多彩で多才な料理と蕎麦で充実のコースを堪能 : 浅草じゅうろく

この口コミは、蓼喰人さんが訪問した当時の主観的なご意見・ご感想です。

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4.7

¥15,000~¥19,9991人
  • 料理・味4.7
  • サービス4.8
  • 雰囲気4.3
  • CP4.3
  • 酒・ドリンク4.7
2024/01訪問3回目

4.7

  • 料理・味4.7
  • サービス4.8
  • 雰囲気4.3
  • CP4.3
  • 酒・ドリンク4.7
¥15,000~¥19,9991人

多彩で多才な料理と蕎麦で充実のコースを堪能

 5.6年前に訪れて真摯な仕事ぶりと、ご主人夫妻のサービス精神に好ましい印象が残っていた。
 それ以降も動向を気にかけて来たが、伊豆の修善寺に支店を出したり、近くにとんかつ屋や寿司屋を開業するなどの展開は、正直言って手の広げ過ぎではという思いが支配的であった。

 そうとは言っても、江戸前蕎麦屋愛好家を標榜する私としては避けて通れない一軒であり、年明けの営業初日の4日の予約を旧年中に入れておいた。
 浅草駅から1㎞近い道のりを向かうが、雷門や仲見世周辺は大変な人出で、さらにホッピー通りなどは何処も賑わっている。
 もちろん浅草寺にもお参りして、元日に発生した震災で大切な方を亡くされたり、難儀されている皆さんが大勢いる中で、こうして食べ歩きが出来る感謝の思いを伝える。

 18時半の定刻に到着すると、私には8つの椅子が並ぶⅬ字型のカウンター中央の席が用意されていた。
 この日の客は、小上がりのテーブル席とカウンター合わせて16名。
 スタッフは、ご主人と女将さんと若い衆2人の4人体制。
 女将さんからいきなり私の名前を呼ばれて驚いたが、6年前に訪れたことをご主人夫妻はきちんと覚えていてくれた。
 先に飲み物を訊かれたので、ビール(ヱビス中瓶)をもらう。

 全員コース(税込13,200円)注文のため、ほぼ揃ったところで一斉スタート。
 まず女将さんの挨拶があり、続いてご主人から一言。
 実はうっかり市場の初荷を4日(本当は5日)と勘違いして予約を受け付けてしまったそうで、食材の調達には苦慮したが、何とか間に合わせたことが告げられた。
 鮮魚は提供されないかもしれないが、そこをカバーするのはご主人の腕の見せどころと、かえって期待が高まる。
 コースは次のように進行。

☆「豆腐と葱の赤だし」:蓋つきの器で、少量の味噌汁が出された。
 こちらでは酒を嗜むことが前提であり、寒い時期でもありお腹を落ち着かせるために相応しい一品。

☆「海老芋の柚子あんかけ」:煮含めた海老芋が粉を塗してから油で揚げられ、出汁が効いた銀餡が掛けられており、刻んだ柚子皮が香りを添える。
 芋は表面はカリッと中はホクホク、さらに熱くとろりとした餡との調和が見事。
 
☆「房州産 平目の昆布〆 蜜柑酢添え」:こちらが本日の唯一の生魚で、年末に昆布で〆てあったもので、やや塩気も感じるがその分旨味が凝縮しており歯応えもしっかり。
 添えられているのは自家製の'蜜柑酢'で、甘みもある爽やかな酸味が味を引き立てる。

☆「八寸盛合せ」:目の前の広々としたカウンター上に大皿が人数分置かれ、若い衆が用意された品々を盛り付けて行く。
 内容は次の通りで、ご主人から一品ごと紹介される。
 「やなぎ蛸とわけぎの酢味噌和え」「菜花のナッツ和え」「丹波産 黒豆煮」「ごま豆腐」「宮崎牛ロース」「子持ち鮎甘露煮」「鱈子昆布〆」「丸十レモン煮」「蒲鉾」「伊達巻」。

 正月らしさも加味されたラインナップで、丁寧な仕事が随所に感じられ丹念に味わうのは実に楽しい。
 特に印象に残ったのは、適度な歯応えの味も良いやなぎ蛸、菜花の和え衣、甘すぎない黒豆、プルプルの胡麻豆腐、タタキにしてからそばつゆに浸されたと言う牛ロース。

