭く、一杯やって寛ぐにはこちらが断然お勧めである。
こんなご時世でなければ、親しいレビュアーさんをお誘いし個室で一席設けたいと考えていた店。
早くそんな日が来ることを願うばかりである。
全てに渡り満足度の高い蕎麦屋が、代々木上原に誕生
この日訪れたのは代々木上原に最近誕生した蕎麦屋。
場所は駅から2.3分で、北口を出て八幡方向に線路に沿って続いている賑やかな通りに面したビルの3階。
開店は4月中を予定していたが、このご時世で5月20日に延ばしてオープン。
暫く変則的な営業時間だったが、現在は平常のスタイルとなっている。
店主は「土山人」出身と聞いており、大いに期待を持って臨む。
夜の開店の17時直後に到着。
1階のビル入り口に立て看板が置かれているが、あまり目立つ構えでは無い。
しかしエレベーターを降りれば、なかなか洒落た空間が広がっている。
3階のフロアー全体を占めているため結構な広さで、入ってすぐの所に花が活けられた大壺が置かれており、その向こうに2卓のテーブル席、右手にはそれぞれ6人くらいは入れる2つの個室状のスペースが見える。
左手の一段高い所に、厨房を囲むように9個の椅子が並んだカウンターが奥に続いている。
ご主人とその片腕と言える男性の2人体制。
開店直後ながらすでに先客が居り、個室には予約が入っている様子。
一人の私はカウンターの手前の端に通された。
メニューは手渡された2枚の紙片に纏められている。
肴類はそれほど多くは無いが、なかなか魅力的。
日本酒は載せていない'季節のおすすめ'も用意されているとのこと。
まずは「生ビール」を所望。
目の前のタップからグラスに注がれるが、一旦注いだ後に上面の粗い泡をスプーンで取り除き再び注ぐひと手間が施されるため、口当たりが良く美味しい。
お通しには「鶏と胡瓜の胡麻和え」の小鉢が出された。
しっとりと蒸し上げた鶏むね肉と胡瓜の角切りが、ほど良い加減の胡麻だれに浸されている。
これだけでも確かな腕前が感じられ、上々のスタート。
肴には次の3品を間を置いて注文。
「砂肝オイル漬け」:コンフィまでの柔らかさは無いが、かえってそのコリっとした歯応えが楽しい。
旨味は十分で適度な塩気も好ましい。
「蓮根まんじゅう山菜あんかけ」:鶏のミンチを芯にすりおろした蓮根を被せて丸く形作られたものが油で揚げられ、とろみの付いた出汁のあんが掛かっている。
加えられる山菜はその都度変わるようで、今回は「黄にら」だったが食感と香りが面白く、その創意に感心。
粗くおろされた蓮根の食感が楽しめて、手間の掛け方からすれば500円の値付けは安い。
「穴子と季節野菜の天ぷら」:「梅雨穴子」と呼ばれ今が旬の大ぶりの穴子一尾分と、野菜は丸十と蓮根が2個ずつ。
穴子は食べ応え十分で、塩で食べさせるが旨味が濃い。
私はどちらかと言うと穴子は天つゆで食べる方が好きで、これは同類の鰻の蒲焼の美味さに通づると思っているが、今回の鰻で言えば'白焼きを塩で'に相当するスタイルも良かった。
野菜も美味しく、特に一旦蒸してから天ぷらにした丸十の甘さと食感が印象に残る。
こちらが1,000円と言うのも、穴子のボリュームからすれば破格の値段。
酒は店主が選りすぐった'季節のおすすめ'が用意されており、それに従い料理の進行に合わせて「酔右衛門 夏ぎんが」「天青 吟望 防空壕貯蔵」を1合ずつ、さらに「寫楽 播州愛山」を半合でもらう。
いずれも夏向きの口当たりの良さの後にしっかりした持ち味が残り、料理の美味さと相俟って満足できた。
酒器の選び方にもセンスの良さが現れている。
18時を過ぎると予約客も入店して、少し忙しくなってきた。
蕎麦は基本の「せいろ」を1枚。
笊盛りの蕎麦は、やや黒っぽい挽きぐるみでやや細めに綺麗に揃っている。
「土山人」の「せいろ」は白っぽく、それとは別に「粗挽き田舎」という少々野趣を感じさせるタイプの2種類を打っているが、こちらではその両者の中間と言う感じの1種類に絞っている。
