代々木上原に誕生した新鋭。蕎麦前が充実、蕎麦の出来も素晴らしい : そばと酒 えもり

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4.7

¥8,000~¥9,9991人
  • 料理・味4.8
  • サービス4.0
  • 雰囲気4.0
  • CP4.8
  • 酒・ドリンク4.5
2019/03訪問1回目

4.7

  • 料理・味4.8
  • サービス4.0
  • 雰囲気4.0
  • CP4.8
  • 酒・ドリンク4.5
¥8,000~¥9,9991人

代々木上原に誕生した新鋭。蕎麦前が充実、蕎麦の出来も素晴らしい

 昨年の秋、代々木上原に面白そうな蕎麦屋が誕生したという情報は入ってきていた。
 寄ってみたい気持ちを抱きつつ延び延びになっていたが、先日訪れた蕎麦屋のご主人からの助言に後押しされて足を運んでみた。

 事前に夜は、4,000円のコースのみとなっていることを確認。
 予約が好ましいだろうと、開店時刻の18時に到着する旨を告げておいた。

 場所は代々木上原と代々木八幡のちょうど中間あたりで、どちらからも5.6分の所。
 洒落た飲食店が並ぶ道筋に在る。

 定時に到着。
 外観は清楚な佇まい。
 店内はカウンター・テーブル合わせて16席ほどで、40歳前後と思われるご主人と女将さんの二人で切り盛りしている。

 私には、カウンターの一番奥の席が用意されていた。
 コースは一人でも注文可能なのだが、私の直後に入店された方もおひとり様で、2人がほぼ同様のペースで進んで行ったのは良かったと思う。
 こちらのご主人は酒への造詣も深いことを耳にしており、後のことを考えてスタートのビールは小瓶(プレミアムモルツ)にする。

 コースの内容は次の通り。
*前菜「蕎麦豆腐の新生姜と生海苔あんかけ」:蕎麦豆腐は葛で寄せるタイプで、これを揚げ出し豆腐のように一旦表面をカリッとするくらいに油で揚げてある。
 これにたっぷりの生海苔に少量の鶏のミンチが加えられ、新生姜が香る餡が掛けられている。
 薄味だが出汁の旨味はしっかり感じられ、食感の違いも印象的。
 
*蕎麦前盛り合わせ三種は、いずれも酒の肴には好適な逸品。
 「秘伝豆のお浸し」:「秘伝豆」とは成熟しても色が残る山形特産の青大豆の一種で、茹でて戻したものが'ひたし豆'となっており、添えられた蕎麦の実入りのジュレが良い効果を生んでいる。
 「穴子煮こごり」:穴子の煮具合も、口当たりの良い寄せ加減も申し分なし。
 「雲丹つくだ煮」:濃い目の味付けでしっかりと煮られているが、雲丹の持ち味は損なわれておらず、むしろより旨味が凝縮されている点に感心。

*「蕎麦がき」:島根産の'妙高在来'の粗挽きを使用とのことで、粒々感が秀逸。
 蕎麦本来の香りと甘みを、塩だけで堪能。

*「春キャベツの真丈」:品の良い蓋物の器で登場。
 新キャベツの細切りと白身魚のすり身を合わせて蒸しあげた真丈に、素揚げの黄人参が添えられ銀餡が掛かっている。
 柔らかい真丈の舌触りと、人参の歯応えの対比が面白い。
 
*「鴨のロースト」:一旦ローストしてから厚めにカットされた抱き身を、再度軽く焙ってある。
 火入れが丁度良く、噛めばジューシーな旨味がほとばしる。
 粒辛子と岩塩が添えられている。
 付け合わせの「茎山葵の酢醤油漬け」と「蕎麦の実入りの蕗味噌」も良い出来。
 
*「春野菜の天ぷら」:蕗の薹・竹の子・つぼみ菜・新玉ねぎの4種で、こちらも塩だけで食べさせるが、それぞれの持ち味と食感が存分に楽しめた。
 特につぼみ菜の歯応えと、新玉ねぎの甘みが印象に残る。