☆「温菜三種盛り」:「出汁巻き」「蕎麦焼き味噌」「揚げ銀杏」の3品。
 焼き立ての出汁巻きは関西風で、出汁多めのフルフルの仕上がり。
 炒った蕎麦の実や葱が混ぜ込まれて焼き目を付けた味噌も、風味や歯触りが良く酒が進む。

☆「鴨鍋」:メイン料理の鴨鍋は一人客でもきちんと用意され、目の前に置かれたコンロの上に土鍋が乗せられて点火。
 割下が張られた鍋の底には鴨のつくねが牛蒡・舞茸・しめじ・葱とともに忍ばせてあり、上に香りと歯触りが身上の根っこも入った芹がたっぷりと盛られている。
 一方でご主人は表面を炙った鴨の抱き身を適度な厚さにカットして、人数分が皿の乗せて配られ、火を通し過ぎないようにとレクチャーされる。
 その指示に従いタイミングよく沸いてきた鍋にひと切れずつ加えて食べ進めるが実に旨く、添えられた柚子胡椒も良いアクセント。
 割下は次第に煮詰まることを考慮して薄目に加減されているが、甘さ控えめの点が好ましく、鴨の旨味が溶け込んだ野菜類もそれぞれの持ち味と食感が楽しい。
 
※番外「特製 とんかつ」:コースの途中で若い衆から'店主自慢のとんかつは如何ですか'と訊いて回るが、断る理由は無く全ての客が頼んでいたようだ。
 結構な大きさのヒレカツが2つにカットされて登場。
 鍋の途中で出されたのでどちらを優先しようかと少々忙しなかったが、一旦鍋の火を細めてこちらに取り掛かる。
 頬張ると肉の旨味が口に広がり、独特のソースも味を引き立てる。
 
☆「ふぐ皮と若芽・茗荷の酢の物」:茹でたふぐ皮の細切りと食感の良い若芽と茗荷の細切りの、シンプルな酢の物。
 やや油っぽくなった口をサッパリさせるには好適で、〆の蕎麦への橋渡しの役割を果たす。

 ここで酒について纏めて述べたい。
 これだけの料理を前に酒が進まない訳がない。
 こちらの酒は全て女将さんが統括しており、好みを伝えればそれに合わせて多くの銘柄からセレクトしてもらえる。

 まずはすっきり辛口の希望から、栃木の「大那 超辛口純米」が出されたが、キレの良い口当たりの後の確かな旨味が好ましい。
 次に少ししっかりしたタイプの要望から、広島の「龍勢 初しぼり」が登場。円やかな酸味とふくよかに広がる味わいが印象的。
 次いで鴨やとんかつに合わせたいという希望で、諏訪の「御湖鶴(みこつる) 純米吟醸 無濾過生原酒」が出された。香りは華やかでフルーティーだが、深いコクが舌に残る。

☆「もり」:蕎麦は女将さん渾身の手打ちで、品種は福井の「丸岡在来」とのこと。
 粗目の挽きながら細目に端正に揃っており、先に2.3本摘まんでみるが、鼻に抜ける香りとシャキッとした歯触りに思わずニンマリ。
 つゆは濃い目でやや返しが強いが、手繰った先端に少し触れるくらいで啜り込むと爽快な喉越しが楽しめる。
 
 蕎麦湯は別仕立てで少し白濁しているが、過度のとろみは無く綺麗に伸びる。
 鍋に残ったつゆも小鉢に移してもらっていたが、こちらにもたっぷり注いで飲み干せば美味さをを全て平らげた口福感に包まれる。

 デザートは「ほうじ茶のジェラート」。
 パリッとした最中の皮に盛られて出されたが、舌触り良く甘さ控えめな点も良い。


 盛り沢山の内容で、大いに満足できた。
 多彩な料理にはご主人の多才さが反映されており、一方で女将さんの蕎麦にも非凡な才能が感じ取れる。
 選ばれた酒も料理の出来と相俟って、至福のひと時を齎してくれた。

 勘定は2万円弱だったが、この内容からすればむしろリーズナブルに思う。
 女将さんの応対ぶりに加え、時々ご主人から檄が飛ぶまだ18歳だと言う若い衆のキビキビとした動きも好印象。