香りはしっかりあり、歯触りやのど越しも良好の優れた仕上がりである。
やや濃い目の辛口のつゆの仕上がりは「土山人」同様。
蕎麦猪口に直接注がれて出されるが、濃いつゆの場合はやはり徳利を使うひと手間が有ればと思う。
蕎麦湯は手が加えられたやや粘度を感じるタイプだが、苛々するまでのことは無いのは良かった。
実に快適な「蕎麦屋酒」が楽しめた。
肴・酒・蕎麦いずれもハイレベルな仕事ぶりで、満足度も高い。
特に肴の出来は和食割烹で十分通用する腕前とセンスが感じられ、今回は頼まなかったが刺身類も充実している。
全般的に値段の安いのも有り難い。
今回の勘定は外税で6,000円ちょっとは、充実した内容に照らせば極めてリーズナブル。
後でレシートを確認したらお通しは無料サービスで、酒の一合800円の値付けも良心的に思う。
オープンキッチンスタイルの広めの厨房には設備が整然と並び、手際よく注文をこなしていく光景を眺めるだけでも楽しい。
忙しい中でも常に客への目配りを欠かさない、接客ぶりにも好感が持てる。
サロン的な雰囲気のカウンター席の居心地は良く、常連になりたい気分。
深夜までの営業スタイルも、それなりの算段が有ってのことと思われる。
実際に今回の客入りの状況からして、ビルの3階という場所ながらすでに人気店となっている様子が窺える。
評価はもう少し高くしても良いと思うが、初回なのでこのくらいにしておきたいと思う。
代々木上原には優秀かつ個性的な蕎麦屋が多いが、こちらもその中で存在感を示すことは確実。
私好みの蕎麦屋の誕生は嬉しい限りで、これからも時々覗いてみたい。
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蓼喰人
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店名 |
楽
|
---|---|
ジャンル | そば、日本料理 |
予約・ お問い合わせ |
050-5597-9679 |
予約可否 |
予約可 |
住所 | |
交通手段 |
東京メトロ千代田線 代々木上原駅 徒歩2分 代々木上原駅から293m |
営業時間 |
|
予算 |
¥5,000~¥5,999 ¥1,000~¥1,999 |
予算(口コミ集計) |
¥5,000~¥5,999
¥2,000~¥2,999
|
支払い方法 |
カード可 (VISA、Master、JCB、AMEX、Diners) 電子マネー不可 QRコード決済不可 |
席数 |
30席 |
---|---|
個室 |
無 半個室あり |
貸切 |
可 |
禁煙・喫煙 |
全席禁煙 |
駐車場 |
無 |
空間・設備 | オシャレな空間、落ち着いた空間、カウンター席あり |
ドリンク | 日本酒あり、焼酎あり、日本酒にこだわる |
---|
利用シーン |
こんな時によく使われます。 |
---|---|
ホームページ | |
オープン日 |
2020年5月20日 |
電話番号 |
070-7781-8950 |
備考 | |
初投稿者 |
このレストランは食べログ店舗会員等に登録しているため、ユーザーの皆様は編集することができません。
店舗情報に誤りを発見された場合には、ご連絡をお願いいたします。お問い合わせフォーム
昼過ぎに新宿まで出向く用事があり、その後に寄る店としてきちんとした蕎麦屋酒が見込めるこちらを選択。
この日は時間の算段がついたので、前もって予約を入れておいた。
約2年ぶりである。
こちらは15時から開けており17時にエレベーターで上がるとすでに先客が2人居り、私はカウンター奥の店主の立ち位置の前の席が用意されていた。
店はカウンター内で包丁を握りながら店全体の様子に気を配るご主人と、奥で煮炊きや揚げ物などを担当するベテラン職人、ホールは若い女性2人と言う布陣。
