鬼気迫るまでの突き詰めた探求心が味を作る「木香」 : 木香

こんばんは・・・yazawaszu散歩です(^▽^)/・・・（笑）・・・

今日は東小松川の蕎麦屋「木香」にやって来ました・・・
席数の少ない小さな店でです・・・
店頭には【10割蕎麦】の看板と【新蕎麦が入りました】の貼り紙
大きなテーブルと・・・4人掛けのテーブルの・・・2つだけの小さな小さな店・・・
此処では・・・店主（マスターと呼ばれてました）が・・・1人で切り盛りしていらっしゃいます・・・

メニューに書かれているのは蕎麦のみ・・・厨房前の壁に蕎麦前が数点・・・と言った感じです・・・
酒も銘柄は書かれていないので・・・1銘柄の・・・冷酒か・・・お燗になります・・・

本日・・・品定めしながら・・・恐る恐る・・・いったのは・・・
冷酒〇・・・辛み大根蕎麦〇・・・蕎麦団子◎・・・蕗味噌◎・・・生合鴨焼◎・・・
と言ったところでありました・・・

冷酒〇・・・
ブラインドテイストで頂いた・・・冷酒ですが・・・軽く・・・切れが良い・・・フルーティー・・・
吟醸酒なのでしょうか？・・・純米の非常に旨い酒です・・・

焼蕎麦◎・・・
酒のあてに出て来たのが・・・此れ・・・焼ガレットです・・・
表面はサクッとしており・・・中は空洞・・・空気感が良い・・・
そして・・・此れが・・・新蕎麦の香り高い芳香に繋がって来ます・・・
私側にしたら・・・ほんに良い【あて】（笑）・・・最高の御摘みと言えるでしょう・・・
正に・・・甘さを除外した・・・素朴で最上級の・・・ガレット・ブルトンヌでした・・・


蕎麦団子◎・・・
蒸した蕎麦掻です・・・岩塩？（摺り降しの岩塩でしょうか？淡雪の様な肌理です）と蕗味噌が添えて有り（うー・・・蕗味噌・・・被っちゃったあ）
弾力強く・・・新蕎麦の香りも力強いです・・・抜群に旨い・・・塩も蕗味噌も見事に融合します・・・塩気と・・・苦味は子の添え物で足されています・・・

蕗味噌◎・・・
先ほどは・・・蕎麦団子の添え物で出て来てましたが・・・
今度は本隊が押し寄せて来ました（笑）・・・
さっき食べてるのですが・・・改めて説明をしますと・・・
他店や・・・小売りされているものとの大きな違いが・・・蕗の量でした・・・
他の物は蕗を入れた味噌・・・あくまでも味噌が主体で・・・蕗が味を足すと言った物ですが・・・
此方のは味噌を入れた蕗・・・蕗が主体で・・・味噌で和えた野蕗を食べさせる・・・そんな料理の形になってるんですね・・・
当然苦味が強く・・・野趣あふれる味になり・・・口当たりも・・・多少・・・モサッとした感じになりますが・・・味噌の甘味と塩気で・・・とても心地良い食味になっています・・・
店主・・・相当研究なさってるな・・・あっぱれを差し上げます（笑）・・・

生合鴨焼◎・・・
生であろうことは見て取れます・・・脂身の部位は口直しに・・・わざわざ別にしてあります
口に入れた時の肉の弾力は抜群です・・・歯を跳ね返す弾性・・・それでいて噛み切るのに力は要りません・・・
焼加減の見切りが良い・・・此れが旨いという事でしょう（笑）
脂っ気の強いものでは無いですが・・・程よく廻った脂と・・・合鴨肉本来の旨味が味わえます・・・
トマト・長葱の酸味と甘味を添えて・・・バランスがとても良い・・・やっぱり・・・肉は・・・冷凍じゃ無く生が1番ですよねえ（笑）・・・

辛味大根蕎麦〇・・・
勿論・・・新蕎麦10割を使った・・・中太の張りのある・・・田舎蕎麦でした・・・私の嗜好とは別の蕎麦で・・・少々面喰いましたが・・・田舎蕎麦の割に・・・啜り込みやすいです・・・
新そばの芳香も強く・・・挽いたばかりだと言う事も解ります・・・
辛味大根の方は・・・さほど辛くは有りませんでした・・・唯・・・蕎麦自体がほんのり甘く感じます・・・
好みの違う田舎蕎麦とはいえ・・・この蕎麦切りは・・・確かに充分評価に値するものだと思いました・・・

しかし・・・此処の店主・・・どういった出自・経歴を経た人なんだろう？・・・そういった事が頭を過ぎったその時・・・
やっと・・・お客も引けて来て1段落して来たんでしょう・・・
店主が・・・
「まさか・・・変な所に・・・写真載せたりしないでしょうね・・・（笑）」「大丈夫ですよ・・・そんな変な所には載せませんから・・・」
もしかして・・・食べログって・・・店主の指している・・・変な所？かも・・・まあ・・・いいや（笑）

「マスターの出自は・・・どちらなんですか？・・・」「蕎麦打ち教室位ですかねえ・・・」
「いやあ・・・それじゃ・・・このレベルに達するまで・・・実際・・・相当な研究と御苦労なさったでしょう・・・」
「そうですねえ・・・未だに毎日が研究・勉強ですねえ」・・・
「ご自分でこのレベルの認識は有ります？・・・」「いやあ・・・マダマダですよ・・・難しさを痛感しています・・・」・・・
「開店した頃は・・・滅茶苦茶に忙しかったんですよ・・・連日行列まで出来て・・・なので人ってこんなものなのかな？って（笑）・・・
此処へ来て・・・やっと落ち着いて来て・・・味の分かる人の為に・・・これからが・・・真の勝負だと思っています・・・だから・・・より一層研究しなくちゃですよね・・・」
「そうですね・・・私の好きな銘店の大半は・・・元をたどれば・・・出発点は素人か半素人からですから・・・
竹やぶ初代・一茶庵初代・・・皆さん独学ですし・・・翁や蕎遊庵・柿・天庵・法師人・じゆうさん皆さん蕎麦打ち教室みたいな所からなんですから・・・問題はその後でしょうね・・・でも・・・今の段階で・・・既に到達されている感もあり・・・素晴らしいと思いましたよ・・・この蕎麦切・・・」
「そういって頂けると・・・有難う御座います・・・蕎麦粉の良いのが入ったので今日のは自信がありました・・・」
「私は・・・蕎麦を手繰って啜るのが好きなので・・・普段こう言う蕎麦は食べないんですが・・・それでもいい蕎麦なのは充分分かりましたよ・・・」
「そうなんです・・・今もって苦労しているのは・・・そこなんです・・・どうしても10割だと・・・纏まりが・・・」・・・

この後の尽きぬ話は・・・「極秘事項の為」・・・割愛させて頂きます（笑）（笑）（笑）（笑）・・・

兎に角・・・発展途上とのお話でしたが・・・ストイックなまでに・・・蕎麦の奥深さを痛感し・・・追求する姿の1端を見せて頂く事で・・・
大変・・・信頼感が湧きました・・・

銘店と呼ばれるようになる迄・・・推移を見続けたい店の一つで有りました・・・