 帰り際には寒い中、表に出て来たご主人夫妻に見送られて店を後にする。
 ホスピタリティの良さもリピーターが多い要因。
 私も季節を変えてまた訪れたいと思う。
 

  • 浅草じゅうろく - 「八寸盛合せ」

    「八寸盛合せ」

  • 浅草じゅうろく - ビール

    ビール

  • 浅草じゅうろく - 「豆腐と葱の赤だし」

    「豆腐と葱の赤だし」

  • 浅草じゅうろく - 「海老芋の柚子あんかけ」

    「海老芋の柚子あんかけ」

  • 浅草じゅうろく - ほっこりとした味と食感

    ほっこりとした味と食感

  • 浅草じゅうろく - 「大那」

    「大那」

  • 浅草じゅうろく - 「房州産平目の昆布〆」

    「房州産平目の昆布〆」

  • 浅草じゅうろく - 特製の蜜柑酢で頂く

    特製の蜜柑酢で頂く

  • 浅草じゅうろく - やなぎ蛸と葱の酢味噌和え

    やなぎ蛸と葱の酢味噌和え

  • 浅草じゅうろく - 菜花のナッツ和え

    菜花のナッツ和え

  • 浅草じゅうろく - 丹波産 黒豆煮

    丹波産 黒豆煮

  • 浅草じゅうろく - 胡麻豆腐

    胡麻豆腐

  • 浅草じゅうろく - 宮崎牛ロース・落ち鮎甘露煮

    宮崎牛ロース・落ち鮎甘露煮

  • 浅草じゅうろく - 鱈子昆布〆・丸十レモン煮

    鱈子昆布〆・丸十レモン煮

  • 浅草じゅうろく - 蒲鉾・伊達巻

    蒲鉾・伊達巻

  • 浅草じゅうろく - 「温菜三種盛り」

    「温菜三種盛り」

  • 浅草じゅうろく - 出汁巻き

    出汁巻き

  • 浅草じゅうろく - 蕎麦焼き味噌・揚げ銀杏

    蕎麦焼き味噌・揚げ銀杏

  • 浅草じゅうろく - 「龍勢 初しぼり」

    「龍勢 初しぼり」

  • 浅草じゅうろく - 鴨鍋がコンロに

    鴨鍋がコンロに

  • 浅草じゅうろく - 鴨肉をカットするご主人

    鴨肉をカットするご主人

  • 浅草じゅうろく - 鍋用鴨肉

    鍋用鴨肉

  • 浅草じゅうろく - 程よい火通りが食べごろ

    程よい火通りが食べごろ

  • 浅草じゅうろく - 鴨肉も根付き芹も美味い

    鴨肉も根付き芹も美味い

  • 浅草じゅうろく - 牛蒡・舞茸・ネギも美味い

    牛蒡・舞茸・ネギも美味い

  • 浅草じゅうろく - もちろんつくねも美味い

    もちろんつくねも美味い

  • 浅草じゅうろく - 「御湖鶴」

    「御湖鶴」

  • 浅草じゅうろく - 特製「ヒレカツ」

    特製「ヒレカツ」

  • 浅草じゅうろく - 実に美味い

    実に美味い

  • 浅草じゅうろく - 「ふぐ皮と若芽・茗荷」の酢の物

    「ふぐ皮と若芽・茗荷」の酢の物

  • 浅草じゅうろく - もり(丸岡在来)

    もり(丸岡在来)

  • 浅草じゅうろく - つゆ・薬味

    つゆ・薬味

  • 浅草じゅうろく - 蕎麦を手繰る

    蕎麦を手繰る

  • 浅草じゅうろく - 蕎麦を啜る

    蕎麦を啜る

  • 浅草じゅうろく - 蕎麦湯を注ぐ

    蕎麦湯を注ぐ

  • 浅草じゅうろく - 「ほうじ茶のジェラート」

    「ほうじ茶のジェラート」

  • 浅草じゅうろく -
  • 浅草じゅうろく -
  • 浅草じゅうろく -
  • 浅草じゅうろく -
  • 浅草じゅうろく -
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2018/04訪問2回目