まずは生ビール(サッポロ SORACHI)で始める。
料理は今回もコースでお願いしてある。
内容は次の通りで、食べるペースを見計らってタイミングよく提供される。
☆先付けは「鰤の粕汁」で、鰤の他に大根・人参などの根菜類も入った具沢山で、やや濃い目の赤味噌仕立てに酒粕が加わった厚みのある味わい。
この時期に相応しく、また酒呑みを見据えた趣向が好ましい。
☆お造りは「寒鰤・寒平目・鮪づけの3種盛り」で、適度に脂の乗った鰤、味の深い平目、ねっとりとした食感のづけ、何れも良い。
つまのオニオンスライスも功を奏している。
☆サラダは「うに玉ポテトサラダ」で、大抵の客が注文するこちらの名物料理。
ポテサラの上に半分にカットされた半熟卵が乗り、たっぷりの雲丹ソースが掛けられている。
ソースは生の雲丹を潰して醤油などを合わせて滑らかに伸ばしたもので、トロっと流れる玉子の黄身とも相俟って実に美味しい。
☆一品料理は「茶碗蒸しの蟹あんかけ」で、小振りの湯飲み状の器で作られた茶碗蒸しの表面は、ずわい蟹の解し身や味噌が入った餡で覆われている。
スプーンで中を探ると、結構大き目な海老一尾分と蒲鉾などを確認。
味のバランスも良く、食べ応え十分で満足できた。
☆季節の温菜は「カキフライ」で、カリッとした衣に覆われた程よい大きさの2粒で、噛めばジューシーな旨味がほとばしる。
下にたっぷりと敷かれているタルタルソースには刻んだ「いぶりがっこ」が入っており、コリっとした歯触りと独特の風味が面白い。
☆季節の小鉢盛り合わせは「鰊の麹漬け」「茄子の揚げ浸し」「豚バラ肉の煮物」「イカ塩辛の焦がし醤油仕立て」の4種。
目先が変わった取り合わせで何れも良かったが、特に香辛料が効いた豚バラ肉、香りが良い焦がし醤油で仕込まれた塩辛が印象に残る。
☆天ぷらは「海老・いか・百合根のかき揚げ」で、立体的な揚げ上がりだがサクッとした上手な火通りで、割ると次々と食材が顔を見せる。
塩で素材の持ち味を楽しむ。
酒はご主人にお任せで出してもらったが、次にようなラインアップ。
最初に「手取川 冬純米」が被災地応援の意味も込められて選ばれたが、スッと入っていく口当たりと舌に残る旨味が好ましい。
千葉富津の「東魁盛 特別純米」は優しい飲み口で、ふくよかな味わい。
次はこちらも石川県小松の農口尚彦研究所の「PUREMIUM NOUVEAU」で、新酒ならではの爽やかさとすっきりとした後味が印象的。
燗酒の希望で「TENMEI 生酛 焔」がぬる燗で登場。円やかでしみじみとした味の余韻が良かった。
4合はちょっと飲みすぎだったが、料理の美味さと居心地の良さからスイスイと杯が進む。
冷酒が錫のちろりで出されるのも快調の要因か。
要望に合わせてセレクトされる、ご主人の的確な対応ぶりも光る。
〆の蕎麦は加算すれば種物にも代えられるが、基本の「かけ」を選択。
先日訪れた三田の蕎麦屋で蕎麦前の出来に比べ最後のかけそばの出来に不満が残ったので、こちらでも敢えて注文してみた。
此処のかけつゆは江戸前とは異なり醤油色が淡い関西系の面持ちだが、出汁の香りと豊かに広がる旨味が秀逸で呑んだ後の〆には好適。
もちろん熱いつゆの中でも、くっきりとした歯触りと風味が感じられる蕎麦の仕上がりも見事。
蕎麦を啜りつゆも全て飲み干せば、充足感が五体に染み渡っていく。
期待通りのハイレベルで、かつ気持ちの良い蕎麦屋酒が楽しめた。
この日はそれほど立て込んではおらず、ご主人にとっては多少迷惑だったかも知れないが、カウンター越しに会話をしながら過ごす時間は実に快適。
多少値上げされたとは言えこのコースが5,500円とは驚きで、倍くらいの値段の蕎麦懐石の店に匹敵する内容。
トータルの支払いも一万円を少し越えただけなので、極めてリーズナブルと言える。
代々木上原には優秀な蕎麦屋が多いが、あらゆる面で私にとってのトップはこちらとなった。
信頼のおける店として、これからも定期的に訪れたい。