出汁が素晴らしい日本蕎麦 : 志波田

出先でふと美味い蕎麦が食べたいと思い食べログ検索したところ、以前訪問した「志波田」さんがヒット。

大岡山駅から東京工業大学と反対側の路地を進んだところにある、お店の雰囲気の良さと、高級スナックを彷彿させるマダムのような女将さんが印象的なお店。そんな記憶。あれから幾年か経ち、しかも前回はディナー、今回はランチだ。はてさて・・などと考えているうちに、大岡山駅の改札からあっという間に店頭へ。あれ、こんなに近かったっけ。ふつうに歩いてほんの3分ほどだ。

店頭にはベビーチェアの取り付けられたママチャリが並び、地元のママさんたちが殺到していることをうかがい知ることができる。これは混んでいるかなと、恐る恐る入店。

店内に入ると意外にもママさんの姿はあまり見えず。そういえばこのお店は2階にテーブルがあると前回聞いた記憶が、と思い出しながら店内を見渡す。

いた！！！と思わず良い意味でテンションが上がる。女将は昼も女将のままだった。

丁寧だけど、良い意味で一線を引いた接客。常連さんには親しみを込めて近づくが、一般のお客さんにはそこをしっかりとしているプロ感が良い安心感を与える。

和風ながら蕎麦屋とは少し違う素敵な内装。BGMのセンス。くつろげるのだが、少しピンと張った空気感。良い店に共通に流れる世界観を体験できる。

今回は鴨なんばんそば（1,200円税込）をオーダー。お茶と紙おしぼりをいただき、しばしくつろぐ。

ランチのピークながら10分も経たずに蕎麦が提供される。見れば手作り感のある鉢にたっぷりのおつゆ、そして品良く盛り付けられた鴨肉とネギが美味しそうだ。濁りは一切ないが、表面にふわっと浮かんだ油がいい仕事をしている雰囲気が目に見える。

おつゆは関東らしい醤油ベースだが、じんわりと甘みを感じさせるタイプで少し西のテイストも感じる万国共通型。旨味もしっかりしていて、昆布や節、おそらくは椎茸などをしっかり効かせた味わい。そこに鴨肉とネギを入れて煮立たせたときの旨味が加わった、深みのある味わいが楽しめる。

蕎麦は冷のほうが香りを大切にして仕上げた様子のもの。温でも美味しいが、少し蕎麦の良さが消されているのかもしれないと素人ながらに考えながらいただく。

鴨肉は味が染みていて満足できるものだが、鴨の臭みがほんの少し強く出すぎている印象。下処理にもう一工夫あると抜群に美味しくなりそう。ネギはくたっとなるまで煮込まれ、甘みがしっかりと引き出されて美味だ。

このおつゆは甘みがあるので、半分ほど食べてから卓上の唐辛子を入れると味わいが引き立つ。辛さよりも風味重視の唐辛子で、味を引き締める効果は抜群。

あっという間にお汁も含めて全部いただけてしまう、全体としては満足できる一杯だった。そして集中してお蕎麦をいただける店内の雰囲気がまた素晴らしい。

欲をいえば、温かいお蕎麦のお客にはお水も出すなどの一工夫はあっても良いかと感じたが、それは欲張りすぎというもの。

お会計は現金だけではなくnanacoや交通系ICもOKという充実ぶり。いやはや大したものです。

満足してお店を後にしました。山手線内から足を運ぶほどではないが途中下車する価値はある。そんな近所に一軒ほしくなるお蕎麦屋さん。また途中下車で立ち寄りたくなりました。

「天ざるが食べたい」

無性に天ざるが食べたくなり、以前から気になっていたこちらの「志波田」さんへ。

店内は満席近く、空いていたカウンターの外れに通される。夜ということもあり飲んでいるお客さんも多く、メニューを見るとお蕎麦屋さんらしい一品が充実している。

日本酒を少し頂いた後、本命の天ざるをオーダー。

天ぷらは大きな海老、さつまいも、パプリカ、ししとう、舞茸、茄子など、季節の野菜を盛り込んでくれている。

まずは蕎麦をひと啜り。蕎麦粉の風味をしっかり楽しむことのできる、かなり細めのお蕎麦。きちっと氷水で締めてあり、しっかりとした食感が良い。

蕎麦つゆはまろやかな味わい。少しとろっとしたような口あたりの良さはなかなか。

天ぷらは揚げたてで美味しい。海老はかなりの大きさで、身もしっかりしていて嬉しい。さつまいもの天ぷらもホクホクとした甘みが最高。

マダムともいうべき女性の店主も、常連さんと楽しげに話していて店全体の雰囲気も良好。ただ、あまりに話し込んでいるので、オーダー時などに声を掛けづらいのはご愛嬌か。

20時くらいで退店したのだが、そのときも地元のお客さんを中心に次々とお客さんが入ってきており、かなりの人気ぶりがうかがえるお店。次回はもっとしっかり飲めるときに来たいものです。