4.7

  • 料理・味4.8
  • サービス4.6
  • 雰囲気4.3
  • CP4.6
  • 酒・ドリンク4.6
¥8,000~¥9,9991人

改めてご主人の抽斗の多さと、女将さんの江戸っ子好みの蕎麦に満足

 先月訪れた折、ハイレベルな仕事とご主人夫妻のもてなしの心で快適な「蕎麦屋酒」を堪能。
 月が替わり、料理が刷新されたことが報じられていた。
 また女将さんの出産を控え、一旦店を閉めるような話も伺っていたので、是非近いうちに寄りたいと思っていた。

 今回は友人と2人で、19時に予約を入れて訪れる。
 この日はカウンターも小上がりもほぼ満席の状態であったが、我々には前回と同じご主人と正対する2席が用意されていた。

 おまかせで頼んだ料理は次の通り。
重ね豆腐:絹ごし豆腐・おぼろ豆腐・くみ上げ豆腐、さらに青大豆の湯葉が重ねて盛られた小鉢。
 山葵とごく少量の塩で、舌触りと甘みを楽しむ。

季節の八寸:今回の内容は「生桜海老かき揚げ・焼野菜のピクルス・京蒲鉾・自家製わさび漬け・めんたい子くんせい・卵黄の西京味噌漬・茎山葵の三杯酢漬・黒豆煮・びわ湖'もろこ'の南蛮漬」というラインナップ。
 いずれも一品ごと手間がかかっているが、特に印象に残ったのは、桜海老の旨味、弾力のある卵黄の食感、大吟醸の酒粕を使ったわさび漬。

京筍と里芋の銀あん:微かにえぐみを残した、筍の滋味と歯触りが心地よい。
 これに揚げた里芋と百合根を合わせ、銀あんがかかっている。
 全体を白く仕上げ、その上に散らされた木の芽の緑と香りが効果的。
 
山女魚の炭火焼:独特の浅めの大型火鉢に炭火をおこし、その周囲を囲むようにして2時間かけて焼き上げられた、岩手産の山女魚が登場。
 じっくり焼かれているため頭から尻尾まで全て食べられるが塩気が程よく、身のしっとり感が失われていないのは見事。
 
そば前'ひれかつ':'蕎麦屋で「ひれかつ」?'という思いを払拭させる、こちらのスペシャリテ。
 素材も吟味されているだろうが、絶妙な火通りでジューシーさが秀逸。
 何もつけずにそのままで十分に美味い。

 酒は瓶ビール(ヱビス)の後に、女将さんお勧めの冷酒をもらう。
 選ばれたのはまず山梨の「青煌」で、爽やかな味わいでお代わりした。
 その後の静岡の「中屋」も、すっきりとした辛口が良かった。

 蕎麦は微粉のいわゆる「」と、粗挽きの「」の2種類を一枚ずつ。
 前回も感心したが、ともに細目に綺麗に揃った優れた仕事である。
 忙しいながら茹で上げも精妙で、見事な仕上がりを見せている。

 今回の蕎麦湯は、私に合わせた'「釜湯」のまま'と'手を加えたタイプ'の2種類を出してくれた。
 手が加わっているとは言え過剰な粘度は無く、バランスの取れたつゆの味わいと相俟って、気持ち良く〆られた。
 (今回はこの後もう一つ'裏メニュー蕎麦'を出してくれたが、こちらも素晴らしかった)

 食後の甘味は「水羊羹」。
 出来栄えは'発展途上'といった感じだったが、悪い印象は無い。


 改めてご主人の料理人としての技量を確認。
 確かな技術力と共に、抽斗の多さが随所に感じられる。
 
 一方の女将さんの蕎麦も良かった。
 2種の対照的な蕎麦の出来には、非凡な才能を感じる。

 最近は十割の蕎麦が、やたらと持て囃されている。
 確かに製粉技術が進み微粉に挽いた粉を上手に繋げば、十割でも食感やのど越しに遜色のない蕎麦が打てることは事実である。
 しかし細かに挽く技術が乏しかった時代には、何らかのつなぎを加えなければ細く綺麗な蕎麦にはならなかった。

 '二八'は何よりもシャキッとした歯触りとのど越しの良さを貴んだ、江戸っ子が編み出した手法で、かつての江戸前蕎麦ではこちらのような蕎麦が理想形であったと思われる。
 こちらの女将さんの蕎麦は、香り・食感・のど越しのバランスの取れた'江戸っ子好みの小粋な仕事'と言える。