 酒については前述の通り、達人であるご主人に好みを告げると色々とアドバイスしてくれる。
 本領は「古酒」で、独自に寝かした何本もの銘柄を所蔵しているとのこと。
 隣席の方もお詳しいようで、ご主人との会話に耳を傾けるのはなかなか楽しい。
 品書きにない希少な銘柄も、数多く用意されている。

 私はそれほど拘りは無いので、相談の結果'冷酒・常温・燗酒'をこの順で1合ずつ出してもらった。
 冷酒は「山川光男 はる」で、山形を代表する4つの酒蔵のコラボレーションから生まれた珍しい銘柄。今回は「東光」が担当とのことで、すっきりとした口当たりが好ましい。
 常温は三重の「天遊琳 かすみ酒」で、白ワインを思わせるフルーティーさもある軽快な飲み口で、食中酒として相応しい。
 燗酒は「悦凱陣 純米酒 阿州山田錦」で、しっかりした味わいが鴨や天ぷらに良く合った。

 蕎麦は2種出され、今回は「黒松内の奈川在来」(多少うろ覚え…)と「益子の常陸秋そば」。
 いずれも十割だが、微粉を丁寧に繋いだ中太に揃った蕎麦で、食感も喉越しも良好。
 先にそれぞれを少量手繰ると、香りと味がストレートに伝わって来る。
 つゆはきりっとした辛めだが、出汁と'かえし'のバランスが取れた仕上がり。
 それぞれの良さを楽しむため、私が時々やる手法だが、蕎麦をそのまま啜ってからつゆを少量口に含むスタイルで食べ進めた。

 薬味は上質の山葵と葱が添えられているが、無くても良いような気がする。
 蕎麦湯は別仕立てで、しかもかなりの粘度が添加されている。
 私の主義と異なる苦手なタイプだがそれなりのポリシィは感じられ、偶にはこういったものも良いかなと納得。


 実に満足度の高いひと時を過ごせた。
 個々の料理には、確かな技術力に裏打ちされた繊細な仕事が認められ、センスの良さも光る。
 これに合わせる酒の品揃えや知識にも、目を見張らされる。
 もちろん蕎麦の出来もハイレベル。

 お勘定は酒を加えても8,500円と、極めてリーズナブル。
 女将さんのゆかしい応対ぶりも好印象。
 穏やかな気分で寛げる、居心地の良さが醸し出されている。
 

 気さくなご主人とは、色々と言葉を交わすことも出来た。
 蕎麦の修業先は築地の「成富」だが、和食料理人としての経験も豊富とのこと。
 私が見知っている多くの蕎麦屋を食べ歩き、日ごろの研鑽にも怠りないようだ。

 先日の自由が丘の「」もそうだったが、料理の充実した蕎麦屋の誕生は嬉しい限り。
 季節ごとに繰り出される料理の数々や、その都度変わるであろう蕎麦の仕上がりは大いに楽しみ。
 私にとって大事な一軒となることは確実である。

