美味しいが惜しい : ペルラヴィータ 十号坂

食べログ界の大物と辛口のレビュアーのお二人が誉めている此方に、愚息2人を伴い行ってみた。
家人は別の会食で、私もこのところ疲れ気味なので、どうも料理をする気がしない。然るに外食することにした。
次男がパスタが食べたいというので、兼ねてからマークしていた此方で男3人のPranzo Italianoの開催となった。

場所は笹塚の北口。甲州街道を渡り、商店街を3分程歩くと右側にある。
立て黒板の上に小さなイタリアの国旗があるのが目印だが、分かりにくいかもしれない。長男は通り過ぎてしまったとの事。
間口の狭い入り口から店内に入ると、そこはレストランではなく、食材と持ち帰り料理のお店の様相。

店に着くと、既に愚息達は席に着いて、黒ビールや白ワインを飲んでいた。
少し遅れるから何か飲みながら待っていて、と連絡しておいたのだ。
私もスプマンテを頼み、3人で料理の選択に入る。初めてなので、お店の女性スタッフの助けを借りながら決める。

前菜盛り合わせは、イタリアの家庭料理であるライスコロッケを入れてもらう。その他はお任せした。
イタリアから輸入しているというフォカチャも注文する。パスタは今日の料理と店の一押しから選び、メインは今日の肉料理にした。
と言ってもメインは本日の魚か肉しかない。この少なさでは少々寂しい感は否めない。

フォカッチャx2
前菜盛り合わせ
豚、鴨、フォアグラのテリーヌ
烏賊のライスコロッケ
生ハム
白隠元と生ハム
ドライトマトのペーストとトースト
羊と玉ねぎのトマト煮

イイダコトマト煮のスパゲッティ
ペラルヴィータ オリジナル ピスタチオのブガッティーニ
雛鳥のカチャトーラ 1羽
ティラミス

黒ビールx1
白グラスワインx1
スプマンテx1
Taurasi Radici 2008 x1

烏賊のライスコロッケは指名し前菜に3個入れて貰った。
ライスコロッケはイタリアの家庭料理、とローマ人の知人に教わった覚えがあるが、まさにその感満載。
洗練された料理ではないが、ホッとする美味しさとでも言おうか。
中に入っているリゾットは、予想に反してトマトが使われていない。
が、烏賊の風味と旨味が存分に感じられ、3人で思わず「旨い」と唱和。

羊と玉ねぎのトマト煮込みも旨い。
玉ねぎの他、人参、セロリの香味野菜も入っているそうだが、香味野菜、トマト、羊の旨味が全て出ている。
残ったソースはフォカッチャですくい、ワインと共にいただく。器の中はきれいになった。
そうそう、このイタリアから取り寄せているフォカッチャは美味しいが少々塩分が強い。それ故本場ものと感じるのだが...

豚、鴨、フォアグラのテリーヌはリンゴジャムが載せてある。これがテリーヌとよく合う。
フォアグラと甘いものは合うという法則通りである。甘さに加え林檎の酸味が少し変化を与えていて新鮮だ。
食べる前は、フォアグラがしつこいかなと思ったが、これは杞憂だった。
逆に脂の旨さがこのテリーヌのポイントになっている。これも美味。また、また、ワインがすすむ。

パスタの1つ目はイイダコのトマト煮込み。
パスタ無しの今日のお料理として黒板に書かれていたが、パスタにもできますとも書かれていたので、我々はパスタで注文。
これはヒットだった。蛸はオリーブを入れたトマト煮込みなどでお目にかかるが、この一品も予想に違わず旨い。
イイダコとトマトは水魚の交わりの様。蛸の旨味がトマトソースに溶け出している。
パスタはスパゲッティニで、茹で方は完璧。旨いソースが絡んだパスタを食べると思わず頰が緩む。
3人であっという間にパスタを食べ終わる。旨いソースが残っているので、これを残す手はない。
そう、フォカチャを追加。パンをソースに浸し、幸せに浸る。

もう1つのビスタはピスタチオのパスタ。この店の一押し、自信作だそうだ。
ピスタチオはカロリーが高いので、敬遠しようとしたのだか、長男がお店の勧めにのり、「これがいい」と言うので若者優先で注文。
パスタはブガッティーニ 。ピスタチオはペースト状になっており、トマトで少しのばしてあるとのこと。
食べてみると当にピッタリの粘度。確かにピスタチオだけだと少々しつこ過ぎるだろう。
ピスタチオの風味も十分に感じられ、且つ青くささが抑制されていて、いい塩梅の出来上がりだ。
ピスタチオのオイルと濃い旨味が、太めのブガッティーニに纏わりつく、コクがパスタを包み込む。
濃厚な旨さが味わえる一品。自慢するだけの事はある。

メインは雛鳥のカチャトーラ。イタリア料理の鉄板とも言うべき料理。
トスカーナ料理らしいが、イタリア全国で食べられているのではないか。
鶏肉か兎が一般的で、本日は雛鳥。ハーフもあるが雛鳥で小さいだろうから、我々はホールにした。
カチャトーラは猟師風という意味だが、野趣満点というより、雛鳥の淡白さが品の良い感じを与える。
淡白さをトマトソースの旨味が補っている。このソースもフォカッチャでクリーンアップ。

愚息達はティラミスを注文。二人共甘いものは好きだ。
味見させてもらったが、これは普通の出来。

此方は評価が難しいと思う。料理は悪くないのだが、店内の居心地は正直良くない。
料理のクオリティと値段を考えると、リーズナブルと言えるが、この雰囲気でイタリアンを食べるのはどうだろうか。
私も、近隣ならば来ると思うが、態々ここの料理を食べに来るかとなると、少々疑問なところだ。
食材の販売をやめ、小さくても良いから、幡ヶ谷のサンフォコンの様にしたら、通うと思うのだが。