 今回は立て込んでいたため料理の出はスムーズでは無かったが、決して退屈とはならない店内の雰囲気は楽しい。
 折角入店した弟子は二日で辞めてしまったそうで、間近に迫った女将さんの出産に向けてちょっと心配な向きもあるが、このお二人ならば何とか乗り切っていかれることと思う。

  • 浅草じゅうろく - 「季節の八寸」

    「季節の八寸」

  • 浅草じゅうろく - 「重ね豆腐」

    「重ね豆腐」

  • 浅草じゅうろく - 「京筍と里芋の銀あん」

    「京筍と里芋の銀あん」

  • 浅草じゅうろく - 「山女魚の炭火塩焼」

    「山女魚の炭火塩焼」

  • 浅草じゅうろく - 「そば前ヒレカツ」

    「そば前ヒレカツ」

  • 浅草じゅうろく - ビール「ヱビス」

    ビール「ヱビス」

  • 浅草じゅうろく - 「桜エビかき揚げ」

    「桜エビかき揚げ」

  • 浅草じゅうろく - 「焼野菜のピクルス」

    「焼野菜のピクルス」

  • 浅草じゅうろく - 「京蒲鉾」「自家製わさび漬」

    「京蒲鉾」「自家製わさび漬」

  • 浅草じゅうろく - 「めんたい子のくんせい」

    「めんたい子のくんせい」

  • 浅草じゅうろく - 「茎山葵三杯酢漬」「卵黄西京味噌漬」

    「茎山葵三杯酢漬」「卵黄西京味噌漬」

  • 浅草じゅうろく - 「黒豆煮」

    「黒豆煮」

  • 浅草じゅうろく - 「もろこ南蛮漬け

    「もろこ南蛮漬け

  • 浅草じゅうろく - 冷酒「青煌」

    冷酒「青煌」

  • 浅草じゅうろく -
  • 浅草じゅうろく - 冷酒「中屋」

    冷酒「中屋」

  • 浅草じゅうろく -
  • 浅草じゅうろく - 山女魚は独特の大型火鉢でじっくり焼かれる

    山女魚は独特の大型火鉢でじっくり焼かれる

  • 浅草じゅうろく - せいろ「白」

    せいろ「白」

  • 浅草じゅうろく - 蕎麦を手繰る

    蕎麦を手繰る

  • 浅草じゅうろく - せいろ「黒」

    せいろ「黒」

  • 浅草じゅうろく - 2種出してくれた「蕎麦湯」

    2種出してくれた「蕎麦湯」

  • 浅草じゅうろく - 甘味の「水羊羹」

    甘味の「水羊羹」

  • 浅草じゅうろく -
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2018/03訪問1回目

4.6

  • 料理・味4.5
  • サービス5.0
  • 雰囲気4.5
  • CP4.5
  • 酒・ドリンク4.5
¥10,000~¥14,9991人

料理や蕎麦の出来もさることながら、居心地の良さも確証

 満を持しての「じゅうろく」である。
 こちらには随分前から'行きたい'に登録していたものの、場所が不便なこともありなかなかタイミングが合わなかった。
 そのうちにマスコミに頻繁に登場するなどして人気店となってしまい、少し落ち着いてからと思いつつ何となく時間が経ってしまった。

 最近マイフォロアーさんから、こちらが近々移転するとか、一旦閉めるのではないかという気掛かりな事を伺い、急遽時間を作って訪れることにした。
 2.3日前に電話を入れると大丈夫という事で、指定された19:00に暖簾をくぐる。

 場所は多くの方が書かれているので詳しくは述べないが、言問通りの向こう側のいわゆる「裏浅草」でも、何度か足を運んでいる「大黒屋」よりもさらに奥まった所。
 雷門辺りから歩くと、15分近く掛かる。

 元鮨屋だったという店舗は思ったより広い。
 ゆったりとしたⅬ字型のカウンターに8席と、小上がりの2卓のテーブルには12人ほどは入れる。
 BGMには、アコースティックギターのポピュラー音楽が流されている。

 私にはご主人と正対する、カウンター中ほどの席が用意されていた。
 まずはビール(ヱビス中瓶)をもらう。
 料理は事前に「お任せの7,500円のコース」を頼んでおいた。
 次のような品々が、タイミング良く出された。

