店主拘りの酒、肴と〆の蕎麦 : 山介

以前から伺いたいと思っていたお店にフォロワー様とご一緒する機会を得ました。

都営浅草線　本所吾妻橋駅A0出口からエレベーターで上がって地上に出るとすぐ横にお店があるのが見えます。
軒先に杉玉が下がり、‘山介’と書かれた札と白地の暖簾の整然とした外観。

入口近いところに厨房があり、平日１９時予約して通されたのは中２階になっているようなスペース。
既に宴が始まっていた他のグループと共有するような形になりました。
トイレがある２階はその日の予約は取っていないようでした。

5,800円のコースを事前に予約しておいたので、皆さん揃ってまずは生ビールと緑茶で乾杯することにしました。

前菜（左上から時計回りに）：　各々違う器に綺麗に盛り付けられて供されました。
埼玉産大豆粒マスタード和え：　味を含んで硬めに仕上がった大豆が歯応え良いです。
粒マスタードの風味がそれほど強くなく、うまく調和されていました。

もずく酢：　マイクロトマトと菊花をあしらい見た目にもとても綺麗です。
つるっと喉越し良く、三杯酢より円やかな仕上がりでした。

茶碗蒸し酒盗のせ：　上品な出汁の温かい茶碗蒸しに甘めの餡がかかり酒盗がのっていました。
酒盗の塩気と旨味でお酒が進みます！

うぐいす豆とマスカルポーネ：　ペースト状にしたうぐいす豆にマスカルポーネを混ぜ合わせた感じで、ねっとりとしたクリーム状で甘く、とろりとした口解け。
デザートのような風味ですが、「日本酒と合わせてください」とご主人。
すっきりした後味のお酒と相性良さそうでした。

鰻の肝煮：　甘めに煮含められ、山椒の香りが効いています。
肝の苦味も心地良く、脂っこくなかったので鰻苦手な私でも大丈夫でした。

サーモンの麹漬け：　サーモンがねっとりとした食感で甘く、フルーツのような風味があると思ったらほおづきと合わせてあるとのこと。
サーモン独特の臭みが抜け、甘味と苦味のバランス良く面白い一品。

いずれもお酒の肴として最適な品々。
素材本来の味だけでなく、食材や調味料との組み合わせに独自性が感じられ楽しめました。

そばがき　蟹と筍餡かけ：　そばがきの上に蟹と小さく切った筍の餡がかけられていました。
さらに木の芽のソースととびこがのり、木の芽の緑ととびこの赤のコントラストが映えますね。

そばがきは柔らかくとろとろで、蕎麦の舌触りと新鮮な風味が秀逸。
ほぐした蟹身が甘く、筍が歯応え良く春の香りを届けてくれ、木の芽のほのかな苦味がアクセントとなっていました。

刺身３点盛り（上から時計回りに）：
鯖：　「既に味がついているので醤油はあまりつけずにそのままお召し上がりください」とのこと。
皮目を炙った鯖は数日熟成させたものだそうで、軽い塩味が絶妙。
熟成させたことで味に深みが出て、脂も程良く美味でした。

鮪カマトロ：　口の中に入れるととろりと脂が溶けます。
醤油を少しつけることで甘味が引き立ちました。

墨烏賊：　ねっとりとした身を添えられた塩でいただくと、ストレートに甘味が伝わってきます。
削りかけてあった柚子の香りが爽やかでした。

甘海老の漬け：　大きめな甘海老が甘味のある醤油でしっかりと漬けこまれ、身がしっかりとしていました。
こちらにも柚子の皮が削りかけてありました。
お酒は進みますが、やや味が濃すぎる感じがしました。

白焼きした鮎のペースト：　皮を焼いた香ばしい風味に腸も合わせてあるのでほろ苦さも感じられます。
舌触り良く優しいほろ苦さだったので、豆腐等加えてあったのかも？しれません。

あん肝：　ねっとりとした食感で脂もしっかり味わえ非常に濃厚。
かんずりの辛味で味が締まります。
ですが、私にはやや濃厚すぎました。。。

先に汁と薬味が運ばれました。
汁は甘味があって円やか、薬味は甘さはありますがしっかりと辛味の強い辛味大根でした。

蕎麦２種盛り：
右側が富山産の白蕎麦で、淡いグレーできれいに切り揃えられています。
もっちりとした食感が特徴的で、喉越しも良く、甘味と風味が同居した美味しい蕎麦でした。

左側がブレンドした粉の黒蕎麦で、５日間熟成してあるそうです。
ホシが多く点在し、食感もざらつきを感じます。
ややぼそぼそ切れる感じがありましたが、奥深い蕎麦の風味が味わえました。

蕎麦湯はさらりとした自然体。
汁を入れると綺麗にのびて食後の余韻に浸ることができました。

いただいたお酒は「姿」、「Debut」、「而今」、「醸し人　九平次」、「風の森」、「鳳凰美田」、お酒に造詣が深いk様とご主人に選んでいただいたもの６種。
フルーティーなものあり、甘味の強いもの、にごりやとろみのあるもの・・・流石お酒の種類は多くご主人拘りの銘柄が揃っている印象でした。
メニューにあっても当日切れているものや載っていないものもあるようでした。
私的にはフルーティーな味わいで後味がすっきりしている「醸し人　九平次」が好みでした。


素材と調味料をご主人独自の感性で組み合わせたお酒に合う肴（‘蕎麦前’というより‘肴’と言った方が最適な）が秀逸。
当然のことながらお酒の品揃えも多様性に富んでいます。
〆でいただく蕎麦も味わいの違うものを２種類楽しめて、非常に満足いく夜となりました。

（今回はたまたまだったのか）ご主人お１人で切り盛りされていらっしゃったので、料理の提供は時間がかかりました。
ゆっくりと時間を楽しみたい方に向いているお店だと思います。

気心知れた皆さんとご一緒すると話しに花が咲き、気づいたときには数時間があっという間に過ぎていました。

念願だったお店に伺うことが出来、とても楽しい時間を過ごせたのも、ひとえにご一緒いただいた皆様のお陰です。
本当にありがとうございました！