ますますキレ味鋭い気鋭の蕎麦屋 : 蕎心

週末はお気に入り蕎麦屋にて昼から夫婦で蕎麦屋酒。
こちらの店が相変わらず素晴らしいので思わず2回目の投稿です。

根津 "蕎心(そばこころ)"

店主のご出身である江戸蕎麦の名店、湯島"池之端藪そば"と、神田"まつや"で培われた確かな技と更なる高みを目指す創意工夫が光る蕎麦屋。

2階の座敷にご案内いただき、先ずはプレモル生小とアテの蕎麦味噌から。
蕎麦の実入りの江戸甘味噌をチビりと箸に乗せてビールをやりながら、本日のメインは"天もり"と決めて来たので蕎麦前を選びます。

「夏酒」の限定入荷ということで、和歌山 純米吟醸 "紀土(KID)夏の疾風"をキンと冷やして1合。「蕎麦前には常温の酒」セオリーを無視して当店のオススメに乗ります。
こちらのお店らしい若々しくシャープな口当たりとキレ味。夏が旬の白身魚に合いそうな夏酒です。

アテには、いつもの"焼き味噌"。
蕎麦の実を混ぜた西京味噌を竹ベラにたっぷりと塗り焼き上げた逸品。柚子と葱の香り付けが実に酒に合うのです。

そして初注文"チーズ返しづけ"
「かえし」に程よく漬けこんだクリームチーズが、胡椒を纏ってネットリ美味い。クリームチーズと日本酒？という特異な組合せですが、コレもよく合います。

さらに予め先出しでお願いした"天もり"の天麩羅が「夏酒KID」の冷えた1合の追加と共にタイミング良く到着。

天麩羅には珍しい天種も。
2個が串に刺さっているのは一見「むかご」？かと思いきや芋の味わい。天麩羅のタネとしては珍しい「アピオス」だと教えていただきました。そのほか、万願寺唐辛子、蓮根、山芋、ヤングコーン、穴子、車海老という布陣。そば茶塩と天つゆで。蕎麦屋らしい天麩羅が言う事ナシ。

もり蕎麦は「さすが」のひと言。
手切りとは思えない程、キリっとスクエアな断面と均一に切り揃えられた端正な蕎麦。もちろん切りムラなど一切無し。驚くほどに水切り良くキュッと冷えて実にキレ味鋭い。
これまた江戸蕎麦らしい辛つゆと、途中からほんのり甘い山葵を箸にちょん付けして。
夏らしい軽快な喉越しを楽しめました。

締めは、ここぞというタイミングで供される加調無しのサラサラとした「そば湯」。

本日も整いました。極上のひととき。

僕にとって鴨蕎麦のナンバー1は今まで、鴨汁では"鬼怒川竹やぶ"。鴨南蛮では"並木藪蕎麦"でした。
今回は両者ともそれに匹敵するカモ？という大満足レベル！

谷中、根津、千駄木の「谷根千」ブラ歩き時にずっとBMしていた念願の蕎麦屋に夫婦で初訪問。

根津 "蕎心 そばごころ"

屋号からしてとてもセンス良いなぁ。訓読みさせる所がニクい。
こちらの気鋭の若き店主は"池の端藪"、"神田まつや"という老舗名店で修行され、東京主要SSに多店舗展開する"小松庵"の「蕎学舎」ご出身という経歴。
それぞれの店の良さを踏襲し更に独自に昇華した料理が評判の店。
昼の部のメニュー構成は"小松庵"に近いようです。

古民家を改装した昭和レトロ雰囲気満載の店舗。
一階は2人掛けテーブル席が5セットに加えて、二階に座敷もあるようです。
若き花番さん達も元気良く感じ良い。

品書拝見したところ、昼の部のメニュー構成は"小松庵"に近いようです。
地酒充実。しかも品揃えにこれまた店主のこだわりとセンスが見て取れます。
「昼の酒肴」なる品書もあり酒呑みには嬉しい限りです。

ではお言葉に甘えて昼から蕎麦屋酒といきましょう♪

締めの蕎麦は大好物の「鴨」に決めていたので、"焼き味噌"と"穴子一本揚げ"をアテに、
まずは福井のキリッと爽やかな"黒龍「九頭龍」"を常温でいただくことにします。

焼き味噌は細長い竹ベラにたっぷりと白味噌が塗られて柚子風味と蕎麦の実の食感が愉しいひと品。
何よりも酒に合います。

ここで次の酒へ。福岡のふっくらといた熟成感のある"独楽蔵「玄」"を同じく常温で。

やはり天麩羅モノを一品試したかったので注文した穴子天。
カラりと油の切れた衣の中にはフワりとホクホクな穴子が。揚げの技術もさすが。
芳ばしい蕎麦茶塩なるものと天つゆが供されるのも嬉しい。

さて蕎麦前を堪能したところでメインへ。
僕は"鴨汁"を、妻は"鴨南蛮を。
両方とも1600円で鴨蕎麦にしては比較的安めの設定ですが、、コレまたとてつもなくCPが高いことが後に解ります。

まず、鴨肉が厚くて大量！先に鴨を何枚か食べないと蕎麦をつける汁の隙間無し！
しかもこの鴨が無獣臭かつ程よい柔らかさで旨い！
鴨つくね入り。ギュッと旨味が詰まっていてコレも良いです。

加えて、葱が美味い！太っとくて甘味をじんわり感じる焼き葱。正に鴨葱の見本。

そして、肝心の鴨エキスたっぷりの温汁は柚子皮の風味がほんのりと漂い、とても好みです。

最後に、蕎麦がこの上なく端麗！
二八？一九でしょうか？店内の石臼で挽く厳選された蕎麦は、見事なエッジで均一に切り揃えられ、もちろん切りムラなど一切無し。水切りも温度も完璧です。
素晴らしいコシのある今風な蕎麦です。

蕎麦湯用に新しい蕎麦猪口が供され、鴨汁と蕎麦湯量を調整しながら頂けます。とても気が利いてます。

妻の鴨南蛮も味見しましたが、こちらも分厚い鴨と太い焼き葱が大量に。若さと勢いがあって宜しい。
完全に間違いない味。

いきなり期待を超える感動レベルに到達。
ミシュランのビブグルマンに選定されるのも解ります。
夜メニューは別のようですので再訪決定。
この店と店主の技術のこれからが楽しみです。