刺身:宮城産「まこがれい」と噴火湾産「蝦夷ばふん雲丹」。
 縁側も添えられた鰈はなかなかの美味さで、甘みたっぷりの雲丹もかなりの上物。
 つまなどを付けずに刺身だけが盛られた小鉢を冒頭に持ってくるところに、ご主人の主張が表れている。

出汁巻き卵:関西風の出汁巻きの焼き立てが登場。
 使用されているのは奥久慈卵とのことで、素材の良さもさることながら焼きの技術も見事。
 出汁の旨味とほのかな塩加減が好ましく、少量の染おろしと共に口に運ぶ。

八寸盛り合わせ:大皿で出されたのは「琵琶湖もろこ山椒煮生湯葉京板わさいぶりがっこのクリームチーズ挟み春菊胡麻和え明太子の燻製胡麻豆腐丹波黒豆煮」の8品で、味も食感もバラエティに富んでおり楽しい。
 中でも、ふっくらと煮含められた黒豆の出来が印象に残る。
 
新筍若竹煮:筍は例年の京都産が品薄のため今回は鹿児島産で、思ったより甘みが少ないため出汁を強めに使ったといったことをご主人は言っていたが、香りも歯応えも上々。
 春の息吹を感じられて満足できた。

柳蛸の柔らか煮とじゃがいも煮:ご主人夫妻は揃って函館出身だそうで、北海道産の柳蛸にじゃがいもを合わせた一品。
 蛸は丁寧に処理されており、表面の柔らかさと中の適度な弾力の対比が面白い。
 少し甘めの味付けだが、これが北海道流らしい。

とらふぐ皮ポン酢:コリコリの食感が楽しい。
 ポン酢も自家製とのことで、穏やかな加減が好ましい。

白魚・たらの芽・アスパラの天ぷら:白魚は宍道湖、たらの芽は秋田、アスパラは宇都宮だそうで、塩だけで食べさせる。
 白魚の淡白で清廉な味わいと、極太のグリーンアスパラの甘さが印象的。

 酒についてはご主人は下戸なので、専ら女将さんが担当。
 品書きに無いものも取り揃えており、客の好みに合わせて出してくれる。
 先に希少な「蓬莱泉 魔訶」(これはマイフォロアーさんからの頂き物)を、その後に「栄光富士」をもらう。
 料理を丹念に味わいながら、快適な時間が流れる。

 この後が蕎麦だが、この日は粗挽きと細挽きの2種類が用意されているとのことで、折角なので両方頂く。
 多くの方が書かれている通り、蕎麦打ちは若くてチャーミングな女将さんの担当である。
 それも一応「玄庵」の'江戸東京そばの会'での受講経験はあるが、ほとんどその技術は独学でしかも短期間で習得されたとのこと。
 そのレベルの高さは皆さん口を揃えて述べられており、大いに関心を持って臨む。

粗挽きは「福井永平寺在来」
 はっきりと粒の分かるほどの粗い挽きだが、細目に綺麗に揃っている。
 これは配合が'二八'であることが為せる業だが、同時に見た目ほどの'ざらつき'や'いがらっぽさ'は少なく、小気味の良いのど越しも兼ね備えている点は、大いに褒められること。

細挽きは「信濃一号」に少し「永平寺在来」を混ぜているとのこと。
 こちらは白っぽいが、同様に'二八'で切りも整っている。
 しかし香りはむしろこちらの方が強く、蕎麦本来の甘みも勝っていたのは面白かった。

 つゆは中庸な濃さで、出汁とかえしのバランスの取れた丁寧な仕上がり。
 薬味にはおろしたての山葵と、煎り白胡麻が付く。
 
 タイミング良く蕎麦湯が出されたが、中身は釜湯のままの自然体。
 実は事前に私の書き込みから、蕎麦湯についての私の主義主張を察知しておられ、このスタイルで出してくれたとのこと。
 このサービスには恐れ入った。
 
 ちなみに蕎麦粉については今どきの通例のように自家製粉は行わず、信頼のおける業者に注文を付けて挽かせた粉を、その都度仕入れている。
 私もかねがね思っているのだが、人手が限られる小規模の店では、製粉にかける時間や手間をつゆ作りや蕎麦前の準備に注力してもらった方が、明らかに合理的である。

 最後に甘味が出された。
 出来立ての温かい蕎麦がきとアイスクリームに粒あんが添えられ、上から黒蜜が掛けられ炒った蕎麦の実が散らされている。
 ほのぼのとした味わいに心和む。
 
