9月の平日は空いています。 : ひみつ堂

私は誰もがしていないことを好む、変わり者。
誰もしないことをすることで、
一人優越感に浸っている。

皆んなが行くところは行かない。
ここは、皆んなが皆んな行くから、
絶対に行くまいと決めていたのだ。

なのに...
来てしまった。
友人が行きたいといったから。

今や誰もが知っているからひみつじゃない、
「ひみつ堂」

2018.9.5
9:50
谷中銀座って日暮里だっけ？西日暮里だっけ？
携帯で調べもせず、揉めていたら、
丁度西日暮里駅に止まったので、降りようとした。

が辞めた。
それが正解だった。

最寄りは日暮里。
北口改札を出て、西口へ進む。
谷中銀座の入口、階段を降りたところのすぐ左にひみつ堂はある。

10:10
列は30人いたか。
友人曰く、以前来たときはこの3倍は長かったと。
12：00に到着し、17：00の整理券を渡されたと。
この時整理券は渡されなかった。

今は大学は休校なのだろう、
列に並ぶ8割は女子大生。
前にも後ろにも、キラキラの女子大生。
そこで、私たちは彼女たちと同化するのだ。

...ねえ、私たち幾つだと思う？
は、貴方たちと同じ歳だと思った？
実はね、社会人なのよ。
そうでしょ、見えないでしょ！

10:20
メニューを渡される。
ラインナップは以下の通り。

ひみつのいちごみるく（ミルクorヨーグルトorのみ）☆人気NO.1、売切なし
生ブドウ（ミルクorヨーグルトorのみ）売切なし
ひみつの桃（ミルクorヨーグルトorのみ）売切なし
河内晩柑（ミルクorヨーグルトorのみ）
国産完熟マンゴー（ミルクorヨーグルトorのみ）☆人気NO.2
野中の梅（ミルクorのみ）
黒糖きなこ
くるみるくキャラメル

メニュー表にないものもあり、
全てはTwitterで明かされる。

2018.9.5のTwitter公開メニュー
☆50食限定　生ブドウ三昧ショート
抹茶クリーム金時/金時さんみるく/金時さんスイ
ぶどう三昧/生プルーン赤ワイン煮（ミルクorヨーグルト)/WBM
ショート合いがけ/桃ショート/ラズショート

※ミルク＝半分シロップ、半分練乳
ヨーグルト＝半分シロップ、半分ヨーグルト
のみ＝全部シロップ（ミルク、ヨーグルトより多め）
ショート＝生クリーム

こういう時は、自分の好きなものを選ぶべきだが、
「他の人と同じことをしたくない」主義である私は、
食べログで挙げられていないものをアップする、
つまり誰もしたことがないことをしようと試みた。

生プルーン赤ワイン煮 ヨーグルト 1300円(税込)

いや、本当は自分の好みが入っていたかもしれない。
洋酒の効いたムース、サバラン、ラムレーズンが大好きだから、
ワインという言葉に惹かれた気がして。

連れは
野中の梅　のみ 1200円(税込)

10:23 入店
店舗は2つに分かれ、それぞれ5名程のスタッフがいる。
2人はカキ氷機を手動で回し、
（…手動？凄い、すさまじい体力だ！）
トッピングを豪快に盛る。
一人は接客、
その後ろで、2人がトッピングを仕込む。
誰もが忙しなく動き続けている。

客の8割がいちごみるくを頼む。
右隣のJDは、50食限定、ツイッターにしか載っていない生ブドウ三昧ショート…
なるほど、確かにツイッターを小まめにチェックしてそうな女子だ。
接客のお兄ちゃんが、器を机に置くと、
クリームとぶどうが器からべちゃり。

わかる、わかるよ…
お兄ちゃんのこの時のショックといったら…

飲食店でのバイトの悪夢。
手間かけて作ったものを、客へそーっと運ぶ、
やっとのことで辿り着くと、安堵に包まれて…
その瞬間、全てが崩壊する。

しかし、お兄ちゃんは落ち着いていた。
厨房のスタッフを呼ぶと、
彼女は顔色一切変えない...
慣れた手つきで、すぐに新しい葡萄とクリームを別皿で差し出した。

因みにプルーンを頼んでいるものは...いない。

はっはっはっ
私はこれを望んでいたのだ。

左側のJDはいちごみるく。
かき氷が届いたら写真をかしゃり。
これ、当然インスタグラム。食べログじゃないね。
そして、かき氷を口にする…

美味しい、美味しい、幸せ、あー来てよかった、
美味しい、美味しい、おいし〜い、美味しい

ああ！
もう、これ以上は言わないでくれたまえ、
早く食べたくて仕方なくなってしまうでしょうが。

10:30 かき氷到着。

◯生プルーン赤ワイン煮 ヨーグルト　1300円（税込）
氷全面を覆うヨーグルトは、
まるで大理石の彫刻のように、白く光り輝いている。
葡萄色の生プルーンが別皿に添えられる。

プルーンはよく食べていた。
学生の頃陸上部に所属し、練習する中で、
しょっちゅう貧血で倒れていたものだから、
母が気にかけて、
毎朝ヨーグルトをかけて出してくれた。

ドライプルーンは、
ガッチリと硬い表面を齧ると、
ふんにゃりと柔らかく、歯に食い込む、
濃厚な甘みに、ねっとりとした果肉が現れる。

生のプルーンは、
果実の大半を種が占めていて、
僅かな果肉はサクッ、結構酸っぱかった。

プルーンはそんなものだと思っていたが、
こんなプルーン、食べたことない。

梅か、さくらんぼに似て、
ぷるんぷるん、みずみずしい果肉、
ドライプルーンの甘味、生のプルーンの酸味、
両者がバランスよく混和されている。

その甘酸っぱさの奥深くに、ワインの渋み。
アルコールは全く感じない。

ヨーグルトはタカナシ製。
重みがあるのに、氷を潰さない。
一体どうなっているのだろうか。

そのままだと甘酸っぱいが、
プルーンと合わせると、
酸味が甘味を強めるのか、
ヨーグルトが、とっても甘く感じた。

日光三ツ星氷室の天然氷。
ここのスタッフは毎年採氷作業を手伝っているそう。
口に入れた瞬間、ふわっと一瞬で消えてしまって、
プルーンとヨーグルトだけが残る。

気がついていたら、
私も繰り返していた。

美味しい、美味しい、幸せ、あー来てよかった、
美味しい、美味しい、おいし〜い、美味しい

以前かき氷なんかに、1000円出すもんじゃないって書いたけど、
これは別だ。
友人が誘ってくれなければ、
こんな美味しいかき氷は、一生食べなかっただろう。

そもそも私はパニック障害から、昼食が食べられなかった。
そんな私が、昼にかき氷を食べられたのも、
ひみつ堂さんと、友人のお陰。

友人よ、ありがとう。
ご馳走様でした。