混雑を避け、隅田川から観る桜とスカイツリー : 深川 冨士見

東京メトロ東西線門前仲町駅から徒歩１０分程度のところにある船宿です。

都内に屋形船のお店はいくつかあり、浅草橋駅近く、神田川が隅田川と合流するあたりが一大基地となっています。他には便利なところでは、浜松町駅近く金杉橋あたりがありますね。
この船宿のある深川・月島エリアは、こちら以外に２軒ほどがあります。
この場所こそ、屋形船としてはあまり有名ではないですが、こちらの船宿は都内でも有名で、大型船を有しています。そのため、はとバスとも提携していますね。

３月末の週末、ちょうど東京で桜が満開なので、隅田川の桜を屋形船から眺めようと予約しました。
こちらの船宿を選んだ理由は、船が大きいからです。小さな船だと揺れますし、男性用トイレが屋外だったり（さすがに見えないようについたてはあります）します。
こちらの船は、大きく、船内も座敷なだけでなく、掘りごたつ式になっており、座りやすいですね。また、屋根の上のほとんどが展望デッキになります。これも小さな船だと屋根の半分だけだったり、そもそも、上れなかったりするので、屋形船を楽しむときには重要なポイントですね。
こちらの船は１２０名収容できる『第三十五冨士見北斎』は国内最大級の屋形船とのこと。トイレも船内に４基ありました。

いただいたのは、
■乗合プラン（１０，０００円＋税）
個人でも乗合でやってくれるのはありがたいですね。
通常は東京湾に出て夜景を鑑賞するコースですが、桜が満開なので隅田川を遡上する特別なルートになるとのこと。
船に乗る際は、袋をいただきこれに靴を入れます。席は、人数に応じて決まっています。船宿の方に案内されて座るときには荷物は座敷には置かず、掘りごたつ内に入れるように言われます。
常連で要領を得ている人もいるようで、ワインを持ち込みで来ている人もいました。
はとバスツアーのお客さんが乗船すると出発しますが、はとバスのバスガイドも乗船し、景色等の説明はガイドさんが担当します。
一般のお客さんは２割程度、残りははとバスツアーです。
料理は、刺身・枝豆・オードブルが既に盛られており、その後、揚げたての天ぷらが提供されます。
・刺身
１人前はマグロ２切れ、カンパチ、サーモン、イカですね。
カンパチが入るあたりは、ちょっとだけ高級感があり、マグロもスジが無い赤身を使っているあたりは好印象ですが、居酒屋チェーンよりもちょっと上ぐらいのレベルです。
早く食べないと天ぷらが提供される（予定したスケジュールが狂う）ので、早く食べるように船宿の方やガイドさんから促されます。
・枝豆
とりあえず、冷凍ものではないか、冷凍でも良質なものを使っており、しっかりとした歯ごたえがあります。
・オードブル
あさり串、カニ爪、アスパラガス、スモークサーモン、トマトです。
カニ爪がちょっと贅沢ですね。
あさり串は、さすがに江戸の名物なのもあって、身も大きく非常に美味しいですね。
あとは、見た目どおりの味わいです。
・おしんこ
山ごぼう、らっきょう、きゅうりの３品です。
山ごぼうあたりが、寿司屋っぽい感じがしていいですね。
ここまでが、乗船時にテーブルに盛られていた料理です。
・天ぷら
キス、メゴチ、イカ、エビ、アナゴ、野菜３品とのこと。この順で提供されます。
船宿の方が揚げたてをバットに山盛りにして、お客さんのテーブルをまわり、配膳していきます。
大量に作るからか、どれも、ちょっと油切れが悪いですね。
キスは、身の白さや上品な味わいから、江戸時代の将軍は毎朝食べていたとのこと。東京湾でも獲れる魚でまさに屋形船でいただく天ぷらの代名詞でしょう。
メゴチは、知名度は低いものの、キスやハゼと並び、江戸前天ぷらの定番です。同じ白身でもキスよりこちらのほうが旨みがありますね。美味しいです。
天ぷら２品をいただいたことろで、「旬のものを」とたけのこご飯が少しだけ提供されました。
イカは、大きなもので均質なので輸入ものの大型のイカと推察しますが、良いものを使っているようでイカの旨みを感じますね。
エビは、１人前２尾提供されます。丸まっているのはご愛敬です。こちらも江戸前の芝エビというサイズではありません。立派な海老ですね。プリッとしていて美味しいです。
アナゴは、ちょっと小ぶりなもので、臭みなく、塩で食べると美味しいです。
野菜は、さつまいも、しいたけ、ししとうです。
・深川丼（ご飯、お吸物）
深川丼、深川飯というと、現代では炊き込みご飯の印象が強いですが、本来は、青柳を煮た汁をご飯にかけたぶっかけ飯で、大衆的な食べ物でした。時代の流れとともに材料もアサリとなり、東京の名物のようになっています。
こちらのものは、ご飯と汁の構成で、まさにクラシカルなつくりです。しかし、味のほうは実に現代的で、上品な出汁でアサリを炊いており、汁だけでも美味しいですし、身も立派なものです。
・フルーツ３品
メロン、オレンジ、いちごです。
・飲み放題
テーブルには乾杯用の瓶ビールがあります。銘柄はキリンラガーです。他のお酒は客席の端のテーブルに用意されており、セルフサービスでいただきます。
日本酒、ワイン、焼酎、ウイスキーがありますね。ソフトドリンクは、コカ・コーラ、ジンジャーエール、オレンジジュース、ウーロン茶などがありました。
瓶ビール等の瓶の飲み物は、冷蔵庫にあるので空瓶をケースに戻し、冷蔵庫から次の瓶を持ってくるシステムです。

船は隅田川を遡り、浅草を眺め、桜橋付近で停泊します。スカイツリーも見え、隅田川沿いの桜を観るにはいい場所です。屋形船による快適な花見ですが、こちらの船宿を選んだことによる欠点がありました。船が大きすぎて、他の船に比べて岸に近づけることができないようです。そのかわりに展望デッキからはスカイツリーの全景を観ることができますね。
２時間ほどの乗船ですが、食事をすべて食べ、景色も楽しむとなると、なかなか慌ただしいですね。貸し切りだと２時間半が標準なのでこのあたりが乗合の弱点でしょう。
下船する際には、お土産として『生ふりかけ』をいただけます。『錦松梅』のような感じのふりかけです。


なかなか風流で贅沢な娯楽ですが、屋形船は基本的にはどの船宿でも飲み放題が付くので、お酒の飲める人でないと、割高感があるかもしれませんね。
とは言え、桜が満開の時期に舟遊びができるというのは大きな魅力だと思います。