ゆったりして落ち着けるカフェ。ケーキのレベルもとても高いと思います！ : 欧風菓子エノモト

食べログも13年目を迎えると、色んな遍歴がありますが、ランチを重視していることは終始一貫しています。
しかしながら、カフェについては、一時期はランチの後のコーヒータイムということでレビューが定着化していたこともありました。
食べログまとめでも、以下の2つのまとめを作っています。
①　禁煙で美味しいコーヒー&スイーツが楽しめ、居心地の良いカフェ（都内編）厳選25店
②　禁煙で美味しいコーヒー&スイーツが楽しめ、居心地の良いカフェ（神奈川県東部編）厳選12店

そんなカフェ巡りの日々の中でも、特にランチの主戦場となっている秋葉原・神田・水道橋エリアでは、件数稼ぎに毒されていた時期もあって、ドトールやスタバなどもレビューしてきたのですが、2年ほど前からはその行動を改めることになりました。
いわずもがなのことですが、全国チェーン店の場合は、全国どこに行ってもほぼ同じサービスが提供されますので、店舗ごとに登録されている食べログレビューには馴染まないと考えるからです。
もっとも、チェーンと言っても飲食店には違いないので、食べログから全面排除せよとは言いませんが、かねてから全国的に展開しているチェーンについては、店舗登録はそのブランド一本にしてそこに各店のレビューをぶら下げるべきと主張していることもあり、それが叶えられるまでは当面原則としてレビューを見合わせることにしています。

同時に休日の食べログ活動をランチ＋ベーカリーを基本とすることにしたのもほぼ時を同じくしてしいますね。

そんな中、昔取った杵柄ではありませんが、その日の状況によってカフェ休憩をしたい気持ちが高い時や時間的に余裕がある時、そして、チェーン店でない良さげなカフェが近隣にある時は、例外的にレビューを続けていますが、祝日のこの日は、競馬も無く時間の余裕があったので、池上を訪れたついでに池上駅前にあって嫌でも目立つ当店にチャレンジしてみることにしました。

当店の嚆矢は、蒲田駅の西口駅前で戦前から営業していた「三河屋ベーカリー」というパン屋さんだったそうです。
創業者は三河＝愛知県の出身だったためそう名乗ったようですが、実は、私の家もルーツを辿っていくと、「三河屋」という屋号の和菓子商だったそうなので、縁がありますよね。
蒲田の三河屋ベーカリーは、終戦後区画整理が行われたことで、立ち退きを迫られ、それで池上に移ってきたようです。
池上でも当初はベーカリーからスタートしたのですが、高度成長期の時代の風を受ける形で洋菓子部門、喫茶部門と手を広げていきます。
1960年（昭和35年）に2代目が洋菓子と喫茶部門（パーラー）を始め、1988年（昭和63年）にはパン部門を取りやめて洋菓子専業となります。
以上の内容については、当店のHPにHISTORYとして詳細が記載されていますので、ご興味のある方はご覧いただければと思います。☞欧風菓子エノモトHISTORY

この日は、池上での食べログ活動となり、まずランチを池上本門寺門前にある蕎麦屋「十割そば 古賀 池上本門寺前店」でとりました。
その後のベーカリー巡りでは、ちょっと足を伸ばして、大田区中央8丁目にある「小麦工房 アリス」で翌日の朝食用パンを調達しました。

そして12時15分過ぎくらいに池上駅まで戻ってきて、当店に立ち寄りました。

店内は、入った正面に冷蔵ショーケースがあって、ケーキがズラッと並んでいます。
その左方向から奥にかけてが喫茶コーナーになっており、手前のスペースに4人テーブルが8卓、奥のスペースに6人テーブル1卓と4人用テーブルが3卓あります。
計50席のキャパで、店舗情報では70席とされていますが、かなり大胆に間引いてゆったりしたスペースを確保しています。

席に着くとスタッフがメニューを持って来てくれました。
お店はオーナーらしき男性（3代目と思われる。）がケーキの販売コーナーにおり、厨房にはパティシエらしき男女が数名いて、さらに接客担当等の女性スタッフが2～3名おり、なかなか活気のある陣容です。

メニューはドリンクメニューの他、ケーキセット、軽食がラインナップしており、ケーキセットのケーキは店頭ショーケースから選びます。
ケーキセットを注文することにし、店頭ショーケースを眺めて3月限定とされているピスタチオとカシスのムースに決めました。
席に戻って、ケーキセット＠1,050円をドリンク＝ホットコーヒーで注文しました。

提供は素早く、待つこと2分かからずにケーキとホットコーヒーが同時に運ばれてきました。
ピスタチオとカシスのムースは、ピスタチオムースの中にカシスジュレとチョコムースが入っており、下に敷いたお米のパフとナッツのクランチがアクセントになっています。
結構甘めのケーキですが、ピスタチオの香りがしっかり漂い、素材の味の組み合わせが実に上手なケーキです。
老舗ケーキ店ですし、町のケーキ屋さんに毛が生えたくらいかなと高をくくっていた面があったのですが、なかなかどうしてとてもレベルの高いケーキでした。
歴史に安住するのではなく、しっかり時代の流れを捉えているのは、オーナーの進取の気質があってこそだと思われます。
ケーキ単品のお値段が＠560円ですので、美味しくなければ嘘と言われそうですが、お値段なりのクオリティは十分に感じられました。
コーヒーは、サッと提供されたことからもマシーン淹れのコーヒーだと思われますが、最近のマシーン淹れはレベルが高いですよね。
さすがに上質なコーヒーというわけにはいきませんが、クレマがしっかりあって美味しいケーキの味を損なうことのないレベルはキープ出来ていたと思います。

池上駅周辺は、本門寺の参拝客向けのくずもちなどの和菓子店（浅野屋本店、大國屋、元祖久寿餅 池上池田屋など）が目立ちますが、そんな中にあって当店の存在も池上の象徴の一つだと思います。
時代の流れにしなやかに対応している老舗店の好事例と思われ、これからも息長く頑張ってもらいたいですね。