【1250】日本酒の品揃えとマグロが光る（そのうえリーズナブル） : みよ志鮨

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食べログのスコアは低い（3.06）のですが先行レビュー3件の評価が4.0、4.3、5.0といずれも高評価。
数年前に建て替えたようで、まだ新しくて綺麗なお鮨屋さんです。
入口の隣には住居用と思われる扉があって店舗兼住宅なのでしょう。

東向島には店舗兼住宅のお鮨屋さんが多くて、うを徳では原価率6割、光寿司では原価率7割と豪語。
飲食店の経営を圧迫する二大要因が家賃と人件費なので、
これらの負担が無いお店は信じられないぐらいコストパフォーマンスが高いことがあります。

同店は建て替えたばかりということで住宅ローンを組んで店舗兼住宅を建ててそうな予感がしますが、
それでも賃貸で経営しているお鮨屋さんより有利な状況なのは確かでしょう。
お店のスタッフも人件費のかからない家族経営といった印象で、予想通りリーズナブルなお店でした。
もちろん安いだけでなく良質なマグロと良質な地酒を多数揃えており東向島のお鮨屋さん恐るべし。

■この日の飲食内容■

生ビール 一番搾り 中（500円）
田酒 純米酒（700円）
伯楽星 特別純米酒（600円）
お通しの身欠きニシン、薩摩揚、大根の煮物
刺身 おまかせ一人前（1,800円より）
アジお造り
イワシお造り
イサキお造り
特上にぎり（2,500円）

計 7,800円

飲み物は生ビールからスタートしたのですが500mlはありそうな中ジョッキで500円。
回らないお鮨屋さんということを考えると良心的な価格ではないでしょうか。
日本酒は徳利とお猪口ではなく「ぐい呑み」での提供。
量はよく分からなかったのですが田酒を700円、伯楽星を600円で楽しめます。
お鮨屋さんの仕入れるハイレベルな魚介を肴に美味しい地酒をマリアージュさせる幸せ。

ビールを注文するとお通しに、身欠きニシン、薩摩揚、大根の煮物。
同じく東向島にあって京料理を修業先とするうを徳に比べると甘さと味の濃さが目立つ関東の味付け。
とはいえどれもハズレ無く美味しくて、お通しだけで生ビールが蒸発。

コース（5,000円）は事前に予約しないと無理とのことで料理はアラカルト注文。
おまかせの刺身は、タコ、〆サバ、真鯛、金目鯛、まぐろトロ、イカ、甘海老、ツブ貝、ウニ。
厚めカットの9種盛りで1,800円（より）は下町価格ではないでしょうか。
何より魚介のクオリティが居酒屋とは一線を画す、お鮨屋さんならではのハイクオリティ。

まずはプリプリかつコリコリと弾力のある食感が堪らないタコに舌鼓。
厚切りの真鯛、金目鯛といった白身系もなかなか良いです、海老は鮮度の良さゆえか甘みあって旨味濃厚。
大きなサイズのツブ貝も貝類特有の臭みが少なくて純な旨味の強さに日本酒が進みます。

そして刺し盛りで特に良かったのがまぐろのトロとウニ。
日本人に高級食材として大人気のマグロとウニは資本主義的な食材で値段と美味しさが比例します。
銀座など都心の高級鮨店で扱うような超高級品のマグロやウニがヒエラルキーの頂点で、
下町の中級ぐらいの価格帯の鮨屋ではあまり美味しくないことが多いのですが同店は違いました。

マグロについては握りを食べたときに後述するとして、刺し盛りの中での白眉とも思ったウニ。
苦味は感じず甘みと濃厚な旨味があって何ともピュアな美味しさ。
この価格帯のお鮨屋さんで出るウニとはランクが違うように思いました。

ご主人に本日のオススメを尋ねると、イサキ、アジ、イワシ、穴子が候補として挙がりました。
穴子は握りで、イサキ、アジ、イワシをお造りでお願いしたのですが、
厚切りのイサキなどがドーンと盛られてきて大盛り好きの自分の心をくすぐります。

今では2万円を超える散財となってしまっている高級鮨店うを徳で食べた、
関イサキ（関サバや関アジに続く関の新ブランド）、出水のアジ（国内最高級ブランド鯵）、
根室のイワシに比べると価格帯相応に美味しさのランクは落ちましたが値段を考えれば十分な美味しさ。
特に厚切りで脂がそこそこ乗っていたイサキが気に入りました。

〆は特上にぎり、前述の通り単品で穴子の握りも追加。
特上の内容は、煮蛤、まぐろ赤身、海老、まぐろトロ、真鯛、玉子焼き（握り）、イクラ軍艦、
ウニ軍艦、トロ鉄火巻、アオサの味噌汁、生姜（ガリ）、キュウリの糠漬け。

握りですが下町のお鮨屋さんらしくタネが大きいです。
すぎた（水天宮前）のようなカットや飾り包丁は無いので酢飯とは少しアンバランス。
握りを食べるとタネが大きすぎて口の中でタネが余りました。

穴子はフワッとやわらかいのですが、すぎたなど高級鮨店の穴子に比べると旨味が弱くて水っぽさも。
同じくツメで食べる煮蛤も同じような感想を持ってしまって穴子と煮蛤は正直なところイマイチでした。
海老、真鯛、イクラは普通に美味しいです、ウニは刺し盛りのときほどの感動は無し。

一方で意外と良かったのが出汁巻きのような玉子焼きの握り。
自分がカステラのように甘い玉子焼きより出汁巻きを好むこともあってか気に入りました。
そして飛び抜けて良かったのが、まぐろ赤身、まぐろトロ、トロ鉄火巻の鮪トリオ。

マグロは本鮪と思います、やや黒ずんだ見た目から期待薄だった赤身ですが、
口にしたらネットリした身の滑らかさと旨味の強さがあって別次元な美味しさ。
回転寿司の赤身と比べると同じマグロという魚とは思えないほどレベル高いです。

トロやトロ鉄火は良質な脂とマグロならではの香りの良さがあって、これらも蕩ける美味しさ。
メニューを見ると「まぐろ赤身（2,000円）」、「まぐろ中トロ・大トロ（4,000円）」とあって、
刺し盛りとこれらマグロメニューで攻めるのが同店で一番満足度の高くなる楽しみ方かも知れません。