家系ラーメンにきら流の解釈を加えた"魚介豚骨ラーメン"爆誕！ : 麺屋 きら

2019年の"ラーメン食べ納め"は地元葛西にある『麺屋 きら』さんへ。

お目当ては「きら流 魚介豚骨ラーメン 濱(はま)」(900円)。

11月にお披露目された田中シェフ渾身の新メニューで金土日の曜日限定&1日10食限定の激レアメニューとなっています。

発売後すぐにでも食べにいきたかったのですがなかなか食べに行けず、今回年末に念願叶って「ラーメン食べ納め(ラー食納め)」として食べることができました。

鶏出汁を主体とする『麺屋 きら』のラーメンにおいて、豚骨を主体としたラーメンはまさに新機軸。

田中シェフは過去に家系での経験もあるそうで、ある意味今回の魚介豚骨ラーメンは原点回帰とも言えるのかもしれません。

注文時に毎回お得なサービスが受けられる【麺屋きらゴールドカード】で「特製トッピング(チャーシュー・味玉・海苔)」をつけていただくことにしました。
(デフォルトのトッピングはチャーシュー、メンマ、海苔、刻み玉ねぎ、青ネギ)

また麺は細麺と太麺を選択できるようなので今回は太麺でオーダーを。

ほどなくしては「濱(はま)」が着丼。

しっかりと乳化し薄茶に色付いた豚骨醤油スープのビジュアルはまさに家系ラーメンのそれ。
しかし家系の見た目とは裏腹にライトなテイストにチューニングされています。

豚骨由来の深いコクとまろやかな旨味を湛えつつ、そこへ風味豊かな煮干しの旨味を溶かし込んだ、家系に『麺屋きら』流の解釈を加えたスープに仕上げられています。

「なるほど…こうなるのか…」

心の中でそう呟きつつ、その美味しさにニヤリとさせられます。

サラリとした口あたりとスッキリとした飲み口、そして豚骨特有の匂いや脂も抑えているので女性やお年を召した方にもオススメできそうです。

「豚骨魚介ラーメン」や「豚骨醤油ラーメン」ではなく、敢えて「魚介豚骨ラーメン」と謳っているあたりに田中シェフのこだわりがうかがえます。

また一方で「濱」という名前をつけていることから横浜発祥の家系ラーメンに対する田中シェフのリスペクトが感じられました。

気付けば麺、スープ共にペロリと完食。

豚骨系スープはともすると食べ終わった後にズッシリとした重たさを感じることがありますが、この「濱」に関してはそれは皆無。
穏やかに豚骨と魚介の旨味の余韻が残ります。

ただ惜しむらくは仕込みの関係で提供できる曜日&杯数が限定されているということでしょうか。

家系インスパイアや"またおま系"豚骨魚介ラーメンが乱立し飽和状態にある昨今、独自の解釈による味作りでオリジナリティのある豚骨魚介スープの美味しさを打ち出してくる田中シェフ、さすがのひと言です。

私自身が美味しいと感じるラーメンは多々ありますが、その中で毎日でも食べられる飽きのこないラーメンとなると、そう多くはありません。

私にとって数少ない毎日でも食べられる、食べたいと思うラーメンを提供するお店が地元葛西にはあります。

それが『麺屋 きら』。
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地元ということを除いても、私が今まで訪問したラーメン店の中で1番多くリピートしているラーメン店でもあります。

葛西駅から少し離れた裏通りにある隠れ家的なお店で、ご主人は中華料理、中でも四川料理を得意としている人物。

そんなご主人、昼は創作ラーメン店『麺屋きら』、夜は創作中華ダイニング『KI-RA』という2つの顔を持ったユニークな二毛作的営業スタイルをとっています。

今回昼の『麺屋 きら』で私が注文したのは「正油ラーメン 漆(700円)」。
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ラーメンが着丼し、まず目を奪われるのは"漆"という名前の通り、漆塗りのような艷やかな濃い琥珀色をした美しいスープ。

そんなスープは動物系スープと魚介系スープを合わせ無化調で仕上げたいわゆるひとつのダブルスープ。
動物系スープは大山鶏の身付ガラと豚のゲンコツ、各種香味野菜を長時間炊き、半日熟成させたもの。
一方魚介系スープは宗田節や潤目鰯、鯖節などからとったもの。
それらが絶妙な比率でブレンドされていて、動物系の凝縮された力強いコクを下支えに魚介系の旨味と香味が感られる超芳醇スープとなっています。

そこへ隠し味的に多めの粗挽き黒胡椒とニンニクでパンチをきかせているのがポイントです。

無化調ゆえにひと口目からインパクトのある旨味は伝わりませんが、後半に向かって尻上がりに素材の重層的な旨味が知覚されていきます。
この旨味の伝達が穏やかであることが、食べ飽きない理由のひとつだと思います。

そんなスープに合わせているのは縮れのある特注平打ち麺。
ご主人が試食を繰り返してようやく辿り着いたというだけあって麺のマッチングは言わずもがな。
もっちりと弾力があり、スープをしっかり持ち上げながらピロピロと踊るような啜り心地が楽しめます。

トッピングされている具は豚バラロールチャーシュー、メンマ、三つ葉、海苔、ナルト、挽き肉といった構成。
中でも特筆すべきは中華をバックボーンとしたシェフの作る絶品チャーシュー。
タレが馴染んだ肉とトロッとした豚バラ肉の脂が織り成す二重奏が旨過ぎる一品です。

なお「漆」にはデフォルトで多めの粗挽き黒胡椒が入っていますが、備え付けのミルに入った自家製燻製黒胡椒や和歌山県産ぶどう山椒などを加えてよりスパイシーな味わいにカスタマイズするのもオススメです。

ちなみにこちらのチャーシューを使用した「チャーシュー丼」は私イチ推しのサイドメニューです。
今回は毎回特典が受けられるお店の"ゴールドカード"で「ミニチャーシュー丼」を注文。
ネギと細切れにしたチャーシューをご飯にのせ、自家製ラー油ダレで仕上げたもの。
シンプルながらもチャーシューの旨味と香り高い自家製ラー油ダレが食欲を掻き立て箸を止まらなくさせる魅惑の一品です。

味にブレなく、どのラーメンを注文しても毎回安定した美味しさと体に優しい味わいのラーメンを提供してくれるご主人。
ひとつひとつのラーメンや料理が丁寧に作り込まれていて、中華の料理人でもありラーメン職人でもあるその技とセンスで食べ手の舌と心をガッチリ掴んで離しません。

すでに完成された中華料理の技を持つご主人ですが、新メニューの研究開発にも意欲的。
ご自身がラーメン好きということもあり、話題のラーメン店の食べ歩きを通して味を勉強し、それを新メニュー開発の参考にしているようです。

実際近日中に『きら』初となる"豚骨魚介系ラーメン"のリリースも予定されているそう。
果たしてどんなきら流の豚骨魚介系ラーメンを提供してくれるのか、『きら』のラーメンを愛して止まない私としては楽しみで仕方のない今日この頃です(๑´ڡ`๑)