 
 手の空いたご主人夫妻とは、様々な話題で語り合うことが出来た。
 店を設ける前から食べログには関心を持っておられ、私のレビューにも目を通してくれていたそうだ。
 今でも時間を見つけては、他のお店も廻られているとのこと。
 蕎麦の志向や蕎麦屋に対する考え方には共感し合える部分も多く、それらで大いに盛り上がって長々と話し込んでしまった。

 この日は比較的空いており、私の他はカウンターにお二人と小上がりに女性4人のグループがいらしたが、皆さん寛いだ時間を過ごされた様子。
 しかしながら場所が少々不便なために、客足には斑があるようだ。
 お二人とも元々この辺りに縁があったわけでは無いので、出店場所としては余り良くなかったとも仰っていた。
 食べログ上では結構高ランクに在るが、一部のレビュアーの過熱気味の評価が、かえって災いしている部分もあるような気がする。


 ご主人の料理人としての技術力と、女将さんの蕎麦職人としての腕前は十分に確認できた。
 実際に店の移転や一時閉店については真剣に考えられているようだが、こちらが都心の便の良い所に移られても、実力的にも話題性からも十分に通用すると思う。

 ご夫妻の個性や人柄がガンガン響いてくる店だが、私のような人間にはまことに居心地が良い。
 もう少しはこの場所には居られると思われ、また近いうちに是非寄ってみたい。
 末筆ながらこちらへの訪店を促してくださったレビュアーさんに、改めて感謝申し上げたい。

  • 浅草じゅうろく - 刺身「まこがれいと雲丹」

    刺身「まこがれいと雲丹」

  • 浅草じゅうろく - 「出汁巻き卵」

    「出汁巻き卵」

  • 浅草じゅうろく - 「八寸盛り合わせ」

    「八寸盛り合わせ」

  • 浅草じゅうろく - 「新竹の子 若竹煮」

    「新竹の子 若竹煮」

  • 浅草じゅうろく - 「栁蛸柔らか煮 ジャガイモ煮」

    「栁蛸柔らか煮 ジャガイモ煮」

  • 浅草じゅうろく - 「とらふぐ皮ポン酢」

    「とらふぐ皮ポン酢」

  • 浅草じゅうろく - 「白魚・たらの芽・アスパラの天ぷら」

    「白魚・たらの芽・アスパラの天ぷら」

  • 浅草じゅうろく - 瓶ビール

    瓶ビール

  • 浅草じゅうろく - 旨味の濃い「まこ鰈」

    旨味の濃い「まこ鰈」

  • 浅草じゅうろく - 雲丹も甘味十分

    雲丹も甘味十分

  • 浅草じゅうろく - 関西風の出汁巻き

    関西風の出汁巻き

  • 浅草じゅうろく - 「もろこ有馬煮」

    「もろこ有馬煮」

  • 浅草じゅうろく - 「生湯葉」

    「生湯葉」

  • 浅草じゅうろく - 「京板わさ」

    「京板わさ」

  • 浅草じゅうろく - 「いぶりがっこのクリームチーズ挟み」

    「いぶりがっこのクリームチーズ挟み」

  • 浅草じゅうろく - 「春菊胡麻和え」

    「春菊胡麻和え」

  • 浅草じゅうろく - 「めんたいこの燻製」

    「めんたいこの燻製」

  • 浅草じゅうろく - 「ごま豆腐」

    「ごま豆腐」

  • 浅草じゅうろく - 「丹波黒豆煮」

    「丹波黒豆煮」

  • 浅草じゅうろく - 竹の子の歯触りを楽しむ

    竹の子の歯触りを楽しむ

  • 浅草じゅうろく - 蛸は丁寧な仕事

    蛸は丁寧な仕事

  • 浅草じゅうろく - 冷酒

    冷酒

  • 浅草じゅうろく - 蕎麦一枚目「永平寺在来粗挽き」

    蕎麦一枚目「永平寺在来粗挽き」

  • 浅草じゅうろく - 粗挽きを手繰る

    粗挽きを手繰る

  • 浅草じゅうろく - 粗挽きを啜る

    粗挽きを啜る

  • 浅草じゅうろく - 2枚目「長野信州一号」

    2枚目「長野信州一号」

  • 浅草じゅうろく - 香りも甘みも強い

    香りも甘みも強い

  • 浅草じゅうろく - 蕎麦湯を注ぐ

    蕎麦湯を注ぐ

  • 浅草じゅうろく - 甘味

    甘味

  • 浅草じゅうろく - ご主人の挨拶文

    ご主人の挨拶文

  • 浅草じゅうろく - 定番の日本酒

    定番の日本酒

  • 浅草じゅうろく - 飲み物

    飲み物

  • 浅草じゅうろく - 旬の献立

    旬の献立

  • 浅草じゅうろく - 外観

    外観

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蓼喰人

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店舗情報(詳細)

