本場四川省には無い「麻婆豆腐麺」！ : 一番太鼓

今やすっかり居酒屋というより「本格中華屋」
としての認知度が高くなった此方『一番太鼓』。
この屋号名すら違和感がある状態である。

お昼時は、そんな此方の中華ランチを目指して
オッサン連中が店頭に行列を作っている…。
勿論、女性の常連客も少なくないけど。。。

ランチ料理も徐々に本格的な四川料理が増えた。
「麻辣麺」「辣子肉片」「蒜苗肉絲」等々…。

中でも此方の自信作である「麻婆豆腐」は、
『四川飯店』の陳建一直伝であると言うし、
確かにその辺の街中華屋よりは遥に美味しい！

究極の日本式麻婆豆腐が「丸美屋の麻婆豆腐」
でそれを①とし、本格的な四川麻婆豆腐である
元祖『陳麻婆豆腐店』の麻婆豆腐を⑩とした場合、
此方の麻婆豆腐は⑥～⑦と言ったところだ！！

適度に本格感があって高級レストラン的であり、
とても食べ易い日本人仕様にしてあるのも然り。
その辺のバランスがとても良い。。。


◆麻婆麺　　　900円

此方の「麻婆豆腐麺」はよく考えられている。
普通この麻婆麺というのは適当なスープの
醤油ラーメンに麻婆豆腐を乗せただけ…。

そうすると、直ぐに豆腐はスープで裸になり、
せっかくの濃厚な麻婆ソースもスープに溶けて
「麻婆っぽい味の豆腐ラーメン」になっちゃう！

そこを回避すべく、此方のはスープが極少ない。
ほぼ「汁なし麻婆豆腐麺」の状態でかなり濃密。
スープも出汁が濃いめなので負けてない。。。

麺は敢えての平打ちピロピロ麺！
柔らかいうどんのように、豆腐との相性を考慮。
主張しない麺のお陰で豆腐の甘味が活きている。
自分好みの麺じゃないけど。。。

麻婆豆腐をサービスライスに掛けても、
麺ごと掛けても不思議に白飯が美味しく頂ける。

このピロピロ麺は、麻婆豆腐が安っぽい日式の
バージョンだったら物凄くチープだったろうな。

この方式の麻婆豆腐＆スープだったら、
柔い麺だけでなくカタ焼きそばみたいな麺でも
きっと美味しかったろうなと思う！きっと…。

地下鉄は銀座線「稲荷町」駅の眼の前。

地味な和風居酒屋の此方が、
最近派手な告知で存在感を出して来た…！

それは、投稿写真のような四川料理推しの
告知看板が目立って来たからである！
和風の居酒屋の筈なのに。。。


自分が本場中国四川省に発つ前に、
何度かお邪魔してその実力を試して来た…。

店内は完全な「和風居酒屋」の佇まい。
ランチ時は若い女性がホールを担当し、
調理場には日本人の男性が一人居る。。。

多分その方が以前中華料理のコックで、
過去陳建一氏から「麻婆豆腐」等の料理を
伝授してもらった経験があると想像出来る。

店頭には「陳建一直伝！」という告知！
ランチメニューにも「麻婆豆腐」や「担々麺」
のラインナップが目立っている。。。

こりゃ～喰ってみるしかあるまい…！！


◇ 担々麺セット ◇　800円　　★★★☆

出て来たセットは凄くユニーク！
普通「担々麺セット」と言えば、
麺とミニ白飯に漬物…というのが常だろうが、
此方のは小鉢と搾菜が付くセットである…。

白飯は別で100円取られるシステムなのが不満。
しかも小鉢は「豆もやし＆春雨」という、
まさかの麺類系カブりの品。。。

コレなら白飯をくれまいか。
その方がナンボか嬉しいのに…！！

しかし「担々麺」は中々本格的な仕様である。

昔、20年位前の単価の高い中華料理屋で出て来る
「担々麺」は皆こんな味とクォリティであった…。
如何にも『四川飯店』的とも言える品である！

濃厚＆クリーミーな胡麻感と出汁の効いたスープ。
若干とろみもあって味は中々に美味しい…！

確りした炸醤肉末は流石。
小松菜もタップリの量で青菜感が豊富である。

そしてマイルドな辛さ！
香辛料もそこそこ使われており、細かく刻んだ
搾菜や四川漬物等が入った本格感のある風味だ！

比較的酸味も強く、これらの漬物達も
この酸味に一役買っているように思われる。。。

昔からの陳建民の流れを汲む「担々麺」の味
というよりも、次世代の陳健太郎の作る味に近い！
「陳建一直伝！」の告知も想像に難くない…。


◇ 麻婆豆腐セット ◇　950円　　★★★☆

凄くシンプルな「麻婆豆腐」だ。
豆鼓多めでピーシェン豆板醤を使ったコクのある
本格仕様だが陳建一的なクォリティとも少々違う。

勿論、此方の店主独自のアレンジが成された
「麻婆豆腐」という事であるし、下手な中華屋で
出される物とは明らかに異なるクォリティだが、
あまり期待して食べると肩透かしを喰らうだろう。

辛味は弱く、花椒は別のミルで調整…。
ガツンとしたインパクトは少ないものの、
豆鼓の旨味とコクが前に出た仕様である。。。

豆腐は柔らかくも崩れ気味であり、
全体の醤の風味は単調で幾分奥行に欠ける。

こうした居酒屋で出される品としては良いが、
本格的な中華屋で出されたら印象は極めて薄い！
惜しくも「旨い！」と唸れる代物とも正直違う。

「担々麺」よりも高価な設定なのだが、
この「麻婆豆腐」の方が素材も安価で、
失礼ながら手間も掛かってないような印象だ…！

個人的な好みと所感で言えば、、、
此方の場合「麻婆豆腐」よりも「担々麺」の方が
わざわざ食べに行っても納得出来る対価である。


◇ 四川風水餃子 ◇　　★★★

此方はかなりアレンジされた味付けである！
タレは芝麻醤を利かせた甘い仕様。
本場のモノとはかなり違う水餃子である。

餃子本体も多分業務用の冷凍物であろう。
皮は肉厚でモチモチ！中身の少ない仕様だ。

確か陳建一の店の「紅油水餃子」もこういう
味付けだったと記憶する。。。
そういう意味では確り継承されている…！


此方の店の比較的直ぐ無効に、
『らーめん花の華』という中華の店が在る。

この近所では其方が「担々麺」押しの店だが、
此方の「担々麺」は其方の何百倍は旨い！！
おそらく「麻婆豆腐」も同じであろう。。。

そういう意味では調理人の腕の違いを見れる！
しかしコレだけでは「本格中華でっせ～！」
と胸を張って言える訳でもなかろう。。。
（店主はそんな事一言も言ってないけどさ…）

あと、此方は数回訪問しても毎回ホールの
店員が仕事に追われて客の要望に気付かない。

店内は比較的いつもまばらな客数なのに
テンパってる印象が拭えないのが悪い印象だ。
笑顔やサービス等は自然で好印象なのだが…。

そういう所は如何にも居酒屋的である。。。
料理の質と味も、居酒屋としては素晴らしい！

でも、どうしてもそうした注釈が取れない
感じが残念過ぎる印象なのである。惜しい…。