  • そばと酒 えもり - 「蕎麦豆腐の新生姜と生海苔あんかけ」

    「蕎麦豆腐の新生姜と生海苔あんかけ」

  • そばと酒 えもり - 揚げた蕎麦豆腐とあんかけの食感が好ましい

    揚げた蕎麦豆腐とあんかけの食感が好ましい

  • そばと酒 えもり - プレミアムモルツ

    プレミアムモルツ

  • そばと酒 えもり - 「秘伝豆のお浸し」

    「秘伝豆のお浸し」

  • そばと酒 えもり - 蕎麦の実入りのジュレが面白い

    蕎麦の実入りのジュレが面白い

  • そばと酒 えもり - 「穴子煮こごり」

    「穴子煮こごり」

  • そばと酒 えもり - ほど良い寄せ加減

    ほど良い寄せ加減

  • そばと酒 えもり - 「雲丹のつくだ煮」

    「雲丹のつくだ煮」

  • そばと酒 えもり - 濃い目の味付けながら雲丹の旨味は凝縮

    濃い目の味付けながら雲丹の旨味は凝縮

  • そばと酒 えもり - 「山川光男」を冷酒で

    「山川光男」を冷酒で

  • そばと酒 えもり - 「蕎麦がき」

    「蕎麦がき」

  • そばと酒 えもり - 香りと歯触りが見事

    香りと歯触りが見事

  • そばと酒 えもり - 煮物はこのような蓋物で

    煮物はこのような蓋物で

  • そばと酒 えもり - 「春キャベツの真丈」

    「春キャベツの真丈」

  • そばと酒 えもり - 優しい味と食感

    優しい味と食感

  • そばと酒 えもり - 「天遊琳」を常温で

    「天遊琳」を常温で

  • そばと酒 えもり - お冷

    お冷

  • そばと酒 えもり - 「鴨ロースト」

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  • そばと酒 えもり - 旨味は十分

    旨味は十分

  • そばと酒 えもり - 「春野菜天ぷら」

    「春野菜天ぷら」

  • そばと酒 えもり - 蕗の薹

    蕗の薹

  • そばと酒 えもり - つぼみ菜

    つぼみ菜

  • そばと酒 えもり - 新玉ねぎ

    新玉ねぎ

  • そばと酒 えもり - 竹の子に蕗味噌を添えて

    竹の子に蕗味噌を添えて

  • そばと酒 えもり - 「悦凱陣」を燗で

    「悦凱陣」を燗で

  • そばと酒 えもり - 錫の「ちろり」から

    錫の「ちろり」から

  • そばと酒 えもり - つゆ・薬味

    つゆ・薬味

  • そばと酒 えもり - 「十割蕎麦 2種」

    「十割蕎麦 2種」

  • そばと酒 えもり - 奈川在来

    奈川在来

  • そばと酒 えもり - 常陸秋そば

    常陸秋そば

  • そばと酒 えもり - 蕎麦湯にはかなりの粘度が添加

    蕎麦湯にはかなりの粘度が添加

  • そばと酒 えもり - 主人挨拶

    主人挨拶

  • そばと酒 えもり - コース

    コース

  • そばと酒 えもり - 一品料理

    一品料理

  • そばと酒 えもり - ビールなど

    ビールなど

  • そばと酒 えもり - 酒

  • そばと酒 えもり - 表の掲示

    表の掲示

  • そばと酒 えもり - 清楚な外観

    清楚な外観

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店舗基本情報

店名
そばと酒 えもり
ジャンル そば、日本酒バー
予約・
お問い合わせ

03-3469-7422

予約可否

予約可

夜のみ予約可

住所

東京都渋谷区元代々木町10-10

交通手段

小田急線「代々木上原」「代々木八幡」どちらからも徒歩5分

代々木八幡駅から403m

営業時間
  • ■ 営業時間
    11:35~ 
    18:00~(予約制のコース)
    ※まん延防止等重点措置の適用に伴い、
    夜のコース営業は21:00閉店となります。
    ■定休日
    水曜日

営業時間・定休日は変更となる場合がございますので、ご来店前に店舗にご確認ください。

予算

¥6,000~¥7,999

¥1,000~¥1,999

予算(口コミ集計)
¥8,000~¥9,999 ¥1,000~¥1,999

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支払い方法

カード不可

電子マネー不可

QRコード決済不可

席・設備

席数

16席

(最大カウンター8席、4人テーブルx2、20年4月以降間引き営業(ひと晩3組限定))

個室

貸切

不可

禁煙・喫煙

全席禁煙

駐車場

空間・設備

落ち着いた空間、カウンター席あり

メニュー

ドリンク

日本酒あり、日本酒にこだわる

特徴・関連情報

利用シーン

デート 一人で入りやすい

こんな時によく使われます。

公式アカウント
オープン日

2018年10月29日

初投稿者

五井コエチア五井コエチア(739)

最近の編集者

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