腸詰と鯛カマと"はんぺん"に桂月人肌を : 大衆割烹 藤八

昭和52年創業っていうと同級生だからして、今年47を迎えるって訳か。中目のこの地でそれだけ愛されるんだから立派だし、そりゃあ、それだけの魅力があるってもんで。

名物は自家製"腸詰"、"馬すじ肉の煮込み"はたまた"肉じゃがコロッケ"、サービス品の"鯛のカマ焼き"外せないのは自家製"はんぺん"

今日は"ゆぶし"はあるだろうか。刺身は中トロ、限定のバチの大トロ、こいつも良い。〆にはどうしても"のりうどん"をいってしまう。


新しいビルなのに2階に上がったら忽ち昭和で、靴脱いで座敷に上がって"あー疲れた"ただいまーってな感じで。

掘り炬燵式のカウンターの隅っこが空いていたら最高や。ここに挟まって、ぐるり短冊を見回して、酔客の他愛無い会話をアテに呑む。

店員の愛想もええし、酒は安いし、良い品揃えやし。

・瀧嵐ﾀｷｱﾗｼ清酒（高知酒造）大辛本醸造か金撰か。
奇跡の清流仁淀川、丹生神社が近い。雨師明神でありミズハノメを祀る。水の神であり、神の水であろう。清らかな淡麗辛口の極みとされる。さらさらとして後味にキリリ苦味と辛味あり。

・桂川ｹｲｹﾞﾂ清酒（土佐酒造）本醸造か銀杯か。
吉野川の早明浦ダム、28番の大日寺から土讃線を大杉まで行くのだ。大町桂月の詩集があれば更に良い。土佐酒にしては甘みがあり旨く柔らか、サラッとして喉越しよく呑み飽きない。まろい土佐酒である。

・高清水清酒（秋田酒類酒造）
秀麗無比の酒。秋田米と奥羽の清水。上品でなめらか、ふくよかで心地よい。

・宮の雪（宮崎本店）伊勢志摩サミットで一躍注目を浴びた三重の名蔵。四日市の30以上の蔵の歴史を一挙に請負い世界へ直走る。

5月26日（木） カクテルパーティでは、スパークリング は勝沼酒造"アルガ・ブランカ・ブリリアンテ"
日本酒は"作 穂乃智 純米酒 "そして"宮の雪純米"であった！！乙である。激しくオツである。

・大鳳（沢の鶴）金紋ってやつかな。これは上燗、熱燗にしてもらおうか。

良いレパートリーである。イケてるなあ。そりゃ酒場好きが集まる訳だよ。

相方に"日本酒"と"清酒"の違いを聞かれた。ドキリとさせられる。分かっている様でなかなか説明が難しい。法律や基準により、指し示すところが違うからなのだ。

①辞書的には、日本酒とは"日本古来の酒であり清酒、合成酒、みりん等"であり、清酒は"水と米を原料にした、濁っていない酒"である。つまり日本酒が大きな概念であり、清酒やみりんなどを含む酒の総称である。

②しかし2015年、国税庁はGI（地理的表示）における日本酒の定義を発表した。国際的な知的財産権であり、日本酒の海外展開を見据え、ブランド価値を保持する為である。

日本酒以外に、壱岐、球磨、琉球、薩摩、白山、山梨、山形、北海道、灘五郎、はりま、三重、和歌山梅酒、利根沼田、萩、佐賀、大阪、長野、新潟、滋賀が、EUと保護協定が結ばれているGIである。

清酒とは"必ず米を使い、“こす”工程がある酒"であり、日本酒とは"原材米に国内産米のみを使い、かつ、日本国内で製造された清酒"である。

つまり、外国産米を使ったものや、海外で造られたものは、「日本酒」ではない。これを排除したいが為の設定である。こちらは清酒を大きな概念とし、中でも日本酒とは、という考え方である。

③では2024年現在、①②どちらの説明が正しいか、歴史的仮名遣いの様な①はやや曖昧であり、日本版GI誕生から来年10年を迎え、酒税法の定義である②の方がホットでありプロっぽい。①をやんわり踏まえた上で、これからは②の立場で良いのだろう。

しかし、酒場での解釈もまた別で趣深いが、なかなか複雑である。恐らくこちらの酒場では、純米酒と清酒という表記の違いから、純米か否か、つまり醸造アルコールを含む"醸造酒"を"清酒"としているのだろう。

また歴史的な級別制度に反発し、敢えて無鑑査の"二級酒"が粋だし、これこそ蔵の矜持を示す酒だとか云々、これを"清酒"として嗜む酒場などもあるからして、外国人や、これから酒に触れる人を困惑させているのである。

少し脱線したが、この酒場は良い。ワインも日本酒もウイスキーも知識があれば、さらに尊く、忽ち有り難く、そして美味くなる。蘊蓄ｳﾝﾁｸは上手に使えば垂涎ものの酒のアテである。

さあ清酒をぬる燗で貰おうか。純米を冷でいくか、それが問題だ。

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喰って呑むだけが取り柄で、それが生き甲斐の"うざいオヤジ"の食べ歩きの記録です。ルポというより、自身の記録、纏め、自己満足です。お店には其々に強い想いやストーリーがある。それが愛おしくて、敬い愉しませて頂いております。主観的で誤りや失礼な事もあるかもしれません。冗長で無駄だらけ、お見苦しく申し訳ありません。

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