店舗基本情報

店名
浅草じゅうろく
受賞・選出歴
そば 百名店 2024 選出店

食べログ そば EAST 百名店 2024 選出店

そば 百名店 2022 選出店

食べログ そば 百名店 2022 選出店

そば 百名店 2021 選出店

食べログ そば 百名店 2021 選出店

そば 百名店 2019 選出店

食べログ そば 百名店 2019 選出店

そば 百名店 2018 選出店

食べログ そば 百名店 2018 選出店

そば 百名店 2017 選出店

食べログ そば 百名店 2017 選出店

ジャンル そば、日本料理
予約・
お問い合わせ

050-5600-9643

予約可否

予約可

●外国人の方はお電話にてご予約下さい。※ネット予約不可
余りのキャンセルの多さに仕方なくの措置です。ご理解ください。
●お子様連れのお客様はお電話にてご予約をお願い致します。※ネット予約不可
●ご連絡が取れないお客様はご予約確定できません。ご了承ください。
●3日以内のキャンセルはお電話での手続きをお願い致します。
●30分以上の遅刻はサービス料を頂きます。

住所

東京都台東区浅草4-37-8 小田井ビル 1F

交通手段

つくばエクスプレス浅草駅から徒歩約8分。

浅草駅(つくばEXP)から689m

営業時間
    • 18:00 - 22:00
  • ■ 営業時間
    蕎麦売り切れ仕舞い

    ■定休日
    なし
予算

¥10,000~¥14,999

予算(口コミ集計)
¥15,000~¥19,999

利用金額分布を見る

支払い方法

カード可

(VISA、Master、JCB、AMEX、Diners)

電子マネー不可

QRコード決済不可

領収書(適格簡易請求書) 適格請求書(インボイス)対応の領収書発行が可能
登録番号:T7010501046451

※最新の登録状況は国税庁インボイス制度適格請求書発行事業者公表サイトをご確認いただくか、店舗にお問い合わせください。

サービス料・
チャージ

サービス料なし

席・設備

席数

18席

(カウンター8席、個室5人 2部屋)

個室

5人まで2部屋あります。二つの個室を解放し10名様までの個室にもできます。

貸切

禁煙・喫煙

全席禁煙

外に灰皿のご準備あります。

駐車場

近隣にコインパーキングあり。

空間・設備

オシャレな空間、落ち着いた空間、席が広い、カウンター席あり、座敷あり、バリアフリー、電源あり、車椅子で入店可

メニュー

ドリンク

日本酒あり、焼酎あり、ワインあり、日本酒にこだわる、焼酎にこだわる、ワインにこだわる

料理

野菜料理にこだわる、魚料理にこだわる

特徴・関連情報

利用シーン

家族・子供と 接待 一人で入りやすい 知人・友人と

こんな時によく使われます。

ロケーション

隠れ家レストラン

サービス

2時間半以上の宴会可、お祝い・サプライズ可、テイクアウト、デリバリー

お子様連れ

子供可(乳児可、未就学児可、小学生可)、お子様メニューあり

お子様連れのお客様はお電話にてご予約お願いいたします。ネット予約は不可となります。
お子様が他のお客様に迷惑を掛けないよう配慮をお願いします。

ホームページ

http://asakusajuroku.main.jp/

公式アカウント
オープン日

2015年7月25日

電話番号

03-6240-6328

備考

基本コースメインですが、席状況によりアラカルトもできます。
お任せコースの量やご予算はお気軽にご相談下さい。
初めての方にはお任せでのご案内です。当日予約でも対応できます。

接待向きのお任せの内容は電話で相談して下さい。

アメックスが使えます(情報提供元:アメックス)

初投稿者

hat169hat169(14)

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